タッグマッチのためには当然誰かと組まなければならない。ここで1つ問題がある。その中で当然あぶれるものが出ていく。ということだ。
自分が組みたい相手のもとへ行ったらもうすでに決まっていて、しょうがないから他の人の元へ行こうとしたらやっぱり相手がいてそれの繰り返しであれよあれよというままに人がいなくなる。ということも珍しくない。そしてその状況に置かれているのが……
「誰かいませんか~」
現在廊下を歩き回っている、3年2組、紅美鈴であった。
「はあ……」
彼女だってただ待ちほうけていたわけではない。彼女が真っ先に行ったのは1年1組のフランとレミリアのところだ。しかし、
「あらごめんなさいね。もう組んでるのよ」
「そうそう!私と妹様とで組んだら最強よ!」
「ああ、そうですよね」
これは彼女も予想できていた。そりゃあ、姉妹で組みたいに決まっている。次に行ったのはパチュリーのところだ。彼女はコミュニケーション能力が低いので決まっているはずがない、と考えていたのだが……
「悪いわね。あの金髪と組んでるのよ」
これには彼女も心底驚いた。あの引きこもりのパチュリー様がもう決めただって⁉そんな大変失礼なことが頭を駆け巡った。
こうなるともうなりふり構っていられない。とにかく声をかけまくった。しかしにとりは雛、チルノはルーミア、文は椛と、ことごとく断られたのだ。
「ど、どうすれば……」
燃え尽きてがっくりと肩を落としたその時、
「まったくしょうがないわね」
「さ、咲夜さん……」
一筋の光が差し込んだような気がした。そう、瀟洒(仮)なメイドが救いの手を差し伸べたのである。そのタッグは確実に優勝候補の一角だった。
一方、先ほど美鈴に引きこもりと揶揄されたパチュリーはすでに図書館に戻っていた。
「ふっふっふっ……これで……」
不敵な笑みを浮かべて、大きな釜の前でいろいろと混ぜている。その姿はさながら本物の黒魔法使いの雰囲気だった。
「あの~パチュリー様?」
不安そうな顔で小悪魔が訪ねる。もともとアリスと組むと聞いて何か起こるだろうと考えていたのだが、今まで見たことのない主人の一面を見て困惑の色を隠せないでいる。
「あら心配ないわよ?」
「はあ……」
「ちょっと毒薬作ってるだけだから♪」
「なっ……」
もはや私には止めることなんてできない。小悪魔がそう思うのも当然だった。
「ふふふ……あとはこの人形にこれを詰めれば……」
「あの~アリス?」
パチュリーのタッグ相手、アリスもパチュリーと似たり寄ったりのことをしていた。
心配する魔理沙にアリスは思いっきり微笑んで、
「大丈夫よ魔理沙。大会の準備してるだけだから♪」
「あ、ああ……」
パチュリーと全く同じ調子で明るく言い放った。
第二十八話でした。最近アリパチェが壊れているような気がする。美鈴完全に影薄かったですね。
次回開幕すると思います、多分!
では!