東方混迷郷   作:熊殺し

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永夜異変....長くなりそうだなぁ…頑張ろう...


永夜異変40話

~竹林~

 

 

レミ「へぇ、貴女の住んでる竹林ってここの事だったのね」

 

影「うん、そうだよ。

ここの事だったら何だって知ってるもんね」

 

 

異変解決で夜更けに外に赴いたレミリアは、竹林に入ったところで今泉影狼に再会し、事のついでで道案内を頼もうとしていた。

ちなみに言うと、お供は咲夜、それとリュウトである。

何故いきなり異変解決に出たのか、それは吸血鬼のシンボルが月だから、、、という名の気まぐれである。

自分の象徴を穢されたのだから怒るのは必然で、確かにそれもあるのだが、大体は暇つぶしの為だった。

こういった気まぐれには毎度のように咲夜が付き合わされ、そのついでと言わんばかりにリュウトまで巻き込み、おかげで二人はいい迷惑である。

 

 

リ「何でこんな夜に出かけなきゃならんのだ、霊夢たちがいるじゃないか」

 

レミ「ダメよ!月を穢すなんて私に喧嘩を売っているようなものよ!?許せないわ!!!」

 

 

かなり意気込んでいるようだが、ここにいる全員がレミリアに対して、おそらく異変を起こした側にそんな意図はないのではないかと思ってしまったことは言うまでもない。

今のレミリアに何を言っても無駄なのだろうが。

 

 

咲「あの、そろそろ出発しませんか?影狼さんが先程から待っているですが、、、、、、」

 

レミ「あら、悪かったわね」

 

影「絶対反省してない、、、」

 

 

肩を垂らしてシュンとする影浪を見て、反省していない声色で謝る。

澄ました顔をしているから余計に反省の色が見られない。

 

 

リ「まぁいいじゃないか、それよりも道案内頼むぞ」

 

影「うん、そうだね。

しっかり付いてきてね」

 

 

狼の脚力を持つ影狼は竹林の中を縦横無尽に駆け回り、三人はそれを見失わぬようその後を急いで追いかけていく。

それからしばらくして、何故か影狼が足を止めた。

 

 

レミ「どうしたの?いきなり止まりだして」

 

 

突然辺りをグルグルと回りながら見渡す影狼にレミリアは声をかけたが、影狼の顔色がおかしく、まるで道に

迷ったかのような様子だった。

結果はそのまさかだった。

 

 

影「、、、うそ、昨日はこんな場所なかったのに、、、」

 

レミ「まさか!迷ったの!?」

 

影「、、、そうみたい、、、」

 

 

影狼が迷ったという確信を持ち始めたのは、竹の生えている位置だった。

どう考えても昨日まで生えていなかった竹が生えているのだ。

これは竹が急成長したとしか考えられない。

一旦引き返して状況を立て直そうか。

皆がそう考えていた時だった。

何処からか聞いたことのある声が耳に届く。

そう遠くない場所からだ、しかも声の主は、、、

 

 

咲「!この声はアリスと魔理沙ですわ!!」

 

リ「多分俺たちと同じ状況なんだろう。

距離が遠退く前に早く追いつくぞ」

 

 

リュウトが先行して声の聞こえる方角へ飛び、続けて三人もその後をついていく。

すると早くも人影が二つ現れ、言い争いをしている魔法少女二人の姿が見えた。

 

 

ア「ちょっと魔理沙!あんたのせいで迷子じゃないの私達!どうすんのよ!異変解決どころじゃなくなっちゃったじゃない!」

 

魔「なんだと!?お前が妹紅に道案内頼もうとしたら断ったんだろうが!」

 

 

いがみ合っている二人もやはり四人と同じ境遇にあっているようで、今にも本格的に仲間割れしそうな状態だった。

二人が弾幕勝負に入る前に急いでリュウトが間に入って仲裁をする。

 

 

リ「二人ともやめろ!一旦落ち着け!」

 

魔「な!リュウト!?」

 

ア「何でここにいるの!?」

 

 

予想以上に驚いている辺り、気配で気付けないほど気が立っていたらしい。

後続の二人も到着し、一旦落ち着いたアリスと魔理沙は、今どのような状況に自分たちが陥っているのかを影狼の説明で理解し、争っている場合ではないことに気付かされた。

 

 

ア「ってことは今私達は何者かによってこの竹林の中に閉じ込められたってことかしら?」

 

影「としか考えられないよね、、、」

 

 

