今回は出番が少な目のキャラを出しました。
流石にいつも同じキャラばかりはつまらないですからね~
~白玉楼縁側~
幽「今日も涼しいわねぇ~」
妖「ええ、そうですね」
夏の暑さがあまり感じられないここ、冥界。
そこを統括する亡霊の女性。
西行寺幽々子はふと、空を見上げると、ある一つの疑問が頭に浮かんだ。
幽「ねぇ妖夢」
妖「はい?何ですか幽々子様?」」
幽「、、、世界一美味しい食べ物って何だと思う?」
妖「、、、、、はい?」
その日、事件が起きた。
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~紅魔館客室~
妖「というわけで協力してくれませんかリュウトさん!!」
リ「いやいやいやいや!何故だ!?」
座っていたチェアからテーブルに両手を突っ張って身を出す妖夢にリュウトは思いっきり突っ込んだ。
そもそも世界一美味しいものなんて定義が存在するのかどうかも怪しいのだが。
今、彼女はその無理難題を唐突に押し付けられて相当困っているらしい。
妖「お願いします!!
このまま何も見つけられなければ私はどうなるか!」
リ「う、う~む、、、」
かなり必死にリュウトを説得しつつ涙ぐむ妖夢。
こちらも咲夜と同様、主の気まぐれに頭を悩まされる苦労人のようだ。
見ていて少し可哀そうになってしまう、、、。
椅子の背もたれに身を任せつつ、腕を組んで悩んだ結果。
リ「ま、まぁそれなりの目星がついているなら、、、」
妖「本当ですか!?ありがとうございます!!」
引き受けてしまった。
たまには断ることも必要なのにどうして断らないのだろうか。
だが悲しみと恐怖に満ち溢れた妖夢のあの顔を見てしまってた断るものも断れないだろう。
リュウトは次なる面倒ごとに巻き込まれないように直ぐに行動に出ることにした。
しかしその前に、、、、。
リ「おっと、その前に咲夜に許可もらわないとな」
リュウトは咲夜の名前を大きな声で呼ぶ。
すると何処からともなくいきなり彼女は現れた。
呼び出してから掛かった時間、およそ1秒。
妖夢はその尋常じゃない速さに驚いて体がビクリと反応してしまう。
カチッ
咲「どうされました?リュウトさん」
妖「早っ!」
リ「あぁ、実はな」
~青年説明中、、、~
咲「リュウトサントフタリキリ...リュウトサントフタリキリ...リュウトサント...」
リ「お、おい、咲夜?どうしたっていうんだ?」
一通り事情を説明すると咲夜の目からは光が消え、完全に鬱状態になってしまった。
何故こんな状態になってしまったのかわからないが、今は絶望したかのように床に座り込んでブツブツと何かを呟いている。
折角呼んだのにどう呼びかけても反応がなく、話にならなくなってしまったのでどうしたものかと悩んでいると、妖夢が弱々しい声で話掛けてきた。
妖「あの、、、やっぱり私一人で、、、」
リ「ん?何故だ?」
妖「い、いや、、、(鈍感か!)」
リ「????」
寧ろ何故気付かないのか、何だか咲夜が凄く可哀想に思えてきてしまう。
彼女は色々と苦労が絶えないようだ。
そんな咲夜に妖夢はただ、心の中で謝り続けるしかなかった。
リ「それで、手伝いに行ってもいいか咲夜?」
そのリュウトの声に反応して咲夜が壊れかけのブリキ人形のように頭を左に回転させ、目をそらしながら、、、
咲「イイデスヨー、フタリデタノシンデキテクダサイ、、、」
ほぼ棒読み、しかも死んだような目でそう言った。
もう見ていられない。
いつもの咲夜の面影が何処にも感じられないその姿はもはや別人だった。
しかしどんな形であれ、許可はとれたので早速行動に出る。
その為にこの件について一番はっきりと答えを出してくれそうな紫に相談。
そして今、妖夢とリュウトがいるのは、、、。
リ「なんで大平洋、、、」
妖「うっぷ、、、何だか気持ち悪いです、、、」
紫に相談したのが間違いだったのであろうか、二人は幻想卿の外の世界に飛ばされ、何処かもよくわからない港から船で大平洋まで連れてこられていた。
何故二人がこんな事になっているのかというと、それはここに連れてこられる少し前の話になる。
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リ「おーい、紫ー、聞こえてたら出てきてくれー」
妖「紫さまー」
こういう時は紫に相談するのが一番だろうという結論に至ったリュウトは、来るかどうかわからないが取り敢えず名前を呼んでみる。
するといつも彼女が出てくる不気味な目が大量に浮いている次元のスキマが口を開いた。
紫「あらあら、珍しいじゃない?リュウト、どうしたの?」
紫は上半身だけ外に出してリュウトに問いかける。
リュウトは早めに行動するために事を簡潔に説明した。
~青年説明中~
紫「へぇ、面白そうじゃない?そういうことなら協力するわ」
リ「本当か?助かるよ」
たまには幽々子の気まぐれに付き合うのも悪くないわ、と言って紫は上を見上げてしばらく考え込む。
世界一美味しいの定義が無い為、紫も悩んでいるのだろう。
だが、紫は意外と早く答えを導き出した。
紫「いろいろ思いついたけど、、、やっぱり海の幸かしらねぇ。
幻想郷に海は無いし、幽々子も食べた事なかった筈よ」
リ「海かぁ」
妖「おぉ!流石紫様!
