東方混迷郷   作:熊殺し

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この小説のお気に入り件数が70を突破しました!
これほど多くの人が読んでくれていると思うととても嬉しいです!
ありがとうございます!

今回はとうとうあのキャラが人物として登場します!!
この物語にかなり関係が深いあの人です!
誰かは、、、わかりますよね?
ではどうぞ!!


外界編62話

~グアムレストラン~

 

 

リ「ングッ!モグモグ・・・ムシャ!」

 

レミ「そんなにお腹減ってたの?

いくらなんでも食べるスピード早すぎない??」

 

 

ホテルに荷物を置きに帰る前に街のレストランで昼食を摂る事にしたのだが、リュウトの食べる量が何時も以上に多い。

テーブルに置かれている料理の6割がリュウトの注文したものだ。

身長175cmの体格で勢いよく食べて続ける姿に咲夜も呆気に取られている。

 

 

フ「どうしたの?

いつもそんな量食べないのに突然こんなに・・・」

 

リ「あれだけ大量にモグモグ・・・物運んでたからモグモグ・・・」

 

 

口に物を入れたまま忙しなくしゃべるので、見かねた咲夜がそれを注意した。

 

 

咲「リュウトさん、食べながら話すのやめてください」

 

リ「モグモグモグモグゴクンッ!!了解した」

 

レミ・フ「「速い!?」」

 

 

一瞬で口の中の食べ物を飲み込んで普通に話だす。

余りの速さについ二人は声に出してしまった。

 

 

リ「そういえばホテルにこれを置いてきてからはどうするんだ?

今度は違う所に行ってみるか?」

 

咲「そうですね・・・どうされますかお嬢様?」

 

レミ「と言われてもね・・・私もここの地理が詳しい訳じゃないし。

しいて言えば・・・そうね、あの車というのに乗って少し遠くに行ってみたいわね」

 

 

街の中を走る自動車を見つめながらそう呟く。

その願い、叶えてやろうではないか。

 

 

リ「よし、ならホテルに戻ったら乗ってみるか」

 

レミ「え?乗れるの?」

 

リ「まあな」

 

 

そうと決まれば話は早い。

リュウトはさっさと食事を済ませてホテルに戻る時間をできるだけ早くすることにした。

 

 

 

__________________

 

 

レミ「わぁ!綺麗ねぇ!」

 

リ「どうだ?来て良かったろう?」

 

 

ソレダット砦。

かつて冒険家マゼランが上陸したと言われる岬を一望できるそこは、まさしく絵画のようだと観光客に語り継がれている。

ホテルからタクシーに乗って1時間ほどかかる場所にあるが、輝く海原から吹く南風が心地よく、自動車の閉鎖的な狭さからの解放感は最高だ。

運よく天気に恵まれ、日傘を差しながら果てしない水平線を眺めながら風に白いスカートがなびかせるレミリアの姿もまた、一枚の絵画のようであった。

 

 

フ「本当に綺麗だね~、此処で弾幕ごっこ出来たら最高なんだけどなぁ」

 

咲「フラン様、それではこの景色が台無しとなってしまいますよ?」

 

フ「あ、それもそうだね」

 

 

普段幻想郷で弾幕ごっこをしていても周りが荒地になり兼ねないのに、こんな綺麗な場所でやったら忽ち美しさが無くなってしまうだろう。

それよりも、フランはリュウトに先程から気になっていたことを尋ねた。

 

 

フ「ねぇリュウト、あのボロボロの建物は何?」

 

 

フランが指刺した先には石台の朽ち果てた建物があった。

その横にはレプリカの大砲も設置されている。

ガイドブックをペラペラと見ながらリュウトはそれについての記述を述べた。

 

 

リ「・・・スペイン統治時代に作られた建物だそうだ。

スペインというのはヨーロッパ南西部にある国家だな。

一時はその国が世界を支配していた時期があったんだ。

この建物はその時の名残だな。

ソレダット砦という名前もそこから来ているらしい。」

 

フ「へぇ!ちなみにその時代ってどれくらい昔の話?」

 

リ「確か・・・大体500年ほど昔だったか?」

 

フ「なんだ、お姉ちゃんが生まれたくらいじゃない。

大したことないね」

 

リ「それは妖怪の目から見れば人間の歴史なんてそんなものさ」

 

 

