由比ヶ浜は、雪ノ下の傍にいてやってくれないか?
『――――
俺は、リビングのテレビから流れるニュース番組を食パンモグモグしながら黙々と視聴していた。
それは、本来他人事ではなかった筈のニュース。
渦中にいた筈の、巻き込まれていた筈の、一つの交通事故。
俺も、相模の、葉山も――そこにいなかったことにされていた。
影も形も――DNA一つさえ残さずに。
「本体は人知れず……処理……
中坊の昨夜の言葉が脳内にリフレインする。
本体――死体。
この交通事故で、本来の俺の肉体――今まで十七年間共に生きてきた筈の肉体は、人知れず処理されたそうだ。
今こうして食パンを体内に取り込んでいる体は、ガンツからの――あの黒い球体からのプレゼント。
勝手にコインを投入され、俺の意志とは無関係に行われたコンティニュー。
「……………………」
俺はテレビを消して、レンジで温めたマックスコーヒーでパサパサの食パンを流し込む。
そして、俺しかいない家から出て鍵を閉め、徒歩で学校に向かうべく、いつもより早めに登校を開始した。
バス登校をする気には、流石になれなかった。
+++
『え!? 学校に自転車置いてきた!? もっと早く言ってよ! っていうか、昨日どうやって帰ってきたのさ! 気が付いたら部屋にいるし! 小町的にポイント低い!』
小町はまるで一昔前のコントのように分かりやすくアタフタしながら、俺よりも大分早く――日直なのに、俺のチャリでにけつして行くことを当てにして余裕ぶっこいていたらしい――家を飛び出した。
食パンを口に咥えて。
……美少年転校生とフラグ建てたりしないだろうな。そうなった場合は大志に続いて絶対に許さないリストに加えなければならなくなるが……。
とにかく小町の言う通り。
俺は昨日、気が付いたら自分の部屋にいた。
昨夜、ガンツに最後に転送された後、気が付いたら自宅の自室にいた。
あの黒いスーツを身に纏い、手に学生鞄とあの丸い短銃を持った姿で。
その時点で俺は内心、あの常識外れの体験が夢ではないと半ば確信していたのだが、その後、帰りが遅くなったことへの小町への対処と、ぐったりとした体の疲れからの睡魔によって、現実から目を逸らすように、すぐさま夢の――本当の夢幻の世界へと、ベッドに身を投げ出してダイブした。
生憎、こちらの夢の方はまるで覚えていないが。本当に熟睡すると夢は見ないというから、本気で限界だったようだ。少なくとも精神は。
そんな限界体験をしながらも、こうして遅刻もせずに徒歩通学する俺マジで学生の鏡。
まぁ、今日は多少無理してでも学校には行かなくてはならない。
……そう考えると、葉山はともかく相模がサボらないか心配だ。
俺はあいつ等とLI〇Eの交換などしていないから、会議をするにも直接会わなくてはならないわけだが……。
昨日、精神的に一番参っていたは相模だろうしな。あの豆腐メンタルなら有り得るから怖い。これだからゆとりは。あれ、同い年じゃね?
