東方混迷郷   作:熊殺し

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前回からかなり期間空いてしまいました。
何度も書き直してたら結構時間かかっちゃいましたよ、参ったね


緋想天90話

夜のうちに永琳の叱りを受けた響華は、早朝に起床して一人で異変解決へ出る準備を整えていた。

普段ならば布団の中から出るのでも一苦労な彼女だが、珍しくこの日だけは既に布団を畳んで押し入れに入れ終えていた。

化粧台の前に座り、鏡を見ながら髪に櫛を通す。

白く輝く長髪を赤いリボンの蝶結びでサイドテールにし、ヘアピンで前髪を止めると、曇りなき黒い瞳がはっきりと姿を現した。

 

 

響「うん、これで良しっと」

 

 

髪型のセットに満足した後は、箪笥を開けて寝間着から巫女装束へと着替える。

白い寝間着の帯を外し、柔らかい胸の乳房があられもなく晒す。

今回は戦闘中にはだけないように、サラシは何時もよりきつく巻いた。

そして、巫女服に身を包んだ彼女は棚の中から大幣を取り出し、全ての準備が完了した。

 

 

響「これを出すのもあの時以来かぁ」

 

 

最後に使ったのは永夜異変の時。

幻惑に踊らされるリュウトを止めるのに使ったのが最後。

それ以来、引き出しに入れたままとなっていた。

久しぶりに使うとなってテンションも上がり。

 

 

響「よっ、はぁぁっ!」

 

 

試し振りをしたくなってくる。

しかし、振っている場所がいけなかった。

 

 

バチィーン!!

 

 

鈴仙「痛ったぁぁぁぁ!!」

 

響「あれ?優曇華?」

 

 

何時の間にか部屋に入っていた鈴仙の顔面に直撃し、響華のフルスイングアタックを顔面に受けた鈴仙は、あまりの痛さに床をのたうち回っていた。

・・・流石に謝った方が良いだろう。

 

 

響「ちょ、大丈夫!?

ごめん私全然気付かなくて!」

 

鈴仙「う、うん。

まだ痛いけど・・・大丈夫だよ」

 

 

顔を上げた鈴仙の目は涙ぐんでおり、未だに鼻を押さえていた。

血とか出てないよね?

念のために鼻血拭いのティッシュペーパーを渡そうと箱を探そうとすると。

 

 

鈴仙「あ、鼻血は出てないからティッシュは要らないよ」

 

響「え?あぁ、うん。

まだ何も言ってないんだけど・・・まぁいいか」

 

 

行動を読まれた。

そんなことはどうだって良い事。

それよりも、鈴仙が何の用で此処に来たのかが気になる。

 

 

響「それで?こんな朝早くにどうしたの?」

 

鈴仙「実は今日起きたら天井にこんな張り紙が貼られてて・・・」

 

 

鈴仙はスカートのポケットから徐に取り出した一枚の紙を響華に渡す。

折り畳まれたそれを開くと、そこには一言だけ。

 

(異変解決に行け)

 

とだけ書かれていた。

なんという簡単で解りやすいメモだろうか。

要は異変解決に行く自分の手伝いに行けという事だ。

 

 

響「そういう事なら早速行こうか?」

 

 

_____________

 

 

~博麗神社~

 

 

響「え・・・」

 

鈴仙「何、この廃墟は・・・?」

 

 

永遠亭を出て二人は真っ先に博麗神社へと飛んだ。

しかし、到着した二人の眼前に映り込んだ光景は、先程まで想像もしていなかったものだった。

境内は無数にひび割れや灯篭が倒れ、社は跡形もなく崩れ去っていた。

自分達が来るまでに何があったのか不明だが、この程度であの二人は傷一つ負いそうにないので心配などしない。

しかし、この状況は異常だ。

 

 

響「二人は何処へ行ったんだろう?」

 

鈴仙「近くに気配を感じないとなると、何処かへ避難してるのかもしれないね。

こんな状態じゃあ住めないし」

 

 

境内だった場所へ降り、辺りを散策してみて解った。

倒壊の原因は恐らく地震であるという事だ。

建物の壊れ方から、何者かの攻撃を受けて破壊された可能性はゼロに近く、押しつぶされたように倒壊しているのだ。

 

 

響「でも地震なんて竹林では起きてないけどなぁ」

 

零「おや?

響華と、君は鈴仙か?

君が来るとは珍しいな」

 

響「あ、おじいちゃん!」

 

 

後ろから曽祖父の声が聞こえて振り返ると、なんと零夜と霊夢二人とも居るではないか。

しかし、二人とも様子がおかしい。

霊夢は魂が抜けたように無気力に零夜に肩を預け、零夜は何故か後光に包まれている。

 

 

響「というか二人ともどうしたの?

何でおじいちゃんに光が差してるの?」

 

零「それが良く分からないんだ。

一週間ほど前からずっとこの調子でな、一向に治まる気配がない」

 

鈴仙「一週間前・・・。

丁度天気の変調が各地で起き始めた頃ね」

 

 

同時期に色々な事変が重なって起こる事は可能性としてはゼロではない。

しかし、建物を壊す程の直下型地震が近隣の土地で感じられないというのは明らかにおかしい。

零夜は話を続けた。

 

 

零「地震で崩れた時、偶然外に居たから無事だったんだが。

大事な神社が壊れて心に傷を負ってしまったようなんだ」

 

霊「私の神社・・・私の神社が・・・」

 

鈴仙「うっわぁ、相当ショックだったみたいね」

 

零「あぁ、本当に何時治るのか見当もつかない」

 

 

目が死んだ霊夢に肩を貸す零夜は、付きっ切りで看病をしているそうなのだが、鬱状態の彼女をどうすれば元通りに出来るのか頭を悩ませていた。

 

 

零「心の病だから簡単には治らないだろうな。

そんなに神社に愛着があるとは思ってもいなかったから、建て直したとしても正気に戻るかどうか・・・」

 

霊「ハハ・・・ハハハ・・・」

 

響「そんなぁ・・・。

ん?でも待てよ?

私の居た時代の神社は今の神社と作りや形は同じ筈・・・。

違うところと言えば、未来の神社の方が少し綺麗な位だけど・・・」

 

 

響華は思い出した。

未来の世界の神社と今の世界の神社の形や見た目が同じなのに、何故壊れているのだろうか。

その答えは簡単だ。

 

 

響「!そうか、そういう事だったんだ!

これで辻褄が合うよ!

そして、今回の異変の犯人。

こんなことが出来るのは、あの人しかいない!」

 

鈴仙「解ったの?」

 

響「うん、今回の異変を起こす事が唯一可能な人がね」

 

 

天気を変えることが出来、地震を起こす能力を持った人物。

犯人を知っているのは響華だけだ。

その人物とは。

 

 

響「比那名居天子、天界に棲む天人だよ」

 

 

to be continue...

 

 

 

 

 

 




響華&鈴仙コンビ結成!
因みに、魔理沙は雨で家から出れなくなっているので今回は参戦しません。
何時もは絶対出てくるんだけどねぇ~

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