東方混迷郷   作:熊殺し

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これで外界編は終わりです。
この小説は何故こうもシリアスに走るんでしょうね?
冒頭では既にグアムから帰ってきています。


外界編63話

リ「また歴史が変わった、、、か」

 

 

旅行から帰ってきて丸一日が経とうとしていたこの日、リュウトは紅魔館の自室で椅子に腰かけながら一人、ため息をつきながら岡崎夢美との会話を思い出していた。

正直侮っていたのだと思う。

深層心理が全く見えない、紫とはまた違う胡散臭さを持った印象だった。

対談をして全てを明かされても尚、何かを隠しているのではないかと疑ってしまう程だ。

 

 

リ「もう会いたくはない、、、かな」

 

 

リュウトの正直な気持ちはそれだった。

彼女との会話の内容は霊夢らには殆ど伝えていない。

話したところで霊夢達の反応は大体予想が付くからだ。

あれは今から数十時間前の話だ。

 

___________________

 

 

~宿泊部屋~

 

 

夢「いや~悪いね~、上がらせてもらちゃってさ」

 

リ「御託はいい。

それよりも、、、何故お前が幻想郷の存在を知っているんだ」

 

 

眼光を尖らせ、椅子にふんぞり返る夢美を威圧するが、おおこわい、と彼女は笑い流す。

部屋には夢美とリュウトの二人だけ、その方が話しやすいと彼女が言うので仕方なくそうしている。

ヘラヘラとした掴みどころの無い態度のまま、岡崎夢美は自分の知っている全てを明かした。

 

 

夢「研究の一環でね、異世界の存在の証明をしようとしていたんだ。

丁度長野県辺りだったかな?

妙な波を発している地域というか、、、土地を発見しちゃったんだよね」

 

 

波を発している、、、間違いなく博麗大結界の事だろう。

科学の力で干渉出来るようなものではない筈なのだが、、、、。

第二のトマス・エジソンと言われる理由がそこにはあった。

これだけの事を可能にする頭脳を持っているのならば、この年代から科学の進歩が飛躍的に向上したのもうなずける。

だが、リュウトの居た世界の歴史では岡崎夢美が幻想郷にやって来たという記述は無い。

恐らくこれも自分がこの時代にやってきてしまったせいなのだろうと、そう彼も考えていた。

しかし、夢美が幻想郷の存在を知っていたのは一方的なもので、決して幻想郷というものが存在している事を知っているという事ではなかった。

彼女は、科学の力で幻想郷を発見してしまったのだ。

これが何を意味するのか。

そう、幻想郷の存在が外の世界に晒されてしまうのだ。

そうなれば妖怪などの人間に害を及ぼす種族は真っ先に狙われるだろう。

 

 

リ「おい、まさか幻想郷の存在を外の世界に公表する気じゃないだろうな」

 

夢「公表したところで誰も信じてくれないでしょ?

あれは私の個人的な興味からやったことだし。

いやぁ~でもホントに実在するとは!

正直驚いたよ!」

 

 

興味本位で結界に干渉されるなど溜まったものじゃない。

行き過ぎた科学は魔法をも超越するとはよく言ったものだ。

思い返せば、何故夢美は自分達を幻想郷の住人だと解ったのだろうか。

 

 

夢「あんな事出来る人間なんてこの世に存在しないわよ。

デコピン一発で大の男を吹き飛ばすなんてさ。

あの男の倒れ方を見ればわかるわ。

驚いて尻もちをついたんじゃなくて、額に大きな衝撃を受けた事によって物理的に飛ばされていた。

たかがデコピンよ?

貴方の細腕でそんな事が出来るとは到底思えない。

ま、半分冗談で言ってみたんだけどね~」

 

 

またまた笑ってそう言うが、あの一瞬でここまで推理していたとなるとかなりの洞察力を持っていないと不可能だ。

やはり侮れない。

 

 

夢「とにかく!貴方達に執拗に関わる気は無いから安心してよ。

あ!でも私が異空間に行ける装置を作った時はソッチに遊びに行くからその時は宜しくね♪

そろそろ帰らなきゃいけないから私はこれにて失礼するよ~」

 

リ「待て、まだ話は終わっていないぞ」

 

夢「あんまりしつこい男は女に嫌われるよ?

女の私が言うんだから間違いないわ。

、、、貴方とはもう一度何処かで会う気がするしね」

 

 

そう言って彼女は部屋から出て行ってしまった。

またどこかで会う気がする。

未来を見透かすように彼女が最後に放ったその言葉は、何故か実現してしまうような気がして背筋がゾッとした。

 

 

___________________

 

 

リ「奴が興味本位で始めたと言っていた研究、何処か引っかかるな、、、。

本当に{個人レベルの研究}なのか?」

 

 

リュウトはどうしてもその言葉が引っかかるようだ。

夢美は幻想郷が存在するという確定的な証拠を見つけてしまった。

なら、結界を越える技術を作り出してしまうのではないか。

そうなれば、彼女は個人レベルの開発ではなく、大量の人員を総動員させて早期開発をしかねない。

科学の進化の為なら出し惜しみをしない生粋のサイエンティストなのだから。

 

 

リ「、、、胸騒ぎがする。

何もなければいいんだがな」

 

 

考えていても仕方が無い。

彼は背もたれからゆっくりと起き上がると、部屋の照明を消して部屋から出て行った。

 

 

__________________

 

 

~岡崎邸宅~

 

 

同時刻、夢美の自宅。

彼女は研究室に置かれた一つのモニターを眺めながら頬を歪め笑った。

 

 

夢「フフッそれっぽい事言ってごまかしちゃったけど、実はもう結界を越える装置は完成してるんだよね~。

本当は私が出向いて行きたかったんだけど、面白いもの見つけちゃったからそれを送り込んでみようかな?

あっちの世界の住人たちはどうやって戦うんだろうなぁ。

データは無人機を送り込んでを取らせればいっか」

 

 

モニターには無限に広がる宇宙空間と、歪な形の巨大な小惑星が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 




またまた伏線が貼られましたね。
まだ話に出す気はありませんが、異変にするつもりです。
次回はまた時間軸が旅行中に戻りますが、幻想郷サイドの話です。

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