東方混迷郷   作:熊殺し

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いよいよ旧地獄編です!!
久しぶりに咲夜さんには大暴れしてもらいましょう!!


地霊殿103話

~旧地獄入り口~

 

 

咲「ふぁぁ・・・とても深いですわね」

 

リ「俺もここに来るのは二度目だ。

入ったこともあるが、君の想像しているよりも倍は深いと思うぞ」

 

 

地底世界への入り口である巨大な縦穴の前に降りた二人は、その日を全く受け入れない闇の深さに圧倒されていた。

直径20m程の大きさの縦穴の深さはおよそ5㎞あり、最深部まで行くと地下都市が広がっている。

今から此処を降りるわけなのだが、リュウトは咲夜に一言聞いておきたい事があった。

 

 

リ「咲夜」

 

咲「はい、何でしょうか?」

 

リ「念のために聞いておくが、本当にそのバッグを持ったまま降りるのか?」

 

 

そう、咲夜は今、利き手にキャリーバッグを持っているのだ。

しかも並大抵の大きさではなく、軽く五日程の着替えが入りそうな大きさなのだ。

因みに色は青である。

 

 

咲「え?でもお着替えが必要ではありませんか」

 

リ「あ・・・そうだな、君は女性だもんな・・・」

 

 

そもそも着替えるという発想が無かったリュウトは、咲夜の発言に度肝を抜かれた。

 

 

 

リ「よし、一気に下まで降りるぞ」

 

咲「うくっ!、すごい風ね・・・」

 

 

下から吹き上げてくる温風が咲夜を揺らす。

穴を昇ってくるまでに冷やされた熱風だ。

旧地獄跡は既に地獄としての機能を失っているものの、尚も灼熱地獄の炎は消えていないのだ。

 

 

リ「空気が温かいのは灼熱地獄跡があるからだ。

地霊殿の前に行くまでは大した暑さじゃないから安心しろ」

 

咲「左様ですか、でも今日はスポーツブラにしておいて正解でしたわね、普通のランジェリーでは汗でべたつきそうですわ」

 

 

胸の下辺りを持ち上げながら自身の今日着けているブラジャーを突然暴露する。

それを想像してしまったリュウトは顔を真っ赤にして向こうを向いてしまった

 

 

リ「そ、そんな君の下着事情を此処で暴露しなくてもいい!」

 

咲「もう、お付き合いしているのですから良いではありませんか」

 

 

先に降下していくリュウトの後を咲夜も追って漆黒の穴の中へと突入する。

視界を確保するためにリュウトが体から放っている光のおかげで、咲夜も洞窟の形状を把握出来た。

広くなったり狭くなったりを繰り返しながら重力に身を任せる事およそ1分。

目の前にはとても地下とは思えない広さの空間、そしてそれを埋め尽くすほど多くの家屋が立ち並ぶ街があった。

空は土塊に覆われて真っ暗なのにも関わらず、街の光は人里以上の輝きを放っており、それが美しく夜空のように見えた。

 

 

咲「幻想的ですわぁ~!なんて素敵なんでしょう」

 

リ「とんでもない妖気を放つやつも居るんだぞ?

少しは緊張感というものをだな」

 

咲「分かっていますわ、でも綺麗なんですもの」

 

リ「これが女の子の君と、男である俺の考えの差というやつか。

このまま下に降りるぞ、そこからは人間が一切立ち入ることを許されない世界だ」

 

 

旧地獄街の入り口には大きな橋があり、そこを渡った先は完全なる魑魅魍魎の世界となっている。

尤も、入る前からこの世界の洗礼を受ける事となるのだが。

 

 

リ「!?咲夜、避けろぉ!!」

 

咲「え?きゃあ!?」

 

 

リュウトは何かの気配を察知し、咲夜の背中を押して退避させる。

すると、一体どこから投げられたのか、二つの鎌がブーメランのように回転しながら二人の至近距離を横切った。

もしあの場に居たとしたら咲夜は鎌の存在に気付かずに真っ二つになっていただろう。

しかし咲夜の頭の中はそれどころではなかった。

 

 

咲「ああああのリュウトさん!?!?!?」

 

リ「ん?あぁすまない、今降ろす」

 

 

俗にいうお姫様抱っこを突然された彼女は頭が真っ白になり、今にも爆発していまいそうなほど頬を真っ赤に染めていた。

降ろされた後も心臓の鼓動が治まらず、いつものクールビューティーさは微塵もなかった。

だが照れている余裕などない、この攻撃は明らかに地底妖怪の仕業である。

リュウトはこの手口に若干見覚えがあった。

 

 

リ「あの鎌・・・キスメの仕業だな。

丁度良い、姿が見えない相手との戦闘シミュレーションにはもってこいの相手だ」

 

咲「なら先にお相手してよろしいですか?

久方ぶりの弾幕なので心躍っていますの」

 

 

リュウトの前に出て、右太腿のホルスターから流れるように三本のナイフを抜くと、左手に添えた懐中時計を開いた。

 

 

咲「そうですわね・・・3分、いえ、一分ほどお待ちいただけますか?」

 

リ「一分でキスメを倒すのか?それは流石の君でも無理じゃ・・・」

 

咲「ご安心ください、時間内には絶対に終わらせますわ」

 

 

三本のナイフを片手に、暗闇の中を彷徨う妖気を探す。

実を言えば咲夜は、一撃目の攻撃を自力で避けれたはずなのだ。

リュウトが咄嗟に庇ったが、彼女は能力を使用するギリギリまで回避しないので、彼が庇わなくとも時間を止めて避けられた。

 

 

咲「気配が駄々洩れでしてよ?今度襲う時はそのバレバレな居場所も隠すために妖気を消すことをお勧めいたしますわ」

 

 

一瞬で狙いを定め、ナイフを三本同時に投げ放つ。

その瞬間、スコンっ!という刃物が何かに刺さる音と共に小さく少女の悲鳴のようなのが聞こえた。

 

 

キ「きゃん!」

 

 

カランコロン・・・・

 

 

穴の底から何かが落ちる音がした、恐らくキスメだろう。

此処までで15秒切らない程度だ。

まさに秒殺とはこのことだろう。

 

 

咲「さ、行きましょうリュウトさん♪」

 

リ「恐れ入ったよ、能力も使わずに倒してしまうとはな」

 

 

地上に降りると、そこにはナイフの刺さった桶の中で気絶している緑髪ツインテールの小さな女の子が居た。

白装束が幽霊に見えなくもないが、リュウトが言うにキスメで間違いないらしい。

とりあえず、彼女が気絶しているうちに咲夜はナイフを回収した。

 

 

咲「桶に当てただけですのに・・・あまり張り合いありませんわね」

 

リ「狂暴な妖怪ではあるが、意外と臆病なのかもしれないな。

もう橋の前だ、先へ進むぞ」

 

咲「いよいよですわね、妖気の渦が気持ち悪いほど漂っていますわ」

 

リ「此処から先は完全なる妖怪の社会だ、俺も何が起こるかわからんから気をつけろ」

 

咲「心得ております、行きましょう」

 

 

目の前に現れた大きな架け橋の向こうには繁華街が大きな道を挟んで広がっている。

そこから放たれる強烈な妖気は、二人が足を踏み入れるのを拒んでいるかのようだった。

そして、その様子を密かに見ている者も、この地底には居た・・・。

 

 

to be continue...




キスメって意外と凶暴なキャラなんですよね、二次では無口ちゃんキャラだけど人の首をカッ捌いてケタケタ笑うような感じが本来らしいですよ?
ネット情報なんで本当か知りませんがね。
怖いわぁ…。

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