久しぶりで書きたいことがうまくかけない。
これがスランプってやつなんですかね……
「こいつ、お兄ちゃんしかいわねえぞ。きもちわりぃ」
「ぼくしってるよ、おねえちゃんがいってた。そういうのぶらこんっていうんだぜ」
「うぅ…………」
昔から私はお兄ちゃんの事が大好きでお兄ちゃんとばかり一緒にいました。でもそのせいで小学校でも友達ができずに、よくいじめられている事が多かった。
「おにいちゃん……たすけてぇ」
「うわ、またいったぞー」
「ぼくもしてみよー。おねえちゃん……たすけてぇ」
「そっくりだー」
小学校でクラスが一緒の男子数人が私を囲っていじめていた時。でも、そんな時にいつも助けてくれたのは
「ほんとうだ。そっくりだねー」
「ほんとほんと。凪君、こういう時はどうするんだっけ?」
「そんなのきまってる。悪を成敗するのがお兄ちゃんの役目だ!」
一つ上の学年にいるわたしの一つ上の兄と私の家の隣に住んでいる兄の幼馴染、風さんだった。
「今度咲いじめたら許さないからな!」
「「「ご、ごめんなさいー!!!」」」
いじめられてる時、困ってる時はいつも私を助けてくれるお兄ちゃんと風さん。2人はいつも頼り甲斐があって優しかった。
「大丈夫か、咲。もう大丈夫だぞ?」
「うん。ありがとう、おにいちゃん」
私は2人のことが大好きだった。もちろん、3つ上の姉、理沙姉の事も好きだったけど、理沙姉はこういう事にはあまり口を出さない性格だから、私は2人の方が大好きだった。
「別にいいよ。困ってたら、いつでも助けてやるからな?」
「うん!」
「とかいって凪君。教室にいない咲を探してあちこち走り回ったくせにー。本当にすぐ見つけられるのー?」
「それはいうなよ涼!今日は……そう!運が悪かっただけだ。次は大丈夫だ!」
「本当かなー?」
「本当だよ!」
「あはははははは」
小学校では授業や行事ことがない限りでは、3人でいるのがいつも一緒にいるのがほとんどだった。たまに風さんがいない時もあったけど、でもその時は別に気になることでもなかった。
「咲、今日は何して遊ぶ?」
「んーとね、かくれんぼ!」
「それは昨日もやっただろ…………まぁいいけど」
「凪君って咲に甘いよねー?なんでも言うこと聞いちゃうし」
「そりゃ咲は妹だからな。当たり前の事だ」
「凪君、シスコン過ぎ」
「うるさい!」
「ねぇおにいちゃん。しすこんってなに?」
「咲はまだ知らなくていい!」
後に意味を知った私は本当にそうだなー、と感じた。私のお兄ちゃんへの想いもそんな感じだけど。
「聞いて聞いて!今日テストで満点とったんだよ!凄いでしょ?」
「凄いな。俺テストで満点なんかとった事ねえよ。流石俺の妹だなー」
「えへへ〜」
私が何か凄い事をするとお兄ちゃんはいつも私の頭を撫でてくれた。優しく丁寧に。私はそうされるのが大好きだった。
「凄いね咲は。凪君なんていっつもテストの点悪いのにね」
「いつもじゃないだろ!5回に1回くらいは点数いいし!」
「その良い点数でも私には勝てないけどね?」
「あーもう!次は勝つからな!」
その時もお兄ちゃんは風さんにテストの点数が勝てなかったのをよく覚えている。あの時のお兄ちゃん、涙流して悔しがってたし。
「おい見ろよー。黒崎と彩風。まーた2人で帰ろうとしてるぞー」
「本当だ。やっぱりあいつら付き合ってるんじゃね?いーつも2人でいるしな。教室でも廊下でも給食食べる時もトイレ行く時でも」
「おい、お前ら!聞こえてんぞ!てか、トイレは一緒に行ってねえ!!」
「凪君怒鳴る必要ないよ〜。私はそう思われて嬉しいけどな〜」
「うるさい!涼は黙っとけ!」
「はーい」
