この人に関しては格好が全く変わってません。
妖夢はちがうけどね。ありませんか
魔法の森の上空、リュウトは竹林への近道を通っていた。
博麗神社から竹林に向かうには魔法の森を横切った方が近い。
一般人にとっては森の植物から出る瘴気は有毒なので基本は森には入らないのだが、空を飛べる者は別だ。
リ「お?アリスさん?」
森の中にぽつんとある木の生えていない開けた場所に彼女は一人座っていた。
綺麗な金髪は空から見ても目立ち、座っているだけでも絵になる。
リ「おーい、アリ・・・ん?」
何か違和感に気付く。
アリスは誰かに話かけているようで、微かだが語りかけている声が聞こえてきた。
名前を呼ぼうとしたが、ここは一旦様子を見て誰と話しているのか探ってみる事にした。
ザッ・・・ザッ・・・
ゆっくりと地面に足をつけ、気配を消して木の影に隠れ耳を澄ます。
気付かれないように後ろに回って聞いているので詳しく聞き取れないが、笑い声のようなものが聞こえたりした。
リ「周りに誰も居ない。
携帯で話をしているようにも見えないし・・・。
一体誰と話してるんだ?」
今の彼女の姿勢はいわゆる乙女座りというやつだ。
手は地面についてるし、周りに誰も居ないのにも関わらず彼女は話を続けている。
近くにあるのはせいぜい腰かけられるくらいの大きな石くらい・・・。
・・・大きな石?
リ「あの石に話しかけてるのか??」
アリスが影になって全体は見えないが、人工的に造形されているようにも見える。
もしかして墓か何かなのだろうか?
下に花が添えられているのを見ると墓らしいが、となると一体誰の墓なのだろうか。
観察を続けていると、アリスが静かに立ち上がり此方に向かってきた。
急いでリュウトは能力を使って自分の周りの光を屈折させる。
めちゃくちゃな方向に光が屈折することによって自身を透明化させた。
ア「・・・・」
ザッザッザッ
リ「・・・・・・」
無言でこちらに向かってくるアリス。
此方もそれに合わせて心拍数が徐々に上がってくる。
しかし、どうやら此方の存在に気付いたというわけではなさそうだ。
その証拠に、アリスは透明のリュウトをスルーし、森の野道を歩いて行ってしまった。
そういえばこちらの方向にはアリスの家がある事を思い出し、安堵の表情をする。
能力を解除して姿を現したリュウトは、アリスが去ったのを確認すると、その墓らしきものを近くで確認しに行った。
木々の影で日光が少し抑えられて、それらしい雰囲気が出ている。
なんとも神秘的な感覚だ。
石はその中心にひっそりと立てられていた。
やはり墓標だったようだ。
リ「なかなか綺麗にされているな・・・毎日手入れされているようだな」
その墓は新品のようにピカピカで、西洋風な墓標だった。
念入りに磨かれたそれは大事にされている何よりの証拠だ。
しかし、今までこんなところに墓があるなんて全く知らなかったが、これはいつからここにあるのだろうか。
リュウトは墓に彫られた名前を覗き込む。
そこにはこう書かれていた。
MARISA KIRISAME
BORN1990~DEAD2071
______________________
~竹林~
真昼の竹林。
いつもは風に揺らされる竹の葉の音しか聞こえない筈だが、今日は至るところで銃声のような音が聞こえる。
鈴仙・優曇華院・イナバは、竹林の中を疾走しながら各所に設置された射撃標的を的確に撃ち抜く。
彼女はこうして週に何度かこうして射撃訓練をしているのだが、見事なものだ。
ほぼすべての的が的確に中心を撃ち抜かれており、彼女の射撃の正確さが窺える。
その神業にも等しい射撃をじっと見ていたリュウトは拍手をした。
リ「流石ですね、師匠。
命中率100%、全て中心に当たっています」
鈴仙「リュウト君もここまでできるようになれば言う事無しなんだけどね~」
リ「あんなに上手くはなれませんよ・・・」
射撃があまり得意ではないリュウトは、鈴仙に痛いところを突かれて少し引っ込んでしまう。
それでもかなりの腕前なのだが。
鈴仙が100ならばリュウトは80程の確率だろう。
彼女が言うには射撃が得意になれば、戦いで無駄玉を無くして力の消費を最小限に抑えることによって、持久戦になっても相手よりも体力が持ちやすいのだとか。
元軍人なだけあって理に適った説明だ。
昔は弾幕を張って敵の行動範囲を狭めて戦う方法がポピュラーだったらしいが。
鈴仙「んじゃ、的の回収はウサギたちに任せて永遠亭に帰りましょう。
任せたわよ」
ウサギ「了解しました!」
何処からともなく現れたウサギに後片づけを頼み、二人は永遠亭へと足を向けた。
~永遠亭~
鈴仙「粗茶ですがどうぞ♪」
リ「あぁ、ありがとうございます」
鈴仙「フフッ♪どういたしまして」
客室に招かれ、革製のソファに腰かけたリュウトに緑茶を出す。
その事に礼を言うと、彼女はにっこりと微笑んだ。
客室は洋室になっていて、一人用の革製ソファが四つに、ニスの塗られた大きな長方形のテーブルが置かれている。
昔は外見と同じく和室しかなかったそうなのだが、改修工事をした際に何部屋か洋風のフローリングの部屋に変えたらしい。
テーブルに湯呑とお盆を置くと、鈴仙もソファに座る。
そこでリュウトは今朝あった出来事を思い出し、彼女に話してみた。
すると彼女は懐かしさに浸るように目を閉じ、口を開いた。
鈴仙「あぁ、懐かしいわね。
アリスはね、魔理沙と親友のような関係だったのよ、住んでる所が近くてご近所付き合いって感じかしらね?魔理沙の墓は丁度魔理沙の家があった所にたてられてるの。
だから昔、あそこには家が建ってたのよ」
リ「そうか、だからあそこだけ妙に何も無かったんですね」
鈴仙「えぇ、アリスが毎日綺麗にしているからね。
ホント、よくやるわよ、、、」
リ「アリスさん、、、、、」
師匠がその話をする時、とても悲しそうな顔をしていた。
話によると、魔理沙が死んだ時に一番悲しんだのは彼女だったのだとか。
もしかしたらあの時アリスが話かけていたのは、アリスが心の中で生み出した魔理沙の幻影なのではないか。
その時、妖夢師匠の言っていた言葉が頭をよぎる。
あなたもいつかこの気持ちが解る日が来るでしょう、神の血を引いて産まれているのですから・・・。
リュウトはその言葉を、近い未来に理解できるようになる。
それは、今から2週間後の話だった・・・。
アリスは魔理沙の墓に毎日話しかけています。
少し病んでる感を出したつもりだったんですけどあまり出ませんでしたね、しかも中途半端だし。
鈴仙は射撃の師匠です、リュウトは一人の師匠ではなく、専門分野をそれぞれ持った師匠がいるんですね。
全ては妹の手助けをするためなんですが。
未来の話だから新しいキャラとかは通常の時系列で出したいんですけど、次回登場する二人に関しては出てくれないと話が進まないので仕方なく出てもらいます。
誰でしょうね?