「と、いうわけでよろしいですか!」
「……はい」
1時間にも及ぶ長く、辛かった説教が終わり、やっと解放された。―――いや、もちろん俺だってただ黙って聞いていたわけではない。ちゃんとこちらの言い分を言ったのだ。こんな風に。
「でもあそこで記憶喪失の女の子がいたら助けますよね?しかもあの非常事態で映姫ちゃんを連れなかったら大変な騒ぎになってましたよ?」
そしたらさらに顔を真っ赤にし、正座させられた。どこが悪かったのかはわからないが、火に油を注いでしまったらしい。
「当たり前じゃない……」
「え? そうか?」
「図星を疲れた時が一番腹が立つらしいよ」
「そうなのか……」
もう6時を回っているのに待っててくれた大妖精と共に校門を抜ける。―――その時、
「どうも!」
「文……こんな遅いのにどうしたの」
「実はですね……―――写真ができたんですよ」
俺の顔がわずかに青ざめる。あの写真は映姫先生がロリ化しているときに撮ったもので、あれを見られたら追加説教間違いなしだ。
だが幸い、ここには大妖精しかいない。適当に理由をつければ危険はない。
「はいどうぞ!」
映姫先生がいなくてよかった……―――ん?
「あれ? 2枚あるじゃないか」
「ああ、それサービスです」
ニヤニヤしている文を後目にもう一枚を見てみると……
「……ふふっ」
「え?どうしたの?」
瞬間、今笑ってしまったことを激しく後悔した。
「い、いやなんでもない」
「ねえ、見せてよ!」
「見せた方がいいんじゃないんですか~」
い、いや。これを見せると先ほど散りかけた俺の命が……
「はい、大妖精さんにも」
「ちょっ!?」
写真を受け取った大妖精の顔がどんどん恐ろしい物へと変貌していく。
「……どういう事かな?」
「いや……」
笑顔で問い詰めてくる。本当に怖い。
そこに写っていたのは、
「いや~まさか薬の効果で大妖精とチルノの性格が入れ替わるなんてしまうとは思いませんでしたよ!」
そこに写っていたのは、⑨になった大妖精がわずかに上を向き、ぱっくりと口を開け大笑いしている写真だった。
その横に困っているチルノが座っていて、完全に立場が逆転していた。
「ねえ優斗」
「はい……」
「あとでちょっと話そうね♪」
「はい……」
すぐ逃げられるようにパソコンを起動しておこう。
―――しかしこの後、俺たちは写真の事などきれいさっぱり忘れてしまうのであった……
家のドアを開けると不法侵入している異変の元凶がいた。
「あ、間接的に俺をピチュらせた人だ」
「開口一番、恨んだ口調になるのは良くないわね~」
幽々子先生がいた。
「で?何の用ですか?」
「そうそう。今夜白玉楼で先生たちの親睦会を行うから来てね」
「はい?」
「もちろん大妖精も行くわよね?」
「はい! なんだか楽しそうですね!」
「決まりね!善は急げよ!」
「ちょっ、まだ何も言っていない……」
目の前にスキマが広がった。
と、いうわけで第十五話でした。大妖精がなんか最近怖くなってる……
さて、次ですが先生たちが集合します。そこで行われる出来事とは……ヒントをいうと、幽々子先生の種族についての話をするものです。
ではまたお会いしましょう!