で?その海の幸というのはどこに行けばいいのです?」
早く獲りに行こうと急かす妖夢に紫はそっと答える。
紫「幻想郷には海が無い。
でも、、、」
紫の口元がにやりとゆがむ。
嫌な予感がしてきた。
紫「連れていく事は出来るわ♪」
その瞬間、二人の足元が消え、咄嗟に事態に二人とも成すすべなく穴へ落ちる。
ヒューーーーー、、、
妖「きゃああ!スカートが!」
リ「何?うわぁ!?」
落下時の空気の流れでスカートがめくれ上がってしまいそうになるのを必死に止めようとしている妖夢の姿は女の子らしくとても可愛らしいが、これを見ようしたら間違いなく変態の汚名を着せられる羽目になってしまう為、リュウトは急いで目線を反らした。
その後の着地はうまくいったが、足を付けたのは地上ではなく白い板の上。
周りを見渡したら視界いっぱいに広がる海があり、今自分たちがいるのが船舶の上である事を理解させた。
妖「何か揺れてません?ここ」
リ「、、、どうやら船の甲板みたいだな」
そして話は現在に戻される。
此方に来てから少々妖夢の顔がグロッキーになっているのは恐らく船酔いのせいだろう。
船に乗ったことが無いのだろうか?
それとも元々ダメなのだろうか?
よくは知らないが、船の反対側に走っていった妖夢が心配だ。
その理由として先程から微かに何かを吐く声が聞こえてくる。
船がそんなにダメだったのか、えらいところに連れてこられたものだ。
そもそも何故船がこんな場所で待機しているのかも謎だが、どうせ紫が裏から手回したというオチなのだろう。
と、そんな解釈をしているとまたまた紫がスキマを開いて姿を現した。
その両手には手には釣り竿が一本ずつ握られている。
、、、まさかとは思うがこれは、、、。
紫「じゃ!あとは頑張って好きなだけ釣ってちょうだい♪」
リ「適当か!妖夢どうすんだよ!!」
紫「頑丈だから大丈夫よ」
リ「あっちで吐きまくってるんだぞ!?」
まぁどうにかなると言って、紫は白い玉が大量に入った瓶を小さなスキマから取り出し渡してきた。
酔い止め薬という事なのだろうか。
リ「これでどうにかしろと、、、」
紫「意外と効くから大丈夫よ、夕方になれば迎えに来るし」
リ「はぁ、、、やはり面倒ごとになるのか、、、」
全然納得がいかないが、夕方には帰れるらしいので良しとした。
要はいっぱい釣って帰ってこいと言うことだ。
話は済んだと紫も帰っていき、船の上には妖夢とリュウトの二人だけ。
彼は紫から受け取った竿をまじまじと眺める。
リ「釣りなどやったこと無いのだが、、、やるしかあるまい」
妖「オロロロロ、、、」
リ「の、飲むか?」
妖「ありがとう、、、ございます」
リュウトは酔い止め瓶を妖夢にそっと渡し、妖夢はこの日、人生初の船酔いに。
リュウトは人生初の釣りを体験することとなった。
後半へ続く
多分生前は海の魚も食べたことがあると思いますが、幽々子は死んでから昔の記憶を全て無くしてるので知らなくて当然だと思います。
それにしても幽々子の気紛れには困ったものですね。