俺の新たな高校生活と2人の姉妹   作:ブリザード

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すいません。13話の続きを考えようとしたのですがどうしても上手く纏まらくて自分の思った通りにいかなかったので、勝手ながら13話の後半を変えました。というわけで投稿し直しました。前半部分の話は同じです。

これからはこのようなことがないようにします。
本当にすいませんでした。

ではどうぞ。


第13話 サイアクな1日

「くそ!なんで俺たちこんな目にあってんだよ!」

 

「く、黒崎君。私疲れたよ」

 

俺は放課後の廊下で息を切らせながら周りを見渡していた。横には走り疲れてバテた小野寺が

 

「いた!黒崎を見つけたぞ!」

 

「ちっ、見つかったか!」

 

数人の男子が俺を追いかけてくるのを見て俺は小野寺の手を取りその場から駆け出す。

 

「待てや、黒崎!」

 

「待てと言われて待つバカはいない!」

 

俺と小野寺は必死に走る。そして、物陰を見つけたのでそこに隠れることにした。

 

「くそ、どこに行った?」

 

「そう遠くは行ってないだろ」

 

「探せー」

 

男子たちは散り散りにどこかに行ったようだ。そもそも、なんで俺と小野寺がこんな目にあっているのか。それを今から説明しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝は酷い目にあったね、凪君」

 

「いや、それお前のせいだからな、風」

 

昼休み、俺はいつものように机を移動させ風と小野寺とポーラと一緒にご飯を食べようとしていた。

 

「お、なんだ凪。またお前は男子をほっといて女子と食べるのか?」

 

「翔太……それは妬んでるのか?てかお前もさりげなく混じってきてるじゃねえか」

 

そこに翔太が椅子を持ってやってきた。俺も拒否する意味はないので翔太のために椅子をずらす。

 

「いいじゃん別に。林間学校のバスが一緒だった仲なんだし。なぁ、小野寺」

 

「へっ……えっと、まぁ、人数は多いほうが楽しいと思うしいいんじゃない?」

 

小野寺は男性恐怖症だ。混ざって来るのは遠慮したいが、断るわけにもいかない。ちょっと微妙な感じなんだろう。

 

「まぁ、わたしはどっちでもいいわ。それより、ご飯よ」

 

ポーラはコンビニで買ってきたと思われる袋を取り出す。中に入っていたのは数個のパンと飲み物。そして、大量のお菓子。こいつ、栄養バランス悪。

 

「そうだね。私もお腹すいたし」

 

風は鞄から弁当を取り出す。中身は色とりどりのオカズとふりかけご飯。うん、これがバランスのいい食事だ。小野寺も似たような感じだな。

 

「じゃあ、食べるか。いただきまーす」

 

俺も箸を取り弁当を開ける。今日は確か咲が作った弁当だったよな。一体どんな弁当なんだろうか。

 

「つっ!!…………」

 

俺は驚いて一度開けた弁当箱を閉じる。

 

「黒崎君、どうかしたの?」

 

「いや、なんでもない」

 

気のせいだ。気のせいであってほしい。てか、絶対気のせいだ。うん、そう決まってる。そう思いながら俺はもう一度弁当を開けた。

 

「…………なんだよこれ!」

 

気のせいだと良かったがそんな事はなかった。俺の弁当は2段弁当だ。1段目には色とりどりのおかず。それはいい。問題は2段目だ。2段目には白ご飯が入っていた。白ご飯の上に乗ってるいた海苔。この海苔が問題なのだ。妹の愛情がこれで1発でわかる。海苔で文字が書いてある。

 

『おにいちゃんLOVE』

 

「…………咲のやつめ」

 

「なんだ黒崎の弁当。『おにいちゃんLOVE』って。お前妹に愛されてんのか?」

 

「あ、あぁ。ちょっとブラコン気味の妹がいてな」

 

「私それお姉ちゃんに聞いたよ」

 

小野寺は小咲さんに聞いていて知っていたようだ。てか、翔太。何隣で爆笑してんだよ。

 

「くそ、こんな弁当食いづらい」

 

だが、これを食べないと昼を乗り切れないし、咲が一生懸命作ってくれた弁当だ。

 

「食べないと悪いよな」

 

俺は白ご飯を口に運ぶ。うん、美味しい。

 

「いいなー、凪君。こんなにも凪君のことを思ってくれる妹がいるなんて」

 

「今日の朝にその妹と一緒に俺の腕に抱きついてきたお前が何言ってんだよ」

 

