ハリー・ポッターと虹の女神   作:セバスチャン

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Page11.束の間の夢を見て

 土曜日の夜遅く、ハリーは急に目が覚めた。寝ぼけ眼で枕元に置いた懐中時計を手に取ると、パチンと蓋を開け、文字盤を見る――深夜の一時だ。午前中に行われたクィディッチの試合は、ハリーがスニッチを掴んでグリフィンドールの勝利に終わり、その夜眠くなるまで談話室で祝勝会が行われた。きっとその興奮で起きてしまったに違いない。ルームメイトはみな寝静まっている。ハリーは懐中時計を枕の脇に放り、起き出して窓の景色を眺めた。ビロードのような黒い空に、銀色の星々が浮かんでいる。

 

 ――ふと、窓枠に縁どられた美しい夜空を、大きな鳥のようなものが、スッと飛び去って行った。あれは何だろう?もっとよく見ようと、窓硝子に額を押し当てて目を凝らした時、ふと背後から小さくすすり泣く声がして、ハリーは思わず飛び上がった。反射的に後ろを振り返り、ハリーはびっくりして叫んだ。

 

「ドビー!」

 

 そこには、ドビーが立っていた。今年の夏休み中、ハリーをあの手この手で散々苦しめた、あの屋敷しもべ妖精のドビーだ。幸いな事に、祝勝会で余程騒ぎ疲れたのか、ロンたちはこの騒ぎに気づかずに深い眠りについたままだ。ハリーは周囲を見渡して安堵のため息を零すと、改めて目の前のドビーを見つめた。彼はテニスボールのように大きな目から大粒の涙を滴らせ、こちらを悲しげに見つめている。

 

「ハリー・ポッターは、学校に戻ってきてしまった」

 

 ドビーは打ちひしがれたように呟くと、包帯だらけの両手をぎゅっと握り締めた。

 

「ドビーめが、ハリー・ポッターに何べんも何べんも警告したのに。ああ、なぜ、あなた様はドビーめの申し上げたことをお聞き入れにならなかったのですか?汽車に乗り遅れた時、なぜお戻りにならなかったのですか?」

 

 ハリーの意識が急ブレーキを掛けた。”汽車に乗り遅れた時”?ドビーはあの時、その場にいなかったのに何故その事を知っているんだ?ハリーにとって、”危険だからホグワーツに戻っては駄目!”の一点張りで、その理由を教えてくれもせず、ダーズリー家でひたすらに自分を追いつめ続けたドビーは、もはや『疫病神』以外の何者でもなかった。ハリーは警戒しながら、ゆっくりと口を開いた。

 

「なぜここに来たんだい?それに、どうして僕が汽車に乗り遅れた事を知ってるの?」

 

 ドビーは、ハリーの問いに答えずに、唇を震わせた。ハリーは突然、もしやと思い当たった。――自分とロンの時だけ、柵を通り抜けられなかったなんて、可笑しいと思っていたのだ。ドビーは魔法を使え、理由は知らないが、”ハリーを守るため”ならどんな強硬な手段も取ってみせるやつだ。

 

「もしかして、あれは君だったの?」ハリーは冷静な口調で尋ねた。

「僕たちがあの柵を通れないようにしたのは」

「その通りでございます」

 

 ハリーの推理は的中した。ドビーは大きな耳をパタパタとはためかせ、何度も頷いたのだ。”その通りでございます”じゃないだろう!その屈託のない様子に、ハリーは心の中から怒りのマグマが沸々と湧いて来るのを感じたが、今朝のクィディッチでのスニッチを掴んだ栄光の瞬間を思い出し、何とか気持ちを落ち着かせる。ハリーが胸に手を当てて深呼吸をしている間にも、ドビーは甲高い声で話を続ける。

 

「ドビーめは、隠れてハリー・ポッターを待ち構えておりました。そして汽車への入口を塞ぎました。ですから、ドビーは後で自分の手にアイロンをかけなければなりませんでした」

 

 そう言うと、ドビーは包帯だらけの両手をハリーに見せた。

 

「しかし、ドビーはそんなこと気にもしませんでした。これでハリー・ポッターは安全だと思ったからでございます。

 しかし、しかし・・・」

 

 ドビーは声を詰まらせると、両手で顔を覆い、悲劇的な声で呻いた。

 

「ハリー・ポッターは、別の方法で学校へ行ってしまった!」

「君のせいで、ロンも僕も退校処分になるところだったんだぞ!」

 

 ハリーはついにカッとなって、声を荒げてしまった。ロンが「いいぞ、ハリー。スニッチはそこだ」等と寝言を呟きながら寝返りを打ったのを見て、ハリーは、はたと思いついた。――そうだ、ロンも起こそう。しかし、彼の寝ているベッドに近づこうとした時、ドビーが鋭い悲鳴を上げた。

