まぁ諸事情でリュウト君は正体を明かせないので仕方ないですね。
異変の首謀者、西行寺幽々子を倒し、異変を解決した霊夢は、冥界から負傷した二人を連れて出ようとしていた。
霊「二人とも、犯人も倒した事だし早くここから出るわよ、さぁ、肩貸すから捕まりなさい。
貴方にも礼を言わないとね、咲夜と魔理沙の事をありがとう」
?「礼なんかいい。
俺は戦闘にも手助けしていないんだからな」
マスク越しで顔や表情が見えないが、少し笑いぎみに言う男の声に霊夢もクスリと笑ってしまった。
緊張が解れて皆が安堵の表情を浮かべると、事件は起きた。
霊「!!!!!」
咲「!!!!!」
魔「!!!!!」
突如、背筋が凍り付くような悪寒が三人に走る。
その正体は・・・死への恐怖だった。
魔「なんだ・・・今の・・・何かとてつもなく恐ろしいプレッシャーを感じた・・・」
霊「この感じ・・・幽々子と同じだわ!!」
魔理沙は身体を抑えながら恐ろしい感覚に恐怖の表情を見せる。
そして霊夢はこの感覚が幽々子の死に誘う程度の能力に似ている事に気がついた。
咲「そんな!!!今確かに霊夢が倒したじゃない!?」
?「いや違う!!幽々子じゃない!このプレッシャーはあのでかい桜の木からだ!!」
男が示す方向を見ると、そこには禍々しい気を発しながら不気味に蠢く巨大な桜の木があった、こんな高濃度の妖気に人間が触れれば間違いなく死んでしまう。
霊夢は思い出した、幽々子に会った時の言葉を・・・。
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~40分前~
霊夢が桜並木の長い階段を進んでいくと、頂上辺りが漸くみえだした。
飛ぶスピードを上げて一気に駆け抜けると、そこには大きな和風のお屋敷があり、その向こうには立派な桜の木があった。
しかしその桜は他の桜とは違い花をつけておらず、何だか寂しい印象だった。
霊「可哀想に、あんなに立派なのに花が無いなんて、枯れてるのかしら?」
?「今から咲くのよ、優雅にね」
声がした方を見るとそこには桃色のウェーブのかかった髪の、美しい着物を着た美女がいた。
霊「あんたが異変の首謀者ね?」
幽「あら?何故そんなことがわかるの?」
霊「勘よ、それで?あんた一体何者?異変を起こした理由は?」
幽「そんなに一度に言わないでちょうだい。
私の名前は西行寺幽々子、この冥界の管理人。
それと白玉楼の主でもあるわ」
霊「冥界のねぇ・・・春を奪ったのには理由があるんでしょ?さっさと言いなさいよ。
余りにも下らない理由だったらぶっ飛ばしてやるんだから」
幽「あらあら血気盛んねぇ♪私はこの西行妖を満開にしたかったのよ。
蔵の中に古い書物を見つけてね?そこにはこう書かれていたの。
西行妖の下には何者かが封印されていて、満開になれば封印が解けてその人物が姿を現す・・・ってね」
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もしかしたらあの言葉と何か関係があるのではないか?色々な考察が頭の中を過るが、今はそんなことしているそんなことしている場合ではなかった。
?「避けろ!!!」
霊「!!」
霊夢がその言葉に反応すると、西行妖から枝の触手が勢いよく此方に迫ってきていた。
霊夢は二人を持ち上げて咄嗟に避けるが、霊夢が避ける速さよりも、触手の攻撃の方が速かった。
バシュッ!!
