仮面ライダー×仮面ライダー SAO大戦   作:BRAKER001

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振るわれる剣

「あの武器の攻撃パターンは俺の知る限りでは5パターン、打ち下ろしと上下切り、突き、居合切り、そして範囲攻撃だ」

 

 キリトが説明を始める。

 

「打ち下ろしと突きは威力は高いが、よく見れば避けるのはそう難しくないはずだ。

範囲攻撃はさっきも言った通り、取り囲まなければ飛んで来ない」

 

「さっきC班が受けてた攻撃よね?」

 

「そうだ、一度見てるから分かりやすいと思う。

問題は上下切りと居合切りだ。

まず上下切り……これはあいつの前方に立つと来る攻撃なんだが、威力が高い上に2連撃で来る。まともにくらえばひとたまりもない。

それにモーションが打ち下ろしと同じで、見分けづらいんだ」

 

「じゃあ打ち下ろしのモーションの時点で避ければいいか?」

 

「ああ、その通りだ。2撃目がくるかどうか関係なく、奴が武器を振りかぶったタイミングで避けてくれ。

次に、居合だが……これもかなり厄介だ。

モーションが始まってから避けても遅いくらいに流れが速い。常に警戒してくれ。

 

皆、今回の目的はあいつを倒すことだ。だが、絶対に無茶はしないでほしい」

 

「危なくなったらすぐに逃げるから安心しろって! で、具体的にどうすればいいんだ?」

 

「ああ、まずは……」

 

 キリトに手短に作戦の説明を受けると、俺たちはボスに向き直った。

 

「よし、行くぞ!」

 

「おう!」

 

 キリトの合図で一斉に走り出す。

 まずは俺と晴人が先行する。

 

「いいねえ、こういうの。仲間と何かを成し遂げようとする感じってさ!」

 

 並走している晴人が呟く。

 

 仲間……か。

 数年前の記憶が蘇る。おそらくもう会うことのないかつての仲間。

 

そして思い出す、かつての決意。

(戦えない大勢の人達の代わりに……俺が戦う!)

 

 そうだ、まだ恐怖に怯え始まりの町から出れずにいる人達が少なからずいる。

 だからこそ、こんなところで終わるわけにはいかない!

 

「ふふっ、そうだな。絶対あいつを倒して二層へ行こうぜ!」

 

「ああ。さぁ……ショータイムだ!」

 

「ショータイム……?」

 

「あ、つい癖で」

 

「どんな癖だよ……お、来るぞ!!」

 

 コボルトロードが武器を構える。

 

「あの構えは……打ち下ろしか!」

 

 グオオオオオオオオッ!

 

 雄叫びと共にコボルトロードが武器を大きく振る。

 

「ふっ!」

「よっと!」

 

 勢いを殺さぬまま、俺たちはジャンプで横へと飛んだ。

 

『まず、ブレイドとウィザードの二人は二手に分かれてあいつの側面を攻撃しながら後ろに回ってくれ。』

 

 そして攻撃を避け終わった時、俺達は綺麗に二手に分かれていた。

 俺が左で晴人が右。レベリングの時も、大型モンスターと戦う時はいつの間にかこのパターンでやるようになっていた。

 そして決まっていたのは、攻撃の順番なんかもだ。

 

「おらっ!」

 

 まずはリーチのある俺が軽く攻撃をする。

 

 そして敵がこっちを見たタイミングで……

 

「はああ……」

 

 晴人の短剣が光を帯びる。

 

「おらっ!」

 

 斜めに切り上げる晴人のソードスキル、《シャープ・スライス》がコボルトロードの足を捉える。

 

 ウガアアッ!

 

 雄叫びと共に晴人に向き直る。すかさず今度は俺がモーションを起こす。

 

 横水平切りの片手剣ソードスキル《ホリゾンタル》。

 これまたコボルトロードの足にヒットする。

 

 ガァッ!

 

 今度はボスがこちらに向き直る。

 

 あとはこの繰り返しだ。とはいっても、一歩タイミングを間違えたりすれば硬直状態のままボスの攻撃をまともにくらう可能性もある。

 だが俺達は何度も戦う中でお互いのスキルを把握した。おまけに今はキリトのくれた知識もある。

 

 キィィィンッ!

