東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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第二十一話 優斗&大妖精VS魔理沙&チルノ

 ……魔理沙と」チルノとやる弾幕ごっこって死亡フラグな気がするのは気のせいだろうか?

 

「よーし優斗、外に出ようぜ!」

 

 大妖精の家の外というのは湖の近くで下にはふさふさの草が生えている。魔理沙たちを打ち落としても問題はないだろう。

 

湖に落とす作戦も考えたんだが……俺たちの技量では不可能だし、あとでとんでもない制裁をされるだろうから使えない。

 

 あともう一つ俺には大きな欠点がある。

 

「ねえ優斗、空飛べないの?そんな時は、にとりの空中歩行機はどう?」

 

 そう、今言った通り、空を飛べないのだ。俺の能力はいろいろな弾幕が出せる能力だ。つまり、能力まではコピーできない。空を飛べるようにできるスペカなんてないし、。

 

 ――ならば今言ってた空中歩行機を……

 

「だめですよ!これは欠陥品ですからね!」

 

 すかさず雛がツッコミを入れてきた。

 

「え~せっかく実験データを取るチャンスだったのに~」

 

 なるほど、やめておいた方がよさそうだ。

 

 というか、みんなぞろぞろと外に出てきたんだな。確かにこの組み合わせでの勝負ってそうそう見られるもんじゃないか。

 

「よし、そろそろやるか!」

 

「負けないよ大ちゃん!」

 

 そろそろ開始の時間のようだ。

 

「全力で行くぞ。この勝負、絶対に勝つ」

 

「もちろん!」

 

 二人の連携はもう完璧に近い。大会に向けて練習しまくったし、俺は絶対こういうことがあるだろうと想定していたからな。

 

「よっし、先に行くぜ!魔符『スターダストレヴァリエ』!」

 

「先手必勝!氷符『アイシクルマシンガン』!」

 

 俺以外の三人はもちろん空を飛んでいるので、必然的に弾幕が上から降ってくることになる。星と氷がゲリラ豪雨のように降ってくる。

 

 けど……薄いぜ?

 

 弾幕が薄いのには理由がある。大妖精が空を飛んでいて俺が地上にいるので、弾を分散せざるを得ないのだ。

 

「そんじゃこっちも行くぞ。疵符『ブロークンアミュレット』」

 

「それっ!」

 

 2人ともばらまきの弾を出して相手のと相殺させる。よし。さらに追撃だ。

 

「仙符『鳳凰……』」

 

 しかし俺はスペル発動をやめ、横へ転がった。なぜなら、

 

「なんだあれ?」

 

 魔理沙の真下あたりの地面に何かがあってそれが急に弾を撃ってきたのだ。

 

 その姿は『異様』としか言いようが無かった。身長は随分と低く、チルノよりもさらに一回り小さい。2頭身で、全身真っ黒だ。

 

「なるほどな……」

 

 ちょっと考えたらわかった。あれは魔理沙の新しい攻撃方法だ。式神のようなものだろう。

 

 これで俺たちは地上と空中の2方向からの攻撃に備えなければならなくなった。

 

「さすがだな魔理沙」

 

「え? 何がだぜ?」

 

 自分で出したものを忘れたのかよ……

 

 そこからしばらくは通常弾幕の打ち合いとなった。俺たちが何回もチルノを周りを弾幕で固め、あと一歩の所まで行ったのだが、すべて魔理沙の星やらレーザーやらミサイルに打ち消されてしまった。

 

「さすが魔理沙だな」

 

「うん、強いね……」

 

「どうした? まだまだいけるぜ? ――でもなんだか酔いが回ってきたな……そろそろ決めるか。行くぞチルノ!」

 

「おう!」

 

 そういうと2人は精神を集中させ始めた。その目は大妖精の方に向かっている。

 

 ―――だがこれはブラフだ。こっちに絶対来る。下からくる弾幕のほうが厄介だからな。

 

 これを避けるにはある方法を使うしかない。できるかわからんけどな。

 

「これで決めるぜ!」

 

