~地霊殿(半壊)~
空「あ・・・お燐」
燐「お空!本当にお空なの!?」
空「そうだけど・・・どうしたの?あと凄く体が痛いよ」
先の戦闘で半分以上が倒壊してしまった地霊殿。
燐は瓦礫に寝そべる空が目を覚ました瞬間に力強く抱きしめた。
空「うにゅ!?お燐!痛い痛い痛い!」
燐「あ、ごめん」
身体中傷だらけのケガ人が苦痛を訴えると、燐は半ば冷静になって止める。先程からの口調と言い、どうやら空の中に居る八咫烏が行っていた精神支配は治まったようだ。
胸のブローチが割れたりしていないところを見ると、八咫烏は未だに健在なのだろう。
燐「お空、能力は使える?」
空「うーん、今は使え無さそう。何だか力が全然入らないもん」
燐「そっか・・・」
内心、燐は安堵していた。あの恐ろしい力は空には有り余り過ぎている。
あんなものを本気で震えば簡単に世界を破滅させてしまうからだ。彼女は今回の騒動でそれを確信した。
出来れば八咫烏の力も捨てて欲しいのだが、それを当の本人は望まなかった。
燐「ねぇお空、もうそのブローチは外そうよ。あたいもう友達が傷つくところなんて見たくない」
空「お燐・・・」
燐「アンタは知らないだろうけど、この騒動で地獄街は大打撃を受けて死んだ奴だっているかもしれない。全部八咫烏がやったことだけど、責められるのはお空だろうよ。
そうなればどんな酷い仕打ちを受けるかわかったもんじゃない、あの力は一人が持つには大きすぎるんだよ」
空「私はそれでも手放すつもりはないよ」
燐「何でさ!」
空「だって、私が八咫烏様を手放したら誰かが悪い事に使うかもしれないじゃん」
至極単純で何も考えていないような答えに燐は激高する。しかし、彼女には彼女なりの考えがあり、この異変の真実を知った。
空「こんな大きな力は私みたいなおバカが持ってないと危ないんだよ。私にはこの力を悪い事に使おうと考える頭も無いからね!」
燐「でも・・・」
空「それにね、八咫烏様は私に言ったんだ」
彼女は、自分が精神支配を受ける直前に八咫烏から言われた言葉を、彼女なりに解釈した内容で燐に明かした。
空「お日様の神様がもうすぐ此処に来るから、その為の準備をしなきゃいけないって」
燐「それって天照大御神の事かい?」
空「うーん・・・難しい事よくわかんないけど多分そうだと思う!」
燐「どういう事なんだろ?」
さ「その件、詳しく教えてもらえる?お空?」
静かに歩み寄ってきた飼い主が、空に再び聞き直す。
というのも、さとりは彼女が口にした内容が引っかかる話を知っているからだ。
八咫烏の言葉が本当なのだとしたら、彼は本物だという事になる。
燐「さとり様、この意味が解るんですか?」
さ「思い当たる節が一つだけあるの。となると、近い将来にこれよりももっと大きな惨劇が起こる可能性があるわね」
空「うにゅ?」
二人には飼い主が何を言っているのかまるで分らなかったが、さとりは既に危機感を覚えていた。
博麗リュウトの記憶に刻まれた、百数十年後の悲劇の再来に。
地霊殿・完
これで地霊殿編は終了となります。かなり長いことやっていましたが内容がイマイチだったような。
次回からは日常編にもどります。
感想、評価待ってます!!