ULTRAMAN GINGA with GOD EATER   作:???second

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別サイトのほうで、後の反省のためも兼ねて昔書いた小説を修正移植する予定ですが、あの時はオリトラマンを使ったクロスもの(ちなみにGANTZでした)も書いてましたが、昔の自分の文才ってここまで未熟だったんだなぁ…と痛感してます。
そのオリトラやオリジナル形態のネクサスとかの絵を描いてみたいなんて思ってもいますけど、絵…学校の提出物以外でまともに書いたことがない…orz
ちなみにオリトラの名前は『セブンアックス』、ゼロの没ネームをそのまま流用し、姿を歴代のセブンタイプウルトラマンををベースとしたものでした(笑)
どこまでまたやってみたいと思ってたりしますww

それはそうと、リザレクションのメインシナリオ、全部クリアしました!いやーラスボスが強すぎた…。仲間全員が耐久値が尽きて全滅しちゃいましたから。残った自分も耐久値がたったの1桁分での勝負でなんとか逆転できましたよ。はらはらしたわ…
でも、ネタ集めのためもうちょっとだけがんばらないと(リアル事情をがんばれや)



もう一人の新型神機使い

一機のヘリが、空を飛んでいた。

「そろそろ極東に着く頃だね」

窓から外の景色を覗き込むのは、一人のサングラスをかけた医師だった。煙草を口にくわえて中年臭さを押し出している。

「ええ…」

その傍らの座席には、赤いチェック柄の服を着た銀髪の美少女が、同じように外の景色を眺めている。

「長旅で疲れなかったかい?」

「大丈夫です。その気になればいつでも出撃できるようコンディションを整えていますから」

「さすがだね。しっかり自己管理ができているとは」

「これも先生のおかげです。先生にはどれほど感謝してもたりませんから」

「いい子だ。流石は私が見込んだ子だ。極東での活躍、期待しているよ?

君は、誰よりも優れたゴッドイーターなのだからね?」

「はい。私は…新型ですから」

少女は冷たい微笑を浮かべていた。ふと、少女の目に何かが見えた。

あれは…目を凝らしながら彼女は、窓からの景色に見える、気になる物を凝視する。

陸上のある一点で、互いに争っている一体の怪獣と、光の巨人の姿が映った。

「あれか、噂の…ウルトラマンとやらは」

男性医師が地上に見える巨人こそが、最近極東でその存在を示しているウルトラマンであることに気づく。

「…先生。私…」

少女は巨人の姿を見て、わずかに目を細めた後、自分の座席の傍らに置かれているケースを取る。

「あぁ、行っておいで」

医師は少女の意図を察したのか、引き留めることはしなかった。

少女は帽子を被り、ケースからあるものを取り出す。

それは、炎のようでも、血の色のようにも見えるほど赤く染まった、ロングブレードの神機だった。

ヘリの扉が開かれ、少女のサファイア色の瞳が白日の空の下にさらされた。

同時に、彼女の持っていた神機の形が、いくつもの銃口が取り付けられたガトリングガンの形に変形した。

 

彼女こそが、極東に赴任することが決められていた、二人目の新型神機使いだった。

 

 

 

 

「グルアアアアアアアアアア!!!」

 

グボロ・グビラは咆哮を散らしながら、グボロの時と同様に体を捻りながら暴れまわり、周囲の廃坑を破壊し始める。

建物が崩れ落ちる度に、瓦礫が頭上から降りかかってくる。

「くぅ!」

このままでは自分たち瓦礫に…!

装甲を展開した神機を頭上に掲げながら、リンドウたちの元へ急ぐユウ。しかし、ついにこれまでにないほどの瓦礫が彼の頭上から襲ってきた。

まずい!!さすがに神機の走行でも防げない。しかもその落下速度は速すぎて…。

「ウルトラ念力!!」

その時、タロウが勢いよくユウのポケットから飛び出し、彼の頭上でカッ!と落ちてきた巨大な瓦礫を睨み付けた。

すると、ユウの頭上に降りかかるはずだったその大きな瓦礫は、空中で浮いたまま落ちてこなくなった。

「す、すごい…」

ウルトラ戦士とは、たとえ人形であろうとこんな常識はずれの超能力を扱えるのか、自分がさっきまで瓦礫でミンチにされかけていたことも忘れて感心していた。

「ユウ、何をしている!早くギンガに変身するんだ!」

「タロウ!」

「君が変身したら、私がマグマ星人を追う!君はグビラを倒すんだ!」

「わ、わかった!」

アラガミと怪獣の合成生物が現れたのだ。ここはやはり変身して出るべきだろう。

ユウはギンガスパークを取り出す。すると、ユウの危機に反応して、彼の右手の甲に『選ばれし者の紋章』が浮かび、ギンガスパークからギンガのスパークドールズが飛び出す。

ユウは直ちに、足の裏のマークをギンガスパークにリードさせた。

 

