幻想高校の日々   作:ゆう12906

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第三十四話 実は似た者同士

アリスとパチュリーは窮地に陥っていた。

 

現在の対戦相手は大妖精と小悪魔。まさか負けないだろうとタカをくくってたアリスたちであったが、全くの見当違いであった。

 

大妖精と小悪魔はただ余り者同士が組み合わさっただけの弱小チームではない。

 

彼女たちがタッグを組んで2週間、練習に励んでいたのだ。

 

教えていたのは外の世界の男子高校生にしてこの学校の教師、朝霧優斗。

 

彼は人にうまく物事を教える能力が高い。さらに大妖精たちから厚い信頼を受けている。そんな3人で鍛錬を積めば強くなるのは当然のことだ。

 

「こうなったら……」

 

「こうするしかないわよね……」

 

アリスたちは息も絶え絶えになっていて、相当辛そうだ。魔法使いというのは総じて体力が低い。

 

アリスたちのスペルカードは共に1枚ずつしか残されていない。もう彼女たちは特攻するという選択肢しか残されていなかった。

 

「試験中『ゴリアテ人形』!」

 

「火水木金土符『賢者の石』!」

 

以前2人で魔理沙を追いかけたときと同じスペルカードを発動する。

 

アリスの周りには彼女の体より大きいゴリアテ人形、パチュリーの周囲には色とりどりの弾幕が展開される。

 

――そしてお互いの弾幕が動き出す。

 

「行きなさい!」

 

「これで倒すわよ!」

 

お互いの弾幕を潰そうと。……要は2人とも同士討ちをしようとしている。

 

パチュリーの弾はアリスを360度囲んでいる。対してゴリアテは1体しかない。

 

「はっ! もう終わりよアリス! そのまま永眠するといいわ!」

 

ものすごくゲスな顔でパチュリーが叫ぶ。対してアリスは軽く舌打ちし、

 

「ゴリアテ人形……」

 

こう命令した。

 

「私のことはどうでもいい! あいつを切ってしまいなさい!」

 

「はあ?」

 

「ほんとはあなただけ逝かせたかったけど……どうやら地獄の底まで一緒のようね!」

 

ゴリアテ人形がアリスの元を離れ、パチュリーに猛獣のごとく飛びかかる。

 

「うわっ! 何コイツ……弾当たってるのに全然効かないじゃない……!」

 

「この密度を避けるのは無理そうね……まあ害虫が消えただけでも良しとしますか」

 

ゴリアテ人形が切りかかるのと、アリスが被弾したのはほぼ同時だった。

 

相手の弾幕があまりにも強力過ぎて、2人とも気絶している。そのまま重力に従って落下していく。

 

「危ない……」

 

素早く今回の審判の優斗が受け止めようとするが、結局スピードに乗った2人を同時に受け止められなかった。

 

ただ、スピードは殺すことができたので、2人が大したけがを負うことはなかった。

 

「えーっと……大妖精たちの勝ち。決まり手は自滅だ」

 

しばしの沈黙が競技場を支配していた。

 

が、平静を装っていた優斗たちも相当困惑していたらしく、

 

「はああああああ!?」

 

「えええええええええ!?」

 

「な、何があったんですか!?」

 

優斗と勝利した大妖精たちの絶叫があたりに響いた。

 




第三十四話でした。やっと伏線(らしきもの)回収……

なんか戦闘ばかりですね。次回は会話シーンも書ければと思います。

ではまた!

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