東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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第七十五話 突入開始

「それで、どこで戦闘は起こってるんだ?」

 

 愉快な仲間たちとジョギングしながら、先導する兎に質問する。

 

「はい、現在最大の激戦区となっているのは、この先の市街地、北都です」

 

「被害状況はどうなってるの?」

 

「東西南北、四つある都市が攻撃を受けています。負傷者多数、建物にも相当な被害があります」

 

「なんでだだっ広いとこに誘導しなかったのよ」

 

 紫の愚痴に兎は苦い顔をして、

 

「もちろん尽力しましたが……あまりにも数が多くて捌ききれていないのです」

 

「戦闘部隊をもってしても?」

 

「すでに前線にでております。しかし……劣性です」

 

「そこまでの相手とはね」

 

「これは燃えますね~。私の力のだしどころではありませんか」

 

 ほとんどのスペルを自在に操れるさとりにとっては、数だけ多い敵なんてなんてことないのだろう。……さとり?

 

「お前いつからここにいた?」

 

「無意識を操る程度の能力ですから」

 

「あっ、そう……」

 

「優斗さんは準備できてます?」

 

「もうとっくに。おまえこそスペルの準備はすんでるか?」

 

「奇跡を起こせと言われたらいつでも」

 

 軽口をたたき合う位の余裕はありそうだ。

 

 そんなこんなで、中央都市と北都をつなげるパイプを走っていると、だんだん前の喧騒が大きくなっていく。少しずつ近づいてきている。

 

「敵、来ます!」

 

 突如兎が大声を張り上げた。さすがの索敵能力だ。

 

 前方を注視すると、黒い影が3つ飛来してくる。その形はドラえもんのように2等身で、全体的にまるまるしていた。身長は……50センチぐらいだろうか。全身黒だが、目のところだけ白抜きになっている。

 

 間違いない、こいつが俺をさんざん苦しめてきた式神の正体だ。

 

「攻撃、来ます!」

 

 兎が叫んだ瞬間、どす黒い大玉が無数に飛んできた。

 

「みなさん、よけてください!」

 

「あら、そんな必要ないわよ? ――『二重結界』」

 

 紫が手を一なぎすると、永夜抄のスペカのような紫と青の結界が俺たちを包み込んだ。もちろん、放たれた弾幕は結界の前に姿を消す。

 

「ふっふーん、そんなの効かないわよ!」

 

「ほら、ガッツポーズしてないでさっさと行くぞ」

 

 結界を展開したまま、前進する。この中にいればまず被弾することは無いだろう。

 

「北都の中心部に入ります! 全方向から攻撃が飛んでくることが予想されます!」

 

「だってさ、どうするみんな」

 

 体を反転させ、後ろ向きで走りながらすばやく声をかける。

 

「さっさと決めましょう」

 

「そうね、先手必勝!」

 

「魔理沙さんのスペカで吹っ飛ばします!」

 

「私もやるよ!」

 

 やる気満々の声を聞き、俺も体の底から力が湧いてくる。

 

「敵、さらに飛来! ――うっ、先ほどとは比べ物にならない……」

 

 兎が絶句する。市街地に出た瞬間、100体はいるであろう式神があたりを囲んだ。

 

「すみません、この式神しか敵はいないんですか?」

 

 それを見たさとりが質問する。

 

「え? ――ま、まあ今のところは」

 

「そうですか、だったら……」

 

「「楽勝ですね(ね)」」

 

 さとりと紫の声が重なる。2人だけでなく映姫もさとりもすでにスペルカードを出して臨戦態勢だ。

 

「楽勝って……相手は私たちの部隊と互角に渡り合う実力ですよ⁉ そんなすぐには……」

 

 兎が逆死亡フラグを立ててくれた。

 

 ほぼ同時に、5人の助っ人が声を上げる。

 

「罪符『彷徨える大罪』」

 

「魍魎『二重黒死蝶』」

 

「魔砲『ファイナルスパーク』のぜ?」

 

「スペルじゃないけど、えいっ!」

 

「じゃあ俺もやろうか……呪符『ストロードールカミカゼ』。吹き飛ばせ」

 

 さあ、殲滅戦だ。

 




第七十五話でした。ウサギガニゲテルッ!(言いたかっただけ)

先週忙しくて投稿できませんでした。すみません。

サグメさんをもっと活躍させたいですね。(←これからの展開をまだ考えてないともいう)

では!

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