【ウルトライブ、ウルトラマンギンガ!】

 

「ギンガ―ーーーーーーー!!」

光に包まれたギンガスパークを掲げ、ユウは再びウルトラマンギンガに変身した。

 

 

 

 

 

「リンドウ、無事!?」

「おう、そっちは?新入りは?」

なんとか廃坑の外まで脱出を完了した第1部隊の面々はユウを除いて合流に成功する。

「…」

しかし、リンドウからユウの安否を問われたサクヤは答えようがなかった。生きているのか、それとも…考えてくない事態が起きているのではと想像してしまう。

「ち…」

ソーマは舌打ちする。夢をかなえる、そのために生きるとか言ってきながらまた

「大丈夫ですって!きっと無事ですよ!」

コウタが皆を励ますように言うと、リンドウが頷いて見せた。

「あぁ、わかってる。あいつは簡単に死ぬタマじゃねぇはずだ」

それに、探さずともユウがどこで生きているのかなんてすぐにわかる。

「ヒバリ、ユウ君の腕輪の反応はある?」

ゴッドイーターが神機を制御するために、そして体内の偏食因子を安定させるために身に着けている腕輪。これには他にもゴッドイーターの生命反応を、アナグラのオペレーターがキャッチするための信号を発信し続けている役割があるのだ。

『はい、バイタルも危険域に達してはいません。生きてますよ!』

ユウが生きている。それを聞いてリンドウたちはホッとしたが、直後に彼らの身にも危険が降りかかる。

「グアアアアア!!」

四人はその咆哮を聞いて再び廃坑の方を振り返ると、異常進化グボロ…もといグボロ・グビラの巨大な姿を見る。

「まーた異常進化しやがった」

「やばいよ、あのままじゃユウが…!」

コウタが悲鳴に近い声を漏らした。

出現と同時にグビラが暴れ始め、それに伴い周囲の建物が破壊され始めている。まだあそこにはユウがいるかもしれない。

しかし、グビラが暴れているところを助けに向かったところで、奴の懐に飛び込むも同然、危険すぎる。

と、その時だった、光の柱が立ち上り、それがグビラの体を持ち上げた。発光が収まると、もはや知らぬ人などいないであろう、光の巨人がグビラを持ち上げていた状態でその姿を露わにした。

「ウルトラマンッ!」

「いいタイミングで来てくれたわね」

「うし、今のうちに新入りを救出するぞ!」

コウタとサクヤは淡い希望を抱いた眼を向けていた。彼が来てくれたのならグビラのことも心配ないし、ユウを助けに行きやすくなれると言うものだ。

「…」

しかし、一方でソーマはウルトラマンギンガを無言のまま、どこか冷ややかな目で見ていた。

 

 

 

 

「シュア!!」

グビラを持ち上げての登場という、派手な演出による変身をやってのけたギンガは、そのまま廃坑の外の海岸付近にグビラを投げ飛ばした。

海岸の土手の上を転がされるグビラの前に、ギンガは降り立ち、グビラの姿を改めて確認する。

グボロの体が縦に細長くなっている。全体的に灰色だが、あちこちに橙や黒の斑模様が刻まれている。体の左右にはグボロと同じようにひれが、空を仰いでいる背中には背びれ、尻の方には尾びれも着いている。

怪獣の人形にグボロの意匠と色合いがそのまま焼きついたような姿だ。

やはり巨大化…いや、マグマ星人によってスパークドールズと融合させられてしまったせいもあって大きく異なっている。

だが、倒すべき敵ならなんであろうと関係ない。戦いって未来を勝ち取るだけだ。

ギンガは空高くジャンプし、グビラの背中に飛び乗った。グビラはお構いなしに暴れ、ギンガを背中から退かす。今度は両手で背中に掴みかかるが、グビラの背中から猛烈な勢いの潮が吹きだす。

