~ミスティアの屋台~
霊「いや~、あんた等と飲むのも何時ぶりかしらね~」
文「でも珍しいんじゃないですか?
この面子で集まった事ってありましたっけ?」
咲「私と霊夢は一応つながり的に一緒になる事が多いけどね」
人里離れた森の中、その屋台は存在した。
ミスティアのうなぎ屋、それがこの屋台の名だ。
人の目に映らない場所でひっそりと営業しているのにも関わらず、知名度はかなり高い。
しかし、この店の店主もまた、妖怪なのである。
今日は店を貸し切って女子四人水入らずで飲み会を開いていた。
ミ「仲いいよねーあなた達。
魔理沙はしょっちゅう来るけど、大体アリスと一緒なのよね」
魔「同じ魔法の森に棲んでるもの同士だからな、自然と仲良くなるんだよ。
最近色々あって集まれなかったからってのも理由の一つだけどな」
霊「あー、あの件ね」
文「びっくりしましたよ、新聞持っていったら神社が壊れてるんですから」
前回の異変で倒壊した神社はその後、謝罪に来た天人達が総出で建て直し、家具一式も全て取り揃えてくれた。
おかげで神社は新品同然なのだが、霊夢は前の神社への思い入れが強かったため、簡単に許す気は無いらしい。
しかし、零夜が来てから彼女もかなり角が取れ、結局は神社の耐震強度を上げさせただけで目を瞑る事となった。
結婚してからかなり落ち着いた女性へと成長しつつある霊夢を咲夜は尊敬する一方、焼酎の入った徳利を片手に魔理沙はそれに突っかかった。
咲「それでも霊夢、抑えて許してあげたんだからすごいと思うわ」
魔「今までの霊夢だったら絶対奴隷とかにしてるだろうけどな」
霊「失礼ね、流石にそんな事しないわよ。
まぁ、少しの間こき使うかもしれないけど」
文「霊夢さんの今までの行いを見てるととてもその程度で済まなさそうなんですよね~」
霊「私って普段どんなイメージ持たれてるのよ」
魔「鬼巫女」
咲「めんどくさがり」
文「妖怪バスター」
霊「碌なイメージ持ってないじゃない!
あと魔理沙、あんたは後で面貸しなさい」
魔「お~、怖い怖い」
酒を飲みながら他愛もない話で盛り上がり、四人は徐々に酔っていった。
そして、五時間が経過した頃だ。
あの出来事の切っ掛けとなった話が浮上したのは・・・。
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霊「だぁーかぁーらぁーっ、幻想郷で一番強いのは零夜だって言ってるでしょ~!?
リュウトだって零夜の子孫なのよぉ?」
咲「違いますぅーっ!
リュウトさんの方が強くてかっこいいですぅーっ!」
霊「何よぉ~!」
咲「何ですかぁ~!」
酔いが回った霊夢と咲夜は、零夜かリュウト、どちらが強いかで討論を繰り広げていた。
どういった経緯で話が進んでいったのか分からないが、冷静さを失った二人の張り合いが次第にエスカレートしてしまったようだ。
両者睨み合いながら、その間には激しい火花が散っていた。
しかし、酔いが回っているのは二人だけではない。
最初に話に突っかかったのは文だった。
文「お二人とも勝手に話を進めてもらっては困りますねぇ~。
いくらリュウトさんや零夜さんでも速さで私に勝つことは出来ないんですからぁ」
霊「なぁんですってぇ!?」
咲「聞き捨てなりませんわ!!」
魔「おいおい幻想郷最速はこの私だろぉ!?
勝手に一番を名乗るんじゃねー!」
霊「あんたこと勝手な事言わないで!」
ミ「あ~あ、酒が回ったから喧嘩始めちゃった」
いがみ合う四人。
それを見かねた店主のミスティアは、とある提案をした。
ミ「じゃあさ、誰が一番速いのか競争すればいいじゃない?
どうせやるんだったらもっと大勢集めてさ」
ミスティアの提案に四人は一時的に思考が固まり・・・。
四人「「「「それだぁー!」」」」
全員が同意し、これにより第一回幻想郷最速王者決定戦が行われる事となる。
うちの男達は速さが売りのパワーアップをするんで一回こういう事をやりたかったんですよね!
幻想郷最速は一体誰なんでしょうねぇ?