そうして思考に耽っていると、どうやら大分学校に近づいてきたようだった。
いつもより早めに家を出たのだが、徒歩ということもあり結果的にはチャリで来るいつも通りの時間に着いたようだ。
今日もぞろぞろと学生達が一糸乱れず一つの校舎に向かって集まってくる。
お友達同士と固まって登校する者。
あるいは、バラバラに登校しつつも見知った者を見つけて合流する者。
または、音楽プレーヤーを耳に当てあくびを噛み締め単独で登校を果たす者(言うまでもなく俺はこのグループだ。ぼっちなのにグループとはあら不思議)。
だが、この有象無象な愛すべき同校生諸君らにとっては、今日はあくまで昨日の続きで、変わらない有り触れた日常なのだろう。
代わり映えのしない、大多数にとっては思い出にすら残らない、飽きてすらいる光景なのだろう。
今日もなんとなく、惰性で来ているに過ぎない。
ひょっとすれば、昨日告白にでも成功してリア充の仲間入りを果たし、昨日までとは世界が変わって見えているハッピー野郎もいるかもしれないが――少なくとも、俺以上に世界が変わって見えている奴はいないだろう。
まず、俺は嬉しい。柄にもなく、少し感動している。
独りで登校し、教室に辿り着いても当たり前のようにぼっちで、放課後の部室も決して居心地の良い空間とは言えない。
つまりは限りなくアウェーで、登校した瞬間から帰りたくなるような――――まさしく惰性で登校を続けていたような、この場所に。
今日も惰性で登校出来ていることが、はっきりと嬉しかった。
改めて――俺は生き残ることが出来たのだと実感する。
そして、俺は怖い。知らなくてもいいようなことを、知ってしまったからこそ恐怖する。
今朝のニュース。俺達はいなかったことになっていた。
あのバスには初めから誰も乗っていなくて、俺達の被害は、死亡は、なかったことにされていた。
その御蔭で今日もこうして何食わぬ顔で雑踏に紛れ込むことが出来ているわけだが――俺は、あのニュースを見た時、こう考えた。
もし、俺が昨日ねぎ星人に殺されていたら?
あの眼鏡やチャラ男達のように、殺されていたら、どうなっていたのだろうか。
まず、本体の方は、既に俺達がされているように、人知れず処理されているのだろう。
しかし、彼らのように、
果たして、どうなる?
行方不明扱いされるのか? いや、短期間ならそれでもいいだろうが、長期に渡ると隠蔽も難しくなってくる。
それにあの人数が――メモリーにあったあの人数が全員行方不明となれば、それはもう国が動いてもおかしくない――動いていなければ、おかしい。
それでも、少なくとも国民の大多数は違和感なく日常を過ごしている。
あんな地獄を知らずに、あんな化物を知らずに――何も知らないかのように、日常は動いている。
となると――やはり。
「…………記憶……か」
それしか考えられない。100点メニューの一番にあったように、ガンツは人の記憶を好き勝手にすることが出来る。
つまり、ガンツによるコピー体である俺達だけでなく、日常を形成している無関係な人々にすら、あの黒い球体の支配は及ぶ、と、いうことになる。
背筋が震え――ぞっとした。
いや、そもそも無関係だった――昨夜まで、昨日の今頃ですら無関係だった俺達を、日常世界の一般人だった俺達を、無理矢理に己の関係者にしたのはガンツだ。ガンツは、俺達を
そうなると、ここにいる全員が――この日常の住人全てが。
いや、ひょっとすると、世界中の人類全てが、あの黒い球体の――ガンツの、支配下に置かれているのはないか?
「……………っ」
今は『死んだ人間のみでしか遊ばない』というルールを守り、自分の情報を広めないように『首輪』を付けてまで隠蔽工作をしているから、この一見平和な日常を守れてはいるが。
もし、あのとんでもないテクノロジーを、ガンツが乱雑に振り回し始めたら?
もし、あのガンツを悪用しようと企み、それが可能な存在が現れたら?
俺は――何度考えても、どう考えても、“ガンツ”は人の身に余るものと思えてならない。
何であんなものがあるんだ? そもそも、誰が、どういう目的で作ったんだ?
ガンツとは、何なんだ?
「……………………」
気が付いたら下駄箱に到着していた。
俺は目を強く瞑り、思考を強制的にシャットダウンする。
今、そんなことを考えても仕方がない。
俺なんかがいくら無い頭を絞って考えた所で、今すぐに答えが出るとは思えない。
それよりも俺が――俺達が最優先に取り組むべきことは、次の、一回一回の『ミッション』を生き残る確率を少しでも上げることだ。その為の努力をすることだ。
やりたいことは、試したいことは、既にいくつか思いついている。
この辺のこともなるべく早くアイツと話さないと――。
「――やぁ、ヒキタニ君。おはよう」
そんなことを考えながら靴を下駄箱に仕舞い込んでいると、タイミング良く葉山が現れた。
サッカーのユニフォームだ。どうやら朝練を終えてきたらしい。
昨日の今日でよくやる、と思ったら―――顔色があまり良くはない。昨日の今日で、あまり寝れていないのか?