「ウワ!!」

顔に、それも目にかかってしまい、ギンガは目を抑える。

しかしそのとき、ユウの足元の地面から緑色の渦のようなものが発生した。

「!」

まずい!避けなくては!ギンガはすぐに横へ転がる。すると、ギンガの立っていた場所の地面が、上から降ってきた砲弾によって、ドン!!と音をたてて大きな穴を作り出してしまった。

危なかった…恐らくグビラは、頭上に向けて水の砲弾を打ち上げていたのだ。喰らっていたら深いダメージを負っていたに違いない。

安心していたその隙だった。グビラがギンガの上にのしかかってきた。

「グゥ…ッ!!」

ギンガと比べて幾分重い重圧がかかり、ギンガは立てなくなる。何とか押しのけようとすると、グビラの鼻の先にある砲口からなにかが生えてきた。

それは螺旋状の突起…つまりドリルだ。まさか!と思いギンガは鼻を突き出してきたグビラの一撃を避けようと頭を左に捻った。

ギンガの顔を貫こうとしたドリルは、さっきまでギンガの頭が置かれた地面を抉った。

さらにもう一撃、ドリルを突き出してくるグビラ。ギンガは間一髪、そのドリルの根本である砲塔を掴み、そのままグビラを蹴り上げて脱出した。

再び互いに向き合う形で退治するギンガとグビラ。

グビラはドリルを引っ込めて、グボロの時と同じ砲口に戻すと、

鼻の先の砲口をギンガに向けて狙いを定める。

すぅぅ…と水の音を響かせると、目を押さえているギンガに向け、一発の水の大砲をぶっ放した。それも一発だけじゃない。2発、3発、4発と連続発射する。

ギンガは右腕のクリスタルから〈ギンガセイバー〉を形成、自分に向けて放たれた水弾を次々と弾き飛ばしていく。

しかし、最後の一発だけは回避しきれなかった。

「ドワァ!!」

その一発の水弾によって胸を打たれ、ギンガは海に落ちてしまった。

グビラの砲撃を受け、ギンガは水の中に沈んでしまった。

 

 

 

 

胸に鋭く重いパンチを食らったような一発だった。

水中だと、思った以上に動きが水圧で鈍くなってしまう。痛みをこらえつつも、彼は浮上して陸に上がろうと水中で一回転し、水面に上がろうとした。

だがその時、ギンガの体に突然何かがぶつかってきた。

「グゥ…!?」

強い衝撃を受け、水中を自身の意思と関係なく舞う。もう一度体制を整えようとすると、またしても背中に衝撃を受けるギンガ。

一体何が?そう思っていると、また何かが近づいてきた気配がした。とっさに彼は背後を振り向く。

「ッ!」

視界に映ったのは、なんといつの間にか水中に潜り込んでいたグボロ・グビラだったのだ。しかも突き出されたのは、鼻の先の砲口から生やされたご自慢の角ドリル。

間一髪!ギンガはとっさに両手を前に着き出してグビラの砲塔の付け根を掴んで、グビラのドリルをギリギリ防ぎ切った。

(このアラガミ…水中戦向きだったのか…!)

さっきまでの水中での動きにしてはあまりに機敏で速い動き。自分を水弾で攻撃して海に叩き落としたのも、自分のテリトリーに誘い込むための手順だったのだ。

しかし、これだけで終わらなかった。

グビラの、グボロだった頃から持ち合わせていた顔の半分を占めるほどの巨大な口が開かれたのだ。

ギンガを捕食しようとしているのだ。

さっさと突き放さなければ。押し出そうと力を前に押し出すギンガだが、グビラはその分だけ尾びれの動きを速め、さらに強い力でギンガを押し、そのまま角で胸を串刺しにした果てに食らおうとしていた。

(このままじゃ…喰われる!!)

神を喰らう者=ゴッドイーターが食われてお終いだなんて笑い話にもならないし、それ以前にそんなエグイ死に方なんて冗談じゃない。

(食われて死ぬくらいなら…とことん足掻いてやる!!)

