「それで、どこで戦闘は起こってるんだ?」
愉快な仲間たちとジョギングしながら、先導する兎に質問する。
「はい、現在最大の激戦区となっているのは、この先の市街地、北都です」
「被害状況はどうなってるの?」
「東西南北、四つある都市が攻撃を受けています。負傷者多数、建物にも相当な被害があります」
「なんでだだっ広いとこに誘導しなかったのよ」
紫の愚痴に兎は苦い顔をして、
「もちろん尽力しましたが……あまりにも数が多くて捌ききれていないのです」
「戦闘部隊をもってしても?」
「すでに前線にでております。しかし……劣性です」
「そこまでの相手とはね」
「これは燃えますね~。私の力のだしどころではありませんか」
ほとんどのスペルを自在に操れるさとりにとっては、数だけ多い敵なんてなんてことないのだろう。……さとり?
「お前いつからここにいた?」
「無意識を操る程度の能力ですから」
「あっ、そう……」
「優斗さんは準備できてます?」
「もうとっくに。おまえこそスペルの準備はすんでるか?」
「奇跡を起こせと言われたらいつでも」
軽口をたたき合う位の余裕はありそうだ。
そんなこんなで、中央都市と北都をつなげるパイプを走っていると、だんだん前の喧騒が大きくなっていく。少しずつ近づいてきている。
「敵、来ます!」
突如兎が大声を張り上げた。さすがの索敵能力だ。
前方を注視すると、黒い影が3つ飛来してくる。その形はドラえもんのように2等身で、全体的にまるまるしていた。身長は……50センチぐらいだろうか。全身黒だが、目のところだけ白抜きになっている。
間違いない、こいつが俺をさんざん苦しめてきた式神の正体だ。
「攻撃、来ます!」
兎が叫んだ瞬間、どす黒い大玉が無数に飛んできた。
「みなさん、よけてください!」
「あら、そんな必要ないわよ? ――『二重結界』」
紫が手を一なぎすると、永夜抄のスペカのような紫と青の結界が俺たちを包み込んだ。もちろん、放たれた弾幕は結界の前に姿を消す。
「ふっふーん、そんなの効かないわよ!」
「ほら、ガッツポーズしてないでさっさと行くぞ」
結界を展開したまま、前進する。この中にいればまず被弾することは無いだろう。
「北都の中心部に入ります! 全方向から攻撃が飛んでくることが予想されます!」
「だってさ、どうするみんな」
体を反転させ、後ろ向きで走りながらすばやく声をかける。
「さっさと決めましょう」
「そうね、先手必勝!」
「魔理沙さんのスペカで吹っ飛ばします!」
「私もやるよ!」
やる気満々の声を聞き、俺も体の底から力が湧いてくる。
「敵、さらに飛来! ――うっ、先ほどとは比べ物にならない……」
兎が絶句する。市街地に出た瞬間、100体はいるであろう式神があたりを囲んだ。
「すみません、この式神しか敵はいないんですか?」
それを見たさとりが質問する。
「え? ――ま、まあ今のところは」
「そうですか、だったら……」
「「楽勝ですね(ね)」」
さとりと紫の声が重なる。2人だけでなく映姫もさとりもすでにスペルカードを出して臨戦態勢だ。
「楽勝って……相手は私たちの部隊と互角に渡り合う実力ですよ⁉ そんなすぐには……」
兎が逆死亡フラグを立ててくれた。
ほぼ同時に、5人の助っ人が声を上げる。
「罪符『彷徨える大罪』」
「魍魎『二重黒死蝶』」
「魔砲『ファイナルスパーク』のぜ?」
「スペルじゃないけど、えいっ!」
「じゃあ俺もやろうか……呪符『ストロードールカミカゼ』。吹き飛ばせ」
さあ、殲滅戦だ。
第七十五話でした。ウサギガニゲテルッ!(言いたかっただけ)
先週忙しくて投稿できませんでした。すみません。
サグメさんをもっと活躍させたいですね。(←これからの展開をまだ考えてないともいう)
では!