 

「いけません、ハリー・ポッター!ドビーは”あなた様だけに”警告しにまいりました」

 

 つまり、自分以外の人間に姿を見られたら、どこかへ行ってしまうという事か。もしくは、またもや迷惑極まりない魔法の強行手段を取られるか。もし後者だった場合、親友を危険な目に遭わせる事は出来ない。ハリーの歩みは止まり、代わりに大きなため息が零れた。ドビーはホッとしたように弱々しく微笑むと、自分が着ている汚らしい枕カバーの端で、鼻をかんだ。その様子が余りにも哀れで、ハリーは思わず憐憫の眼差しでドビーを見つめた。

 

「ドビー。どうしてそんなものを着ているの?」

 

 ドビーは枕カバーを摘まんで見せると、これは”隷従の証”なのだと悲しげに告げた。屋敷しもべ妖精は、特定の魔法使いを主人とし、主人やその家族に仕えている証として、その家にある”布”を身に付ける。そして、主人から衣服を与えられる事で、奴隷の身から解き放たれ、自由になれるのだと続けた。ドビーは再び枕カバーで鼻をかむと、出し抜けにこう言い放った。

 

「ハリー・ポッターは、どうしても家に帰らなければならない。次なる案をドビーめは考え、そして閃きました。・・・ドビーのブラッジャーでそうさせることができると」

 

 ハリーは心臓が大きくドクンと脈打つのを感じた。――今朝の、あの狂ったブラッジャー。何とか軽傷で済んだから良かったものの、一歩間違えれば大怪我、もっと運が悪ければ死ぬところだったかもしれない。その時の恐怖や緊張感がひしひしと全身に蘇って来て、ハリーはドビーを憎々しげに睨み付けた。

 

「君のブラッジャー?一体どういう意味?君が、ブラッジャーで僕を殺そうとしたの?」

「殺すのではありません!めっそうもない!」

 

 ドビーは驚愕の余り、ただでさえ大きな目玉をこれ以上無い位に見開いた。

 

「ドビーは、ただただ、ハリー・ポッターの命をお助けしたい、それだけなのでございます!ここに留まるより、大怪我をして家に送り返される方がいいのでございます!」

 

 ハリーはドビーから視線を外さないまま、一歩彼に詰め寄った。

 

「ドビー。僕が、家でどんな扱いを受けているのか、君は見た筈だ。一体なぜ、君は僕をそうまでして家に送り返したいのか、話せないの?」

「ああ、ハリー・ポッターがおわかりくださればいいのに!あなた様が、わたくし共のように、魔法界の卑しいクズのようなものにとって、どんなに大切なお方なのか、わかってくださっていれば!」

 

 ドビーは咽び泣いた。幾筋もの涙が、長い尖がった鼻を伝って、枕カバーに染みを作る。ドビーは時折声を詰まらせながらも、ハリーがヴォルデモート卿を打ち倒した事で、今まで害虫のように扱われていた屋敷しもべ妖精たちの暗い生活に、大きな希望の光が差したのだと訴えた。

 

「あなた様は、わたくし共にとりまして、希望の道標なのでございます。・・・それなのに、ホグワーツで恐ろしいことが起きようとしている。もう起こっているのかもしれません。”歴史が繰り返されようとしている”のです。またしても”秘密の部屋”が開かれ・・・」

 

 そこでドビーはハッと恐怖で凍り付いたように動きを止め、ハリーのベッドまで小走りで近づくと、脇机にあった空の水差しを掴み、ハリーが止めようとする前に、自分の頭を凄まじい力でぶった。

 

「”秘密の部屋”は本当にあるんだね、ドビー。以前にも、部屋は開かれた事があるんだね。教えてよ!」

 

 ハリーは、ドビーの水差しを持つ手を掴み、尋ねた。”秘密の部屋”の事をドビーは知っている。彼の言う”危険”とはその部屋の事を言っているのだと、ハリーはようやく合点がいった。”スリザリンの継承者”は、ミセス・ノリスを石にして、壁に文字を書いたあの日から、一向に新たな動きを見せていない。ハリーの聞いた”不気味な声”も、その日以降、ついぞ聞いた覚えがない。”ハリーがスリザリンの継承者か?”等という、不名誉極まりない生徒たちの噂も落ち着き始めた今頃になって、なぜ、ドビーがそうまでしてハリーを本物の”スリザリンの継承者”から守りたいのか、ハリーは理解する事が出来なかった。それに、疑問は一つだけじゃない。ハリーは再び口を開いた。

 

「だけど、僕はマグル出身じゃないのに、その部屋がどうして僕にとって危険だと言うの?」

「ああ、どうぞもう聞かないでくださいまし。哀れなドビーにもうお尋ねにならないで」

 

 ドビーは激しく首を横に振りながら、口ごもった。

 