ふと廊下でそんな事を話していたお兄ちゃんと風さんを見た。付き合うってなんのことかわからなかった私はその日に一緒に帰ってる時、思い切って聞いてみた。
「ねぇ、お兄ちゃんと風さんは付き合ってるの?」
「はぁ!?」
「とうとう咲にまでそう思われちゃうか〜。これは付き合うしかないんじゃない?」
「バカ言うな!誰がそんな事!ていうか咲はそんな付き合うなんて言葉どこで聞いたんだ!」
「今日廊下でそんなこと言われてるお兄ちゃんと風さんを見たから。ねぇ、付き合うってなんなの?」
「そ、それは……」
「私が教えてあげるよ。付き合うっていうのは『お前は何もいうな!!』ちぇ、つまんない」
「咲にはまだ早いことだから。な?」
「う、うん。わかった」
結局その時は付き合うとは何のことかわからなかった。でも、その時、私はもう一つ気になることができた。
「ねぇおにいちゃん?」
「ん?」
「もしかして、お兄ちゃんって風さん以外に友達いないの?」
「んなっ!!?」
「……………………」
そう。さっきのお兄ちゃんと一緒にいた学年の男子。いつも2人でいるって言ってた。ということはずっと風さんと一緒って事。お兄ちゃんには風さんしかクラスに友達いないんじゃないのかなって思って気になった。
「そ、そんな事ないぞ咲。た、確かにクラスには涼しかいないけど、他のクラスにはいるから」
「ふーん……風さんは?」
「私は凪君と一緒にいたいから一緒にいるんだよ?友達がいないわけではないよ〜」
「そうなんだ」
なんかお兄ちゃんは焦ってるように見えたけど気のせいだよね。風さんはいつも通りだし。 だけどある日。それが嘘だって事がわかった。それが1年後の夏。私が休みの日に家で昼寝をしていて、ふと目を覚ました時だった。
「んん…………」
「なぁ、凪。それに風。いつまで咲と一緒にいるつもりなんだ?もう咲も5年生だぞ。お前らももうすぐ中学生なんだし、そろそろお前らが付き添ってやる歳でもないだろ」
「いや、でもまだ咲はたまに同級生の男子にいじめられてるし、まだ心配なんだよ。涼はどう思う?」
「確かに理沙さんの言うことは一理あると思うよ。凪君はちょっと心配しすぎ」
「涼もそう言うのか」
「でも、別に凪君の言うことは確かだよ。まだちょっと心配」
「結局どっちなんだ、お前は」
話の内容が気になった私は寝たふりをして話を聞くことにした。私に関係ある話だったみたいだし。
「でも、咲が聞いたら、あいつ自身がショック受けるぞ。咲のためにお前らが友達作らずにずっと一緒にいるなんて知ったら」
「そんなの俺たちがあいつに言わなければ済む話だろ。別に問題ない」
「そうだよね〜。中学に上がったらまた変わるかもしれないんだし、私達が卒業するまでは現状維持でいいんじゃないかな?って私は思う」
え…………お兄ちゃんと風さんが私のために友達を作ってない?どういうこと?
「にしても、本当にお人好しだよな。お前ら2人とも。咲のことが心配で小学校入った後しばらく様子見てたら、クラスでは1人。いじめられてたり物隠されてたりして泣いてる咲を見て、これからはずっと咲の側にいてやろうなんて思うなんて。しかも、小学校上がってできた友達の誘いも全部無視してさ」
「う、うるさいな。心配だったんだよ、咲のことが」
私のためにお兄ちゃん達がそんな事を……でも、前にお兄ちゃん達友達いるって……
「あ、そういえば1年くらい前に、咲が凪君に友達いるの?って聞いた時にびっくりするくらい焦ってたよ。もう、あの時私、笑いこらえるの必死になったくらいで……」
「だってあんな事いきなり聞かれたらびっくりするだろ、誰だって!!」
そんな……じゃあ私のためにわざと嘘を?