しかいそうなると紅魔館は一体いつから建っているのか謎となる。

レミリアは吸血鬼の貴族出身のお嬢様だから生まれた時には既に紅魔館が存在していたかもしれない。

だとすると紅魔館は500年以上昔から存在していることとなる。

それなのに未だにあの形を維持し続けているとは、恐るべし紅魔館。

 

 

レミ「あれは私の誕生祝いで建てられたものよ。

形を保ってるのはパチェのお陰、パチェが来る前はあそこまで綺麗じゃなかったわ。

フランが暴れればあちこちがドミノ倒しみたいに壊れてたし」

 

リ「いつの間に・・・というか心の中で考えてる事が何で解るんだ?」

 

 

いつの間にか隣に現れて話しかけるのは心臓に弱いからやめてほしい。

あと、心の声は気付かぬうちに声に出てしまっていたらしい。

 

 

その後も当時を再現した建物の見学や、放し飼いとなっている水牛に餌をやったりとゆったりとした時間の流れを過ごす。

ヨーロッパの建築を再現してせいか紅魔館のデザインと似ている部分が多く、レミリア達も慣れ親しんだ感覚で観光を楽しんでいた。

 

_______________________

 

 

咲「良い所でしたわね、空気も綺麗でとても有意義な時間でしたわ」

 

フ「あんなところにもう一回行きたいね~、まだまだ知らない所がたくさんあるんだなぁ」

 

 

日も沈みかけ、砦跡からホテル周辺の街へ戻って来たリュウト達は街灯で明るく照らされたアスファルトの上を歩いていた。

まだ日は出ているが、暗くなると街の雰囲気がガラッと変わる。

若者たちがクラブで騒いだり、バーで酒を楽しんだりと一気に夜の顔を出すのだ。

 

 

レミ「全く煩いわね、さっさとホテルに戻りましょうよ」

 

リ「人間はこの膨らんだ巨大な社会を皆で支えているんだ。

だからこうしてするべき事を終えれば皆で騒いで心をスッキリさせるのさ」

 

咲「それだけ大変という事ですわ」

 

フ「その中で幸せを見つけるから人間なんだよ」

 

レミ「人間も楽じゃないわね」

 

 

宿泊先のホテルはもう目と鼻の先だ、10分も歩けば到着するだろう。

帰り道である2車線の道路の脇を歩いていると、真っ暗な脇道から何やら言い争う声が聞こえてきた。

男と女の声だがどちらも若い声だ。

気になった4人がその脇道を覗き込むと、3人程の堅の大きい男達が華奢な女性を囲み、腕を掴んで攫おうとしていた。

女性の年齢は10代後半から20前半で、男達はそれよりも上だろう。

三人組は現地の英語を話しているが、女は日本語を話している。

どうやらこの女性は、道を歩いていたら人攫いに遭ってしまってたようだ。

 

 

女「放して!警察呼ぶわよ!」

 

男「来るわけねえだろこんな場所に、それにどうやって呼ぶんだ?

お前のケータイはぶっ壊しちまったぜ?」

 

女「クっ!」

 

 

サングラスをかけた黄色いシャツを着た男は女に壊れた携帯電話を見せる。

暗くて良く見えないが、赤い髪の女はケータイを壊され助けも呼べない危険な状況らしい。

抵抗するも力が段違いで相手は微動だにしない。

向こう側の通りには大きなワゴンタイプの車が見える。

あれに乗せて遠くまで攫う気だ。

 

 

レミ「あいつら・・・少し痛い目に合わせてやろうかしら?」

 

咲「あれ?リュウトさんは?」

 

レミ「え?」

 

 

さっきまで後ろにいたリュウトが何時の間にか姿を消してしまった。

二人が後ろを振り返って何処かと探していると、フランがリュウトを見つけてあそこだと指を指した。

 

 

フ「二人とも!あれ!」

 

 

建物の塀の影からフランが指を指した先にリュウトの姿はあった。

目を離した隙に三人組の中に単独突入しているではないか。

 

 

リ「おい」

 

男2「あぁ?何だおまえ?」

 

男「はっ!ジャップかよ!

有色人種が俺達に何の用だ??」

 

 

如何にも見下しているような言動で嗤う三人。

女を連れて行こうとする男の腕を利き手で掴んで睨みつけると、相手も同じようにリュウトを睨みつけた。

だが、その表情は一瞬にして崩壊することとなった。

 

 

グググッ!

 

 

男2「うっ!ッグああああああ!?」

 

男「どうした!?」

 

リ「・・・、その女性を離せ」

 

 

ググググッ!!