「闇の罠がここに仕掛けられています。それが起こる時、ハリー・ポッターはここにいてはいけないのです。帰って、危険すぎます」

「ドビー、一体誰が部屋を開いたの?以前に開いたのは誰だったの?」

 

 途端にドビーの顔は、恐怖一色に染まった。彼の体も極寒の地にいるかのように、ぶるぶると大きく震え始める。その尋常ではない位に怯えた彼の様子は、ハリーに言い様のない不安感を呼び寄せた。

 

 ――もしかして、ミセス・ノリス事件は序章に過ぎず――本当の事件は、これから起こるのでは?そうだとすれば――ハリーの頭にふと、ハーマイオニーの姿が浮かんだ――”マグル生まれ”の彼女の身が危ない。

 

「ドビーには言えません、言えないのでございます。お願いです、家に帰って」

「僕はどこにも帰らない!」ハリーは怒りに任せ、鋭く言い放った。

 

「僕の親友の一人は”マグル生まれ”だ。ドビー、頼むから、本当の事を教えてくれ。もし”部屋”が本当に開かれたのなら、彼女が真っ先に狙われる」

「ハリー・ポッターは、友達のために自分の命を危険にさらす!」

 

 ドビーは水差しを取り落とし、悲劇のヒーローでも見るかのような目でハリーを見上げながら、呻いた。

 

「なんと気高い!なんと勇敢な!でも、ハリー・ポッターはまず自分を助けなければ・・・」

 

 ドビーは突然、ピタリと全ての動きを止めた。

 

「”友達のために、自分の命を危険にさらす”・・・」とドビーは先程言った自分の言葉を、茫然と繰り返す。

「そうだ。僕は友達のために、”部屋”を開いた犯人を暴きたいんだ、ドビー」

 

 絶望に歪んだドビーの大きな口から、金属をすり合わせたような、耳障りな悲鳴が漏れた。それは徐々に――サイレンのように大きくなり、聞く者を訳もなくゾッとさせるような響きをもって、短い間、部屋中にこだました。

 

「ハリー・ポッターは”友達のために命をかける”!ドビーは言ってはいけなかった!ドビーは言ってはいけなかった!」

「ドビー、静かにして!みんなが起きちゃう!」

 

 ハリーが思わずドビーの肩を掴んで揺さぶると、ドビーは咽び泣きながら、囁くようにこう言った。

 

「ああ、ハリー・ポッター、なんてお可哀そうな方!”真実”をお知りになったら、あなた様はどんなにお嘆きになるでしょう!」

 

 ”真実”って何?ハリーが尋ねようとした途端、不意にパチッと音を立ててドビーの姿が掻き消え、ハリーの手は空をかいた。

 

「にゃにごとだい?」

 

 先程のドビーサイレンが堪えたのか、ついにロンが起き出して、寝ぼけ眼をこすりながら、神妙な表情を浮かべるハリーを見つめていた。

 

 

 翌朝、大広間で朝食を取りながら、イリスはハーマイオニーと一緒にハリーから事の顛末を聞いた。あの謎の屋敷しもべ妖精ドビーが、再びハリーの目の前に現れたと言うのだ。

 

「決定だな」とロンは目玉焼きをペロリと一口で平らげながら、自信満々に言い放った。

 

「ズバリ、マルフォイが”スリザリンの継承者”だってことさ」

 

 トラウマを不意打ちで穿り返されたイリスは、飲んでいたかぼちゃジュースを盛大に吹き出した。

 

「マルフォイが?貴方、本気で言ってるの?」ハーマイオニーは疑わし気だ。

 

本気(マジ)本気(マジ)大本気(おおマジ)さ」ロンは意気込んだ。

「そのドビーってやつは、マルフォイ家の屋敷しもべ妖精に違いないよ。

 部屋は過去にも開けられた事があるって、そいつが言ってたんだろ?きっとルシウス・マルフォイが学生時代に部屋を開けたんだ。間違いないね。

 それで、我らが親愛なるドラコに開け方を教えたと」

「ウーン・・・」

 

 ハーマイオニーは、食事の手を止めて考え込み始めた。その様子は、ロンの話の内容よりも――何か”別の事”を考えているように見えた。

 

「唸ってる場合じゃないぜ、ハーマイオニー!あいつの家系を見てくれよ。あの家系は全部スリザリン出身だ。

 あいつ、いつもそれを自慢しているじゃないか。あいつらならスリザリンの末裔だっておかしくない。あいつの父親もどこからどう見ても、悪玉だよ」

 

 うんうん、と自分の名推理に頷くロンを見て、ハリーはチラッと向かいに座るイリスを見つめた。

 

「ねえ、イリス。君がマルフォイ家にいた時、本当にあいつら、何か怪しげな事を言ったり、したりしてなかったかい?」

 

