仕事が始まったので更新スピードも落ちると思います。
~洞窟~
零「大丈夫か・・・リュウト」
リ「すまない、もう大丈夫だ」
大爆発の後。
奇跡的にレーザーの直撃を免れて生還した二人は、爆発で舞い上がった粉塵に紛れ込み、今は退却して少し大きめの洞窟の中へと逃げ込んでいた。
零夜の肩を借りながら転がる岩の上に腰かけ、リュウトは一命を取りとめた事に安堵の息を吐く。
真っ暗な洞穴の天井から滴り落ちた雫が、二人の肌にポタリと垂れる。
砂埃を被った肌に水が付着すると、汚れを流しながら重力に従って落ちていった。
その度に傷口に沁み、体が反応する。
身体には深い傷が幾つも付けられ、その表情は暗かった。
リ「痛っ・・・奴め。
二人でかかっても倒せないとは」
零「能力を封じられているんだ。
能力が無ければ俺達なんてこんなものさ」
二人の神化が、本来の力を引き出すものだとしたら、能力変身はドーピング。
リュウトは今まで自分がどれほど能力に頼って戦ってきたかを実感させられた。
悔しいが、本質的な強さは空亡の方が圧倒的に上だ。
恐らく、二人が限界まで圧縮した技を同時に放ったとしても倒せないだろう。
ただでさえ疲弊しているのに、なおの事不可能だ。
リ「奴のパワーアップは異常だ。
俺達の力が全く通用しないなんて・・・」
リ「どうするんだ。
このままでは絶対に倒す事なんて出来ないぞ」
零「・・・・・」
切羽詰まった表情で訴えるリュウト。
零夜はその場で腕を組みながら黙り込む。
そして、一つだけ策がある事を伝えた。
零「一つだけ、やってみる価値がある方法がある。
しかし、それをしてどうなるかは俺も分からない」
リ「策があるなら何でもいい!
おばあちゃんが殺されるよりはマシだ!」
リュウトの意志がこもった言葉を聞いた零夜は黙って頷くと、彼は胸に提げたペンダントを服の中から取り出した。
リュウトが持っているペンダントと瓜二つの代物だ。
輝く白金の宝石が埋め込まれた銀のプレートは、淡く光を放つ。
その瞬間、リュウトは胸に熱い何かを感じた。
提げているペンダントを出してみると、彼のも同様に光を放っていた。
リ「光っている・・・これは?」
零「同調しているのさ」
リ「同調・・・?」
零「本来、神が持つ物はこの世に一つずつしか存在しない。
このペンダントも、本来は世界に一つしか無い物なんだ。
それを、未来の世界からお前がもう一つ持ってきてしまった。
神器が2つ存在する事は宇宙が始まって以来、一度として無い事例だ」
神器、それは神だけが持つことが許される奇跡を起こす道具。
零夜は他に、ミョルニルというハンマー型の神器を持っている。
二つとも、世界に一つしか存在しない貴重なものだ。
しかし、今まで同じ神器がこの世に二つ存在した例が無く、同じ場所に。
ペンダントが如何なる効果を引き出すか、彼にも予測不能だった。
リ「そんな危険な事、本当に大丈夫なのか?」
零「やるしかないだろう。
このままでは勝ち目が無いんだ、少しでも勝てる見込みのある方法があるなら賭けるだけだ」
リ「・・・よし、やろう。
俺達が、やるしかないんだ」
零「よく言った。
それでこそ俺の子孫だ」
零夜とリュウトは互いにペンダントを右手に握り、重ね合わせる。
何故か分からないが、方法が頭の中に自然と浮かび上がって来た。
重ね合わせた瞬間、一気にペンダントの光は強くなり、目を開けるのも耐えられない程の光で二人を覆った。
リ「何だこれは!!」
零「この感じ・・・。
まるで、俺とリュウトが交わっていくような不思議な感覚だ。
ウワッ!」
キィィィィィン!!
今まで感じた事の無い不可思議な感覚に覆われた二人の影は、やがて一つの人影へと変化する。
それは、ルーミアが花梨の身体を借りるそれではなく、完全なる融合だった。
?「なんてことだ。
本当に融合するとは」
次第にペンダントの光は消えていき、青年の手のひらには銀色の小さなプレートが置かれていた。
その融合の瞬間を、裁判所から浄瑠璃の鏡で見ていた映姫も驚いていた。
敢えて名前を付けるとしたら、彼の名は。
龍「頭に流れ込んでくる・・・。
今この時から俺の名は、博麗龍夜」
過去と未来が融合した新しい神。
博麗の力を受け継ぐ最強の神、龍夜が誕生した。
龍「・・・・そこか」
静かに目を閉じ、空亡の妖気の軌跡を探っていく。
大きく膨れ上がった妖気を探るのは簡単だった。
見つけ次第、龍夜は洞窟の天井を突き破って空へと舞い上がる。
幻想郷史上最強の戦士が、決戦の地へと飛び立った。
愛する者を守る為に・・・。
To be continue
リュウトと零夜の合体した姿は、次回に詳細を書きます。
能力は空亡に封じられているので使えません。
まぁ簡単に言うと、合体解除が出来るベジットみたいなものです。