脱出方法を色々考えるが、一番現実的な飛んで脱出する方法も何故か結界のようなものに阻まれて失敗に終わった。

やはり方法は一つしかないようだ。

 

 

リ「元凶を探し出して倒すしかないな」

 

レミ「そうみたいね」

 

影「私のテリトリーで好き勝手する奴は許さないんだから!」

 

魔「行くしかないな」

 

咲「早く終わらせちゃいましょう、戦力は十二分にあります!」

 

 

全員の考えは一致した。

敵の本陣を見つける為、広大な敷地面積を効率よく捜索できるように手分けして探し出す。

一人が発見したらそこに全員で集まる作戦だ。

 

 

レミ「じゃあ、作戦スタートよ!もし発見しても絶対に単独で突入しない事、良いわね?」

 

咲「存じ上げております!」

 

ア「らしくなってきたじゃないの?」

 

リ「よし、行くぞ影狼」

 

影「はいな!お兄ちゃん!」

 

 

レミリア、咲夜チーム。

アリス、魔理沙チーム。

影狼、リュウトチームに分かれ、それぞれ北、西、東に進み捜索を開始した。

だが、この三チーム以外にも同じことをしている第四勢力が既に動いていた。

 

 

~竹林内部~

 

 

妖「幽々子様、どうやらこの竹林には複数のトラップが仕掛けられているようです」

 

幽「えぇ、しかも全て見たこと無い武器を使用しているようね」

 

 

此方も異変を察知して降りてきていたようで、レミリア達よりも早く竹林に入り元凶を捜索していた。

しかも先程から至る所に外敵を排除するためのトラップがよく見られるようになり、目標の存在が近付いていることを示していた。

妖夢と幽々子はそれを見極めながら進んでいくが、トラップに使われている仕掛けがどれも見たこと無いようなものばかりで、プラスチック爆弾や対人機雷など、現代兵器にもよく見られるものが主な為、引っかかったらどうなるか二人には解らない。

それが二人をさらに警戒させていたのだが、ワイヤーに触ると起動するタイプのものが多く、月の光で反射しないように仕掛けられており、正直近くまで寄らないとどこに仕掛けられているか判らなかった。

 

 

妖「いっそ弾幕を撃ってわざと起動させてみましょうか?」

 

幽「そんなことしてみなさい、これがもし敵に私たちの居場所を知らせるものだったら私達は井の中の蛙なってしまうわ」

 

妖「も、申し訳りません、、、、」

 

幽「いいわよ、冗談だってわかってるし」

 

 

だが本当はそうしてやりたいと幽々子も考えていた。

このうっとうしいワイヤーやらなんやらを全て吹き飛ばせたらどれだけいいか、とりあえずこの緊張した空気からは脱出できるだろうか?そんなことを考えてしまう程二人はこの状況にうんざりしているのだ。

この状況を早くどうにかしたい、しかしそんなことを言っていても状況は何も変わらないので、二人は辺りを警戒しつつ、少しづつ前へと進んでいく、、、、筈だった。

 

 

妖「ハッ!?幽々子様!あぶない!!」

 

幽「え?きゃあ!?」

 

 

幽々子の四方に突如として複数のアンカーワイヤーが出現し、捕らえられそうになるところをすかさず妖夢が庇う。

 

 

バシュッ!!ギリギリギリ、、、

 

 

妖「うぐっ!動けないっ!!」

 

幽「妖夢!避けて!」

 

妖「え、嘘!?」

 

 

ワイヤーが絡まって身動き出来ない妖夢に、何処から放たれたのか、ロケットランチャー弾頭が迫っていた。

 

 

幽「くっ!これしか方法が、、、」

 

 

竹の間をすり抜けて迫ってくるそれを、幽々子は弾幕をばら撒いて撃ち落とし、大きな爆発音と熱風が駆け抜ける。

その際、流れ弾等でトラップが次々と発動し、ドミノ方式で爆発が起こっていった。

 

 

幽「今の爆発で敵が出てくるわ!この固い紐を切るからじっとしてて!」

 

 

ジャキン!