「ああ」
いつも通り、最低限のやり取り。
ふと、葉山の後ろを見る。どうやら集団から抜け出してきたようで、戸部達とはまだそれなりの距離がある。そのことを確認し、俺は葉山に小声で告げる。
「それで、昨日のことだが……昼休みでいいか? 場所は屋上で」
「……分かった。彼女には、俺から伝える」
誰かに聞かれることを恐れ、極力固有名詞は出さない。
すると、なんだか以心伝心しているみたいになり、海老名注意報が脳内で鳴り響いたが、全力で気付かないふりをする。俺の精神衛生の為にも。
あ、海老名さんで思いだしたが(それで思い出すのも変だが)、屋上といえばよくか……かわ……大志の姉ちゃんがいる。(け、決心して名前思い出すのを諦めたわけじゃないんだからねっ!)アイツ、最近は海老名と少し仲が良いから教室で食うことも少なくないが……事が事だ。万全を期すか。
「それとな、葉山――「お~す、隼人くん!ちょ、先に行くとはないわ~」
海老名さんに川なんとかさんを足止めするよう、葉山に頼もうかと思ったが、どうやら戸部達が追いついてしまったらしい。
俺は、そっとステルスヒッキーを発動し、何食わぬ顔で上履きを取り出し、その場を後にしようとする。
葉山が俺を呼び止めようとするが、それを目線で制する。
俺と葉山はそんな仲良くおしゃべりする関係じゃない。なるべくいつも通り、昨日通りにすることが大切だ。
……おい。周りに付き合ってることが秘密のカップルみたいとか言うな。
海老名シャワー(鼻血)が吹き荒れるだろうが。悪寒しか感じないからやめろ。
「お、ヒキタニくん、ちーす!」
すると、戸部がステルスヒッキ―をものともせず俺に挨拶(?)をしてくる。
……こいつにとっちゃ、俺は一世一代のマジ告白を邪魔した奴でしかない筈なのにな。
どうしてそんな邪気のない笑顔を向けられるんだか。
何も考えてないバカなのか? それとも全部受け入れて、それでもものともしない器の持ち主か?
「……ああ」
どっちにしろ、俺は一生ああはなれない。
羨ましくなくも、なくもなくもない。
+++
俺は流れるように誰にも気付かれずに教室に滑り込む。
もう始業ギリギリなので教室にはいつものように、幾つものグループが出来上がっていた。
窓際の席では三浦と海老名さんの間に由比ヶ浜も居る。
一瞬そちらに目が行くと、由比ヶ浜もこちらを見ていて目が合い、そして軽く微笑む。
選挙後も由比ヶ浜とは、特別に溝が出来たわけではない。
だが、それでも――俺達は奉仕部だ。あの三人としての関係、空気が万全でない以上、やはり由比ヶ浜との関係もベストとはいえない。
そして、それは俺なんかよりも遥かに雪ノ下と仲が良いアイツの方が感じている筈だ。
……アイツの為にも、どうにかしなくちゃな。
由比ヶ浜とのやりとりはそれで終わり――基本的に俺と由比ヶ浜は教室ではこんなもんだ――俺は席に移動する。
「おはよ」
ん?
今、誰に挨拶された?
俺に挨拶するような人間はこの教室には戸塚と由比ヶ浜くらいしかいない。
由比ヶ浜との挨拶(?)は済んだし、天使戸塚なら俺が声で分からない筈がないのだが……。
その声の方向に目を向けると――
――――相模南、だった。
は? 相模? あの相模が俺に朝の挨拶だと?
