東方混迷郷   作:熊殺し

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忌まわしい記憶と共に立ち上がれ


番外異変13話後編※

リュウトは氷と雪の塊になり力無く地上に墜ちていく。

レティとチルノは何をするということもなくただ彼が無残に墜ちていくのを見ていた。

 

 

レティ「大したこと無かったわね。

最初に言った筈なのに、{私たちのフィールド}って」

 

 

レティがなぜ復活したかというと、{元々やられていなかった}からだ。

レティは回し蹴りを食らった後雪の煙幕に紛れて氷で作ったドーム状のシールドでビームを防いでいたのだ。

そしてリュウトがチルノの方に向かった後ドームから出てエネルギーを蓄積、その後自分の存在に気づいていないリュウトに隙をついてチルノと合体攻撃を仕掛けたのだ。

 

 

チ「バカね、ちゃんと止めをさしたときに確認しないからよ。

レティ、あんなのじゃまだ止めを刺したとは言えないわ、粉々にするわよ」

 

レティ「あの氷の中じゃとっくに凍死してるとは思うけど一応やっておきましょうか?」

 

 

チルノとレティはリュウトに向けててをかざすと、その間に庇うように小さな人影が入ってきた。

 

 

大「チルノちゃん!

もうやめて!!」

 

 

止めをさせまいとチルノを止めに入ってきたのはなんと大妖精だった。

さっさとリュウトの息の根を止めたいレティは、邪魔が入ったことに少し苛立ち、強めの声色でチルノに聞きだした。

 

 

レティ「また貴女の知り合い?」

 

チ「・・・大ちゃん、退いて」

 

 

その言葉に大妖精は首を横に激しく振り、抵抗の姿勢を見せた。

親友の悪行を黙って見ていられなかった彼女は、必死にチルノを説得しだす。

 

 

大「どかないよ!リュウトさんを殺そうとするなんて!

止めるに決まってるじゃん!

チルノちゃんが色んな人から嫌な目で見られて辛い思いしてきたのは私も知ってる、、、、。

でも異変なんて起こしてほしくなかった!

今のチルノちゃんの力が強すぎて私一人じゃ止めることなんて出来なくて、、、!

怖くて隠れてた。

でも・・・でもリュウトさんはチルノちゃんに優しくしてくれたじゃん!!」

 

チ「黙れ・・・・」

 

大「チルノちゃん忘れちゃったの!?

いつものチルノちゃんに戻ってよ!!」

 

チ「ダマレェェェェェ!!!!!!」

 

 

必死の抵抗も虚しく、チルノは問答無用で大妖精に向けて極太ビームを撃つ。

大妖精はそれに腰が抜けて動けなくなり死を覚悟した。

親友に殺されるなら本望かな、、、だがそれが大妖精に当たることはなかった。

そのビームはバリアのようなものに防がれたのだが、それを防いだのは・・・。

 

 

リ「大妖精、よく頑張ったな」

 

大「あ・・・あぁ・・・!」

 

 

殺されて墜落した筈のリュウトだった。

しかし、今のリュウトの姿はさっきとは別物で、髪は黒から白に、目の色も白に変わり背中には輝く四枚の羽が生え、気配が全く感じられない。

さらに羽からは光の粒子が放出され続け、その姿は神のようだった。

大妖精は口を半開きにし、驚いた表情をしている。

リュウトは大妖精の肩を優しくつかみ、微笑みながら自分に任せるように言った。

 

 

リ「あとは俺に任せてくれ」

 

大「はっはい!」

 

 

そんなリュウトの姿を見てレティは動揺を隠せなかった。

後ずさりしながら顔が引きつっているのが証拠だ。

 

 

レティ「どういうこと!?あんな力を隠していたなんて!

 

チ「あれがリュウトの本当の姿・・・」

 

リ「さぁ二人共、この姿は余り長く維持出来ないから、さっさと第2ラウンド始めるか」

 

 

そういうとリュウトは両手を広げ、二人に対峙する。

まるでお前たち二人を倒すなど容易い事だと言わんばかりに。

 

 

レティ「ッふざけるなぁぁぁ!!!」

 

 

レティは怒り、叫びながらリュウトに殴りかかる。しかし空振りしてしまう。

すると真後ろから声が聞こえてきた。

 

 

リ「そんな怒るな、これでも驚いてるんだぞ?

俺をこの姿にさせたのはこの世界に来てお前らが初めてなんだからな」

 

 

レティは恐怖した、ここまで実力差がある相手は初めてだったからだ。

その後首筋と腹部に強い衝撃と激痛が走った。

 

 

レティ「アッッガッガハッ」

 

リ「軽い力で蹴ったがそれでもかなり苦しいだろう。

お前は妖怪だからな、それで今回の件はチャラにしてやる」

 

 

バガァン!!!!!!

