仮面ライダー×仮面ライダー SAO大戦 作:BRAKER001
いよいよ本格的にSAO開始です。
デスゲーム開始
目を開くと、そこには大きな街が広がっていた。
ただし、現実とは全く違い、ゲームの中のような街だ。
そう、ゲームの中のような。
「すげぇ、本当にSAOの世界なんだ……」
街を端から見て行きたいが、まずは晴人との待ち合わせ場所に行く。
装飾品店の前にいくと顔立ちのいい青年が商品を見ていた。他にも数人いたが全て女性だったためおそらく彼が……
「晴人?」
青年が振り向く。
「お、一真か、久しぶり」
晴人だった。
「いやぁ……正解だったな、待ち合わせここにして」
「だろ?最初は混まないと思ったからさ」
装飾品店を待ち合わせ場所にしようと言ったのは晴人だった。あまり待ち合わせ場所に使われず、混まなくて分かりやすいところはここしか無いと言うのだ。
確かに始まってすぐは武器店や防具店に人が群がっていて、ここには人が少なかった。
「さて、じゃあ行きますか」
晴人が何かを購入した。
「何買ったんだ?」
「ん?これ」
晴人が指輪をはめる。
「別にたいした効果は付いてないんだけど、普段つけてるから落ち着かなくてさ」
そういえば前にもつけていた。変わったファッションだと感じたが。
「あ、そうだ。フレンド登録しとこうぜ」
晴人がメニューウィンドウを開き、操作をする。と同時に、俺の前にウィンドウが表示された。
『wizardからフレンド申請が届いています』
「wizard…魔法使いか」
申請を許可しながら呟く。
「そういうそっちはbladeだろ?この剣の世界で随分と自信のある名前だな〜」
晴人が茶化したように笑う。頻繁に人に見られる訳でもないし、ついこの名前にしてしまった。後悔は無いが。
「じゃ、街を見ながら装備を整えるか」
「そうだな、剣が無いと始まらないし!」
俺たちは装備を整えることにした。
「こうして……はっ!」
「一真は手慣れてるなぁ……おっと」
「剣には覚えがあるからな」
ある程度装備を整えた俺達は街を出てモンスターと戦っていた。晴人も俺も慣れないながらも段々とコツを掴んできていた。
「しっかし難しいなぁ……このソードスキルってやつ。なかなか発動しないぞ」
「そうか? 慣れてくると案外簡単だぞ?」
苦戦している晴人とは裏腹に、俺は無理なくソードスキルを発動出来る様になっていた。
「一番最初にちゃんと判定されるようにモーションを起こすんだよ……こんな風にっ!」
ソードスキルを発動し、目の前の敵を斬りつける。
「今のが一番楽なスラントってスキル。晴人もやってみ?」
「分かった。こうやって……おりゃあ!」
「お、出来たじゃん!」
「なるほどね……ありがとう、少し分かったよ」
「どういたしまして」
気がつくと周りにも人が増えてきた。
「どうする?そろそろ移動するか?」
晴人が提案してきた。
「少しコルも増えたし、町にでも行ってみるか」
「そうだな、じゃあ狩りながら向かうか!」
俺達はモンスターを倒しながら隣町へ向かった。
「……どうする? 一真」
「いや、どうするも何も……」
道なりに敵を倒しながら進むこと数分。
これといった問題もなく、隣町に着くはずだったのだか……
「グルルルル……」
俺達はトラの様なモンスターと向かいあっていた。
大きさは今まで戦ってきたやつの約2倍。さらにHPバーが二本表示されていた。
剣崎「あれ、今のレベルで巡り合うはずの敵じゃないよな……」
どう考えても雑魚モンスターではないだろう。
まだ数レベしか上がっていない俺達が倒せるかは賭けのようなものだ。だがそれに見合う報酬がもらえる可能性も低く無かった。
「一か八か……戦ってみるか?」
ゲームなのだし、最悪死んでもまだ失うものは少ない。そう判断した上で、俺は晴人に尋ねた。
「いいねぇ。そういう賭け、嫌いじゃないよ」
俺達は剣を握り、同時に走り出した。
「はぁ…はぁ…」
俺達はなんとかモンスターを倒した。
目の前には手に入れたアイテムのウィンドウが出ている。
「猛獣の毛皮……これだけかよ……」
