「いってらっしゃ~い。」
大妖精はクラスのみんなでレミリアが作った紅魔館内のプールに行った。
え?なんで行かないのかって?―――なぜなら、
・紅魔館は一回ピチュった経験があるのであんまり行きたくない。
・昔ラノベを読んでたら、こういう感じの場面があって主人公がろくなことになってないから。
と、いうわけで今日は東方のお勉強だ。
「あっ」
思い出した…
見ていたのは八雲紫のページ。―――前に嘘をつかれたのでそれについて話したいのだ。
「紫先生~」
反応がない。しらばっくれているな。
「藍先生にお願いしてごはん抜きにしてもらいますよ~」
「はいはーい!」
作戦成功だ。妖怪最強とは思えないくらい脇が甘い。
「何かしら?」
「スキマで俺の住んでいた世界に戻せるんですよね?」
「あら~ばれた?」
「別にいいんですが、もう幻想入りして4か月たってるので家族が心配していると思うんですよ」
「え? そんなことないと思うわよ」
「はい?」
そこまで家族の仲は悪くない―――と、思っていたのだが……
「――だってあなたあっちの世界じゃ存在しないことになっているもの」
――…なにを言ってるんだ?
「なんなら見てみる?」
と、スキマが出てきたので覗いてみると……
「本当だ…」
俺の家なのだが、俺のものがパスポートや保険証もふくめ一個も無い。友達に借りていた卒業アルバムも俺の事がすっぽり抜けている。
「どう、わかった?どうせどっかの妖怪の仕業だろうけど……まだあっちの世界へはいけないわよ」
「いや、別にかまわないです」
せっかく幻想郷に来たんだ。ここで帰ってたまるか。
「まあ、それならいいけど」
「ああ、ありがとな」
「じゃあ、今度はこっちのお願いも聞いて!」
「え? ああ、わかった。」
「じゃあちょっときて~」
と、スキマの中に入っていく。
「ここは?」
見たところ教室のようだが…机が一個しかない。
「と、いうわけでこれからテストをやってもらいます!」
え? テスト?
「教科は国語と数学。制限時間は一時間。では始め!」
おっと、テストならばやらなければ。って、これ中学生が解くような問題だぞ。
一時間後
「はいそこまで。余裕だったわね~」
そりゃ中学生レベルの問題なんか余裕だろ。全問正解間違いなしだ。
「じゃ、家に帰っていいわよ~」
と、スキマを使って家に帰った。もうお昼だ。
「おつかれさま。大変な一日だったわね~」
と、家に居座る紫。
「……もう用はないんじゃないですか」
「まあまあそういわずに。実はね、」
「何ですか」
「こんな残酷なことがあって心が折れそうになってるあなたにご褒美をね。」
「いや、心折れてないんですけど」
「さあ、いきましょう!」
と、強引に腕をつかんでくる。すごい力だ。
「へ?!どこに」
「まあそれは行ってからのお楽しみ♪」
ニヤニヤしながら紫が言っている。なんかいやな予感が…
「ちょ、ちょっとまって…うわー!」
スキマの中に叩き落されてしまった。
「いてて…」
どこだここ?―――見たところ部屋の中のようだが…
「ん?なんだこれ?」
ずらーっとかごが並んでいる。ん?何か入っているぞ。
「これなんだ?―――うわっ!」
これは…―――大妖精の青のワンピースだ。
「と、いうことは…」
どうやらここは紅魔館の中らしい。そして今日は大妖精たちが泳いでいると言っていたから…
「どうする…」
前に見たラノベから推理すると…
・この光景が大妖精たちにみつかる。
↓
・問答無用でピチュる。
「まてよ…」
必死に頭を動かし考えた結果、
・すぐに門のところに行って美鈴にお願いしさりげなく今来たようにする。
と、いう結論に達したのですぐに行こうとする。
―――しかし現実はそんなに甘くない。
「いや~良かったね」
「最後すごかったね~」
声が聞こえたきた。ここで出たら鉢合わせしてしまうだろう。
「こうなったら…」
もう説明するしかないのだが成功する確率を計算したところ…
「0.1パーセント…やるしかないか。」
ガチャ
ドアが開いた。
「そうだね。―――え!優斗!」
大妖精のクラスの20人以上が入ってきた。
「は? どういう事なんだぜ?」
「お、優斗さんノゾキですか~もうちょっとうまくやれないもんですかね~(笑)」
魔理沙と文がいやらしい笑みを浮かべてくる。精神力がガリガリと削られる。
「いや、これは紫に強制的に…」
「問答無用だよ」
と、みんなの気持ちを代表したその大妖精の言葉は死刑宣告のような気がした。
「追撃『フェアリーズネット』!」
もう2度と紅魔館に行くものかと心に誓いながらピチュる俺であった。
はい、というわけで第十話です。
今回の題名、二つの意味があったんですがお分かりになったでしょうか!
優斗は紅魔館では必ずピチュるみたいですねw
ではまた十一話で!