俺の新たな高校生活と2人の姉妹   作:ブリザード

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第30話ですね。
楽が盲腸の話なのに殆ど楽が出ないwww
ではどうぞ〜


第30話 オミマイへ行こう

「え、一条先輩が盲腸?」

 

「そうなんだって。だから明日お見舞い行かない?」

 

もう夏休みも終わりに近づいてる頃。バイトの休憩中に俺と春は2人で夏休みの宿題を消化していた。てか、盲腸って……あの人不運だな。確か2年生組で海に行こうって話してたはずなのに、その様子じゃ無理だろう。

 

「ん?別にいいぞ。てか、行かないとあの人拗ねるかもだし」

 

「あはは、そんな事ないよ。じゃあ、その……ふ、2人でどうかな?このバイト終わってからとか」

 

「なんで2人なんだ?涼とか誘おうぜ」

 

「…………はぁ」

 

「え、なんで俺ため息つかれたんだ?意味わからないんだけど」

 

理不尽すぎるため息だ。

 

「相変わらずだね。いいじゃん。別に2人でも」

 

「いや、でも涼が怒るかもだし」

 

「…………そっか。じゃあ仕方ないか」

 

(やっぱり凪は風ちゃんのこと……ううん、こんな事で諦めてられない!)

 

「じゃあお姉ちゃんも誘っとくね」

 

「あぁ、了解。でさ、この英語の問題なんだけど……」

 

「どれどれ…………正面からじゃ見にくい。隣行ってもいい?」

 

「え、あ、うん。いいけど」

 

「ありがと」

 

春は席を立ち上がって俺の隣の席に座る。

 

「えっと〜」

 

必死に考えている春。てか、なんか距離近くない。意識しちゃうんだけど。自然と顔が赤くなる。

 

「これは未来系の文章だから、助動詞を……って聞いてる?」

 

「え?聞いてるぞ?」

 

「……もしかして?」

 

春は俺の異変に気付いたのか。近かった体をさらに近づいてきた。

 

「春、ちょ、近い!」

 

「だってこれ英語なんだもん。単語見にくいからさ。もっと近づかないと教えにくいし」

 

「だ、だけど!」

 

近すぎて教えてくれることが頭の中に入ってこない。この状況、誰か助けて!電話でもいいから!!

 

「春ー、凪君ー、そろそろ休憩終わ……り……?」

 

誰か助けてとは言ったけどなんでこの状況の時に小咲さんが入ってくるんだ。タイミング悪すぎる……

 

「は、春!何してるの!?」

 

「凪に英語教えてたの。これくらい近づかないと単語小さくて見にくくて」

 

「…………春、なんで英語見てない今も身体を寄せてきてるんだ?」

 

あはは、と笑いながらも春はさらに身体を寄せてくる。今バイトの服だといえど緊張するから!流石に緊張するから!!

 

「むぅ…………」

 

「あれ?小咲さん?なんでそんなに顔膨らませてるんですか?」

 

「な、なんでもない!」

 

何故か小咲さんは俺の顔をじっと見て顔を膨らませていた。

 

「でも……フグみたいですね。可愛いですよ」

 

「か、かわっ!?と、とにかくそういうことだからすぐ来てね!」

 

「な、なんだ?」

 

顔真っ赤にして走って行った。

 

「凪って絶対天然の女たらしだよね」

 

「え、なんで?」

 

「無自覚なのがまた酷い……」

 

はぁ、とため息を吐いて立ち上がる。

 

「さっ、そういうことだから早く行こ」

 

「お、おう」

 

天然の女たらしってどういうことだ?……てか、結局英語の問題わからないままなんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイトが終わってそのまま病院へと向かう俺たち。俺たちの前を小咲さんと春が仲よさげに話しながら歩いている。

 

「涼、もう少し離れて歩いてくれ。てか腕に抱きつくな」

 

「なんで〜?付き合ってるんだしこのくらい〜」

 

「周りの人がこっち見てるし恥ずかしいから!」

 

「じゃあ周りを見なかったらいいんだよ〜」

 

「んなことできるか!!」

 

「しかたないな〜」

 

いつものようにニコニコしながら腕を離す涼。ショックなのか、からかってるのかどっちかわからない。

 

「にしても、小咲さんは1人で行かなくて良かったんですか?」

 

「え、なんで?」

 

小咲さんに声をかけるとこっちに振り向いて不思議そうな顔をする。

 

「だって、そっちの方が一条先輩にアプローチできるんじゃないですか」

 

「………………」

 

「あれ、なんでそんなジト目で俺を見てるんですか?てか、なんで春も?」

 

姉妹揃って2人にジト目で見つめられてしまう。俺なんか悪いこと言ったっけ?

