俺の新たな高校生活と2人の姉妹   作:ブリザード

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第4話です。
次の更新は遅くなるかもです。
まだわかりませんが、明日書けたら書きます。



第4話 『オノデラ』

春side

 

「あちゃー、困ったわね。日曜日中村さんも来れないだって」

 

「え、そーなの……」

 

どうやら、日曜日のうちのお店の状態がピンチみたい。ここは私が手伝わないと。

 

「加藤さんも来れないって言ってたよね?」

 

「参ったわね。突如2人の人員不足とは」

 

「だったら私も手伝うよ。お姉ちゃんもやるんでしょ?」

 

「それでも1人足りない…………あ、そうだ。小咲、例の彼、助っ人にお願いできる?」

 

「え……あ、うん分かった。頼んでみるよ」

 

「助っ人?」

 

例の彼?助っ人?お母さんが認めるほどの人って私達の身近にいたっけ?そんな人私聞いたことない。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凪side

 

「姉貴ー、咲ー。朝ごはんできたぞー」

 

「はーい」

 

「今行くよー」

 

日曜日の朝。久しぶりに休みを迎えたような気がするのだが何故かそんな気がしない。理由はわかってる。

俺の家は両親が仕事で忙しいため、あまり家に帰ってこない。そのため家での家事は俺と高3の面倒くさがりのクールな姉の理沙と中3のいつも元気で明るいムードメーカーの妹の咲の3人で交代でしている。今日は俺の当番の日だ。といっても、家事をするのは朝と夜だけだ。昼はみんな適当に過ごすことが多い。

 

「今日の朝の献立は?」

 

「和食だよ。卵焼きとシャケと味噌汁」

 

「私シャケって苦手なんだよね。骨多いし」

 

「それだけの理由なら普通に食べてくれよ、姉貴」

 

3人が揃うと、手を合わせて朝食を取り始める。

 

「…………なぁ、2人に相談があるんだけど?」

 

「ん?」

 

「どしたの、お兄ちゃん。改まって」

 

姉貴と咲がこっちに顔を向ける。俺には1つ、高校から上がるとしてみたいことがあった。それは……

 

「俺バイトしたいんだけどいいかな?」

 

「「バイト?」」

 

バイトだ。ただし、これを2人が了承してしまうと今まで後退でやってきた家事の事で迷惑をかけてしまうかもしれない。簡単には了承してくれるとは思えない…………

 

「いいんじゃない」

 

「別にいいよー」

 

「軽っ!2人とも軽すぎだろ!いいのか、それで!?」

 

あまりに許可を出すのが軽すぎたため驚いてしまった。俺がバイトを始めるという事はこれからの家事が少し大変になるという事をわかってるのか?

 

「別にあんたがそのバイトの5割を私達の私物に使ってくれるなら何でもいいよ」

 

「私も〜。あ、私大福食べたい!」

 

バイト代の5割を……つまりは半分。これはかなり出費がでかいぞ。

 

「「ちなみに4割に下げたりする事はないから」」

 

姉貴と咲が声を揃えて言う。なんでこういう時だけ息がピッタシなんだよ。

 

「…………わかった。ただ、一気にお金が入るわけじゃないからそれはわかっててくれよ」

 

「りょーかい」

 

「もちろん!バイト探し頑張ってねー」

 

よし。そうと決まれば早速今日の昼から探す事にしよう。何のバイトをしようかな〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉妹2人にバイトする事を了承してもらい、今バイト先を探しているところなのだが……

 

 

「バイトって簡単に見つかると思ったらそうでもなかったんだな。結構厳しいわ」

 

ファミレスやらスーバーやらいろんなバイトを見てみたがあまり自分にしっくりくるものはなかった。

 

「何かいいところはないものか……………ん?ここは……」

 

目に付いたのは『おのでら』と書かれた看板だ。歩き回っているうちに小野寺の家の前まで来てしまったみたいだ。

 

「ここはバイト募集とかやってないのかな。でも、そうしたら小野寺と先輩と一緒に仕事をするのか」

 

でも、それもありっちゃありだよな。あの2人とバイトできるなんて幸せ以外の何物でもないぞ。2人とも可愛いし。

 

「取り敢えず入って聞いてみるか」

 

おじゃましま〜す、と言いながら扉を開けて中に入る。

 

「いらっしゃいま……あ、黒崎君!こんにちは」

 

「こんにちは、小野寺先輩」

 

店の中に入ると小野寺先輩が俺を迎えてくれる。

 

「ん、何?あなたまた男の子と知り合いになったの?この子ったら隅に置けないわね」

 

「お母さん!!」

 

カウンターの方には先輩のお母さんがいた。また男の子と知り合いになった?一体どういうことなのだろうか。

 

「で、今日はどうしたの?……あ、もしかして春に会いに来たとか?」

 

「いえ、そういうわけではないんですか。ちょっと、バイト出来るところを探してて。ここで募集とかしてないかなって思いまして」

 

「へぇ、バイトを…………どうかな、お母さん?」

 

小野寺先輩のお母さんに話を振る。すると、少し悩んだような顔をしていた。

 

「うーん。うちは今日みたいな感じでなければ基本的人は足りてるんだけどね。でも、男手は確かにないのよ。あなた和菓子とか作れる?」

 

「作れますよ。うちは両親が仕事で中々帰ってこないのでそういうのは自分で覚えましたから。あくまで、趣味の範囲でですが」

 

「よし、採用!!」

 

「「いいの!?」」

 

面接とかなしで和菓子作れるか作れないかだけで判断された。

 

「小咲の知り合いなら問題ないでしょ。春とも面識あるみたいだし」

 

「小野寺…………娘さんは俺のクラスメイトです…………じゃなくて、いいんですか!?あくまで趣味の範囲でですよ。そんなすごいもの作れるわけじゃないですよ?」

 