霊「ぐぅっ!!」
魔・咲「霊夢!!!」
霊夢のふくらはぎに触手が掠り、傷口から血が滲み出る。
しかも余りの速さに傷口は、摩擦熱で焦げた火傷の痕のようになっていた。
そのせいで一瞬怯む霊夢だったが、意地で立て直して直ぐにその場から離れる。
そして触手は男の方にも迫っていた。
?「くっ、ここで三人を死なせるわけには!!」
男には三本の触手が迫っていたが、懐から瞬時に光り輝くエネルギーの剣を出して、目にも止まらぬ速さで切り捨てたあと、自身の気合いの衝撃波ですべて吹き飛ばした。
それを見ていた霊夢は圧巻の声をあげた。
霊「凄い!あの速さで動く枝を一瞬で!!どうやらとんでもない強者だったみたいね・・・」
魔「速すぎて見えなかったぜ・・・」
魔理沙も男の実力に息を呑む。
男が戦っている所を呆気をとられながら見ていると、西行妖の触手が倒れている幽々子へと伸びている事に気がついた。
しかし、触手は妙な動きを見せていた。
なんと幽々子を掴んで持ち上げて自分の方に引き寄せているのだ。
どうやら幽々子を吸収しようとしているらしい。
男はそれに気づいて咄嗟に手を銃の形にし、強力なビームで触手を撃ち抜く。
その後男は霊夢達の方を見ながら激昂する。
男「早く冥界から逃げろ!!!人間の君達はこいつに近づけば死ぬぞ!!!」
霊「なっ!!そんなこと出来る訳ないでしょ!!」
折角異変を解決したというのに最後の最後で逃げるなど、霊夢には出来なかった。
これは博麗の巫女としての責任問題でもあるのだ。
しかし、この状況でそんなことを言っている暇はどこにもなく、魔理沙にも逃げるよう言われてしまった。
魔「霊夢・・・悔しいがここはあいつの言う通りにしよう・・・」
霊「で、でも・・・」
咲「魔理沙の言う通りよ・・・あの禍々しいオーラは危険過ぎるわ・・・」
霊「・・・わかった、ここは退くことにしましょう、でもあの木はどうするのよ?このままじゃ幻想卿にも被害が出るわよ?」
こうしている間にも西行妖の妖気はどんどん広がっていた。
早くしないと冥界全域に妖気が撒かれて手遅れになるため、男は霊夢達を急かす。
?「この化け桜は俺が何とかするから早く逃げろ!間に合わなくなるぞ!!!!」
霊「わかったわ、貴方に任せる、また会った時にゆっくり話しましょう」
?「あぁ、楽しみにしている」
霊夢は方向転換して冥界の出口へと向かう。
ふと後ろを振り返ると、西行妖と男の弾幕で上がっている土煙や、巨大な爆発が見えた。
そして霊夢は、あの人ならきっと大丈夫だと心の何処かで確信していた。
真っ直ぐの階段を道なりに戻っていくと、最初に見つけた冥界への入り口が見えてきて、一気にその中に全速力で突っ込んだ。
ビュオン!!
魔「やったぜ!幻想郷だ!!!」
霊「なんとか間に合ったわね・・・」
魔「咲夜!!戻ってこれたぜ!!・・・咲夜?」
咲「・・・・・」
魔「咲夜ぁ!!」
霊「魔理沙!!紅魔館に連れていくわ!!ここからは自分で飛んで!」
魔「わかった!!」
二人がホッと一息吐くなか、咲夜だけ反応が無く、ずっと黙ったままだった。
身体に大量の傷を負った状態で無理をしすぎたせいで、咲夜の身体はもはや限界を迎えていたのだ。
その後、咲夜は紅魔館の病室に緊急搬送され、パチュリーの緊急治療が行われた。
その時リュウトはその場には居なかった。
Stage??? Perfect CREAR
もう25話までいったので、そろそろリュウト君の正体について少しだけヒントを教えます。
まずこの春雪異変が起こることを彼は知っていた、でもいつ起こるかまでは知らなかった。
そして西行妖の過度な暴走はリュウトのせいでもある。
そして最後、リュウトが幻想郷に来た理由ですが、彼にはある目的があります。
これからもリュウト君の正体を明かすまでは能力を使ってでの戦闘は人前では避けていきます、あまり人に知られてはいけないので戦うなら単独で、相手にも口封じをします。
評価と感想待ってます!
ではさようなら