 

 

右手に力を入れ、握力で男の腕をギシギシと圧迫していく。

人間を遥かに超えた超人的な筋力の前に男は苦悶の表情を露わにし、痛みに耐えれずひざまずくと女を掴んでいた左手を離した。

それを確認すると、リュウトも力を抜いて男を解放した。

 

 

バッ

 

 

男2「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、」

 

女(助かった!でも誰だろう?)

 

男3「こ、こいつ何しやがったぁ!?」

 

男「ケンポーの使い手か!?」

 

 

腕力だけで大男をねじ伏せたリュウトを只者ではないと確信した男達。

それもその筈、リュウトは神の血を引いているのだから波の人間が太刀打ち出来る筈がない。

武器を持ってきても無意味だろう。

ただそれを目の前の彼らに言って通じるわけがない。

男たちはリュウトを拳法の達人か何かと勘違いしているらしく、まだ勝機があると考えているようだ。

 

 

男「全員でかかれば絶対勝てる!

やっちまえぇ!!!」

 

リ「下がっていろ!」

 

女「はっはい!」

 

 

女性を自分の後ろへ下がらせ、先頭の男の額にデコピンをする。

あまり大きな力を使うと相手の体が吹き飛んでしまう恐れがあるからこれくらいがちょうどいいだろう。

走り向かってきていた男はただのデコピンで勢いを失い尻もちを打ってのたうち回る。

リュウトの図り知れないパワーがこれで理解出来ただろう。

 

 

男「痛っっってぇぇぇぇぇぇ!!??」

 

男3「な!なんだこいつ!?」

 

男2「ただのデコピンで人間吹き飛ばしやがった!?」

 

 

予想以上の力の差に驚愕し、足が震えている。

漸く逃げる気になったか・・・。

だがこれでもうこんな悪さもしない事だろう。

 

 

男「クッソ!逃げるぞ!

敵う相手じゃない!」

 

男2「畜生!やっぱり日本人は空手の達人ばっかだったのか!?」

 

男3「ファッキン!覚えてやがれ!」

 

 

足早にその場から立ち去り、用意していたワゴンに急いで乗り込んで逃げていく。

追いかける理由も無いのでそれを放っておくと、助けてくれてありがとうと後ろの女性が礼を言った。

 

 

女「貴方とっても強いのね!

好きになっちゃったわ!私の泊まってるホテルまで来て!

お礼をするわ!」

 

リ「悪いがその言葉だけ受け取っておく。

俺には最愛の人がいるんでな・・・って。

アンタ・・・何処かで見たことが・・・あ!」

 

 

偶然通りかかった車のライトで一瞬だけ照らされた女性の顔に見覚えがある。

記憶を遡り、似た顔の人間を探すと、答えは直ぐに出てきた。

 

 

リ「アンタまさか、岡崎夢美か!」

 

夢「あら?知らなかったの?

てっきり知ってるから助けられたのかと思ってた」

 

 

なんてことだ、まさかよりによってこのような場所で出会ってしまうとは。

科学が進歩しすぎたせいで起きた最悪の未来。

その科学をそこまで進化させてしまった張本人とも言うべき存在。

いずれこの人物は未来を絶望へと変えるだろう。

みてくれは科学者には全く見えない、ただのオシャレが好きな若い女の子といったところだろう。

 

 

リ「・・・一旦ここから離れるぞ」

 

夢「え、えぇ」

 

 

こんな暗い脇道で話すことも無いだろうと、一先ず岡崎夢美の手を引っ張り大通りに出る。

騒ぎが治まると隠れている意味も無くなった三人がひょっこり壁の影から出てくる。

脇道から出てきて明かりで照らされたレミリア達と対面すると、夢美は何かを悟ったような顔をし、不気味に笑いながら彼女たちに言った。

 

 

夢「貴方達・・・。

あぁ、なるほどね、それならあれほどの力を持っていても可笑しくないわ。

フフッ遠路はるばるこんなところまで良く来れたわね。

どう?外の世界の居心地は。

幻想の住人さんたち?」

 

リ・咲・レミ・フ「!!!」

 

 

何故幻想郷の存在を夢美が知っているのか。

そして、この女は一体何を考えているのだろうか。

この時、四人は知る由も無かった・・・。




何故教授が幻想郷の存在を知っているのか、それは次回明かす事にします。
それと夢美教授は何かそれ以外にも知っています。
それが何なのかも次回明かされます。
色々と伏線貼りましたからねー、活用しなきゃダメですよね!!

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