相模は俺の横をさっとすれ違い――すれ違いざまに小声で挨拶したようだ――そのまま自身のグループ連中の元に向かう。
俺は「お、おはよう……」とバカみたいな顔で呟く。
思わず去っていく相模の方を見てしまうが、直ぐにこのままだと「うわっ、なんかアイツこっち見てるよ~www」と相模グループの奴らに笑いものにされてしまうので――相手が相模というのが色々な面で最悪だ――直ぐに表情を戻し、自身の席に座り、イヤホンの音楽の音量を上げ、突っ伏せる。
……何やってんだ、相模。
昨日のことを誰にも悟られない為にも、ここはいつも通り無視する場面だろうに。
いや、相模もそれが分かっているからああいう形をとっんだろうな。悪いのは必要以上に動じてしまった俺か。
俺は突っ伏した腕の間からこっそりとアイツを覗く。
……やっぱり。空気を読むことに長けているアイツが見逃すはずがないか。
由比ヶ浜結衣は神妙な顔でこちらを見ていた。
+++
一限が終了後、俺はさっと教室を後にする。
別に学校をエスケープするわけでも、保健室に行ってサボタージュするわけでもない。
むしろ一限が数学だったため、寝不足も解消し今はベストコンディションだ。
俺が向かった先は、自販機。
毎度お馴染みマックスコーヒーを購入し、一息つく為だ。
俺がマッ缶の優しい甘みに身を委ねていると、予想通り――由比ヶ浜がやってきた。
「ヒッキ―」
「おう、由比ヶ浜。どうした? またジャンケンに負けたのか?」
「昼休みでもないのに、飲み物ジャンケンなんかしないよ」
特に棘の無い、穏やかな会話。
だが、由比ヶ浜の表情は、どことなく固い。
「……ねぇ、ヒッキ―」
「なんだ?」
「さがみんと、なんかあったの?」
…………やっぱり、か。
「どうして、そんなことを言うんだ?」
「いや、さっきさがみん、ヒッキーにおはようって言ってたような気がしたから。珍しいなって思って」
「……よくわかったな。どんだけ俺のこと見てんの? ストーカーなの?」
「はぁ!? べ、別に見てないし!? た、たまたまだよ、たまたま! ヒッキーキモい!」
おおっ、ちょっと返す言葉を考えるまでの繫ぎのような言葉だったんだが、そこまで必死に返されると本当じゃないかって逆に勘違いしそうになるぞ。
「……さあな。見てたんなら分かるだろう。俺も驚いてんだ。まぁ、こっちの聞き間違いかもしんねぇしな。俺にはおはようって聞こえたけど、実はなんで来てんの? って言ったのかもしれん」
「似ても似つかないよ……ってか被害妄想にしても毒強過ぎ……」
「何を言う。こんなものは雪ノ下なら挨拶代わりに……っ」
俺は失言に気付き、思わず言葉を止める。
由比ヶ浜も顔を逸らして、力無い言葉を返した。
「っ……はは、そうだね。ゆきのんならそこからもっと畳み掛けるよね。……はは」
「…………そうだな」
気不味い沈黙が支配する。
……何やってんだ俺は。それは
由比ヶ浜に気ぃ遣わせてんじゃねぇよっ……。
お互い、次の言葉を出せずにいた所に――沈黙を消すように予鈴のチャイムが鳴る。
「……行こうぜ。次は平塚先生の授業だ。遅刻したら殴られちまう」
「はは。平塚先生、ヒッキ―には容赦ないもんね~」
「まったくだ。婚活のイライラを拳に乗せやがるからな。ホント、早く誰かもらってやれよ…………なぁ、由比ヶ浜」
「ん? なぁに?」
俺は努めて――言葉に感情を篭めずに、言った。
「俺、しばらく奉仕部休むわ」