 イリスはまるで渋柿を食べた時のように、露骨に顔をしかめた。――マルフォイ家の事は、もうイリスにとって”心の奥深くに封印した、輝かしくも辛く悲しい思い出”だったのだ。イリスは無表情でゆっくりと言った。

 

「・・・そうだね。呪いのコインを送られたり、手紙を妨害されたり、拉致られた他は、何も怪しげな事を言ったり、したりしてはなかったよ」

「ワーオ。君もついにブリティッシュジョークを言えるようになったか。ジャパニーズ卒業だな」

 

 しかめっ面でロンと握手をするイリスを見ながら、「悪かったよ、ゴメン」とハリーが気まずそうに謝った。

 

「でも、僕もマルフォイが怪しいと思う。・・・あいつ、壁の文字を見た時、様子が変だったんだ。”マグル生まれ”じゃないはずなのに、腰を抜かしてへたり込んでた(・・・・・・・・・・・・・)

 おかしいと思わないかい?スリザリン崇拝者のあいつなら、逆に大手を振って自慢するはずだ。きっと犯人じゃなくても、”何かを知っている”に違いないよ」

 

 最もなハリーの意見に、三人は黙り込んだ。

 

「そうね。その可能性は否定できないわ」とハーマイオニー。

「でも、どうやってあいつに聞き出す?」ハリーが聞いた。

 

 ハーマイオニーはワッフルを切り分けていたナイフとフォークを皿に置くと、腕組みをして、真剣な表情で三人を見据えた。

 

「方法がない事はないわ。もちろん、難しいの。それに危険だわ。どういう方法かというとね――」

 

 彼女は用心深く周囲を見渡しながら、声量を落とし、囁くように言った。

 

「――私たちが、スリザリンの談話室に入り込んで、マルフォイに正体を気づかれずに、いくつか質問する事なのよ」

「そんなことできるもんか!」ハリーとロンの声がハミングした。

 

 イリスはハーマイオニーの言葉の意味を少し考えて、合点がいったように「あ!」と声を上げた。

 

「ポリジュース薬?」

「本当に賢くなったわね、イリス。大正解よ」

 

 ハーマイオニーは嬉しそうに顔を綻ばせると、イリスの頭を撫でた。

 

「それ、何?」ハリーとロンの声が再びハミングした。

 

「ほら、数週間前、スネイプ先生が授業で話してたでしょ」

 

 ――と、イリスは言ったものの、ハリーとロンの顔が”スネイプ”の単語を聞いた途端、苦虫を噛み潰したように歪んだのを見るや、諦めて薬の解説のみに専念する事にした。

 

「ポリジュース薬っていうのは、自分以外の誰かに変身できる薬だよ」

「私たちで、スリザリンの誰かにそれぞれ変身するの。誰も私たちの正体を知らないから、マルフォイはきっと何でも話してくれるわ」

 

 知的な好奇心で瞳を輝かせながら、ハーマイオニーは続きを話す。

 

「もし元に戻れなくて、僕らが永久にスリザリンの誰か四人のままだったらどうする?」ロンは眉をひそめた。

「大丈夫だよ、ロン。しばらくすると効き目は切れるの」

 

 イリスはロンを宥めるように言いながら、浮かない表情で考えを巡らせた。――きっとドラコは、”スリザリンの継承者”ではない。イリスは信じたかった。彼は臆病だし、怪物を引き連れてミセス・ノリスを石化するなんて、そんな残酷な事を出来る訳がない。イリスは目を閉じて、自分に言い聞かせた。

 

 ――スリザリン生に変身して、ドラコに会う。これは、”真実”を解き明かすための、大切な行為なんだ。部屋の事を知っているかもしれないドラコに会うのは、”必然”なんだ。だから――だから、また会えて嬉しいなんて、思っちゃダメ。しかしイリスは、次第に高鳴っていく心臓の音を抑える事が出来なかった。

 

 『もう、ドラコとの事は終わったんだ。スッパリ諦めなきゃ。だって、”友達と思った事はない”って言われたでしょ?』イリスの理性が咎めるように言うと、イリスの本心がニヤニヤ笑いながら、耳元でこう囁き掛けた。『でも、クィディッチの試合では目を合わせてくれたし、貴方の言葉にも答えてくれた。それに、試合後は何か言い掛けてたよ?貴方と仲直りしたいんじゃない?』

 

 たとえ自分だと気づかれなくても、もし、もう一度、話しかけ、笑いかけてくれるのなら。――不満そうにため息を零す理性を押しのけて、イリスの本心が笑った。

 

「むしろ、材料を手に入れる方がとても難しいの。『最も強力な魔法薬』という本にそれが書いてあるって、スネイプがそう言ってたわ。その本、きっと図書室の『禁書』の棚にある筈だわ」

 

