仮面ライダー×仮面ライダー SAO大戦 作:BRAKER001
SAOでの初めての知り合いが出来ます。
あれから約一ヶ月が経った。しかし未だ第一層をクリア出来た者は誰もいない。
それどころか死を恐れて始まりの町に引きこもってしまった人間も少なからずいた。
そんな中俺達2人はというと、
「晴人、スイッチ!」
「任せろ!はああ…おりゃあ!」
レベル上げに勤しんでいた。
パリィィン
晴人の攻撃で目の前の敵が砕け散る。
「ふぃー。やっと13レベだ」
「俺もまだ15レベだ。
そろそろレベルが上がりにくくなってきたな……」
「今度こそ向かうか?……迷宮区に」
「もうその時かもしれないな。安全なレベルは越えてるし、これ以上犠牲者を出さない為にも……」
SAO開始当日、あのチュートリアルの後、俺達は2人でひたすら第一層を
駆け回った。
茅場の言っていた迷宮区へ真っ先に辿りつくため、誰かがやられるより先に第一層のボスを倒すため。
そして3日後、俺達はそれらしき場所を見つけた。
既に2人ともレベル5であり、一層ならクリア出来るだろうという根拠の無い自信があった。
だが、迷宮区の難易度は俺達の想像を遥かに越えていた。
道中の雑魚とは桁が違い、迷宮区のモンスターを一体倒すのに二人ともHPバーを三割程削られてしまった。
まだまだ奥には同じようなモンスターが多くいたため、俺達は仕方なく撤退し、レベルを上げることにした。
そして今、俺達はあの時よりも強くなった。おそらく、もう迷宮区のモンスターも簡単に倒せるくらいに。
「もう約2000人が死んでるんだよな……」
はじまりの街には黒鉄宮という宮殿がある。
そこには様々な重要施設があるのだが、その中でも一際特殊なのが生命の碑と呼ばれる石碑だ。
この石碑にはプレイヤー全員の名前が書いてあり、プレイヤーが死亡すると名前に横線が引かれるという仕組みらしい。
そして、横線が引かれた人数は既に2000人にのぼっている。
「俺達は一刻も早く第一層をクリアしなくちゃ行けないんだ。
今まで犠牲になった人達のためにも……」
「だな……よし!じゃあ一度町に戻ってから準備を整えて、もう一回迷宮区へ向かおう」
「ああ!」
そして俺達はアイテムや装備を整理して、再び迷宮区へ向かった。
「さあ、リベンジと行こうじゃねえか……」
「ああ、やってやろうぜ一真! 」
俺達は迷宮区の前に戻ってきた。約一ヶ月ぶりに。
「あ、そうだ一真、これ」
「ん?」
晴人が渡してきたのは銀色の腕輪だった。
「道中で敵が落としたんだ。
俺には指輪があるから一真にやるよ。」
正直あまり強い効果ではなかったが、今は不思議と心強かった。
「サンキューな、晴人!」
そして俺達は迷宮区に再び足を踏み入れようとした。
「そこの君達!」
ふと呼ばれた声に振り向くと、一人の青年が立っていた。
「こんなところで何してる?」
「見て分からないか?
今からボスを倒しに行く」
「正気か?
たった二人で敵うような相手じゃない!
そんな簡単じゃないのは今までの犠牲者から分かるだろう。」
「その犠牲者の為にも俺達は早く一層を突破するべきだ。」
そう言うと青年は黙り込んだ。
「言いたいことは済んだか?
なら、もう行かせてもらう」
晴人の声と共に、再び迷宮区に入ろうとした時……
「君達は自分が死ぬかもしれないとは考えないのか?」
再び青年が尋ねてきた。
確かにこれは遊びではない、普通なら命がかかっているのだ。
だが。
「そんなこと考えてたら、いつまでたってもこの世界からは出られないさ」
死を考えていたらこの世界で進むことは出来ない。
それを聞くと青年は静かに笑った。
「ふふっ……確かにその通りだな。
だが、死ぬ可能性を下げることを考えるのは無意味ではないだろう?」
「何が言いたいんだ?」
青年の意味ありげな発言に、晴人が首を傾げる。
「もっと多人数で挑むべきだということさ」
確かに理には叶っている。だがそれは理想論というものだ。
「人を集めていたら、その間にまた犠牲者がでるかもしれない。
それに、今更ボスに挑もうとする人は……」
「いるさ、君達のようにね」
今度は俺達が黙る番だった。青年はさらに続ける。
「明日、トールバーナで第一層ボス攻略会議を行う予定だ。
君達のような人こそ、是非参加してもらいたい」
俺は晴人と顔を見合わせた。
「この世界を終わらせようと思っているのは君達だけではないさ。
それに、君達が死んだりしたらこのゲームのクリアが遅れる可能性もある。」
「どういう意味だ?」
「おそらく上層に行けば行くほど人手が必要になるだろう。
その時、君達のような人間が多いほど、ボスを倒せる可能性が上がるはずだ。
この世界で死を恐れず、前に進める人間は貴重な人材だからね」
俺達は驚いた。
そんなことは考えたこともなかったのだ。未来など目も向けず、今しか見ていなかったのだから。
「さて、話は以上だ。
俺には君達を止める権限は無い。
今からボス戦に行くなら行ってもらって構わないよ」
俺達はしばらく考え込んだ。
しばらくして晴人が口を開いた。
「はぁ……なんか難しい話して疲れたわ。
こんな気分でボスに挑んでも勝てる気しないな……」
そう言いながらも晴人の口元には笑みが浮かんでいた。
「そうだな、今日はトールバーナまで戻って休むか」
それを聞くと、青年も笑みを浮かべる。
「そうか、では俺は明日の準備があるから失礼するよ」
「待てよ、まだあんたの名前を聞いて無い」
晴人に言われ、帰ろうとした青年が振り返る。
「そうだったね。
俺の名はディアベルだ、よろしく!」
「俺はウィザード。で……」
「俺はブレイドだ。よろしく」
「ああ、よろしく」
握手をした後、ディアベルが思い出したように口を開いた。
「そうだ。どこで誰が聞いてるかわからないから、あまりリアルネームを使わない方がいいよ?
一真君に晴人君」
俺達は苦笑いするしかなかった。