ギンガは…ユウはさっきまで無理やり離そうとした、自分を貫き通そうとするグビラのドリルの付け根を、逆に決して離すまいと強引に掴みだした。

グビラは、ギンガのとった、さっきとはまるで逆の選択に、生物的な本能からか一瞬困惑した反応を見せた。

体中のクリスタルを金色に光らせ、彼の体からほとばしる雷がほとばしった。

〈ギンガサンダーボルト!!〉

「ディアアアアアア!!」

全身をバッ!と開く形でほとばしる電撃は、水中全体に伝わっていく。必然的にその電撃は、ギンガによって砲塔を掴まれていたグビラにも襲い掛かり、激しい電撃攻撃を浴びせた。

だが、水中であるせいで伝導率は非情に高く、ギンガ自身にもその電撃に痺れが襲い掛かっていた。

しかし今の攻撃でグビラはぐったりし始めていた。

今だ!ギンガはグビラの体を掴み、そのまま水面の方へあがっていき、ようやく水中からの脱出に成功、空中から元の廃坑付近の陸地にグビラを叩き落とした。

 

 

 

 

「おーい、ユウ!返事してくれー!」

その頃、グビラの出現した廃坑に戻ってきたリンドウたちは早速ユウを捜索していた。だが、無理もないこととはいえ、当然ながら探しても彼の姿は見当たらない。

「おいヒバリ、新入りの反応は確かにここか?」

リンドウが通信を通して、改めてヒバリに尋ねる。

『…おかしいですね。さっきまでバイタルも万全な状態で反応があったのに、今はその反応が途絶えてて…』

「反応が途絶えただと…?」

ソーマがいぶかしむように

『ですがこの付近に、ウルトラマンが交戦していると思われる異常進化したグボロ以外のアラガミの反応はありません』

「え、でもそれってつまり…まさか、瓦礫の下敷きに!?」

悪い予感が立ってしまうコウタ。しかし、直後にヒバリがそれを否定した。

『いえ、その場合も違うと思います。その場合は生命反応は無理でも、腕輪の信号がキャッチされるはずですから』

「ジャミングでもされたのかしら?」

ユウの生命反応も腕輪信号もない。サクヤはその奇妙に思える現象に心なしか違和感を覚える。

「参ったな…これ以上ここに留まるのもまずいしな」

すでに残り1体のグボロは自分たちの手には負えないほどの進化を果たしてしまった。それに、ミッションにも制限時間はある。これ以上ユウの痕跡が見つからないなら、彼をおいて撤退しなければならなくなってしまう。

しかし、撤退さえも許すまいと、彼らにも魔の手が忍び寄った。

「ほぉ、てめえらかぁ。ギンガの仲間は」

「!」

その声に反応して、リンドウたち4人全員が神機を、声が聞こえた方へ構えた。

その声の正体は、グビラへ異常進化させた犯人であるマグマ星人だった。

「な、なに?この変態」

全身にぴっちりとしたボディスーツを着込んだ怪人の姿に、サクヤは変な趣味を持った変人の変装かと思って目を細めた。

「誰が変態だ!地球人ごときがこのマグマ星人の『マグニス』様を変態呼ばわりとは!!」

しかしマグマ星人にとって彼の服装はまさに正装。着ていて当たり前のものだ。

「地球人?マグマ星人?」

自らをまるで人間じゃないように言い放つ怪人を、誰もが疑わしげに見る。

「そ、その目…信じてはいないな!!」

「…いきなり信じる馬鹿がいるか」

自分が、かつてこの地球で悪名を轟かせた宇宙人の一族の一人であるはずなのに、疑惑の目で見られていることが我慢ならずにいるマグニス。あんまりにも淡泊と言うか、ソーマは冷静に受け流すようにツッコミを入れた。

「あ~なんだっていい。あんた…いったいここで何をしていやがった?」

しかもリンドウもめんどくさそうな様子で、適当に最低限に問うべきと思った質問を問うてみた。あまりにも舐められたとも取れる態度のリンドウたちにマグマ星人は地団駄を踏む。今は忘れ去られたとはいえ、地球に甚大な被害をもたらしたことのある侵略者の姿にしては滑稽である。

「き、貴様ら~~~~~……!!!