 ぼんやりとするイリスを横目に、三人は深刻な表情で互いを見やった。『禁書』の本を持ち出す方法はたった一つ、”先生のサイン入りの許可証を貰う事”だった。

 

 

 四人の心配の種であった”許可証”は、主にハリーとハーマイオニーの奮闘により、ロックハートから与えられた。「闇の魔術に対する防衛術」の授業中、ハリーがロックハートの著書に登場する”狼男”の名演技で、彼のご機嫌を上げ、就業のベルが鳴った後、ハーマイオニーが言葉巧みに(・・・・・)ロックハートにお願いしたら、彼は拍子抜けする位にあっさりと許可証にサインをしてくれたのだ。

 

 かくして四人は、手に入れた『最も強力な魔法薬』を手に、ハーマイオニーお勧めの「嘆きのマートル」というゴーストが住む「故障中」のトイレへ向かった。――奇しくもそこは、”壁の文字”の近くに位置していた。

 

「でもハーミー。前、ハーミーは”ここは危ないから入っちゃダメ”って」

「だからこそ、よ。イリス」ハーマイオニーはにっこり笑った。

 

「まともな神経の人は、こんなところへなんか来ないわ。だから、私たちのプライバシーが保障されるってわけ」

「わたしのプライバシーは侵害されるけどね!」

 

 怒りに震えるマートルの半透明の顔が、四人のすぐ目の前にあった。――どうやら、話を盗み聞きされていたらしい。ハーマイオニーは引き攣った笑みを浮かべながら、果敢にも「こんにちは、マートル」と挨拶した。

 

 マートルはそれには答えず、絹を引き裂くような悲鳴を上げ、天井近くまで飛び上がった。そのままの勢いで一番奥の個室へ吸い込まれるように消えると、激しい水飛沫を上げると共に、絶望的なすすり泣きが聞こえ始める。

 

 謝りに行こうとするイリスを押しとどめ(ハーマイオニーが気まずそうな顔をしながら、「謝ったら余計にややこしい事になるわ」と言い聞かせた)、四人は適当な個室へ入り、鍵を掛けた。――マートルは悲しみに泣き喚く事のみに集中しており、彼女の縄張りに侵入した四人に興味を示そうともしない。

 

「あったわ」

 

 ハーマイオニーが、興奮した面持ちで”ポリジュース薬”という題のついたページを指差す。そこには他人に変身していく途中のイラストがあった。挿絵の人の表情が苦痛に歪んでおり、ハリーの顔に明らかな不安が映し出された。彼の不安をよそに、ハーマイオニーとイリスは”調合方法”や”材料のリスト”の欄を見て、楽しそうにお喋りをしている。

 

「こんなに複雑な魔法薬は、初めてお目にかかるわ」

「でも、意外に材料は、普通のものが多いね。――クサカゲロウ、ヒル、満月草とニワヤナギは、生徒用の棚にあるもの」

「ウワーッ、見てよ、イリス!二角獣の角の粉末と毒ツルヘビの皮の千切り、だなんて。どこで手に入れたらいいのか、わからないわ」

「あー、たぶんそれは・・・先生用の保管倉庫にあるんじゃない?私、時々補習でそこに入るけど、あそこは本当に何でも揃ってるよ」

「きっとそうよね。ハア、前途多難だわ。あとは・・・”変身したい相手の一部”」

「何だって?」

 

 ロンが聞き捨てならないとばかりに、鋭く聞いた。

 

「どういう意味?僕、クラッブの足の爪なんか入ってたら、絶対飲まないからね」

「爪が嫌だったら、髪の毛一本とかでも十分なんだよ、ロン」イリスは優しくロンに言い聞かせた。

「いや、一部の”種類”の問題じゃないよ、イリス。髪でも爪でも、あいつの体の一部を飲むのがイヤなんだ!」

 

 ロンの魂の叫びを聞かなかった事にして、二人は話を続ける。ハリーは心配そうに口を開いた。

 

「ねえ、ハーマイオニー。どんなに色々盗まなきゃいけないか、わかってる?スネイプの個人用の倉庫に盗みに入るなんて、前途多難どころじゃない。きっと上手く行かない気がするよ」

 

 ハーマイオニーは本をピシャッと閉め、ハリーとロンをひと睨みした。

 

「そう。二人共怖気づいて止めるって言うなら、結構よ。イリスと二人でやるから。

 私だって規則を破りたくないわ。でも、”マグル生まれ”の者を脅迫するなんて、ややこしい魔法薬を密造するより、ずーっと悪い事だと思わない?」

「君から規則を破れっていうなんて、僕ぁ思いもよらなかったよ」とロン。

「でも、作るのにどれくらいかかるんだい?」

 

 ハリーが尋ねると、ハーマイオニーは再び本を開いた。

 

