それとほのぼのです。
辛い過去に隠れた幸せな時って感じですかね?
岡崎夢美教授による第一次科学革命により、人間の技術は新たな進化の道へ踏み出した。
だがそれももう、150年も昔の話。
人々は宇宙まで生活範囲を広げ、地球からは一本の世界樹のような軌道エレベーターが聳え立ち、生活もさらに豊かなものになるにつれて人間同士の争いも次第になくなっていった。
全てを平等に分け合い、この世に生きる全ての者に幸福を与える。
人類は神を信じず、自らが神となった。
この世の人間全てが幸福に生きられる時代となったのだ。
時は、西暦2156年。
この時は丁度、桜が綺麗な季節だった。
~幻想郷.A.D.2156~
朝。
博麗神社からは、リズミカルな包丁の音と、味噌のいい香り漂う。
此処には博麗の巫女と、その兄が同居しており、いつも兄が朝食を早い時間から作りだす。
その間、巫女の妹は自身の部屋の布団で熟睡している。
巫女の名は、博麗響華。
兄の名は、博麗リュウト。
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リ「よし、出来た!
我ながらいい出来だ」
台所で漸く完成した料理の出来を自画自賛する。
朝の弱い響華の為に毎日朝食を作って来たおかげで料理の腕前は人並み以上になった。
輝くような白の白米、わかめの味噌汁、アユの塩焼き、どれをとっても素晴らしい出来だ。
冷めないうちにリュウトは料理を盆にのせ、居間のちゃぶ台へと並べに行った。
~響華の部屋~
女の子らしい桃色のカーテン、部屋の至るところに縫いぐるみが置かれている。
妹、博麗響華は部屋は綺麗にする方だが、性格は若干ずぼらだ。
リ「おい響華起きろ、朝だぞ。
早く顔洗って飯食えよ
今日はレミリアさんが来るんだろ?」
響「ま・・・眩しい・・・。
この世の終わりかぁ・・・」
リ「何バカみたいなこと言ってんだ、さっさと起きて飯食えよ」
響「はぁ~い」
部屋のカーテンを開け、日の光を部屋全体に入れ、毛布に包まる少女を彼は無理やり起こす。
渋々布団から出てきた彼女のパジャマはボタンを掛け違えていて、寝相が悪いのかズボンが半分ずれ落ちて白い下着が見えてしまっている。
白色の髪も寝癖が付いて所々飛び跳ねてしまってかなりだらしなかった。
そんな状態で朝はいつも社を徘徊するのだから兄として将来が心配になってしまう。
リ「はぁ、せめて大人になる頃にはどうにかならないものか・・・」
顔を洗いに洗面台へノロノロと向かうだらしない格好の妹の後ろ姿を残念そうな目で見送り、リュウトは一足先に居間へと入っていった。
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響「あー!もう食べてる!」
リ「お前がおそいからだろ?」
響「もう!少しぐらい待っててくれたっていいのに!
レミ姉にチクってやる!」
リ「勝手にしろ、100パーセントお前が悪いんだから」
プクーッと膨れながらもさっさと席に座り、戴きますとともに彼女は朝食を口に運ぶ。
何だかんだ言って、この兄妹は仲が良いのだ。
居間にはブラウン管のカラーテレビが置かれていて、外の世界のニュースが見られるようになっている。
もう随分と昔の話だが、河童の技術者たちが大量に幻想入りしてきた古いテレビを修理して幻想郷全体に普及させたそうだ。
リュウトがちゃぶ台に置かれたリモコンでテレビの電源をつけると、ちょうど朝のニュースがやっていた。
外の世界では通勤、通学の時間帯だ。
黒かった画面には光が灯り、次第に女性アナウンサーの音声と映像が流れだす。
キャスター「グリニッジ標準午後2時、太陽系外に向け、巨大探査船アルカディアが月面ドッグから発進しました。
全長4000mのこの艦船は、世界一大きい船としてギネスブックにも認定され、総勢1万人ほどの乗員と共に星の海へと旅立ちます。
この船は50年前に発見された最も地球から近い、スーパーアースと呼ばれる人類生存可能な惑星の調査に向かう為に建造され、この船の調査が良好に行われれば、近い将来、地球を離れ移住することも可能になるわけです」
響「へぇ~、こんな大きいのが動くのか~」
リ「グリニッジ午後2時ってことはこっちは10時か、俺たちは寝てるな。
ま、どちらにせよ俺たちには無縁の話さ」
響「またそうやっていうんだから、夢ってものが無いの?」
リ「外の人間が何をしようが俺たちには関係ないからな」
響「ひえぇ~」
夢の無い兄の発言を批判するかのようなリアクションだ。
さっさと食べて着替えろよ、そういうとリュウトは茶碗の白米を一気にかき込んだ。
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朝食を終えた二人。
響華は巫女服に着替え、境内の掃除を始める。
その間、皿洗いが終わったリュウトは、剣術の師匠の下へ出掛ける準備をしていた。
お気に入りのジーンズを履き、紺色のTシャツの上に一枚真っ白なシャツを羽織る。
最後に祖母からのお守りのペンダントを首にかけ玄関を出た。
祖父が他界してから、人里で両親と暮らしている元博麗の巫女だった祖母。
昔、曾祖父から御守りとして貰ったらしいが、そんな大事な物を俺に託して良いのか?と、たまに
考えてしまう。
玄関を開けると、箒を持った響華が出迎えた。
響「いってらしゃい、妖夢さんに迷惑かけちゃだめだよ?」
リ「どの口が言うんだ!ったく。
お前こそ、レミリアさんに迷惑かけんなよ」
リュウトは霊力を操り、手を振る響華を背に、白玉楼へ向け大空へと舞い上がった。
ヤバイくらい未来ですねぇ、ちなみにこの未来は、原作通りに話が進んだら訪れる未来です。
霊夢がこのまま異変を解決し続ければこの未来に行き着きます。
リュウトが過去に来てしまったからチルノが暴走したり、ルーミアが暴走したりしたのです。
ルーミアが暴走したときにリュウトが言っていた言葉、(次このような事が起こった時は)
リュウトは自分のせいで過去が変わってしまっている事に気づいていたんですね。
次回はリュウトの師匠が出てきます。
お楽しみに。