「でも、お前らはもう小学校の生活を無駄にしたようなもんなんだぞ。友達も作らずあいつ1人のためにお前らはずっと」
「別に無駄じゃないよ。咲と涼が一緒にいる生活は楽しかったよ。涼もそうだろ?」
「私は凪君が一緒なら何でも楽しいよー」
「「あ、そう」」
「でも、まぁ楽しかったかな?」
「ほら。涼もこう言ってる」
「はぁ…………このお人好しどもが。まぁいいや。私にはもう関係ないことだし」
「関係ないって。理沙姉から話しし始めたくせに」
「うるさい。凪、晩飯作るから手伝え」
「あ、うん。わかった。涼はどうする?今日食べていくか?」
「うん。そうする〜。というか、私も手伝う」
「了解」
返事をして台所に向かった3人。私のために風さんとお兄ちゃんがそんな事をしてくれていたと思うと涙が出そうになった。
「でも、私どうしたらいいんだろ。お兄ちゃんと風さんが卒業したら、私1人に………………ううん、1人でも大丈夫。1年我慢して卒業して、お兄ちゃんと一緒の学校に入ったらいい事だし!うん。そうしよう!」
そうして、中学で友達を作ったらお兄ちゃんと風さんを安心させてあげられる。
「でも、私のためにお兄ちゃんと風さんがそんな事をしてくれたらと思うと、なんかお礼しないといけない気がする……でもどうすれば?」
私がお兄ちゃんと風さんにしてあげられる事。風さんとお兄ちゃんが喜ぶ事……
「プレゼント?いや、違う。そんなの誕生日に渡せるし、もっとこう凄い事を………」
お兄ちゃんと風さん。仲良し。幼馴染。いつも一緒………………そうだ!!!
「お兄ちゃんと風さんが付き合ったらいいんだ。風さんにはきっとその気はあるし、お兄ちゃんは鈍感だけど、私が協力きっと出来る!あわよくば私もお兄ちゃんと…………」
そうと決まれば早速行動しないと!!まずは風さんにその気があるかチェックして、理沙姉の協力を得て、お兄ちゃんが風さんに惚れるように落とす。完璧だ!!!
「待っててねお兄ちゃん。お兄ちゃんは風さんと私のものなんだから!!」
春side
「という事です」
「「…………………………えっとー」」
途中まではとてもいい話だった。というか、最後の最後まではいい話だった。凪の事は余計に好きになりそうだった。それは置いといて。
「つまり、凪君と風ちゃんに恩返しするために2人をくっつけようとしたと?」
「はい」
「で、結果付き合う事にはなったけど、凪が風ちゃんをほったらかして、私たちにデレデレしてるからムカつく、と」
「はい、その通りです。何か問題でも?」
「いや、その……」
問題だらけな気がする。てか、最初は凪が友達できない理由のことを話してたんだよね。何で最後の最後で凪を風ちゃんとくっつける話になったんだろう。というか、咲ちゃんは凪の気持ちを聞いてないみたいだし。
「あの、咲ちゃんは結局友達作る事に成功したの?あと、何で凪君には友達が少ないの?」
お姉ちゃん、ナイス質問!!
「友達作るのは失敗しました。お兄ちゃんの話ばかりしてたらドン引きされちゃって。まぁそれは今もなんですけど。あと、お兄ちゃんが友達少ない理由はわかりません。直接聞いたこともないので」
結局わかったのは凪がシスコンだという事と、風ちゃんはおそらくその頃から凪の事を、ということぐらい。
「おい、咲。バイト終わったから帰るぞー」
荷物を持ってノックもせずに凪が不機嫌そうに部屋に入ってきた。というか、女子の部屋に入る時くらいノックしないとダメだと思うんだけど。
「いい。私もう帰るから。お兄ちゃんとはしばらく話ししたくないから、後から帰ってきて。じゃあね」
凪の顔をみた瞬間不機嫌そうにした咲ちゃんは荷物を持って部屋を出て行った。
「ったく……すいません、小咲さん、春。あいつ迷惑かけてないですか?」
「ううん、全然だよ。むしろ楽しかったよ。ね、お姉ちゃん?」
「うん、楽しかったし、色々話も聞けたし良かったよ」」
「そうですか。よかったです。じゃあ、あいつ1人にすると心配なんで俺ももう帰りますね?」
「あ、うん。わかったよ」
一言礼をして、凪も部屋から出て行った。
「お姉ちゃん」
「何、春?」
「凪の妹って、なんというか凄い強烈だね」
「わかってくれて嬉しいよ、春」
お姉ちゃんとの絆が強まった気がした。
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