東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

28 / 96
第二十八話 優斗VS葉

 湖の前へとやってきた俺たち。空は雲一つない快晴でそよ風も吹いていて、絶好の弾幕ごっこ日和だった。

 

「んじゃいくぜ!」

 

 葉が得意げな表情で元気に叫ぶ。そういえば俺もサシで弾幕ごっこしたことって無いな。最初は感覚つかんでいかなきゃな。

 

「おう、いつでもこい」

 

 葉の声に呼応しながらぐっと、パソコンを体の近くに持っていった。よし、こっちも準備完了だ。

 

「さあ~始まりました。葉と優斗の弾幕ごっこです!審判&実況は私、射命丸文が務めさせていただきます!」

 

 さすがは幻想郷最速、文がいつの間にか来ていた。今の今まで気づかなかったぞ。メモ帳を持っているということは新聞に書くつもりなんだろう。こりゃますます頑張らないとな。

 

「まずは小手調べだ。怪符『テーブルターニング』」

 

 まずはレティの強めのスぺカで様子見……ってダメじゃん。葉って炎使うんだから。

 

「よっし、じゃあ行くぞ!」

 

 嬉々とした表情で葉が出したのはオレンジ色の粒弾と小弾。それに俺のスペカはみるみるかき消されていく。いくらなんでもあんなに消えるもんか?

 

 ああそうか、予想通りあれは炎の弾幕っていうわけね。

 

「いけっ!」

 

 その弾がこっちに向かってきた。ぐう……密度が濃い……やっぱり一人の時だと弾が分散しないもんだな。

 

 弾をよく見てなるべく最小限の動きで避けているがこりゃグレイズするな。オレンジ色の葉の弾幕なんか見るからに熱そうというか、絶対熱いよな。

 

 やっぱりというか……じりじりとグレイズするたびに体感温度が上がってくる。熱いの苦手なんだよな。

 

「よっし、こっちも本気出すぞ!」

 

 葉が叫んだと同時にこっちに突っ込んできた。5メートル、3メートルと距離を詰めてくる。切りかかるつもりか?それなら初撃を交わした後にカウンターすればいいのだが……

 

「そう単調でもないぜ!」

 

 残り1メートルのところで葉が飛んだ。そして俺の頭上を大きく飛び越える。まあ、葉も強くなっている。こちらの考えと全然違う行動をとってくるのは当然だろう。

 

 しかし、振り返って弾幕を撃てばいいだけだ。葉も弾幕の準備をしている。単純な力のぶつかり合いになるな。

 

 こちらも俺が出せる最高峰の弾幕でぶつかる。

 

「炎符『ファイヤーショット』!」

 

「力業『大江山嵐』!」

 

 葉が出してきた赤とオレンジで様々な大きさが入り混じってる弾幕と勇儀のスペルがぶつかり、激しい音と光を生み出す。

 

「す、すごい!とってもきれいです!」

 

 パシャパシャと踊るように写真を撮っている文が見える。いいね、これこそが弾幕ごっこだ。

 

 現在、衝突の衝撃でモクモクと煙が立っている。たぶん葉はあそこにいるはずだ。

 

「もう一回……鷹符『イルスタードダイブ』」」

 

 煙の中へいるであろう葉へと向かって多くの鱗弾が突っ込む。やったか……おいまて、やったかと言うと相手に生存フラグが立つぞ。

 

 そんな考えを張り巡らせていられたのは背後から弾が来るまでだった。

 

 はあ? なんで背後から弾が来るんだ。おいまさか……どんだけ早く移動したんだ。

 

「どうだ? これが特訓の成果だ!」

 

「ああ、もう強すぎだぞ葉……」

 

 もー降参していい? 一応打開策が無いこともないが……しかたない、あとでたっぷり寝とかなきゃな。

 

「葉、このスペルがかわしたならこちらの負けだ。こちらの持てる全力で行くぞ」

 

 もう体力が残ってないもんでね。俺の能力って長期戦には向いてないんだよね。

 

 目を閉じて大きく深呼吸をした。よし、これでいけるはずだ。

 

「これで決めるぞ。『グランギニョル座の怪人』」

 

 言わずと知れたアリスのラストワード。完全なるパターンなんだけど、葉は初見のはずだ。これをかわされたらもう無理だよな。俺の体今にも崩れ落ちそうだし。

 

「これはなかなかだな……」

 

 思った通りというか……やっぱりだめか~。粒弾も鱗弾も右に左へと見事にかわされてしまっている。

 

 そしてスペルが終わった時には完全に葉有利となっていた。ありゃりゃ、もうこれはダメだ。

 

「はい、降参! もう強すぎだろ」

 

 両手をあげ、降参の意を示す。これ以上やってもだめだ。ぼっこぼこにされる未来しか見えない。

 

「よっしゃ! 勝った!」

 

 葉はガッツポーズをして飛び跳ねていた。そのまわりで文が何枚も写真を撮っている。2人とも疲れてないのか。すごいな。

 

 

 

 

 

 別れの夜、紫をよんであとはスキマへ入るだけになった。

 

「優斗、ありがとうな」

 

「ああ、すごく楽しかったぞお前といて」

 

「ああ、2人で折檻うけた中だ!もう怖いものは無い」

 

「はは……あれは大変だったな」

 

 と、俺たちは終始笑顔だったのだが、大妖精たちはぼろぼろ大粒の涙をこぼしていた。

 

「また……くるよね……」

 

「はい……必ず」

 

 スキマがつながってるんだから会おうと思ったらすぐ会えるのだが、そうはいっても泣くのが女の子という生き物らしい。やはり乙女心というのは難しくて理解できないな。

 

「ではそろそろいくわよ!それっ!」

 

 別れのシーンをぶち壊して紫のスキマがぱかっと広がった。なあ、空気読もうぜ? さすが年の功だな。

 

「じゃあな優斗、また弾幕ごっこやろうぜ!」

 

「おう!今度は負けないぜ!」

 

 パタッとスキマが閉じた。とうとう行ってしまったんだな。あちらの世界を救うために。

 

「よし大妖精帰るぞ。大会の練習しないと」

 

「うん、頑張る!」

 

(どうやって練習しようかな……)

 

 考え事をしながら大妖精と二人でゆっくりと家へ帰って行った。その頭上には巨大な満月と無数の星が俺たちを見守るかのように輝いていた。

 




コラボ編最終話でした!

初めてのコラボということでいろいろ大変でした。しかしネタをくれた夢月剣夢様をはじめ、多くの皆様のおかげで無事終了することができました!本当にありがとうございました!

さあ、次は二回目の弾幕ごっこ大会です!大妖精の成長にぜひ注目してください!(その前に『幻想高校の日々』を投稿するのでしばらく日にちが空くと思いますが) 

ではまたお会いしましょう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。