ご了承ください。
スペル:デルタスパーク
逆三角フォーメーションを組んだそれぞれの魔法陣からマスタースパークが発射される。
三つのマスタースパークは互いに収束し合い、渦を巻きながらその威力を向上させていった。
しかし、単純なパワーが圧倒的な勇義に対しては左程有効ではない。
勇「あらよっと」
勇義は足元にあった巨大な岩盤をひっくり返して壁のようにし、それを支えて防御する。
デルタスパークの威力ならば岩を砕くなど容易いが、彼女はただ防ぐ為だけに岩盤を利用したわけではなかった。
リ「・・・姿が消えた?」
岩盤を貫通した先に勇義の姿は無い。
妖気も抑えているらしく、気配を感じられない。
リ「何処へ消えたんだ・・・」
上へ飛んだか?と思ったのだが、上空にその影は確認できない。
次の瞬間、突然大きな地揺れがリュウト達を襲った。
リ「あまり刺激を与えると噴火しかねないが、試してみるか」
そう言うとリュウトは地面に思い切り突き、地中深くまで亀裂を入れた。
するとその中から勢いよく勇義が飛び出し、リュウトの腹部へ頭突きした。
リ「ぐほぉあ!!」
勇「さぁ、もう一発だ!」
すぐさまリュウトの背後に回った勇義は回転踵落としで彼を地面に叩きつける。
さらに彼女の連弾は続き、腰、肩、脇腹と、突きと蹴りを繰り出した。
叩きつけた衝撃で出来たクレーターはその度に直径を広げていき、見る者全てにその威力の強さを痛感させた。
咲「もう・・・見てられません!」
見かねた光景に咲夜は耐えきれず、飛び出そうとするが、彼の声がそれを止めた。
リ「心配いらない・・・まだいける」
連弾を打ち込んでくる勇義の右腕を掴み、そのまま関節を外す寝技に持ち込み、右腕関節を無理矢理外した後、上空に飛んで大玉の霊力弾を両手に抱えて突っ込んだ。
リ「はあぁ!」
重力と加速のエネルギーを加えてさらに重い一撃にする。
いや、そうでもしなければまともなダメージなど受けないだろう。
案の定、勇義は自慢のタフネスを惜しみなく披露してきた。
勇「ちょいと軽いね!」
リ「くそっ、ダメか!」
胴体に霊弾を撃ち込まれながら、塞がっていない両足でリュウトをひっくり返し、見事に脱出に成功した。
すぐさま体勢を立て直すも、今は勇義に背中を見せている状態。
達人同士の一騎打ちは隙を突かれた方が敗北するが、今はまさにその状況だ。
勇「後ろを見せたねっ!」
リ「そうはいくかよ!」
襲い掛かる拳に咄嗟にスクロール回避し、アクロバットで着地、そのまま組手の構えを取る。
妖気が溢れ出ている勇義の気配を悟るのは簡単だ、しかし鬼の中でもバケモノじみた妖力を持っている彼女は恐らくスタミナ切れを狙っていては埒が明かない。
というよりも、スタミナ切れを起こすかどうかも怪しい。
リ「手っ取り早いのは此方のフルパワーを懐に打ち込むくらいか・・・
尤もそんな隙を作るような余裕は無いんだが」
勇「お手上げかい?諦めて本気出しなよ、強がってちゃ私には勝てないよ」
正論過ぎてぐうの音も出ないが、それは今後の事を考えてもあまり宜しくない。
強力な力に頼ってばかりではいざという時に戦えない。
というわけで能力を使う案はノーだ。
リ「だが、戦術の幅を拡大するのは致し方ない」
スペル:動かない愉快な藁人形
両腕からエネルギーの鞭のような物を出し、変則的な動きで勇義を翻弄しつつ特攻する。
中途半端な打撃が通用しない彼女はこの行動に心底呆れた。
勇「パンチもキックも効かないからって鞭で攻撃するのかい?
そんな柔なモンで私を倒せると思ってるのかい!」
眼前に迫る鞭を掴んで全力で引っ張ってやろうとしたその時、握っている鞭が突然腕に絡みついてきた。
リ「自分から掴んでくれるなんて有難いな、お陰でわざわざ策を練る必要がなくなった」
勇「何だいこれは・・・?」
腕に絡み付いて鞭に疑問を持った途端、急速に妙な脱力感に見舞われた。
戦闘に差し支える程ではないが、いずれ立つことも難しくなるだろう。
勇「何だこれ!力が抜ける!!」
リ「お前の力は俺の中で光エネルギーに変換されてチャージされていく。
そうすればほぼ無制限に蓄積可能だからな、今後の戦いの為に目いっぱいチャージさせてもらう!」
物凄い勢いで妖力を吸われていく感覚が体全体に行き渡る。
まるで体自体が引っ張られているような感覚だ。
早急にこの鞭をどうにかしなければならない。
勇「こなくそぉぉぉぉぉ!!!」
リ「さ、流石にまだこれだけの力は残っていたか・・・」
彼女は片方の鞭を離し、両手でそれぞれの鞭を力ずくで引きちぎった。
もう少し怯むと思っていたリュウトは予定が狂ったことで少し焦りの汗を見せた。
吸い取ったエネルギーはこの戦闘では使えない。
リュウト自身のパワーを底上げする事は出来ないのだ。
しかし、相手が多少なりとも疲労しているのも事実であり、攻撃エネルギーの根幹である妖力を吸い取られては戦闘を行うこと自体が不可能となる。
リ「しかし流れは此方にある!!」
勇義と違い、まだまだ余力が残っているリュウトは、バテている勇義に最大出力で突っ込みラッシュの打ち合いに持ち込んだ。
彼の気迫と勢いに押されてしまった勇義は下がりながらそれをうまく受け流していくしかなかった。
戦いの年季が違うと言っても、戦術的にはリュウトの方が有利だ。
彼は勇義の手の内を全て知っているが、彼女はリュウトがどのような技を使い、どのような戦法をよく使うのか知らないのだ。
勇「私の動きを見切っているのかい!?」
リ「俺はアンタの癖や行動パターンを既に知っている、力のハンデはあっても戦術さえわかればそんな事はどうだってできるさ」
一撃一撃が重い勇義の攻撃は鬼の筋力とはいえスピードにある程度の限界がある。
それを大量の妖力を使って運動神経系の伝達速度を速め、無理矢理速度を上げていた。
しかしその恩恵をまともに受けられなくなった今、リュウトの攻撃に身体が上手く反応出来ていない。
徐々に彼女の体にはかすり傷が増えていった。
リ「どうした、付いていけていないぞ?」
勇「うるさいねぇ!どっちみちそんな柔なモンじゃ碌なダメージ受けやしないんだよ!」
しかし、どうしたものか。
このままでは打開策を見いだせないまま体力が尽きてしまう。
とはいうものの、彼女は戦術を企てて戦うような性格なので小難しい事は考えない。
ならば、自分が一番得意とする方法で一気に蹴散らすのが一番良い。
勇「はぁぁっ!」
全身から覇気と弾幕を乱射してリュウトを跳ね除けると、拳に一点集中。
勇「これ以上は町がぶっ壊れちまう、これで終いにしてやるよ」
一歩踏めば山を砕く、二歩踏めば地が割れる、三歩踏むは無敵の一撃。
初見で無事で済む者など今まで一人たりとも居なかった。
四天王奥義:三歩必殺
to be continue...
3歩必殺は初見で不可避なスペルで有名ですが、今回は弾幕ではないのでオリジナル表現にしてます。
本家が気になる方は調べて観てください。
では評価、感想お待ちしております。