俺の新たな高校生活と2人の姉妹   作:ブリザード

5 / 36
第5話です。
ちょっと話を原作と変えました。
それではどうぞ〜。


第5話 命のオンジン

「はあぁ〜〜〜…………」

 

月曜日。昼休みになると、小野寺がいきなり呻き声を上げる。何かあったのだろうか?

 

「どうしたの春?」

 

「あ、風ちゃん」

 

そんな小野寺に風が声をかけると、小野寺は起き上がった。

 

「多分、一条先輩の事考えてるんだろ」

 

「えっ?なんでわかったの!?」

 

なんでわかったの?とか言われても

 

「なんとなく。呻き声を上げるほどの事なんて最近なら一条先輩の事しかないからな」

 

一条先輩が小野寺先輩と仲良くしてるのを小野寺は快く思ってない。それに対しては本気に怒ってるくらいだ。俺も説得しようとしたが全く意味がなかった。

 

「聞いて風ちゃん!実際会ってみたらやっぱり酷い人でさ〜昨日なんかあの人彼女いるクセにお姉ちゃんの事狙ってウチまで来たんだよ!」

 

「ふ〜〜ん。それでその日に凪君が春の家でバイトする事に決まったんだよね〜?」

 

「そうそう。黒崎君がうちでバイト………………ってなんで知ってるの!?」

 

「そうだ。なんでお前がその事知ってんだよ!!」

 

「ふふっ、私は春と凪君の事は何でも知ってるんだよ?」

 

何でも知ってるって…………なんかちょっと怖いな。どこまで知ってるか聞いてみよう。

 

「なぁ、風。入学式の時の小野寺のパンツの柄は?」

 

「ちょ、黒崎君!?何を聞い『クマさんの柄のやつだよね』風ちゃんもなんで知ってるのさ!!」

 

小野寺が顔を真っ赤にして俺たちに怒鳴る。てか凄いな、マジで当たってるよ。風にはもう何を隠し事しても無駄なのかもしれない。

 

「ところで…………どうして、黒崎君が入学式の時の春のパンツの柄を知ってるのかな?」

 

「え?あ、あれ?ちょ、風?何を怒って?」

 

なんでも知ってるってことは俺が小野寺のパンツの絵柄を知ってるって言うのも知ってるかと思ったのに……てか、風怖い。

 

「これが怒ってるように見える?それより、質問に答えて?」

 

風はにっこり笑って俺を見ていた。やばい、このにっこりは風が怒ってる時だ。幼馴染の俺が言うんだ。間違いない。

 

「いや、違うんだよ!入学式の日の放課後、一条先輩が小野寺のパンツを見たんだ!それを俺はただ聞いただけで別に小野寺のパンツを見たわけじゃ…………」

 

「凪君?」

 

「は、はい!!」

 

必死で俺が体験した事を伝える。嘘はついてない。ついてないからきっと風は許してくれる!そのはずだ!

 

「せ・い・ざ」

 

「……………………はい」

 

現実はそんなに甘くないようだ。俺は風にみっちり説教を受けた後、昼休みずっと床で正座の刑をやらされた。叱られてる俺を見ていた小野寺はずっと恐れるような目で風をみていた。そして俺は決めた。もう風を怒らせないでおこう、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…………まだ足の調子がおかしい。なんか歩きにくいわ」

 

「だ、大丈夫?」

 

放課後。昼休みに正座させられた俺は1人でジュースを買いに行こうとしたところ風に呼び止められてまた正座させられた。そして、やっと、解放されてジュースを買いに向かってるところに小野寺先輩とパッタリあったので、2人で自販機の方へ向かっていた。俺は風にずっと教室の床で正座させられたせいか足の感覚が少しおかしかった。

 

「ったく、風も酷いですよね?何でも知ってるって言ったから、ちょっとしらなさそうな事聞いただけなのに」

 

「でも、そのせいで春は恥ずかしい思いをしたんだと思うよ?」

 

