「むむむ……」
慧音は一人職員室で考えていた。何を考えていたかというと、クラスごとに行われる社会科見学についてのことだ。
「みんなが楽しめる場所……どこがいいか……」
と、机を見て目に入ったのは、
「あれ?出してたっけ」
慧音が使っている月の石だった。彼女がきもけーねに変身する際、本物の月を見ると理性を失ってしまうので、これを代用しているのだ。
「………ひらめいたぞ!」
行先を決めたらしい慧音の上で、
「ふふ……予定通り」
天井に紛れてスキマが広がっていた。
「―――なあみんな、月へ行きたくないか?」
ち、ホームルームの時間に切り出す慧音。みんなあっけにとられている。
「ほら、もうすぐクラス別社会科見学の時期だろ?」
と、つけくわえる。みんな納得しているようだ。―――その時クラスの後方から手が上がった。
「なあ慧音先生、どうやって行くんだ?」
優斗先生である。彼は大妖精と一緒に暮らしているので、よくこのクラスにいるのだ。(ちなみに彼は同居人の気持ちをわかってない超鈍感な男である)
「うむ、不本意ながら……」
鈍い顔をする慧音。そう、昨日話し合いが行われたのだ……あの人と。
「はーい!わたしの能力よ!」
と、勢いよく入り込んできたのは紫。かわいい子ぶってるが、仕草とかがどう見ても一昔前のそれだ。
「あら?なにかいったかしら?」
い、いえ何でもありません。(震)
「無理ね」
いきなり言い放ったのは霊夢。彼女は乗り気ではないようだ。
「わたし、月に行ったことがあるのよ」
あのでっかいロケットを作って飛んで行ったあの事だ。
「私もだぜ!」
「あら、私もよ」
続けて魔理沙とレミリア。このクラスは三人も月へ行ったことがあるらしい。すごいクラスだ。
「それで?」
「すごく私たちを目の敵にしていたわ」
「ああ、しかもメチャクチャ強いんだぜ……」
「その点については心配ご無用!」
不意に口を開いたのは紫。賢者といわれるくらいだから何かいい考えでもあるんだろう。
「みんなで忍び込んで、何か向こうの大切なものを盗るの。そして『これを返してほしければ社会科見学をさせろ』って、言えばOKよ」
要するに脅迫である。と、ここで優斗はあるゲームを思い出した。
ここからの紫と優斗のやり取りは『東方好きの優斗と大妖精と』の十七話と同じなのでカット
「では作戦会議を始める」
忍び込む指揮官を任された優斗先生。いくつかのグループに分けた。その中の一つ、明らかに大変そうなグループが一つ。
「ふふふ!私がここにいるからもう大丈夫だよ!」
「うん!私たちに任せておいて!」
「頭痛い……」
「私たちの役割分かってるのかな?」
「さあ?」
お空、フラン、お燐、大妖精、小悪魔のグループで、やたらとはりきっているのが2人。(誰がとはいわないが)
ちなみにこのグループのやることは優斗?
「囮です」
なるほど。お空とフランには言わなくてもいいんですか?
「まあ、ただ戦ってもらうだけだからね」
ふ~ん。どういう作戦でいくの?
「まあ、囮をふんだんに使ったやり方で」
なるほど。楽しみだ。
そうして、作戦の朝がやってきた。
第十七話です。
すいませんあんま面白くないつなぎ回で……
次回月の世界との勝負ですよ!
では!