「「ふはははは!!」」
ここは従者たちが集まっている会議室。そう、いま『従者たちの集い』の真っ最中なのだ。そして今、会議室は笑いに包まれている。
みんなが見ている映姫先生の写真。それがなんと優斗先生におんぶされている写真なのだ。威厳もへったくれもなくなっている。
「ふ……いや…映姫さまもすごいことするねえ。あたいが従者やってるだけのことあるぜ妖夢とかにも見せてやりたかったな」
一番大笑いしている小町が言う。彼女も普段ストレスがたまっているのだろう。
「そういえば、みんなのご主人様はどうなってるんだ?ふふっ……」
待ってましたとばかりに、
「実はうちのお嬢様がね……すっごく大人っぽくなっているの!」
はああああ…と、身悶える咲夜。彼女が一番従者なのかもしれない。
「さとり様がすっごく社交的になっていてね。驚いたわ!」
「諏訪子さまがカエルが嫌いになっててな~。びっくりしたぜ」
さらに続けるお燐と早苗。早苗も薬の効果をばっちり受けていて、こんな口調になっている。
このまま話が尽きることがないと従者一同思ったのだが……
ガラッ
不意にドアが勢いよく開いた。
「くっ、違う!誤解なんだ!―――どわっ!」
投げつけられた人形を前転して避けながら魔理沙は叫ぶ。二人に私たちの気持ちを踏みにじったわね!と、勘違いされていて、絶賛逃亡中だ。
「なあパチュリー!お前は分かってくれるよな!」
返事は木と土の弾だった。二人とも『魔理沙~』と、末恐ろしい声でゾンビのように言っている。おそらく半分くらい自我がないだろう。
「くっ、このままでは……」
話し合いはできないと判断し、角を曲がり職員室へと駆け込む魔理沙。そのまま机の下へもぐりこんだ。
「いいかしら大妖精?」
不意に紫の声が聞こえた。どうやら大妖精と話しているらしい。
「終わりに怪談大会するんだけどね、」
「はあ……」
「さりげなく優斗に抱きつけるチャンスよ!」
「ふえっ!?」
「ついでに胸もくっつけちゃえば~!」
「む、胸っ……」
机の下でニヤニヤしてしまう魔理沙であった。
ドガァ
そうこうしている内にアリスたちが入り込んできた。
「このままではジリ貧だぜ……」
すぐに見つかると判断し、職員室を出る。しかし前は行き止まり。窓を突き破ろうと思ったが、また映姫先生に説教されるので、思いとどまった。
「くっ、このままでは……」
一か八か、魔理沙は職員室の反対側のドアへと駆け込む。ドアを勢い良く開け、中へ転がり込んだ。そこには―――
「「へっ?魔理沙?」」
従者たちが勢ぞろいしていた。
「あら~―――まあこれも何かの縁。一緒にピチュってくれ」
「えっ?何を…」
らんが言い終わる前に二人が入ってきてスペルが唱えられる。二人の最強クラスの。
「火水木金土符『賢者の石』!」
「『グランギニョル座の怪人』!」
吐かないピチュり音が会議室の中に盛大に鳴り響いた。
と、いうわけで第十六話でした。
魔理沙も大変でしたね。従者たちは……まあ楽しかったしよかったです。
※「東方好きの優斗と大妖精」を見た方へ 怪談大会での大妖精のいろいろな行動は計算ではありません。あの状況で物事を考えられるほど大妖精はクールではありません。(まあ、そこがいいんだけどね!)
次回は優斗先生が結構出ます!
ではまたお会いしましょう!