「まぁ、確かにそうだとは思うんですけど…………」

 

自販機の前までたどり着き俺はお金を入れる。午後の紅茶を買おうとしたがあいにくすべて売り切れてていた。正直、俺は飲み物の中であれが一番大好きだ。だが、ないのなら仕方ない。他のにしようと思った時何故か抹茶オレに興味を惹かれそれを選んだ。

 

「普段こういうのは飲まないんだけどな」

 

抹茶オレの飲み口にストローをさし飲もうとしたが小野寺先輩が自販機を見て驚いたような顔をしているのに気がつきそっちを見る。見ていたのは俺と同じ抹茶オレ。そこに売り切れと書いてあった。どうやら、俺が買ったのが最後だったようだ。

 

「…………はい、これどうぞ」

 

「え、でも…………」

 

「いいですよ。俺、午後の紅茶買おうとさて売り切れだったからそれ買っただけですから」

 

「じゃ、じゃあせめて黒崎君が買った分は返すね」

 

そう言って俺にお金を渡してくれる。そして、俺は小野寺先輩に抹茶オレを渡した。

 

「さて、じゃあ今度は何を買うか」

 

お金を入れ、もう一度自販機のジュースを見渡す。すると、俺はあるものを見つけた。

 

「……ミックスジュース。体が元気になりますよ!ってなんだこれ?」

 

気になったので買ってみる。それを手に取ると何やらヤバイ雰囲気を醸し出していた。

 

「気になって買ったのはいいがうまいのか?」

 

飲み口にストローをさし、一口飲む。

 

「おえっ!!なんだこれ、まっず!!」

 

「どうしたの?」

 

なんだこれ?アクエリアスとか青汁みたいな味がしたぞ。何でこんなものを自販機に置いてるんだ!

 

「……飲んでみますか?」

 

「今の黒崎君みたらそんなの飲む気にもならないよ。遠慮しとく」

 

(大体それしたら、間接キスになっちゃうよ。そんなの恥ずかしくてできない)

 

「そうですか…………」

 

もう一口啜る。……うんダメだ。人が飲めるものじゃない。悪いがこれは捨てさせてもらおう。

 

「ね、ねぇ、黒崎君は私と最初に出会った時の事覚えてる?」

 

「えっ?いきなりどうしたんですか?」

 

「いや、ただ覚えてるかなって思って聞いてみてるだけなの。で、どうかな?」

 

「そ、そりゃあまぁ。あれは中々鮮明的な出会いだったので」

 

あんな人との出会い方はもうきっと2度とできないだろう。そんな感じの出会いだったから。

 

「そっか。覚えてるんだね………」

 

それだけ言うと小野寺先輩は恥ずかしそうにしながら中庭の方へ歩いて行った。

 

「何で今そんな事聞いてきたんだろ?」

 

小野寺先輩の意図を考えながら、俺も少し距離を置きながらも小野寺先輩と同じ方向へ歩く。

 

「…………ん?何だあれ」

 

見ると小野寺先輩が歩いて行く方向に校舎をペンキで塗ろうとしていたのか、その足場を支えている鉄パイプが今にも崩れそうなくらいグラグラしていた。

 

「ちょっと待て……あれは流石にやばいだろう」

 

小野寺先輩はその事に気付いていない。そう悟った瞬間俺は走り出した。

 

「小野寺先輩!上、危ないです!!」

 

「えっ?」

 

俺が声をかけるのと同時くらいに鉄パイプは真下へ……小野寺先輩かいる場所に数十本の鉄パイプが襲いかかる。

 

「小野寺先輩!!」

 

いきなりの事でまったく動けないのか、俺はそんな先輩に全力で飛びついた。頼む、間に合え!!!

 

ガラガラガッシャーン!!!