 

 こちらを向いたままコボルトロードの刀が光を帯びる。

 

 あれは…突きか。

 

 前方にジャンプしてかわす。と同時に向こうで晴人がソードスキルを打ち込む。

 

 そんなことを数回繰り返している内に正面まで回り込んだ。

 

『そうすれば完全にボスのヘイトは二人に向くはずだ。そのタイミングで…』

 

「俺たちが叩く!」

 

 ガッ⁉︎

 

 キリトの声にコボルトロードが首を向ける。だが、遅い。

 

 キリトの突進系ソードスキル《レイジスパイク》と、少女の単発ソードスキル《リニアー》がコボルトロードの背中を捉えた。

 

 背中などには補正が働き、ダメージが上がるらしい。

 だがここまでの猛攻をもってして、コボルトロードのHPゲージは2割弱しか減っていなかった。

 

「うわっ、あれだけかよ……」

 

「まだまだっ!」

 

 声と共に、キリト達が俺たちのところまで回り込む。

 そして今度はキリトと俺が、それぞれコボルトロードの横に向かった。

 

『一度正面まで行ったら今度は俺とブレイドが側面から足を攻撃する。刺突系の二人は正面から頼む』

 

 キリトの話によるとどうやら転倒というボスのバッドステータスがあるらしく、それを狙うには足を切るのが一番やりやすいらしい。

 

「はああっ!」

 

 向かいにいるキリトの剣がライトエフェクトを帯びる。

 

 そしてキリトがソードスキル『バーチカル』を発動させると同時に、俺も剣を構えた。

 

 

 

 

 

 

「ふっ!」

 

 武器が振り下ろされるのを避け、敵の硬直を待つ。

 

(ここっ!)

 

 そして相手の手に剣を突き刺す。

 と言っても所詮は普通の攻撃なので、与えたダメージは注意して見てやっと減ったと分かる程度だ。

 

(やっぱソードスキルじゃなきゃこの程度……でも)

 

 大きく後ろへ飛ぶ。と、同時にボスが硬直から戻り、先程まで自分がいた場所を斬りつけた。

 

『ただ、正面はかなり危険だ。回避を最優先にしてくれ。

攻撃するとしてもソードスキルを使ったりしなくていい』

 

(って言われたものね……とはいえ、これじゃ全然ダメージが入らないじゃない)

 

 キリトとブレイドのソードスキルがボスのHPを削っているものの、時たまボスがそちらを狙うこともあるため大きく削れずにいる。

 

(彼の……ベータテスターの言うことを信じてないわけじゃないけど、転ぶ気配すらない)

 

「スイッチ!」

 

「!!…了解っ!」

 

ウィザードの声で我に返り、慌ててスイッチする。

 

「おらっ! っと……考え事は後にしようぜ。今はこいつを倒すことに集中しないとな!」

 

「わ、分かってるわよそんなこと!」

 

「そ? ならいいけどっ!」

 

 ウィザードが飛ぶと同時にボスが武器を振るう。

 

「スイッチ!」

 

 そして今度は私が前に出る。

 

(全くもう、なんなのよあの人は……)

 

 会った時から訳のわからない人だったし、どこかふざけているようでイライラする。

 しかし同時に何故か懐かしい感じもする。

 

(でも会ったことなんかないわよね、顔は本物のはずだし……ん?)

 

ボスがソードスキルのモーションを起こした。

 

(あれってさっきの振り下ろしよね……なら!)

 

 ボスの剣が振り下ろされるのを横に飛んでかわす。

 

(そこっ!)

 

 そしてその手を目掛けてソードスキルのモーションを起こした。

 

……が

 

(あれっ、何か違う……こんなに長く光ってたっけ?)

 

 ボスの武器はそこでライトエフェクトを失わなかった。そして、

 

 向きを変えこちらへ迫ってきた。

 

『モーションが打ち下ろしと同じで見分けづらいんだ』

 

(……打ち下ろしじゃ、ない!?)

 

「なっ……避けろっ!」

 

 慌てて避けようとするがすでに《リニアー》が発動してしまっていた。

 

(何してんのよ……私は!)

 

 つくづく自分を馬鹿だと思った。だが今更もう遅い。ならせめてこの攻撃だけは…

 

 ボスの腕に一撃を与える。

 と、同時にボスのソードスキルが私に当たる……

 

 はずだった。

 

「全く……手間かけさせるなよっ!」

 

 攻撃が当たる直前……私の前にウィザードの姿が見えた。

 

 直後、私達はボス部屋の端まで飛ばされた。


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