先行し、彼女に背を向けて放った言葉――彼女の歩みが止まった気配がした。
「――え」
「ちょっとな。やることが出来たんだ」
「え、や、やだよ! ヒッキ―奉仕部やめちゃう「辞めない」……え?」
由比ヶ浜の言葉にみるみる涙が混じり始める。
俺はそれを反射的に塞き止めるように、後ろを振り向き、だが顔だけは俯いたまま――彼女の顔を見ることも出来ないまま、力強く言う。
「絶対に、辞めない。俺は奉仕部を、必ず
「……ほんと? 本当に辞めたりしない?」
「……ああ。まだ、お前とハニトーも食ってないしな」
何て空っぽな言葉だ。
中身が伴わない、彼女の目を見て言うことすら出来ない滑稽な宣誓。
だが、俺は、それでも虚勢を張り続ける。
上滑りの戯言だと分かっていながら――ただ、彼女にそんな顔をして欲しくなくて。
「――――だから、泣くなよ」
「……………だってぇ」
由比ヶ浜は目から涙を零す。
怖かったのだろう。人一倍他人に気を遣い、場の空気を守ることに長けている由比ヶ浜にとっては、今の奉仕部の危うさを誰よりも敏感に感じ取っていたはずだ。
彼女にとって、奉仕部がどれだけ大事か……俺のような理性の化物でも、人の感情を理解できない怪物でも、なんとなく分かる。
……俺は、今からそんな由比ヶ浜の気持ちに、優しさにつけこむ。
我ながら最低だ。唾棄すべき所業だ。それでも、この役目を託せるのは、由比ヶ浜しかいない。
「……なぁ、由比ヶ浜」
「……なぁに?」
ぐすっと涙を啜る由比ヶ浜に―――俺は。
「由比ヶ浜は、雪ノ下の傍にいてやってくれないか?」
俺は――きっと、何よりも重いものを、背負わせた。
「………………」
「お前にも、三浦達との付き合いとか、他にやらなきゃいけないことがあるのは分かってる。……でも、それでも、俺が戻るまでの間、雪ノ下を一人にしないでやって欲しいんだ」
今の雪ノ下と、あの空間で、二人だけで過ごす。
彼女に、あの他人を寄せ付けない、仮面を被った態度で接せられる。
雪ノ下の事を本当に大事に思っている、由比ヶ浜には相当な苦痛の筈だ。
だが、それでも今の雪ノ下を一人にしてはいけない気がする。
これ以上、雪ノ下に
その場所から逃げ出すとも取られる行動をしようとしている俺に、こんなこと言えた義理ではないことは分かっている。
だけど、それでも、由比ヶ浜なら。
そう期待してしまう。そう押し付けてしまう。
……何やってんだ、俺は。懲りない、本当に成長しないな。小町にごみいちゃんと言われるのもしょうがない。
「うん! 任せて! ゆきのんは、絶対あたしが一人にしないよ!」
由比ヶ浜は、涙で潤んだ瞳を嬉しそうに輝かせ、キラキラと笑った。
その綺麗な笑顔は、思わず息を呑むぐらい魅力的で。
……本当に、すごい奴だよ。お前は。
「ねぇ! その用事が終わったら、今度こそハニトー食べに行こ! ゆきのんも連れて三人で!」
「……まぁ、行けたら行くよ」
「それ行く気がない人が言うセリフだよね!?」
でも、そのハニトーはさぞかし美味いんだろうな。
結局、授業には間に合わず――由比ヶ浜が泣いたことを隠す為に化粧し直すのを待っていた――平塚先生には授業後に魂の一撃を頂いた。
その上、三浦には由比ヶ浜を泣かせた嫌疑をかけられ――獄炎の女王の目は誤魔化せなかった――そのまま校舎裏に呼び出された。やっぱ怖ぇよ、アイツ……。
こうして、比企谷八幡は一時、日常に帰還する。