 

「相変わらずだね、凪君」

 

「相変わらずってなんだよ、涼」

 

「まぁ、そっちの方が凪君らしいけど〜」

 

相変わらず?なんのことかさっぱりだ。

 

「…………この前自分で気づいたのに」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「ううん、なんでもないよ〜」

 

「そ、それより凪!今日お見舞い行ったら宿題の続きだからね!」

 

「げっ、今日はもういいじゃん。バイトもして疲れてるんだし」

 

「ダーメ!もうすぐ夏休みも終わるんだから今のうちに終わらせとかないと最終日苦労するよ!」

 

なんか春が俺のお母さんみたい。母親は仕事で忙しいからそういうこと言う人はいつもならいないのに。

 

「どっちかって言うと春は凪君の彼女みたいだね。凪君の心配をする」

 

「か、かの!!?」

 

「涼、ナチュラルに心読むな」

 

しかもそれが当たってるのがまた怖い。春は彼女って言葉に顔を真っ赤にしてるし。てか、この反応…………

 

「……んなことないよな」

 

「もう風ちゃん!変なこと言わないで!大体今の凪の彼女は風ちゃんでしょ!」

 

「私は春のことも好きだから、貰い手がいなかったら私が貰ってあげるよ〜?そしたら、私と凪君と3人で暮らせるよ?」

 

「まさかの一夫多妻制!?確かにそれはありかもしれん……」

 

「凪君からも許可出たよ?」

 

「な、凪とく、暮らすなんて……」

 

春はさらに顔を真っ赤になる。もうリンゴみたいだ。正直に言おう。可愛い。もうなんども見てる姿かもしれないけどそれでも言う。可愛い。

 

「もう、風ちゃん!からかわないで!」

 

「ごめんごめん〜。春があんまりにも可愛いから」

 

うふふと笑いながら顔を真っ赤にして怒る春の顔をどこからか取り出したデジカメで撮る涼。マジでどっから取り出したんだよ。

 

「………………病院着いたよ?」

 

今まで会話に参加してこなかった小咲さんがボソッと呟く。あれ、なんか少し機嫌悪そう。

 

「一条先輩の病室は…………ここか」

 

エレベーターで上の階に行き、廊下を歩くと一条先輩の名前が書いてある病室を見つけた。ドアをノックして中に入る。

 

「失礼しまーす。一条先輩、元気ですか?」

 

「たまたま近くに来たので……お邪魔します、先輩」

 

「失礼します〜」

 

俺、春、涼、小咲さんの順で病室に入る。というか、こんな大人数がいっぺんにお見舞いな来たら迷惑だったかな?

 

「今度は凪か。それに風ちゃんと春ちゃんに…………小野……あいだだだだ!!?」

 

「こ、こんにちは……って大丈夫!?」

 

小咲さんの姿を見た瞬間驚いて、お腹を抑える。盲腸って大変なんだな。

 

「…………きてくれたのか、小野寺」

 

「うん。千棘ちゃんが教えてくれて」

 

改めて小咲さんを見るも今度は安心したのか、嬉しかったのか頬を緩ませた。この人本当に小咲さんラブだな。

 

「あ、そうだ。りんご食べる?持ってきたの」

 

「……不本意ですが、私も剥いてあげます」

 

「じゃあ私も〜」

 

「いや、ちょっと待って。一応この人病人だから。そんなにいっぱい食べさせるのはダメだと思う」

 

いきなりりんごと果物ナイフを取り出してりんごの皮を剥こうとする3人。

 

「って話聞いてないし」

 

小咲さんも春も涼も俺の話を聞かずにりんごの皮を剥いていく。一条先輩はそれを見て少しギョッとしてる。一気に3つも食べたら流石にやばいんじゃ…………ていうかこれ一条先輩ハーレムじゃん。

 

「あ、ちなみに私は凪君のために皮剥いてるので一条先輩は小咲さんと春のを食べてくださいね」

 

「え?あ、おう」

 

「ちょっと待て!お前それなんのために持ってきたんだよ!」

 

「凪君に食べてもらうために〜」

 

「せめて嘘でも一条先輩のためにって言えよ」

 

というか、一条先輩本人がいる前で俺のために皮剥くなよ。バカップルみてえじゃん。

 

「「むぅ……」」

 

「あの、なんで2人は俺のこと睨んでるんですか?」

 

りんごの皮を剥きながら俺のことをじっと睨む小咲さんと春。

 

「よし、剥けた〜。はい、凪君」

 

「…………いやちょっと待て。せめて八つ切りにするとかしろよ。なんで丸ごとなんだよ」

 

「凪君はそのまま食べるのが好きかなって思って〜」

 

「いつ誰がそんなこと言ったんだよ……まぁ、いいや」

 

涼から渡されたりんごを受け取り、それをかじる。

 

「おいしい〜?」

 

「ん。まぁうまいな」

 

「よかった〜」

 

うまいけど、手がベトベトになる。ティッシュ持ってたかな?