「そうね。満月草は満月の時に摘まなきゃならないし、クサカゲロウは二十一日間煎じる必要があるし・・・材料が全てすぐに手に入ったとしても、最短で一カ月はかかるわね」

「一カ月だって!あいつがいつ再始動するかわからないって時に、そんなにかかるのかい?」

 

 ロンが思わず仰天して叫ぶと、ハーマイオニーのご機嫌が露骨に悪くなった。ロンは彼女のご機嫌を回復させるために、イリスに目をやった。

 

「そうだ。イリス。君が、ポリなんとか薬のもっと効率のいい作り方ってのをスネイプに教えてもらうってのはどうだい?今度の補習かなんかでさ」

 

 イリスは深いため息をつき、呆れたような表情でロンを見上げた。

 

「無理に決まってるじゃん。・・・あのさぁ、スネイプ先生の地雷を踏まないために、私が日々、どんなに心を砕いているか。ロンは知らないから、そんな簡単に言えるんだよ。

 ・・・ほら、去年の授業を覚えてる?」

 

 

 それは、去年の冬頃の授業の時だった。事前に補習でいつも正しい作り方を学んでいるイリスは、その日も神経を張り詰め、万全の態勢で授業に臨んでいた。一段落ついて少し休憩をしようとした時、ふと、隣のテーブルに着いているネビルが、間違ったやり方をしているのに気付いた。イリスが親切心から、近づいて間違っている事を教えていた時、他の生徒達の様子を見ていたスネイプがゆっくりと近づいて来た。

 

「君は随分と賢くなった。不出来な者のために、自ら講釈を垂れるとは」

 

 スネイプは取ってつけたような微笑みを浮かべ、腕組みをして、凍り付いたように自身を仰ぎ見るイリスを見つめた。

 

「では、もう吾輩の補習授業など必要ないと、自分一人で全ての魔法薬を完璧に調合できると、そう仰りたいわけだな?」

 

 確認するように言うスネイプに、イリスは慌てて首を横に振った。スネイプの補習授業は確かに恐怖と緊張の極みにあるが、イリスは彼の教授あればこそ、今まで苦手だった魔法薬を好きになり、ネビルの調合に助言を与える事ができるまでに成長したのだ。しかし、その事をうまく伝えるには、イリスは口下手過ぎたし、スネイプは怖すぎた。

 

「い、いいえ、先生。出過ぎた真似をしてすみませ・・・」

「グリフィンドール十点減点」

 

 イリスの発言にかぶせるようにして、スネイプは不機嫌そうに冷たくそう言い放つと、マントを翻し別のテーブルへ向かった。隣でネビルが震えながら「ごめん」と何度も繰り返していた。

 

 

 また季節は過ぎ、今度は春頃の授業の時だった。イリスは完璧な手順で薬を作り上げ、クラス中で一番に、教卓に座るスネイプに持って行った。スネイプはフラスコを取り上げると、目を細め、じっと中身を見つめた。――会心の出来だ。きっとこれは、スネイプ先生に「よく出来た」と頭を撫でてもらえちゃったりなんかして。イリスはあらぬ想像をしながら、わくわくして彼の言葉を待った。

 

「ゴーント。どうやってこれを作った?」

 

 しかし、返って来たのは如何にも不機嫌そうな声だった。イリスは狼狽した。”どうやって”と言われても、教科書通りに完璧に作った筈だ。――”教科書通り”。イリスはハッとなった。その様子を見透かしたように、スネイプは冷笑しながら言った。

 

「先日の吾輩の忠告を無視し、”教科書通り”にヨモギを乾煎りしたな?・・・軽薄な薬だ、中身がない。グリフィンドール五点減点」

 

 

「・・・とまあ、こんな感じなわけですよ」

 

 イリスは肩を竦めて見せた。

 

「狂ってるぜ。マーリンの髭!”教科書通り”に作って減点なんて!」ロンは憤慨して息巻いた。

「僕なんか、教科書通りにすら作れた事もないのにさ!」

「威張る事じゃないわ、ロン。・・・以前から思ってたんだけど、もう”補習”というより、”個人教授”よね。完全に」ハーマイオニーはため息をついた。

「スネイプの本当の”お気に入り”はきっと、マルフォイじゃなくて貴方なんじゃないかしら。学期末の”忘れ薬”事件然り、よ」

「やめてくれよ、イリスがあんな変態野郎の”お気に入り”だなんて。心底ゾッとするね」ロンが毒づく。

「イリス。本当に、あいつに変な事、されてないかい?マクゴナガル先生に相談した方がいいんじゃないか?」

 

 ハリーに真剣な表情で問われ、イリスは慌ててかぶりを振った。

 

「先生はそんなことしないよ。それに私、先生のこと尊敬してるし、先生のおかげで魔法薬を好きになれたんだもん。きっと学期末の試験も、何か考えがあったんだよ。

 私が言いたいのは、そんな緊迫した状態なのに、「先生、ポリジュース薬の手っ取り早い作り方を教えてください!」なんて聞いたらどうなると思う?ってこと。ま、きっとこんな感じだね」