 予想通り、俺の周りに弾幕が配置される。完全に囲まれた形だ。魔理沙の星とチルノの氷、それに式神の大弾でもう反則だろうってレベルだ。

 

 さて……前から練習したけど出来るかな?一気に精神を集中させる。

 

「いけっ!」

 

 全方向から弾幕が迫ってくる。しかし一か所だけ、開いているところがある。

 

「それっ!」

 

 俺は思いっきり上へ飛んだ。そう、俺は飛べないと思われているので、上はガラ空きなのだ。―――しかしこれだけではもちろん高度が足りない。

 

 だから俺は……

 

「へ?何をやってるんだぜ?」

 

 パソコンを下に向けた。そのままスペル宣言。たのむ……出てくれ……

 

「気符『星脈弾』!」

 

 下へたたきつけられたものすごく大きい大弾。俺は撃った反動で……

 

「よっし!作戦通りだね!」

 

 宙に舞った。魔理沙たちとの距離が縮まる。

 

「なっ?!マジかよ?!」

 

 そう、これこそが俺の編み出した新しい技だ。

 

 作用・反作用の法則って知ってるか? エネルギーが発生するとき、同じ量だけ反対方向にも発生するという法則だ。

 

 今俺は真下に強いエネルギーを発生させたので、その反作用で上に飛んだのである。名付けて……反動跳躍(リラクションフロート)といったところか。

 

 初めて出した3面ボスの弾幕。そのせいでかなりの体力を消耗した。ここで倒さないと勝ちは厳しいだろう。

 

「これで最後だ。夜雀『真夜中のコーラスマスター』!」

 

「魔符『フェアリーズマジック』!」

 

 魔理沙たちの周りに煙が上がった。やったか……―――まだだ。こんなんでは魔理沙は沈まない。

 

「なかなかだったぜ……しかしこれで終わりだ! 恋心……」

 

 マスパは一方向にしか使えないぞ?

 

「ダブルスパーク!」

 

 やはりか。2方向に来るマスパ。残念だったが、予想通りだ。

 

 マスパの最大の特徴にして欠点。それは愚直なまでに正面にしか飛ばないことだ。ロクに狙いもつけないで出した弾幕にあたるはずもないだろう?

 

 余裕で回避をし、とどめのスペカ。

 

「蛾符『天蛾の蠱道』」

 

「なっ……」

 

 一番の難敵魔理沙もこうして倒すことができた。

 

「やったな大妖精」

 

 と、上をむくと……

 

「え?」

 

 大妖精が降ってきた。最後ので被弾したのか。

 

「おわっ!」

 

 慌てて大妖精を受け止める。しかし俺はその衝撃に耐えられなくて二人でゴロゴロと地面を転がって数瞬意識を失ったのである。

 

 

 

 

 

「う~ん」

 

「おっ、起きたか」

 

 どうも意識を失ってたのはほんの10秒くらいだったみたいだ。

 

「いや~完敗だったぜ」

 

「やっぱり優斗は強いな~」

 

「だって! やったね!」

 

 そうか。何はともあれ、勝ててよかった。

 

 魔理沙たち3人が健闘をたたえあっていた。笑顔がまぶしい。教師として純粋にうれしかった。

 

「よかったな大妖精!」

 

「な、何が?」

 

「とぼけなくてもいいのに~。優斗に抱かれたんだよ!どうだった?」

 

「ど、どうだったって……」

 

 まだ意識がはっきりとしてないのかあまり話が聞こえない。まあ楽しそうなので良しとしよう。

 

「そういえば魔理沙」

 

 あの式神のことについて知りたくなってきた。

 

「あの式神すごいな~」

 

「へ?何のことだ?」

 

 やっぱり忘れてるよ。

 

「ほら、だからこれ」

 

 式神に近づいて指を出す。

 

「これで弾幕出してただろ」

 

「え?そんなもの全く知らないぜ……」

 

 あれ、じゃあこれなんだ?

