仮面ライダー×仮面ライダー SAO大戦 作:BRAKER001
翌日、俺たちは迷宮区へ向かって歩いていた。
「いよいよか……」
「ああ」
昨日の夜、一波乱の後、俺たちはキリトからボスの情報を聞いた。
大方の情報は会議で聞いたものと変わらなかったが、所々注意点や対処法を織り交ぜてくれたため、より分かりやすかった。
だが、翌日俺たちに与えられた役割は周りに湧く取り巻きの殲滅であった。
「君達の強さは分かってるつもりだ。しかし君達のパーティの人数が少ない以上、こういう分担になってしまうんだ……分かって欲しい。」
と、ディアベルに押し切られ渋々了解した。
もっとも、それに納得のいかない人間もいる。
「あーもう! なんで雑魚退治なんだよ……俺達はボス戦に来たんだっつーの!」
「まったくだわ! ボス戦の邪魔をするなって言ってる様なものじゃない!」
この二人だ。
「まあまあ、周りの取り巻きを倒すのも大事な仕事だって」
「ボス戦なんて今後いくらでもあるからな、見返してやればいい。
そのためにも今は一層の攻略に集中するべきだろ?」
キリトと共に二人を落ち着かせようとしていると、
「おい」
今一番話しかけて欲しくないと言っても過言ではないくらいの人間の声が聞こえた。
「ええか、今日はジブンらはサポ役や。大人しく引っ込んどれよ」
と、余計な言葉を言いながらイガグリ頭が通り過ぎていく。
「……ウィザード、腰の短剣を抜こうとするのやめろ。」
「あんたもだ。その細剣から手を離せ」
今にもキバオウに切りかかりそうな二人をなだめる。
「あなた達は悔しくないの?」
「納得いかねぇだろ! だいたいあいつらよりキリトの方が……」
「止めろ、誰かに聞かれた時困るのはキリトだぞ」
「あ……わ、悪い……」
「ははっ……まあいいよ。確かに気にくわないかもしれないけど、とにかく今はボス戦に集中しようぜ!」
本当にこんな状態で本当にボスを倒せるのか……さすがにそれを口に出すことはできなかった。
時刻は12時半。俺達は最上階に到着した。
「最後にもう一度確認しておく。取り巻きのルインコボルドセンチネル相手に剣は分が悪い」
「だから俺達が止どめをさすんだよな」
「ああ、俺とブレイドが奴らの武器を跳ね上げさせるから、ウィザード達はスイッチして飛び込んでくれ。
ただし……」
「ダメージが入りやすいのは喉元なのね」
「そうだ、それさえ気にしていれば難しい相手じゃない」
キリトの指示を頭に入れ、整理する。大丈夫、他でもない経験済みのキリトが言うんだ、心配はないだろう。
「ただ、これだけは忘れないでくれ、これはあくまでも……ベータ時の情報だ。くれぐれも油断はしないでくれ」
安心していたところに忘れかけていたことを言われる。
そうだ、これは命がかかっているんだ。
一瞬の油断が死に繋が……死?
そこまできてあることを思い出す。今までの混乱のせいで忘れていたこと。
……俺に死なんて言葉は無縁じゃないか。
だが、だからと言ってこの世界で簡単に死ぬ訳にはいかない。この世界でも現実でも何が起きるのか分からないのだから。
とはいえ、万が一誰かに危険が迫ったら……
「ブレイド?」
キリトの声で現実に引き戻される……この世界を現実と言うのかは怪しいが。
「どうした……大丈夫か?」
「いや、少し考え事をな」
「まあ初めてのボス戦だからな、警戒するに越したことは無いさ」
「ああ、そうだよな……」
考えていることは違った。だが説明するわけにもいかない。
「みんな!」
ディアベルがボス部屋の扉の前で呼びかける。
「俺から言うことはたった一つだ、勝とうぜ!」
余計なことを考えるのは止めよう。今は目の前のことが最優先だ。
「行くぞ!」
ディアベルが扉を開け放つ。
「攻撃開始!!」
こうして俺達の初めてのボス戦は幕を開けた。