…ふ、ふん、まあいい。何をしていただと?低能の地球人ごときに話したところでなんになる?」

なんとか気を取り戻しつつ、彼は買い物籠から彼らマグマ星人の代名詞でもあるサーベルを取り出した。

「どうせ貴様らはここで死ぬのだからな!」

「どこに入ってたんだよそんなもん!」

思わず鋭くツッコミを入れたコウタ。確かにとても買い物籠に入るようなサイズのサーベルではなかったから疑問を抱かずにいられないようだ。

しかし、すかさずマグニスはサーベルをぶん回してリンドウたちに襲い掛かってきた。

「ち!」

真っ先にソーマがマグニスの刀身を受け止めにかかる。黒い刀身とサーベルがぶつかり合って甲高い金属音を鳴らす。

「そんな重いだけの得物で、この俺の剣撃を防げるか!」

すかさず次の一太刀を浴びせようと、サーベルを振りかざすマグニス。だが、ソーマは右から来た次の一太刀も、神機を軽々と振って防ぎきる。すかさずリンドウがそこに神機を振りかざして斬りかかる。マグニスは軽く舌打ちすると、ソーマから離れる。今度は標的をリンドウに切り替え、サーベルの先を突き付ける。一発目をリンドウは装甲は展開せず、刀身のみで防ぐと、再びマグニスに向けて一太刀横一直線に斬りかかる。マグニスはその一太刀をジャンプして避けると、そのまま降下しながら突き攻撃を仕掛けた。その一撃もまた防いでみせるリンドウは再度一振り、マグニスもまた再びサーベルで攻撃を仕掛け、そのままリンドウを貫き倒そうとしたが、リンドウとマグニスの間に、銃撃が放たれ爆発する。

「っぐ!!」

爆風に当てられ、マグニスの顔が歪む。

「動かないで!」

「動いたら、その頭をぶち抜くぞ!…なんてな」

撃ったのは、鋭い視線を向けるサクヤと、漫画のキャラのようなセリフを吐いてみせたコウタの二人だった。

「悪いけど、私たちゴッドイーターのミッションを邪魔したこと、アラガミを進化・暴走させたことは見逃せないわ。大人しくアナグラへ連行させてもらうわよ」

「けっ、そんな豆鉄砲ごときでこのマグニス様を殺せると思ったか!?」

しかし、マグニスは銃口を向けられても怯む様子を見せなかった。

「ずいぶん余裕だな…」

仮面の下に隠れた顔から露わになっている余裕のオーラに、リンドウが目を細める。いつでも神機を振えるようにしっかりと噛めていたが、マグニスの顔には一点の曇りなし。

「見せてやるぞ…このマグニス様の真の力をおおおおおお!!!」

彼は空に向けて激しく吠えだした。すると、彼の体に異変が起こる。さっきまで、リンドウとはほとんど変わらないはずの身長だったはずの彼の体が、見る見るうちに肥大化し始めていた。風船のような膨らみ方などではなく、シルエットをそのままに巨大化していく…

最終的に、マグニスの体はギンガにも匹敵するであろう巨体にまで進化した

「おい!そんなの反則…!」

「うらあ!!」

卑怯だぞ!と言わんばかりにコウタが抗議を入れようとしたが、マグニスは全く耳を傾けようとせず、彼らに向けてサーベルの剣先を突き刺しにかかった。

サーベルを連続して突き刺していくが、第1部隊の皆は一斉に散った。が、その際にコウタが足を躓かせ転んでしまった。マグニスの突然の巨大化に慄いたのか、足がもつれてしまったのだ。

