東方混迷郷   作:熊殺し

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グダグダ回です。
新キャラ登場ですが、可哀想な登場です。
異変と殆ど関係ない話ですが、気にしないで下さい。


風神録79話

神社を飛び立ってから妖怪の山へ直進している霊夢は既に麓付近の上空を飛行していた。

すると、後方から聞きなれた腐れ縁の声が聞こえた。

後ろを振り返ると、黒い割烹着にカーディガンを羽織った魔理沙が箒に跨って浮いていた。

 

 

魔「霊夢じゃないか。

お前も新聞見て来たのかよ?」

 

霊「何よ、アンタも来たわけ?

好きねぇ、私は新聞読んだ後にさらに神社の巫女にケンカ売られてるのよ」

 

魔「なんだぁ?

じゃあ異変の犯人にもう会ってるのか」

 

霊「そういう事。

あいつは私がシめるから、アンタは手出ししないでよね」

 

 

早苗との決着を邪魔されないように、今のうちに魔理沙には釘を差しておく。

魔理沙が毎回異変解決についてくることは百の招致なので、来るなとは言わない。

味方は多いにこしたことは無い。

 

 

魔「わかったわかった。

その巫女はお前が倒すんだな?

なら私は神社で祀ってるらしい神を倒してやるぜ!」

 

霊「隙にしなさい。

私は奴に一泡吹かせられればそれでいいから」

 

魔「へへへっ!

今回の異変は私が解決することで決定だな!

そうと決まれば出発だぜ!」

 

霊「はいはい・・・ん?

下で焚火やってるわ」

 

 

山の山中から煙が上がっているのが見える。

誰かが火を使っているのだろう。

朝型に火を使うという事は、使用用途は限られてくる。

 

 

魔「私、朝から何も食べてないから腹減ってるんだよなぁ。

なぁ、少しだけ寄っていこうぜ?」

 

霊「私は食べた。

お腹もすいてないわ」

 

魔「そう言わずにさ、行こうぜ!」

 

霊「仕方ないわねぇ~。

言っとくけど、面倒事は御免だからね?」

 

 

焚火の煙を追う魔理沙の後を霊夢は付いていく。

彼女の行動力には驚かされるばかりだ。

悪い意味でも、いい意味でも。

 

 

_________

 

 

静「穣子、そろそろ焼けたんじゃない?」

 

穣「どれどれ・・・うん!

良い感じに焼けてるよ!」

 

に「早く食べようよー!

もう待ちきれないんだよ!!」

 

文「おぉ!!

流石は豊穣の神の芋!

焼けると一段と美味しそうですね~」

 

 

愛用のカメラでパシャりと焼き芋をフィルムに納める文。

穣子は焚き火の中からトングで焼き芋の焼き加減を確かめていた。

程よく焦げ目のついた焼き芋を焚き火から取り出すが、そのまま持つと火傷するので軍手をつけて持つ。

2つに割ると、湯気が立ち込める黄金色の実が姿を現した。

その瞬間、一同は歓喜の声を上げるが、如何にも秋っぽい色のワンピースに身を包んだ穣子の姉、静葉は何処か浮かない顔だった。

 

 

穣「どしたのお姉ちゃん?」

 

静「焼き芋は美味しそうだけど、それが焼けるのは私のお陰でもあることを忘れないで欲しいわね」

 

 

姉の静葉は紅葉の神で、秋になると山の木々を一斉に赤や橙に染めることが出来る。

しかし、豊穣の神である妹の方が有難いと里の人間達に言われてしまい、それに不満を持っているのだ。

そのくせ自分は穣子の焼き芋をほおばっているのだから皮肉なものだ。

 

 

に「まぁまぁ。

美味しい焼き芋が食べられればそれでいいじゃん?」

 

静「何だか納得いかないわ!

芋や栗がいっぱい獲れるようにしてくれるだけじゃ完璧な秋の神じゃないのよ!

二人そろって秋の神なのにぃ~!」

 

 

地団太踏んで悔しがるが、本人以外はこれに関してそれほど気にしていなかったりする。

分かってくれるのは妹だけだ。

 

 

穣「お姉ちゃん!

私、お姉ちゃんの気持ちが解るよ!!」

 

静「穣子!」

 

穣「お姉ちゃん!」

 

 

姉妹は共に抱きしめあう。

魔理沙達が上から見ているとも知らずに。

 

 

魔「仲が良いのは良いんだが、内容が共感できないな。

何だか反応に困るぜ」

 

霊「奇遇ね、私も同意見よ。

めんどくさそうなにおいがするわ」

 

文「あれ?

霊夢さん達何時から居たんですか?」

 

霊「さっきよ。

魔理沙がお腹が空いたって言うから寄ったのよ」

 

 

その言葉に静葉の目がギラリと光る。

今の話題の中で恐らく言ってはならないワードだったのに。

静葉の中で何かが吹っ切れて暴走しだしてしまった。

 

 

静「やっぱり芋か!?

紅葉なんかよりも食べ物のほうがいいのか!?」

 

文「あやややや、霊夢さん地雷踏んじゃったみたいですね」

 

霊「なんで私なのよ!

何方かというと魔理沙でしょ!」

 

魔「私は秋について深く考えた事自体ないぜ」

 

静「な・・・何てこと」

 

 

この魔理沙の言葉が胸に突き刺さり、静葉は沈黙して膝をつく。

立ち直るには少し時間がかかりそうだ。

さらに魔理沙は今度は穣子のハートを傷つけた。

 

 

魔「ま、秋になっても関係なく過ごすけどな。

魔法の森のキノコは山の松茸よりも美味しいし。

秋だけ美味しい松茸なんかより一年中美味しいキノコの方が良いぜ」

 

穣「ガーン!!」

 

 

キノコの王様である松茸の一番おいしい時期を否定されてしまった穣子はその場でショックの余り泣き崩れる。

秋姉妹二人に言えるのだが、この二人はメンタルが弱すぎるのではないだろうか。

 

 

に「あーあ、完全に消沈しちゃってるね。

焼き芋食べちゃう?」

 

文「賛成です!!

もう私もお腹すいちゃって。

あ、霊夢さん、私も異変解決に付いていって良いですか?

スクープの予感がします!!!」

 

霊「・・・とりあえず、1つ貰ってからね」

 

魔「ん?良くわからんが焼き芋私も欲しいぜ」

 

 

にとりのリュックから伸びたマジックハンドが焼き芋を焚き火から取り出す。

器用なもので、新聞紙にくるめて渡してきた。

その頃には霊夢の怒りはいつの間にか無くなっていた。

 

 

to be continue...




戦わずして秋姉妹撃破です。
ちなみにニトリとはここでお別れです。
次回は誰を出しましょうかね~。

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