 

 イリスは眉をしかめ、口角を下げ、腕組みをすると、低い声音で冷たく言い放った。

 

「なぜ、ポリジュース薬などに興味を持つ?二年の魔法薬すら完璧に作れない君が?補習内容と関連のない下らぬ質問をした罰として、グリフィンドール十点減点」

 

 その物真似が余りに似ていたので、三人は(つられてイリスも)爆笑してしまった。死への空想を邪魔され、怒り狂ったマートルが天井から水をぶちまけるまで、四人はしばらく笑いを止める事ができなかった。

 

 

 その日の夜、図書室で自習を終えた後、ハーマイオニーはイリスたちの待つグリフィンドール塔へ向かって歩みを進めていた。ふと廊下の先で小さな人だかりを見つけ、興味をそそられ近づくと、フレッドとジョージが露店を開いていた。二人は床の上にカーペットを広げ、商品らしき羊皮紙をいくつか並べている。やがてフレッドの方が、人垣の間からハーマイオニーを見つけ、屈託のない笑顔を浮かべた。

 

「ハーマイオニー嬢!ありがとよ!君のおかげでひと稼ぎできた」

「何の事?」

 

 ハーマイオニーが尋ねると、フレッドはしたり顔で羊皮紙を一枚取り上げると、彼女に手渡した。ハーマイオニーはそれをマジマジと見て、眉をひそめた。――それは、一日単位の学生向けのスケジュール表だった。しかも、どことなく、以前自分がイリスにあげたものと雰囲気が似ている。

 

「一年生向けに、俺らが作ったのさ」フレッドが悪戯っぽくウインクして見せた。

「イリスに最近の成績爆上がりの秘密を聞いたら、”君のスケジュール表のおかげだ”って言うじゃないか」ジョージが笑う。

「一儲けの神託だな。あれは。ガリオンの匂いがプンプンしたね」とフレッド。

「頼み込んでイリスにスケジュール表をチラ見させてもらって、それを参考に作って・・・そして、これさ」

 

 ジョージは、帽子いっぱいに入った硬貨の山を自慢げに見せた。

 

「いやー、スリザリンの怪物避けのグッズが、肝心のやっこさんが動かないもんで、鳴かず飛ばずの売り上げでな。助かったぜ。ありがとさん」

「馬鹿みたい!貴方達の金儲けに私たちを巻き込まないで。私、行くわ」

 

 ハーマイオニーは呆れたようにため息を零し、その場を足早に立ち去った。どうやら、”落ちこぼれ”のイリスが成績を上げ始めたのは、”秀才”ハーマイオニーの教授(とスケジュール表)のおかげだと、巷で噂になっているらしい。

 

 ――それは違うわ。私のおかげじゃない。ハーマイオニーは、一人唇を噛み締めた。

 

 何故なら、イリスは、彼女が教えたのとは”また違うアプローチ方法”で、めきめきと成長しているからだ。誰よりも彼女のそばで共に勉学に励んでいるハーマイオニーには、それが悔しい程、手に取るように理解できた。――まるでハーマイオニーを差し置いて、誰か別の人が、イリスに勉強を教えているようだった。しかし、気になって何度かイリスに尋ねたが、彼女は「ハーマイオニーのおかげだよ」と言うだけだった。実際、イリスはハーマイオニーのスケジュール表に従って行動し、ずっと彼女と一緒にいる。誰か他の人と会っている気配は、全くないのだ。

 

 イリスの不審な点は、他にもある。成績が上がり始めると同時に、彼女の体調は崩れ始めた。新学期の初め頃は、何故かやたらとトイレに行きたがったが、最近はそれがない代わりに、時々――誰もいない空間をじっと見つめ、親しい友人に出会った時の様に、ニコッと笑い掛けたりする事があった。ハーマイオニーはゾッとして「どうしたの?」と尋ねるのだが、決まって、イリスは慌てた調子で「何でもない」と繰り返すばかりなのだ。

 

 イリス。今まで、貴方は何でも私に話してくれたわ。ハーマイオニーは、心の中で大切な親友に語り掛けた。でも、今は違う。貴方は何かを隠している。

 

 ぐるぐると、ハーマイオニーの頭の中で、無数の情報が錯綜する。最初に感じた異変は、談話室で聞いたイリスの歌声。その後、様子を見に行ったイリスのローブには、小さな鳥の羽がくっ付いていた。その翌日、偶然通り掛かったハグリッドから雄鶏が何者かによって殺された事を聞いた。――急に上がり始めた彼女の成績。彼女の一連の不審な行動。一向に、本調子に戻らない彼女の体調。

 