「う、うあ…!!」

それをマグニスは見逃さない。たとえ相手が自分よりはるかに小さい存在でも、決して容赦をする気はなかった。

「くく…貴様らは俺の実験を知ってしまったからな。生かして帰すわけにいかん。たとえ、貴様のような小僧でもな!」

「あ、ああああああ…!!」

自らに死が近付きつつあることを本能で感じ、絶望に満ちた表情を露わにするコウタ。

しかしその時だった。

「ぬぅあ!!?目、目がぁ……」

眩い閃光がほとばしり、マグニスの視界を奪い去った。あまりに眩しい光はマグマ星人にも堪えたらしく、現にマグニスは両目を覆って悶えていた。

「へ…」

コウタは一瞬目を塞いでいたが、目を明けて自分が助かったことに気づく。今のスタングレネードはソーマが投げたものだった。

「世話をかかせんな。腰抜け」

ソーマはコウタを無理やり立たせてきつい言葉をぶつける。コウタは言い返したくなったものの、皮肉にもソーマの言葉に間違いはなく、返す言葉がなかった。

「仕方ねえ…ここは一端退くぞ!」

こうなってしまってはユウを探すどころじゃない。リンドウはやむを得ず全員に撤退命令を出した。

「け、けどユウが!!」

「気持ちはわかるけど、もうそれどころじゃないわ!早く!」

それを聞いてコウタが抗議しようとしたものの、直後にサクヤからの怒鳴り声に押される。

「おのれ…逃がすか!!」

視力が元に戻ったのか、マグニスはぼやけた視界のなかではあったが、リンドウたちを発見した。

「!走れ!奴の目が回復してやがる!」

すでに100m近くは走って離れていたが、奴が自分たちを見つけたことに気づいたリンドウが仲間たちに急ぐように呼びかける。

マグニスは戻りつつある視力を頼りに、リンドウたちを追ってサーベルを振りかざそうとした時だった。

「ウルトラ念力!」

突然自身の体に向けて、猛烈な力の重さを感じ、動きを無理やり封じ込められた。

「私の存在を忘れるとは、失念したな!マグマ星人!」

その念力の発生源は、タロウからだった。人形の状態でこそあるが、こうして自分より巨大な敵の動きを止めること位は可能だったのだ。

「お、おのれ…たかが人形の分際でぇ…!!」

人形になったことで今ではいつでも消せるちっぽけな存在ともいえるタロウを、忌々しげにマグニスは睨み付けていた。

タロウが念力をマグニスに掛けたおかげで時間を稼いだリンドウたちはアナグラに連絡を入れた。

「アナグラ、聞こえるか!?こちら第1部隊!悪いが、すぐに…」

指定されたポイントに帰還用のヘリの用意と、ユウ捜索のための捜索隊の申請を要請しようとした

しかし、その時だった。

『救援要請なら要りません』

リンドウたちの通信に割り込みが突然入り込んできた。

「…?」

『私がいますから』

声は、女の子と思われる澄んだ声だった。しかしこの声は聞き覚えのないものだった。

「リンドウ、あれ!」

リンドウがいぶかしんでいると、サクヤが空に向けて指をさす。彼女が指を刺した上空に、一機の、なじみ深い狼をモチーフとしたマークが刻まれたヘリが近付いていた。

「フェンリルのヘリだ!でも…」

たった今リンドウが救出用ヘリの申請をしたばかりなのに、こうも早く来てくれるはずがない。

「まさか…」

リンドウがそのヘリを見て呟くと、ヘリの扉が開かれた。

そこから姿を見せたのは、赤いチェックの服と帽子を着た銀髪の少女だった。そしてのその手に握られていたのは、燃えるような赤い刀身のロングブレード神機。

そして、リンドウが抱いていた確信を確実なものにする光景を目の当たりにすることになる。

少女の持っていた神機が、器用に銃に変形したのだ。

そのまま、マグニスの顔に向かって彼女はアサルト銃を乱射した。

「ぬおおおおおお!!?」

マグニスの顔が、何十発もの弾丸の嵐によって、弾幕の中に吸い込まれ、マグニスは膝を着いた。

「「!!」」

「変形…した…!」

少女の持つ赤い神機が長剣からアサルトに変形下のを見て、目を見開くサクヤたち。自分たちの持っている旧型の神機では不可能な可変式の神機…。

間違いなかった。

「あいつが…二人目の新型か」

と、ちょうどその時だった。

「リンドウさん、ウルトラマンだ!」

ギンガがグビラを抱え、グビラを地上に叩き落としてから地上に降り立った姿が見えた。

 

 

 

ピコン、ピコン、ピコン…

自身のポンチを切り抜けるために、わざと水中で電撃攻撃を行ったことで自分もまたダメージを受けていたギンガ。すでに彼のカラータイマーは赤く点滅を開始し、彼の活動限界時間を知らせていた。

だが、もう…負けない!ギンガは絶対の自信を抱いていた。なにせ、自分よりもグビラの方が深いダメージを負っているのだから。

「ぐ、くそぉ…小娘がぁ…よくも俺の目をぉ…!!」

マグニスは自分の苦境を痛感せざるを得なかった。決して認めたくないことではあったがそうするしかなかった。実験対象としてグビラはすでに満身創痍で、さっきのヘリから現れた新型ゴッドイーターの少女によって、実は彼は自分の目を片方潰されてしまっていた。右目から流れる赤い血はまるで血の涙のようだ。