 

 

幽「はぁぁっ!!」

 

 

妖夢の脇差しの刀を抜き、ワイヤーを一刀両断し、妖夢の体中に巻き付いていたワイヤーが切れた。

 

 

妖「助かりました幽々子様」

 

幽「お礼はいいのよ、それより、、、もう気付かれちゃったみたいよ」

 

妖「はい、先程から鋭い殺気を感じられます」

 

 

神経を研ぎ澄まし、妖夢は暗闇の中から投擲されたダガーを刀で弾き返す。

金属音が響き渡るだけの空間。

土を踏む足音と共に、淡い紫色の長髪をなびかせながら赤い目をした可憐な少女が現れた。

左手にはロングダガーが握られており、妖夢が叩き落したのは恐らくそのうちの一本だったのだろう。

投げられたダガーは確実に妖夢の頭を狙って投げられていて、それは妖夢に対する殺意を意味していた。

間違いなく今、二人に向けられている殺気は彼女から出ているものだ。

 

 

鈴仙「よくここまで来れたわね、結界が張ってあった筈なんだけど?」

 

妖「だとしたら随分貧弱な結界なのね」

 

鈴仙「罠には引っかかったのにね」

 

妖「ッ!」

 

 

罵声を罵声で返され、妖夢の顔が曇る。

助けた者に助けられた屈辱は、いくら主とはいえ心に来るものがあった。

あのような失態、本来ならば許されない。

妖夢は自分を鍛え上げた師匠に合わせる顔が無かった。

師匠ならば、あの状況を簡単に切り抜けられた筈、、、この失敗は妖夢がまだ半人前であることの証拠だった。

そのことを認めたくないあまりについカッとなった妖夢は、感情を露わにしてしまい、落ち着いた判断が出来なくなり始め、剣を抜いて鈴仙に向けた。

 

 

妖「黙りなさい!今すぐ首を掻っ切るわよ!」

 

鈴仙「あら?返す言葉が見つからなければ力で黙らせるの?やっぱり地上に住む者は野蛮な奴ばかりね」

 

妖「何ぃ!?」

 

幽「妖夢!落ち着きなさい!」

 

妖「ここまで言われて黙っている訳には参りません!」

 

 

幽々子の静止も聞かずに妖夢は真っすぐ鈴仙に刀を突き付けたまま特攻する、、、が、剣が鈴仙を貫くことは無かった。

妖夢の正直すぎる性格が仇となり、彼女は鈴仙の戦略にまんまと乗ってしまった。

 

 

鈴仙「どうしたの?私はまだ動いてすらいないのよ?」

 

妖「そ、、、そんな、、、」

 

鈴仙「一度ならず二度までも、、、学習能力が無いわね」

 

 

鈴仙に襲い掛かった筈の妖夢は、竹に括りつけられた何本ものワイヤーで出来た蜘蛛の巣に絡まり、身動きが出来なくなっていた。

しかも今回使われたワイヤーはいくらちぎろうとしても傷一つつかず、妖夢の刀でも切断出来ないものだった。

 

 

鈴仙「フェムトファイバー製の蜘蛛の糸はどう?斬るどころか身動きさえできなくなっていくでしょ」

 

 

もがけばもがくほど糸が体に絡みつき、徐々に体が動かなくなっていく、まるで本物の蜘蛛の糸のようだ。

ついに妖夢は、糸が肌を圧迫する痛みと、抵抗する体力さえも奪われ、宙に浮いたまま完全に動かなくなる。

 

 

鈴仙「これで一対一ね」

 

幽「そんな、、、」

 

 

絶望的な状況だった。

ここは鈴仙のテリトリー、しかも鈴仙自体の能力も不明のままで戦うのは危険だ。

だが、幽々子はそんな事を気にしていられる精神状況ではなかった。

目標はただ一つ、目の前の敵を倒して妖夢を助ける事だけ。

それ以外はもはやどうでもよかった。

たった一人の家族を助けるだけだ。

 

 

幽「妖夢、今助けるわ!!」

 

 

幽々子が扇子を広げて戦闘態勢に入ると、鈴仙も右手を銃の形に変え、幽々子に突き出すように構えた。

 

 

鈴仙「せいぜいあの子みたいにならないようにね?」

 

 

口が裂け、三日月のように笑う鈴仙。

何を企んでいるかわからない彼女の目は、何処か恐ろしい雰囲気を醸し出している。

完全に相手が有利な状況の中、幽々子は鈴仙との、アウェーの中での一騎打ちを強いられる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 




絶対戦闘シーン長くなるやつやぁ!疲れるわ!!
まぁ自分で書いたんだけど。
何か妖夢が凄い弱そうに見えますけどこれは正直な性格が裏目に出て判断力が鈍っただけです。
本当はメチャクチャ強いんです。
ホントなんです(泣)
次回は幽々子対鈴仙です!トラップはまだ隠されてるっぽいですね。
お楽しみに!!

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