手に入ったアイテムは一つだけだった。晴人の方には何も無いという。
全力で戦った割に、あまり良いとは言えない報酬だろう……
「まあそう落ち込むなって!もしかしたらとてつもないレアアイテムかもしれないだろ?」
晴人が俺を励まそうとしてくれる。確かに、使い道が分からない以上なんとも言えない。
「そうだな……とりあえず街に戻るか」
誰かこのアイテム使い道を知ってる人がいるかもしれない。
それに、ポーションや、アイテムの量からしても限界だった。
「あ〜俺はそろそろ一回休憩するわ。友達もやりたがってるだろうし」
「そうか……まあ確かに時間も時間だもんな。」
もうすぐで始めてから四時間になるところだった。気づかない内に熱中してしまっていたらしい。
「じゃ、また今度。多分また明日には入るよ」
「ああ、そんときはメッセージ送ってくれ。レベル引き離してても驚くなよ?」
「ははっ、お手柔らかに」
晴人がメニューを開く。
そしてしばらく操作をして……
固まった。
「あれ? ログアウトボタンがない」
「え? いや、それはないって。メニューの下の方に……」
そして俺も気づいた。
本来ログアウトのマークがあるべき場所に何もないことを。
「あれ、おかしいな……確かにない」
「だろ? 何かのバグかなあ……」
「いや、でもそれだったらゲームを一回止めるくらいすると思うけど……」
瞬間、目の前が白くなった。
「なっ……」
そして目の前に映し出されたのは
「ここは……始まりの町か?」
「そうみたいだな……」
隣を見ると晴人がいた。
「強制的に飛ばされたみたいだな。他のプレイヤーも飛ばされてきてるし、何かやるんじゃないか?」
晴人がそう言ったそばから、空にWARNINGと表示されたウィンドウが表示される。
と、同時に警報が鳴りはじめ、同じ形のウィンドウで空が覆われた。
「なんだこれ!?」
「不具合の説明ってわけじゃなさそうだな……」
目の前に映し出されたそれは、どう見ても明るいものでは無かった。
やがてウィンドウの隙間から血のような物が垂れ、それが一つに重なり人のような形になる。
そして、とんでもないことを話し始めた。
「プレイヤー諸君、私の世界へようこそ。
私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ」
「茅場晶彦!? それって……」
「ああ、このゲームの製作者だ」
俺は何度もその名前を見てきた。SAOを調べていれば必ず目に付く
名前だ。
そしてさらに驚くべきことを続ける。
「プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。
しかしゲームの不具合ではない。
繰り返す。これは不具合ではなく
ソードアート・オンライン本来の仕様である。
諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトは出来ない」
「は? あいつ何言ってんだよ……それじゃあ俺達は現実に戻れないってことじゃねぇか!」
「いや、でもそれなら現実の方で誰かが外してくれれば……」
「また、外部の人間の手による、停止あるいは解除もあり得ない。
もしもそれが試みられた場合。ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる」
「おいおい、冗談にも程があるぞ……そんなことできるわけ……」
「いや、可能性はある」
「嘘だろ?」
「SAOを調べてる時に少し見かけたんだ……ナーヴギアが危険なんじゃなかいかって意見をな。
なんでも仕組みが電子レンジに近いらしい……」
「そんな……いや、ならコンセントを抜けば!」
「説明書にあったろ? ナーヴギアには停電時用にバッテリーがついてる」
「くそっ、じゃあ一体どうすれば……」
俺達の混乱なんか気にもとめず、茅場はさらに話を続ける。
「ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制排除を試みた例が少なからずあり、その結果……