「…今は退いてやるが、今に見ていろッ…!このマグニス様が必ず貴様らを八つ裂きにしてやる!」

捨て台詞を吐くと同時に、マグニスは空に飛び立つと、そのまま空気の中へ溶け込むように姿を消した。

「…逃げたか」

逃げて行ったマグニスをリンドウたちは追うことはなかった。負ったところで勝てるはずがないからだ。あの新型神機使いの少女がヘリから奴の目を撃ち抜いたからこそ退いてくれたのだ

もし目を潰されたまま奴がギンガに戦いを挑んでいたら、倒されていた可能性があった。

(マグマ星人め、相変わらず自分自らはすぐに手を下さない癖に、勝てないと思ったらすぐに逃げるか…)

逃げていったマグマ星人マグニスの消えゆく姿を、タロウも見届けていた。『弟』の一人から聞いていた通りだ。口がデカいくせに姑息な手を使っては逃げ足の速い奴だ。

とはいえ、ゴッドイーターたちにとってはアラガミ以上の脅威だったことに変わりない。アラガミや大半の怪獣にはない知性を持ち合わせている分、卑劣な手を使うなど、厄介な手を使う異星人は彼らウルトラ戦士が若い頃から何度も戦ってきた強敵だったのだから。

さて…後はギンガがグビラを倒すだけとなった。

「グギギギギ……グルアアアアア!!!」

最後の足掻きなのか、グビラが突進を仕掛けてきた。直線的で単調だったが速度が速い。ギンガは辛うじてそれを避けると、グビラはそのまま廃屋となった建物に顔を突っ込んだ。だが、なおもギンガを貫こうとグビラは瓦礫から顔を出して突進を仕掛けてきた。

(その動き…もう見切ったよ!)

グビラのドリルが突き刺さる寸でのところでジャンプ、さらにグビラを踏み台に高く飛び上がる。そして、勢いよく飛び降りると同時に、光の剣を振り下ろした。

「ショオオオオラアアアアアアア!!!」

ザシュ!!

「ギギャアアアアアア!!」

今の一太刀で、グビラの砲口はドリル諸共叩き斬られた。爆転で少し距離を開けると、グビラはもはやいつでも倒されるのを待つだけの雑魚モンスター状態に陥っている。尾びれや背びれ、顔…あらゆる場所にも結合崩壊を起こしてボロボロだ。

止めを刺すべく、ギンガは両腕をL字型に組んで必殺光線を放とうとした。

〈ギンガクロスシュー……〉

が、その時だった。

 

 

 

 

 

ババババババ!!!

 

 

 

 

 

「グゥオ!!?」

予期せぬ不意打ちが、ギンガの体を襲った。

弾幕の中に包まれ、さっきまでの戦闘ダメージと相まってギンガは膝を着いた。

その隙を突いてか、グビラはすでにボロボロの体を引きずりつつも水中に逃げ込んでしまった。

「な…!?」

これにはリンドウたちも驚愕するしかなかった。

一体誰がこんな時に邪魔を?

新しい敵でも出たのか?

 

しかし犯人は、あまりにも意外な人物だった。

 

「攻撃目標…補足」

 

それは、ヘリに乗っていたあの新型神機使いの少女だったのだ。

 

「!?」

 

自分がまさか、人間から…それもゴッドイーターから攻撃されるとは思いもしなかったギンガは動揺した。

 

だが、そんな彼の動揺をよそに、新型神機使いの少女はギンガに銃口を向ける。

 

その目に映る、人類の希望とされているはずの光の巨人、ウルトラマンギンガを…

 

憎悪を孕んだ目で睨みつけながら。

 

「アラガミは…全部私が殺す…ッ!」

 

バァン!!

 

少女の手によって再び、ギンガに向けて一発の銃弾が放たれた。

 




NORN DATA BASE

・深海神獣グビラ・グボロ
水中での動きも早く突進攻撃も強い衝撃を伴う。背中から潮を吹き、砲塔から角のドリルを出して貫くこともできる。ドリルを引っ込めている場合は水弾を発射して敵を攻撃することもできたりなど、『深海怪獣グビラ』とグボロの両方の攻撃能力を備えている。



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