 

 疑問に思ったその時、

 

 シュバァ

 

 あの式神が弾幕を出した。俺はとっさに反応して避けたが、

 

「かっ……!」

 

 左手に被弾した。当たった二か所から血が噴き出し、激痛が襲う。あれ? 弾幕って殺傷性はないんじゃ……

 

「優斗!」

 

 大妖精がこっちに来た。だめだ、ここは危ない……

 

 そして俺たちに向け、もう一度式神が弾幕を出した。

 

「くっそ!」

 

 残りの気力を振り絞り、大妖精を抱え、横に跳ぶ。

 

 我を忘れて走る、走る。

 

 普段なら大妖精を片手で背負うなんてできっこない。けれどいまだけ、体中のアドレナリンが右手に集まっていた。

 

 後ろから弾幕が迫っているのを肌で感じる。逃げるところはあそこしかない。

 

「大妖精、飛び込むぞ!」 

 

 そのまま湖に飛び込んだところで、

 

「優斗っ!」

 

 今度こそ、長い時間意識が消えたのである。

 

 

 

 

 

 夢を見た。さっきの式神が襲ってくる夢。コロス、コロスといって襲ってきた。正夢……か……

 

「うあ……」

 

 俺はがばっと体を起こし、あたりを見まわした。

 

「おう、起きたか?」

 

 気が付くと、家の中に戻っていた。そうか、意識を失った後、助けてもらって寝ていたのか。

 

「災難だったわね」

 

 横を見ると永琳先生がいた。俺の腕の治療をしてくれたのだろう。

 

「あの変な奴は……」

 

「ああ、それならぶっ飛ばしたぜ。―――あれはなんだったんだ?」

 

「まあ、心当たりがないこともないが……」

 

 俺を幻想入りさせた謎の妖怪と関係があるかもしれない。

 

「優斗っ!」

 

 大妖精が駆け寄ってきた。そのまま俺の腹に顔をうずめる。

 

「良かった……死んじゃうかと思った……」

 

 その眼には涙があふれていた。

 

「悪かったな。心配かけて」

 

 俺も大妖精の頭の後ろに手を回す。今も不安な気持ちでいっぱいなのだろう。

 

「うん、良かった……」

 

 何はともあれ、無事にすんで本当に良かった。

 

「お取り込み中のようだけどちょっといいかしら?」

 

 不意に永琳先生が話しかけてきた。

 

「ん?なんだ」

 

「二人で湖におっこちたでしょう?」

 

「ああ」

 

「その……大妖精の服がね……」

 

 ―――反射的に大妖精のワンピースを見てみると……

 

「あ……」

 

「え……きゃ!」

 

 水で濡れたせいでワンピースが体にぺっとりと張り付き……まあその……透けているのだ。

 

「大妖精、あなたなかなか大胆なのね」

 

 永琳先生がにやにやしながら言う。何のことを言ってるのかは俺にはさっぱりだったが。

 

「優斗……」

 

「さ、殺気が……」

 

 見ると、チルノが顔を真っ赤にした大妖精を隠すようにして立っていた。

 

「大ちゃんをこんなことにした償い、してもらうからね?」

 

「なんだか急にマスパのテストしたくなってきたな」

 

「人形の爆発力が試したくなったわ」

 

「今から記事の内容を作る準備をしないといけないですね」

 

「ギュっとしたら……ドカーンだよね!」

 

「あなたを不幸にして差し上げましょうか?」

 

 クラスの20人ほどが俺の敵になった。

 

「あっ、あんなところに依姫が!」

 

 この隙に窓から外に出て、全速力で逃げる。

 

「あっ!待て!」

 

 ……この後壮絶な逃走劇が行われるんだけど、それはまた別のお話。

 




第二十一話です。初めて3500文字行きました。疲れた……

あの式神。結構重要な存在になりそうです。今後も注目です!

それにしても優斗……あのどうなったのでしょうか。考えるだけでも恐ろしいです……

次回、弾幕ごっこ大会になりそうです。大妖精の成長はどうなったんでしょうか?

ではまた!

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