俺の新たな高校生活と2人の姉妹   作:ブリザード

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第6話です。
ではどうぞ〜。


第6話 トモダチ作り

「……ふふ、これでよし。完璧な作戦だわ。喜びなさい黒虎。次の日曜日に一条楽はあなたのものとなるわよ」

 

ポーラが携帯を見て独り言を言いながら笑っている。何か、はたから見ると少し不気味な感じだ。

 

「なぁ、ポーラ」

 

「……………………」

 

「おーい」

 

「……………………」

 

返事はない。仕方ない……こんな事で気をひくのはどうかと思うのだが…………

 

「ポーラ……お前、Bカップあるのか?」

 

「なっ!!あるわよ!多分!」

 

顔を真っ赤にしながら俺に怒鳴る。やっと反応してくれたよ。こういう事言わないと反応しなさそうだったし。

 

「多分って……自分のスリーサイズくらい把握しとけよな」

 

「う、うっさいわね!あんたにそんなこと言われる筋合いはないわ!」

 

あんたと呼ぶという事はおそらく俺の名前はまだ覚えられていないようだ。

 

「それより、さっき何考えてたんだ?」

 

「……別に。あんたには関係ないわ」

 

そう言ってポーラは立ち上がり教室を出ようとする。

 

「おい、もうすぐ授業始まるぞ」

 

俺の言葉を無視してポーラは教室を出て行った。

 

「…………何だ?」

 

「すごいね、凪君……あんなにポーラさんと仲良さそうに喋って」

 

「ん?あぁ、小野寺。おはよう」

 

いつの間にか俺の隣に驚いたような顔をして俺を見ている小野寺が立っていた。

 

「一体どんな事をしたらあんな風に仲良く話せるの?」

 

「お前にはあれが仲良くに見えたのか?」

 

「だって、私が話しかけても軽く無視されるだけだから……」

 

ポーラは全然授業を受けたり、教室に来ないためクラスから孤立していた。それをなんとかできればいいと思っているのだが。

 

「いや、大したことは言ってない」

 

「へぇ、凪君にしたらまだあまり仲良くない女の子にスリーサイズを聞く事は大した事じゃないんだ〜?ふーん」

 

そう言って、俺の隣の席の風はメモ帳に何かを記録していた。しまった、こいつがいる事をすっかり忘れていた。

 

「えっ、黒崎君は女子にそんな事を聞く人だったの」

 

「い、いや、待て、誤解だ!」

 

「誤解じゃないよね〜?さっき聞いてたの私見たもん」

 

くそ、風が変な事を言い出した時から何かこいつとは何か不思議な感じがする。てか、風の奴、昔より俺の事をからかってきてくる。

 

「い、言っとくけど私のスリーサイズは教えないよ!」

 

「いいよ、別に。ポーラのは話しのきっかけを作るために止むを得ずそうしただけだから」

 

「あれ?そうなの?」

 

「そうだよ。大体、お前に直接スリーサイズ聞くなら、風に聞くよ。なぁ、風?」

 

そう言って俺は風の方を向く。すると、風は悩んだような顔をした。

 

「う〜ん、知ってるには知ってるけど……………………教えると思う?」

 

飛びっきりの笑顔でそういった。その顔を俺にこう言ってるような感じがした。

 

『春をそんなエロい風な目で見てたら凪君でも許さないよ』

 

「りょ、了解です。風様」

 

「ならばよし」

 

やっぱり風は怖いかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜日

 

「なぁ、小野寺ー」

 

「何ー?」

 

「どうやったら、ポーラと仲良くなれると思う?」

 

今日は俺のバイトの日。今日は小野寺と2人で自転車に乗って配達に行ってきた。俺が次からは1人で配達できるようにと、今日は特別に小野寺と一緒に来ている。そして、今はその配達の帰り。小野寺が俺の後ろで俺の方に掴まりながら後ろに座っている。

 

「そんなの私もわからないもん。私だって仲良くなりたいし…………そう考えたら私はその質問を黒崎君にしたいよ」

 

「俺?だから、俺はあいつと仲良いわけじゃないって」

 

ただ、変な事(向こうのスリーサイズ聞いただけ)をしただけなのに。そんなに仲良く話してるように見えたのか?

 

「仲良いっていうのは俺と風みたいな奴を指すんだ。あと、俺と小野寺とか」

 

「そ、そうだよね…………」

 

(仲良いって言われた。なんか嬉しいな…………)

 

「それで、どうしたらいいと思う?」

 

「うーん……遊びに誘ってみるとか?」

 

「今、まともに絡めてない時点でそれは無理だろう」

 

「じゃ、じゃあまずお昼ご飯を一緒に食べる事から」

 

「あいつ昼休みっていつもどこにいるんだ?」

 

「じゃあポーラさんと一緒に学校に向かう」

 

「あいつってどこに住んでるんだ?」

 

ダメだ、何個か候補を挙げてみたものの1つもできるものがなさそうだ。何だこれ?虚しい。

 

「ダメだね。こうなれば明日もスリーサイズを聞いて話を盛り上げるしか」

 

「そんな事したら風ちゃんきっと怒るよ?そして、私も2度目は許さない。ポーラさんも女の子なんだよ?」

 

「よし。この案は却下だ」

 

男じゃないって?小野寺と風に怒られるくらいなら男をやめてやる!