 ――それだけではない。ハーマイオニーは、ミセス・ノリス事件の翌日、ある情報をネビルから得たのだった。

 

『あの時、君たちがダンブルドアに連れられた後なんだけどね。マルフォイが、ひどく慌てた様子でイリスの居場所を聞いてきたんだ。僕、思わず、”医務室にいる”って言っちゃって。

 追いかけようとしたんだけど、クラッブとゴイルに邪魔されて、行けなかったんだ。ねえ、イリス、大丈夫だったかな?』

 

 マルフォイは、確実に”何か”を知っている。ハーマイオニーは確信した。そして恐らく、彼の父であるルシウス・マルフォイの手によって彼女が攫われた事も、関係しているのに違いない。

 

 ねえ、イリス。貴方は――”秘密の部屋”に関わっているの?ハーマイオニーは三人にこそ告げていないが、何としてでもポリジュース薬を使ってマルフォイから情報を引き出すために、一人決意を固めた。

 

 

 それから一週間後、四人が玄関ホールを歩いていると、掲示板前にちょっとした人だかりが出来ていた。同じ寮生であるシェーマス・フィネガンとディーン・トーマスが、興奮した様子で、四人を手招きする。

 

「『決闘クラブ』を始めるんだって!」とシェーマス。

「今夜が第一回目だ。決闘の練習なら悪くないな。近々役に立つかも」とディーン。

 

 ロンは興味津々で、掲示を覗き込んだ。彼に続こうとしたイリスは、いきなり後ろから手を強く引っ張られた。体勢を崩して仰向けに転びそうになりながらも、イリスは何とか踏ん張り通し、振り向いた。

 

「あんた、ドラコの何なのよ?」

 

 手の主は、イリスの恋敵――パンジー・パーキンソンだった。いつもツンと冷たく澄ましている筈のその目は、今は燃えたぎる嫉妬と怒りでギラギラしている。

 

「私、見たんだから。あんたが、クィディッチの試合の時、彼に”色目”を使ってるの」

「”色目”なんか、使ってない」

 

 イリスは掴まれたままの手を振り払うと、憤然と言い返した。

 

「へーえ?」パンジーは蔑んだような笑みを浮かべた。

「じゃあ、あんたは彼の事が好きじゃないのね?私がドラコの”ガールフレンド”になってもいいってわけ?」

 

 嫉妬したイリスが思わず睨み付けると、パンジーは心底愉快そうに笑った。

 

「やっぱりね!あんた、彼の事が好きなんだ!彼に嫌われてるくせに!

 ・・・ねえ、私も彼の事が好きなの。だから勝負しましょう?”彼を賭けて”」

 

 パンジーは芝居がかった調子で言うと、『決闘クラブ』の掲示を指差した。

 

「今夜の『決闘クラブ』で、私はあんたを決闘相手に指名するわ。これでもし、あんたが私に勝ったら、私はもう彼に手出しはしない。いくらでも不毛な片思いを続けてればいいわ。

 でも、私があんたに勝ったら・・・」

 

 パンジーはグイとイリスの顔に自分の顔を寄せ、吐き捨てた。

 

「もう二度と、彼に話しかけないで!」

 

 

 イリスは、パンジーの姿が見えなくなるまで、彼女を睨み続けていた。パンジーの目論見など見え透いている。――『決闘クラブ』で、イリスに呪いをかけ、晒し者にするつもりなのだ。ドラコにイリスの情けない姿を見せ、彼を失望させる算段なのだろう。負けるもんか。イリスは両手を握り締めた。たとえ、彼に私の思いが通じなくたって、構わない――イリスは悲壮な決意を固めた――あんな意地悪なやつを、ドラコのガールフレンドにさせるわけにいかないんだ。

 

 リドルの教授のおかげで、成績を順調に上げ続けたイリスは、自分に”自信”を持てるようになった。リドルは、彼女の成績だけでなく、その心身をも著しく成長させてみせたのだ。一年生の時こそ、いつも自信なさげにおどおどとしていたイリスだが、今は、その瞳は勇気と自尊心に満ち、立ち姿は凛としている。そこにはもう、かつて”落ちこぼれ”と笑われた”泣き虫イリス”の面影は、微塵も見当たらなかった。彼女は祈るように両手を組み、秘密の友・リドルに心の中で語り掛けた。――リドル。見守ってて。

 

「イリス。心配する事はない。十分の事を、僕は君に教えた筈だよ」

 

 彼女の心の声に呼応するようにして、ふとリドルの優しげな声がした。イリスは周囲を見渡したけれど、彼の姿はどこにも見えなかった。




もう、文字数は数えない事にした( ;∀;)
話が進まないよ~。秘密の部屋編、書く事多すぎてややこいよ~(;O;)
早くアズカバン編に行きたい…。次こそ、リドル祭りにするぞ!

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