 

 

レティは顔を歪ませながら蹴られた部位を抑え悶絶し、そのままリュウトに腹部を蹴られどこか霧の中に消えていった。

リュウトは振り返り、チルノを睨み付ける。

 

 

リ「チルノ、頭を冷せ」

 

チ「・・・私は負けるわけにはいかないのよ。

だから・・・あんたは邪魔なのよぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

 

スペル:アイシクルフォール

 

 

チルノは氷結弾幕と巨大弾幕をリュウトに向けて撃ちまくった。

しかもいつもと違い、氷結弾幕にホーミング性がついていて避けても追いかけてくる。

しかしリュウトにそれが当たることはなかった。

 

 

ヒュンッ

 

 

チ「消えた!?あの時と同じ!後ろか!」

 

 

警戒して振り返るが、後ろには居ない。

 

 

チ「何処だぁ!!」

 

リ「こっちだ」

 

 

スペル:エネルギーパイルバンカー

 

 

リュウトはチルノの真下から突然現れ、チルノの鳩尾に拳を突き上げると同時にエネルギーを内蔵に向け撃ち込みまくる。

体が飛散するような感覚に襲われるたびにチルノは苦しそうな表情を浮かべる。

 

 

バガァン!バガァン!バガァン!バガァン!

 

 

チ「ガハッがはっガハッヴぉぇぇぇ・・・」

 

 

あまりの苦しさにチルノは胃の中のものを全て吐いてしまう。

しかしリュウトの手は止まらない。

パイルバンカーを打ち込んだあとチルノの腕をつかみ、ハンマー投げのようにぶん投げ、さらに飛ばした先に先回りして飛んできたチルノの腰部を思い切り蹴った

 

 

ドゴォッッ

 

 

チ「がぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」

 

 

痛々しい音と共にチルノの腰は逆方向に曲がり、海老ぞりになってしまった。

 

 

リ「どうだ?異変を止める気になったか?」

 

チ「あ・・・がぁ・・・」

 

 

リュウトはチルノから足を放し、苦しむチルノを見下すように見る。

 

 

リ「なんだ?もう喋れなくなったのか?」

 

チ「今の私が負ける訳、無い!!」

 

 

チルノは周りの冷気を吸収してさらに魔力を増幅させた。

もはやリュウトは手遅れだと判断し、グラディウスを取りだし力を込める。

そして・・・。

 

 

リ「チルノ・・・やはりこうするしかないのか」

 

チ「私はぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

ジャキィンッ

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

その音と共にチルノの体は真っ二つとなった。

 

 

チ「あ・・・いや・・・いゃぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

リ「・・・」

 

 

チルノの体は氷柱のように尖り、人の形を留めなくなり、氷の結晶となって断末魔と共に散っていった。

リュウトは散っていくチルノをただ見るしかなかった。

 

 

リ「,,,お前は妖精だからもし死んだとしてもまた復活することができる。今度会う時は元に戻ってくれよ」

 

大「チルノちゃん・・・」

 

リ「済まないな大妖精。

こうするしか無かったんだ。

許してくれ・・・」

 

大「いえ、これでよかったんです。

これでチルノちゃんも元に戻ると思うので」

 

リ「あぁ、そうだな。

チルノが復活したら逢いに来るよ」

 

 

体の至るところを怪我し、そのままこの場を去ろうとするリュウトを大妖精は引き留める。

 

 

大「あ、あの、凄い怪我ですが大丈夫ですか?

私の家で治療を・・・」

 

リ「怪我の事は心配するな、見た目よりもたいしたことは無いからな」

 

大「そっそうですか!良かった」

 

 

しばらく経つと、元凶がいなくなったせいか段々と白い霧が晴れ、冬の幻想卿の姿が見えるようになってきた。

 

 

リ「さて、みんな待ってるしそろそろ帰るかな」

 

大「はい、今日はありがとうございました。

あんなに酷いことしましたがチルノちゃんの事、これからもよろしくお願いします」

 

リ「当たり前だろ?じゃあな」

 

 

リュウトは元の姿に戻り紅魔館に帰った。

紅魔館につくと門番の美鈴が出迎えたがボロボロのリュウトを見て大慌てでパチュリーの所へ連れていき色々騒がしくなって休む暇もなかったリュウトであった。

 

 

 

 

二日後

 

 

__________________________________________

 

 

~大妖精の家~

 

 

チルノは一緒に暮らしている大妖精の家のベッドの上で目を覚ます。

寝起きではっきり見えないが、ベッドの周りを見渡すと。

 

 

チ「あれ?大ちゃん?」

 

 

目の前には大妖精がいた。

大妖精は涙ぐんでいるが、チルノには何故大妖精が泣いているのかわからなかった。

 

 

チ「何で大ちゃん泣いてるの?どこか痛い?」

 

大「ううん、ちょっと目に塵が入っちゃっただけだよ!おはようチルノちゃん!」

 

チ「うん!おはよう!」

 

 

それは至極当たり前な日常の始まりだったが、大妖精にとってはとても素晴らしい一日の始まりだった。

 

 

 

 

 

忌雪異変 完

 

 

 

 

 




番外異変終了です!戦闘シーンが中々上手く書けずに伝わるかどうか・・・。
とりあえずリュウトの秘密はまだ明かしません。
そしてチルノとレティ好きの皆さん本当にごめんなさい。
次回からはまた日常生活です!感想待ってます!

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