残念ながら、すでに213名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している」
「永久退場って……」
俺は言葉も出なかった。
茅場の言っていることはつまり……
既に213人の人間がこの世界でも、そして現実でも死んだということだ。
「諸君の現実世界の肉体は心配ない。
既にテレビ、ラジオ、インターネットで告知されると同時に死者が出ている事を繰り返し放送している為、ナーウギアが強制的に解除されて死ぬ可能性はない。
諸君らは安心して攻略に励んでくれたまえ。
しかし充分に留意してもらいたい……
今後ゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能せず、ヒットポイント(HP)がゼロになった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し、同時に諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される」
「おいおい……そんなのありかよ! じゃあ一体どうしろって言うんだよ!」
「落ち着け、晴人」
「でも!」
「気持ちは分かる。
だがあいつの言うことが本当なら俺達はあいつの言う通りに行動するしかない。
今は少しでも、あいつの話を聞くんだ」
「くっ……」
俺達は再び茅場に目を向けた。
「諸君らが解放される条件はたった一つ……
このゲームをクリアすれば良い。
現在君達がいるのはアインクラッドの最下層、第一層である。
各フロアの迷宮区を攻略しフロアを倒せば上の階に進める……
第百層にいる最終ボスを倒せばクリアだ」
「なるほどな、命をかけてゲームをクリアしろってことか……」
「そんな……無理に決まってるだろ……
1度も死なずにこのゲームをクリアしろって言うのかよ……」
「では最後に、諸君らのアイテムレージに私からのプレセントがある確認してくれ」
「プレゼント?」
言われるままストレージを見ると、そこには手鏡というアイテムがあった。
「うわっ!」
「どうした、晴……な!?」
晴人から悲鳴が聞こえた直後、手鏡が光りだす。
少しして光がおさまった。
「なんだったんだ……今の……」
「分からない……とりあえず無事みた……な、一真⁉︎」
「どうした晴……お前!?」
目の前には晴人がいた。アバターではなく現実の姿の。
慌てて先ほどの鏡を見るとそこには現実の自分が写っていた。
なるほど、確かに人を殺せるナーヴギアならこれくらいのことはできるだろう。
「なんだこれ……一体どうやって……」
「ナーヴギアは頭を覆っている。
それに初回起動時に体のあちこちを触ったからな。
現実の姿にする位お手の物ってことか……」
「なるほど……でも一体なんでこんなこと……」
「さあな……でも、すぐに教えてくれるんじゃないか?」
見計らったかのように再び茅場が話し出した。
「諸君は今、なぜ私がこんな事をしたのかについて考えを巡らせているだろう。
なぜ―――SAOの開発した茅場晶彦がこんな事をしたのか。
これは一例だと、テロかもしくは身代金目的の誘拐か?と。
私の目的はそのどちらでもない、それどころか私には一切の目的がない。―――何故ならこの状況こそ私の最終目的だからだ。
この世界を創り、人々を配置し、鑑賞する為にSAO及びナーウギアを開発したのだ。
故にすでに私の目的は既に達成されたのだ………
以上でSAOの正式サービスのチュートリアルを終了する。」
そう言い残すと茅場は姿を消し、空が元に戻った。
だか、周りの人間は元には戻らなかった。
悲しみと恐怖に支配され涙を流す者、わけが分からずパニックを起こす者、中には言い争いを始めるものまでいる。
今や人ではない彼は思い出した。
かつて人間が絶滅の危機に瀕したことを。
手に指輪をはめた青年は思い出した。
かつて一人の男が娘のために行った儀式を。
この光景はその時の人々の反応に近いものがあった。
「茅場晶彦……」
「許せねぇ……」
そして彼らは決意する。
「「俺がこのデスゲームをクリアして見せる!!」」