 

「凪」

 

「ん?」

 

「あーん」

 

「…………はい?」

 

いきなり春が八つ切りにしたりんごの一切れに爪楊枝を刺して俺の口の方に持ってくる。え、なにこれ?

 

「食べて」

 

「あ、そういうこと。じゃあ……」

 

爪楊枝の刺さったりんごを取ろうとすると、春はその手を開いてる片方の手で止めた。

 

「あーん、って言ってるんだからそのまま口開けてよ」

 

「いや、それは……」

 

流石に恥ずかしいし、何より涼がいる前でそれはやめてほしい。

 

「いいよね、風ちゃん?」

 

「ん〜……まぁそれくらいなら〜」

 

「だって」

 

許可していいのか!?それ!

 

「まぁ涼がいいなら……」

 

そのまま口を開けてりんごを食べる。

 

「おいしい?」

 

「……さっきとあんまり変わらないけど、まぁうまいな」

 

「ならよかった」

 

……なんだこれ?結局春はなにがしたかったんだ?

 

「凪君」

 

「はい?」

 

「あーん」

 

「今度は小咲さんですか…………えぇ!?」

 

今度は小咲さんがウサギの形に切ったりんごを俺に一切れ向けてくる。なんで小咲さんが!?ていうか一条先輩。そんな悲しいそうな目で俺をみないでください。俺なんも悪いことしてないですから!

 

「こ、小咲さん。そういう事は一条先輩に」

 

俺がそう言うと一条先輩は顔を輝かせて、うんうん、と頷き始めた。

 

「え、いや、その………春もやったし、私もやってみていいかな?って思って」

 

「いや、答えになってないですよそれ」

 

一条先輩には恥ずかしすぎてできないとかそんなところか?涼を見ると、別にいいよ〜、みたいな顔でこっちをみていた。

 

「まぁ、悪い気はしませんし、せっかくですので」

 

向けられたりんごをそのままかじる。うん、やっぱりさっきと変わらずおいしい。

 

「どう……かな?」

 

「おいしいですよ。ありがとうございます」

 

「うん!」

 

小咲さんはにっこり笑った。こんな笑顔と行動を一条先輩に常にできたら、付き合うのもできそうなのに。

 

「じゃあそろそろ行こっか、凪。あんまり長くいると一条先輩にも悪いし」

 

「そうだな……先輩。早く治して元気になってくださいね」

 

「………………おう。サンキューな、みんな」

 

そんなに小咲さんにあーんしてもらえなかったのがショックだったのか。今すごい暗い顔してるよこの人。

 

「げ、元気出してくださいね。それではまた」

 

「バイバイ、一条君」

 

「さようならです、一条先輩」

 

「失礼します〜」

 

それぞれ一言言ってから病室を出て、そのまま病院を出る。

 

「さて、じゃあ帰るか」

 

一息ついて俺1人違う方向から帰ろうとすると、グッ、と誰かに腕を掴まれた。

 

「なに帰ろうとしてるの?今日は宿題するんだよ?」

 

「いや、今日は……そう!俺が晩飯当番だから」

 

「今日の夜ご飯の当番は理沙さんだよね〜?」

 

涼。お前だけは俺の味方だと思ったのに、こんなに簡単に裏切るのか?

 

「嘘ついちゃダメだよ凪」

 

「そうだよ、凪君。溜め込むのはよくないよ?」

 

「いやでも……」

 

涼に助けてと視線を送るが、みてないふりをしてるのか、俺とは違う方を見ている。

 

「……はぁ。お姉ちゃん、ちょっと来て」

 

「ん?どうしたの春?」

 

春が小咲さんに耳打ちをして何かを話している。

 

「………………え!?ここで!?」

 

「そう。お姉ちゃんなら大丈夫だから!なぎのためだとおもって。ね?」

 

「う、うん」

 

話が終わったのか、春と小咲さんは俺の方を向く。

 

「凪君……」

 

「は、はい?」

 

「えと、その……私が勉強付きっ切りで教えてあげる。だから…………」

 

「え?」

 

小咲さんが、俺に、勉強を、付きっ切りで、教えてくれる…………?なにそれ、どんなご褒美より嬉しいかも。

 

「だから、その…………私と一緒にお勉強、しよ?」

 

首を傾げて、両方の手を合わせモジモジしながら、言う小咲さん。恥ずかしいのか若干顔を赤らめてるのがまた可愛い。

 

「わかりました!!」

 

こんな頼まれ方して断る奴はいない。俺は返事とともに小咲さんの手を取りそのまま歩き出した。

 

「え、ちょ、ちょっと凪君!?」

 

俺はそのまま小咲さんの家へと向かった。……と言うか、さっきの病室での出来事は一体何だったんだろう…………まぁまた後で考えればいいか。

 




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