「そんなのいいわ!基本が分かっていれば後は春が教えてくれるから。和菓子作りの事は春に聞いてちょうだい。料理はあの子で飾り付けとかが小咲の仕事だから」

 

そういえば、小野寺先輩って全く料理できないんだったんだな。ほんの時々美味しいのができるって聞いたことがある。

 

「あなた名前は?」

 

「黒崎凪です」

 

「じゃあ、黒崎君。あなた部活は?」

 

「してないですね。帰宅部です」

 

「よし。それなら、月水金と土日のどっちかでどう?もちろん土日はそっちの都合に合わせるわ」

 

「全然大丈夫です」

 

「じゃあ、それで決定だね」

 

バイトってこんな簡単に決まっていいのかな?名前と部活と和菓子作れるかどうかしか答えてないのに。

 

「これからよろしくね?………それで今日はどうするの?折角だから何が食べていく?」

 

「そうさせてもらいます。オススメのやつください」

 

「わかった。春、一条君。うちのオススメ作ってー」

 

……………………一条?

 

「小野寺先輩、一条って?」

 

「あ………………」

 

何だか墓穴を掘ったというような顔をしている。

 

「ち、違うの!今日はたまたま!たまたま人が足りなくて手伝ってもらったらだけなの!深い意味なんてないの!本当だよ!」

 

「あ、はい。わかりました。ですから、そんなに否定しなくても」

 

顔を真っ赤にして一条先輩がここにいる言い訳をしようとする。

 

「小野寺先輩も成長してるって事なんですね」

 

「だから、違うって言ってるのに」

 

「なんで他の女の子じゃなくて一条先輩を呼んだんですか?」

 

「それは……この前手伝いに来てもらった時にお母さんが認めるほどの腕だったから、お母さんが一条君を気に入っちゃって」

 

「ふーん……まぁ、いいですけど」

 

悪いがそんなの信じられない。そうか、中学の時はまともに話しているのも見たことなかったのに今はこんなに…………

 

「もう、黒崎君の意地悪」

 

「…………ぐはっ!!」

 

「え、あれ?黒崎君!?」

 

やばい。思ったより強力だった。小野寺先輩の涙目×上目遣い。これほど強力(とても可愛い)な兵器(仕草)があっていいのだろうか?いいわけがない!

 

「あ、すいません。ちょっと立ちくらみしちゃって」

 

「立ちくらみして吐血するって、あんた面白いね」

 

小野寺先輩のお母さんがこっちを見て笑っていた。…………小野寺先輩のお母さんって言いにくいな。

 

「すいません、これから小野寺さんって呼んでいいですか?小野寺先輩もいて小野寺もいるからわかりにくいので」

 

「ん?いいよ別に」

 

「ありがとうございます」

 

取り敢えず、これで呼びやすくなった。

 

「お姉ちゃん、持ってきたよー……ってあれ?何で黒崎君がここに?」

 

「おっす、小野寺。明日からここでバイトするからよろしく〜」

 

「えっ?何の話?」

 

「黒崎君、いきなりそんな事言っても通じる訳ないよ。ちゃんと順を追って説明しないと」

 

「…………それもそうですね」

 

何のことか理解していない小野寺はキョトンとしている。

 

「俺ここで雇ってもらったの」

 

「雇ってって…………どうして?」

 

「そりゃ、俺がバイトしたいからに決まってるだろ。俺が和菓子作れるって言ったら採用してもらえたんだ」

 

「…………要するに、今日バイト探してて、行き着いた先がここでお母さんに雇ってもらったってこと?」

 

「まぁ、そんな感じだ」

 

「ふーん………………」

 

(……ちょっと待って。じゃあ、これからクラスメイトと一緒に働くって事!?風ちゃんにバレたらどうしよう。絶対からかわれる!)

 

春が頬に手を当てて顔を真っ赤にしてる。…………てか、この和菓子うまっ!

 

「これ小野寺が作ったのか?」

 

「そうだよ。先輩は頼りになる気がしないので私が1人で作ったの。……もしかして、口に合わなかった?」

 

「いや、ぎゃくぎゃく。美味しすぎてびっくりしてる。凄いな、小野寺って料理上手いんだ。尊敬するよ」

 

こんなに上手い和菓子食ったことないもんな。小野寺と仕事するうちに俺も作れるようになるかな?

 

「そんな、尊敬するなんて言われたら恥ずかしいよ…………」

 

「いや、でもこれ美味しいし。これだけ美味しいもんに先輩の飾り付けがあるなら最強だな」

 

「あんたわかってるね〜。私も苦労してこの子達を産んだ甲斐があったってもんなんだよ!」

 

小野寺先輩の飾り付けは何かの特殊能力を秘めてるくらいだ。普通の弁当を高級幕の内弁当に見せれるくらいの。この人がいればどんな料理でもきっと美味しく見せれることが可能だろう。そして、小野寺の料理力だ。

 

「これから色々教えてくれな。小野寺も先輩も」

 

「へ、あ、うん」

 

「それはもちろん!」

 

小野寺と小野寺先輩がそれを了承してくれる。

 

「何なら春の男になってもいいんじゃないの?」

 

「お母さん!!なんてこと言うのさ!」

 

出会って俺が何を認められたのかわからないがいきなり小野寺さんに小野寺の男になっていい宣言をされた。この人の期待を裏切らないようにも頑張ろう。

 

「まぁ、とにかくこれからよろしくお願いします」

 

こうして、俺のバイト先が決定した。バイトは『おのでら』のお菓子を作ることや力仕事だ。これから頑張ろう。

 




凪の家は3人姉妹です。凪が真ん中の子ですね。

感想と訂正があればお待ちしております。

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