 

「しかしそうとすればどうしたものか………………ん?」

 

坂道を自転車で下っていると、林の方から人が3人出てきた。そのうちの1人がなんだかぐったりしていてとても苦しそうにしているのが見える。

 

「あのー、すいません。なんか具合悪そうですけどどうかしましたか?…………って」

 

自転車を止めその人達の前に止まると、そこに立っていたのは一条先輩とポーラと俺の知らない胸の大きい女の人。…………これは強烈だ。

 

「黒崎君、何エロい目でその人を見てるの?」

 

「いや、えっと、その…………すいません」

 

「風ちゃんに報告だからね」

 

やばい。死刑宣告をされているような感じだ。

 

「それより先輩。どうしてここに?」

 

「春ちゃんこそ!」

 

「私は配達の帰りで…………」

 

「ちょうどよかった。実はカクカクシカジカで!」

 

「えっ!?それは大変!!すぐに病院に行かないと。後ろに乗せてあげてください」

 

すげえ。カクカクシカジカで今の状況がつかめるんだな。俺にわかるのはその女の人がとてもぐったりしていて辛そうだという事だけなのに。

 

「……あれ?ポーラさん!え、なんで?ポーラさん、先輩と知り合いだったの!?」

 

どうやら小野寺はポーラの存在に気づいてなかったようだ。

 

「…………あなたはブラックタイガーの知り合いなの?」

 

「ブラッ…………ううん、ちらっと見ただけだけど」

 

ブラックタイガー?何かのコードネームなのか。それとも、ただの名前がわからないけどそういう名前なんだな。

 

「だったら、どうして助けてくれるの?」

 

「なんでって……よくわかんないけど、ダメ?」

 

そう言うとポーラは驚いたような顔をしていた。

 

「ほら、ポーラも乗れ。早く病院に連れて行ってやらないと」

 

「あんた…………あんたは何で?」

 

「俺の性分は『困っている女の子や助けないといけない女の子がいたら助ける』だからな。嫌だと思われても助けさせてもらうぞ」

 

2人が自転車の後ろの荷台に乗ったのを確認して自転車を走らせる。…………あ、一条先輩忘れてた。まぁ、いいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

俺と小野寺が教室に着くと、ポーラは頬杖をつきながら不機嫌そうな顔をしていた。

 

「おはよう、ポーラさん。今日もちゃんと学校来たんだね」

 

「昨日は大変だったな。あのあと大丈夫だったか?あの人……ブラックタイガーだっけ?ただの風邪で済んでよかったな」

 

俺たちは話しかけるがポーラはシカトしてくる。

 

「今日はちゃんと授業受けるの?初めてでしょ、授業受けるの。わからないことがあったら何でも」

 

「ちょっといいかしら?」

 

小野寺がずっと話しかけているとやっと反応してくれた。

 

「気安く話しかけないでくれる?私まだあなたと仲良くなったつもりないんだけど」

 

「えっ?」

 

ポーラはずっと話しかけていた小野寺に冷たい態度をとる。

 

「なるほど。あなたと仲良くなってないという事は俺とは仲良くしてくれるわけだ」

 

「んなわけないでしょ!!あなたもおんなじよ!」

 

「そんなこと言わずに仲良くしようぜ。ほら、板チョコあげるから」

 

「!!?…………そ、その手には乗らないわよ」

 

あれ?今ちょっと食いついた?もしかしたら……

 

「そうか。折角、板チョコあげようとしたのにいらないのか。仕方ない。じゃあ、俺が食べるか」

 

俺は板チョコの封を開けてポーラに見せつけるようにして食べようとする。

 

「うっ…………」

 

「何?食べたいのか?」

 

「な、何言ってるの!私はヒットマンよ。そんなのいらないわ!」

 

「そうか。じゃあ俺が……」

 

「あっ!」

 

口の中に入れようとする素振りを見せるとポーラは反応する。口から遠ざけるとそっけない態度をとり、近づけるとこっちに向き反応する。

 

「そんなに食いたいなら半分やるよ」

 

板チョコを半分割ってポーラに渡す。すると、ポーラは口元からよだれを垂らした。

 

「…………あ、ありがとう」

 

そう言ってチョコレートを食べ始めた。

 

「なるほど。お菓子が好きなのか。これを使えばもっと仲良くなれるかも」

 

よし。この作戦は頭の中に置いておこう。きっと、また使えるはずだ。

 

「なるほどー、凪君は巨乳の女の子がすきだけではなく、クラスメイトの女の子をチョコレートで釣る、と。3年一緒の学校じゃなかっただけでここまで変わるんだ〜」

 

隣の席の風が笑みを浮かべながらメモ帳に何かを書いている。おそらく、今の俺の行動だろう。

 

「ちょ、ちょっと待て。誤解だ」

 

「誤解じゃないよね?私今しっかり見てたもん」

 

「うっ!!…………頼むから他の人にはばらさないでください」

 

「んー、どうしようかな〜」

 

……どうやら俺はこういうことに関しては風には一生勝てないようだ。そう思うと俺の目から一粒の涙がこぼれ落ちた。




どうでしたか?
ポーラと少しは仲良くなれたはずです。
感想と訂正があればお待ちしております。

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