「何だって!?」
「はあっ!?」
魔理沙と霊夢の叫び声が教室に響き渡る。
魔理沙は思わず立ち上がったが、霊夢は顔を動かしただけという違いはあるものの、心の中では同じように驚愕していた。
前回の弾幕ごっこ大会でもタッグマッチと聞いた瞬間、2人は即座に手を取り合った。
まさしく最強と呼ぶのにふさわしいこの2人は、予想通り決勝まで勝ち進んだ。だが、決勝戦の前に食べたキノコが腐っていたらしく、不覚にも準優勝という結果になったのだ。
それを悔やみ、今回こそは! と、強い気持ちで臨む。――はずなのだが、
「なんでだよ! なんで霊夢とじゃダメなんだよ!? なんでだよ!」
「同じことを繰り返さないでくれ……。最近忙しくて頭痛が……」
魔理沙の叫びを慧音は手で制す。
教師全員に言えることだが、弾幕ごっこ大会が間近に迫っているため慧音も睡眠不足だ。ただ、あのスキマ数学教師だけはいつも爆睡しているが。
そういう理由もあり、さっさと話を終わらせたい社会科教師は、
「まあ、落ち着け。お前たち前回の大会で準優勝しただろ? しかも、決勝戦も大方の予想では二人の勝ちだったそうじゃないか。それで、一部生徒から苦情が出てな。優斗先生によると、『チート』って反則行為らしい。そこで教師内で協議した結果、霊夢・魔理沙組は無しって話になった。他の誰かと組んでくれ。」
「お、おう……」
「ふん、わかったわよ」
「じゃあ大会の説明始めるぞー」
まくしたてた慧音に圧倒されたのか、2人は何も言えなかった。
生徒全員が自分を見ているのを確認してから、慧音は話し始める。
「今回の弾幕ごっこ大会はみんなも聞いているだろうが、」
「クラス対抗戦でしょ!」
チルノが立ち上がって話をさえぎったため、慧音が睨みつける。
それに一瞬で気付いた大妖精は青い顔になったが、当の本人は満面の笑みで続ける。
「追試に受かんないと、これに出れないから頑張ったんだ! ねー、大ちゃん!」
「ふえっ!? ――うん、そうだね……」
くるっと半回転したチルノに突然話を振られた大妖精は反射的に受け答えをする。恐る恐る慧音に眼だけ向けると、
「……………………」
(ひえーっ!)
ひたすらジト目でこちらを凝視していた。
「ほ、ほら慧音先生の話はまだ続いてるよ?」
「あ、そういえばそうだね。忘れてた!」
「じゃあ続けるぞ」
頭突きは無いらしく、大妖精は大きな息を吐いて安堵する。
「今回はクラス対抗だが、前回と同じでタッグを組んでもらう。うちのクラスは20人だから、10組作れるな。今日の放課後までに作って、報告してくれ」
はーい、と元気な声が数か所から聞こえた。
その発言者はチルノやお空、キスメなどの、一見タッグ相手が決まってそうな人物だ。
それ以外に心の中に野望を秘めたものが1人、
(これは……チャンスだわ!)
七色の人形遣いと聞けば、その願望がわかるだろうか。
第五十二話でした。ネタに困ったらチルノと慧音を絡ませておきましょう。
弾幕ごっこ大会といえば、魔理沙とあの人形遣いですよね。今回もやりますよ!
では!