 

凄まじい音を立てながら鉄パイプは地面へ落下した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小咲side

 

『はぁ…………やっと家に帰れる。今日は家に帰ってゆっくり休もう』

 

中学2年の頃、あの日は少し体調が悪かったけど、テストがあったので少し無理をして学校に来た。教室に着いた時、るりちゃんが心配してくれたけど私は大丈夫と言ってテストを受けた。テストは午前中だけだしきっと大丈夫。そう思ってテストを乗り切った。そして、今はテストが終わり帰路についている。

 

『ダメ…………これ結構熱あるかも』

 

しんどかったので周りを見ずにただ家の方へと歩いて行く。だけど、それがダメだった。

 

『お嬢ちゃん、そこからすぐ逃げろ!!!』

 

『へっ?』

 

誰かの声に私の意識がはっきりする。そして、何かの音に気がつき横を見ると私の方にバイクが走ってきていた。いつの間にか私は信号も見ずに横断歩道を渡っていた。つまり、赤信号なのに私は渡ろうとしていた。

 

『やだ…………体が動かない』

 

バイクはブレーキをかけているが私の方に迫っていた。私はこの後どうなってしまうんだろう。そう思った時、いきなり誰かが私を抱えてバイクから遠ざけてくれた。

 

『だ、大丈夫ですか!?』

 

私を抱えてくれた人がそう聞く。だけど、その声を聞いた後私はすぐに意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…………あれ……ここは?」

 

「小野寺先輩!?よかった。目が覚めて」

 

目を覚ますとそこは私の部屋だった。さっきのは夢だったのかな…………意識がはっきりしてきて周りを見渡すと、私の横に椅子に座った黒崎君が。

 

「あれ?黒崎君?どうして……あ!あの時鉄パイプが私に落ちてきてそれで…………」

 

「落ち着いてください。ちゃんと説明しますから」

 

「う、うん…………」

 

「鉄パイプが小野寺先輩のほうに落ちた時、俺が全力で飛びついて、小野寺先輩をその場から遠ざけました。おかげで俺も小野寺先輩も無事です。ただ、その後、先輩が気絶しちゃったので俺がおんぶして小野寺先輩をここまで運んで来ました」

 

「そうなんだ……ありがとう黒崎君。また私を助けてくれて」

 

中学2年の時、私がバイクにひかれそうになったのを助けてくれたのも黒崎君だった。体調を崩して動けない私を抱えてギリギリでバイクから遠ざけてくれた。あの時、黒崎君がいなかったら…………今回も。

 

「黒崎君がいなかったら私、本当に危ない目に…………」

 

「いいですよ、別に。困ってる女子がいたらそれを助けるのが俺の性分なんで」

 

でも、私を助けるために黒崎君も結構危ない目にあっている。今回も前の時も。だから、ちゃんとお礼はしたい。

 

「ちなみにお礼なんていりませんよ」

 

「えっ!?」

 

今私の考えてる事読まれた?

 

「よく考えたらあの場面で誰かいたらそれを助けない人がいるわけないです。俺は当たり前の事をしたまでです」

 

「でも、黒崎君は自分が怪我しそうになってまで私を…………」

 

「そうですね。でも、俺がそうしないといけないと思ったから。そうする方が正しいと思ったからそうしただけです。ですから、先輩が気にすることじゃありませんよ」

 

その時思った。一条君はいつも人のことばかり考えていて困ってる人がいればほっとけなくて自分の事なんてすぐどうでもよくなってそして、その人が喜んでくれたら自分も一緒に心から喜んで上げる事のできる人。

だけど、黒崎君は他人の事となると自分が傷ついてでも助けようとしてくれる。現に私は黒崎君に2回助けられた。それも両方とも自分が傷つくかもしれないのに。黒崎君は自分が傷ついてでもそれを優先的に考えて行動している。それを思うと私は………………

 

「先輩?」

 

「黒崎君………………ううん、凪君。本当にありがとう」

 

私は………………この人を日常の中でお礼をして行こうと、そう決めた。




ここは春の場面と思っていたのですが、一条との絡みがこの小説ではないのと、小咲と凪がどう出会ったのかを書きたかったので変えました。

感想と訂正があればお待ちしております!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。