可愛いなぁ~。
無邪気な一面を持つ咲夜さんも中々良いですな。
今回は思いっきり東方関係ない物が出てきます。
突っ込まないで下さい。
~お台場~
咲「綺麗な都市ですね~。
程よく緑があってとてもリラックス出来ますわ」
東京湾を埋め立てて造られた人工の大地で、モノレールの駅から一歩出ると、ほのかに潮の香が漂ってくる。
しかし、整地されて建物が立ち並び、高速道路や長大な架け橋でつながる此処は海の近くという感覚があまりしない。
都市の中心から離れているにも関わらず、未だにビルの摩天楼が続いていた。
咲「何処まで行っても都会が広がっていますわね」
リ「日本の首都だからな。
さて、まずは腹ごしらえだな」
咲「そうですわね。
そろそろお昼ですわ」
咲夜の腕時計は11時を指しており、丁度昼前の時間帯だった。
彼の目線の先。
ショッピングモールらしき建物の周辺には活気があふれており、それだけの人気を誇る有名スポットであることは明白だった。
そして、建物の前には巨大なロボットの像が立っている。
始めて目にする謎の立像を前に、咲夜は立ち止まってしまう。
咲「リュウトさん!
あれは何ですか!?」
白を基調とし、トリコロールカラーのボディを持つ二本の角のロボット。
いや、設定的にはモビルスーツと呼ばれているのだが。
子連れの家族が咲夜の横を通った時に、父親に手を引かれて歩く少年が高らかに叫び、大喜びした。
少年「パパぁ!ガンダムだよ!」
父「凄いなぁ!かっこいいなぁ!」
親子そろって口にする{ガンダム}という名前。
これは、昔流行った人気アニメ、機動戦士ガンダムの主役メカであるガンダムの実物大立像だ。
全高18mという圧倒的な存在感は、咲夜の心を撃ち抜いた。
咲「わはぁ~!
これはガンダムというのですか!
良く分かりませんが、凄く格好いい響きの名前ですわ!」
リ「まぁ確かに格好いいな。
何なら一緒に写真を撮ってやるぞ?」
咲「是非お願いします!」
目を輝かせながらガンダムの足元まで走り、リュウトの構えるデジカメに目線を合わせる。
しかし、咲夜はそれだけでは不満だった。
咲「リュウトさん、一緒に映ってもらわないと意味がありませんわ」
リ「いや、しかし。
俺がカメラを持っていなければ一体誰がシャッターを押すんだ?」
咲「むぅ。
ですがやはり二人一緒でないと撮る意味がありませんわ」
頬を膨らませる咲夜。
仕方がないので先程の親子に声を掛け、撮影を頼むことにした。
リ「すみません、写真を撮って貰っても良いですか?」
父「はい、構いませんよ」
リュウトの頼みを快く引き受けてくれた男にデジカメを託し、咲夜の横へ駆けていく。
横に並ぶと、咲夜はリュウトの片腕に腕を絡ませ、手を繋いだ。
彼は僅かに羞恥心を感じるが、悪くはない気分だった。
父「じゃあ、撮りますよ!
3、2、1!」
カシャッ
男はカメラのピントを合わせ、合図と同時にシャッターを押す。
画面には、銀髪の少女と黒髪の青年が朗らかな笑顔が写されていた。
_________
咲「色んなお店がありますわね・・・外の世界の飲食店は種類が豊富なのですね」
自動ドアをくぐり、フードコートに入ると、様々な料理店が所狭しと並んでいた。
店窓からは食事を楽しむ人々が垣間見え、ちらほら行列も見える。
和食、レストラン、中華専門店にカレー専門店まである此処は、世界の料理を網羅する事だって可能に思えてしまう程充実した店構えなのだ。
リ「ここまで多いと何処にしようか迷うな。
咲夜はどんなものが食べたいんだ?」
咲「そうですわね・・・幻想郷では食べられないような珍しい物を食べてみたいです」
リ「わかった。
なら・・・・お?
良いところを見つけた」
右手側に並ぶ店の中からリュウトが見つけたのは、外の世界では名の知れた有名なラーメン店だった。
人里でも見かけない謎の料理は咲夜の興味を引き寄せた。
咲「ラーメン?
私は食べたことありませんね」
リ「ならこの機会に食べてみよう。
人里でもラーメンを出している店は無いからな」
暖簾のかけられた店の入り口をくぐると、食欲をそそる良い香が漂ってきた。
従業員が指定したカウンター席へ座り、メニュー表を見る。
カウンターからは水の入ったコップを出した店員が注文を取り始めた。
店員「ご注文は何になされますか?」
リ「咲夜、どれがいいんだ?」
咲「私はこの味噌ラーメンというのを頂きますわ」
リ「飲み物は何にする?
俺はウーロン茶だが」
咲「なら私も同じものにしますわ」
リ「決まりだな。
味噌ラーメン一つと、チャーシュー麺一つ。
それとチャーハン一つとウーロン茶二つだ」
店員「畏まりました」
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店員「お待たせしましたー!
味噌ラーメンとチャーシュー麺です!
チャーハンもう少しお待ちください!」
注文してからしばらく待っていると、店員の若い男性がカウンター越しに中華風な黒い器を出して来る。
リュウトは二つを受け取ると、香ばしい香りが鼻腔をくすぐってきた。
咲「わぁ・・・!」
リ「これは美味そうだな、俺も食べるのは久しぶりだ」
咲・リ「いただきます!」
割りばしを二つに割り、リュウトは麺を啜る。
咲夜は熱いのか、吐息で冷ましながら上品に麺を口に入れた。
咲「美味しいです!
味の表現が上手く出来ませんが、複雑な味の中に素材の味が生きていますわ!」
リ「食レポみたいだな。
俺もこんなに美味いラーメンを食べたのは初めてだが」
咲「皆さんが並んで食べる気持ちが解った気がしますわ。
・・・紅魔館でも作ってみようかしら?」
リ「今度作ってやろうか?
一応心得は持っているぞ、響華に良くせがまれたからな」
咲「あら、ではご教授願います♪」
リ「任せておけ、約束だ」
互いに笑いながら、和気あいあいとラーメンを啜る。
二人きりの外界デートは、まだ始まったばかりだ。
この小説の時代は進んでいるので時間のズレが生じています。
でなければガンダム立像なんて存在しません。
何故ガンダムを出したかというと、気まぐれです。
因みに、幻想郷にラーメン屋はありません。
完全なる後付け設定ですね、しかもどうでもいい。