「え、何。今日の朝遅れてきたと思ったらお前妹と風ちゃんに抱きつかれて遅れたの?」

 

しまった。こんなの翔太に言わなければよかった。

 

「ま、まぁそれだけじゃないけど」

 

「ふーん、そうなのか」

 

「おい待て、納得しながら何メモしてんだよ」

 

「ん?別になんでもねえよ」

 

なんでもなかったら普通はそんな事はしない。そう思ったが何も突っ込まない事にした。

 

「ねぇ、黒崎君。最近、黒崎君とお姉ちゃん。無駄に仲良くない?」

 

いきなりよく分からないことを聞いてくる小野寺。

 

「そうか?普通だぞ」

 

「だって、バイト中、お姉ちゃんは黒崎君の事凪君って呼ぶし、黒崎君はお姉ちゃんの事小咲さんって呼ぶし」

 

何故か小野寺は頬を膨らませている。怒ってるのかもしれないがとても可愛いようにしか見れない。

 

「春、もしかして嫉妬?」

 

「へっ?…………ち、違うよ!私は別に嫉妬なんか!」

 

「あー、やっぱりそうなんだ」

 

「違うったら違うの!もう、風ちゃんの意地悪!」

 

小野寺は頬を赤くして風をポカポカ叩いている。こんな小野寺も可愛いな。

 

「もう、本当に嫉妬とかじゃないからね!」

 

「わかったわかった」

 

大体俺が小野寺に嫉妬する理由なんてないもんな。でも、嫉妬じゃないなら何だ?

 

「………………と、次は移動教室だから準備しないと」

 

俺は食べ終えた弁当を鞄の中にしまい、次の授業の準備をする。考えるのはまた今度にしよう。

 

「…………いつか、私も黒崎君とお姉ちゃんみたいな関係に」

 

「ん?なんか言った?」

 

「ううん、なんでもない。行こ」

 

俺は小野寺と一緒に次の授業の教室に向かった。その時俺は知らなかった。翔太が男子たちに俺が男子たちから逃げることになった話しをしている事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「はぁ……終わったー。でも、今日はバイトだ。早く行かないと」

 

確か今日は小咲さんはいなくて俺と小野寺が働く日だったな。なんか寂しいような感じだ。

 

「なぁ、黒崎。ちょっといいか?」

 

クラスの男子が俺に話しかけてくる。そいつの後ろには数人の男子。何だかすごく嫌な予感がする。

 

「な、なんか用か?」

 

「いやいや、ちょっとお前に聞きたいことがあってさ」

 

「聞きたい事?」

 

俺なんかこいつらに悪い事したっけ?いや、でも俺クラスでは翔太以外の男子とはあまり話さないし。

 

「お前は小野寺や風ちゃん、マッコイだけでなく小野寺先輩やお前の妹の咲ちゃんともイチャコラしてるそうだが、そこのところどうなんだ?」

 

……………………はい?

 

「お前、何言って」

 

「質問に答えろ」

 

なんでこいつらがその事を知ってるんだ?いや、別にイチャコラしてるわけじゃないんだけど。

 

「何でそんな事を?」

 

「翔太の奴が色々話してきた」

 

あいつのせいかよ!!

 

「で、どうなんだ?」

 

「いや、別にイチャコラしてるつもりはないけど」

 

「本当か?」

 

「う、うん。そのつもりはない」

 

男子たちは俺に詰め寄りながら聞いてくる。

 

「ね、ねぇ、黒崎君。そろそろ行かないと間に合わないよ?」

 

そんなことは関係なしで小野寺は俺に話しかけてきた。でも、小野寺の言うことは確かだ。

 

「悪い。俺この後バイトだから行くな。行こ、小野寺」

 

俺は詰め寄ってきた男子たちに手を振り小野寺の手を取り教室から出ようとした。だが、それがいけなかったのだ。

 

「「「ちょっと待てー!!!」」」

 

「まだ何か用なのか?」

 

後ろを振り向くと男子たちは怒りの表情を、女子はキャーキャー騒いでいた。

 

「何お前教室で小野寺と手繋いでんの?」

 

「えっ………あ、いやこれは」

 

さっさと教室を出ようとして小野寺の手を取った。それは逆に男子たちを怒らせる起爆剤となってしまった。小野寺も顔を赤くしてるせいでそれっぽく見えてしまうのだ。

 

「やっぱり、お前小野寺と……」

 

「モテない男子の敵!」

 

「春ちゃん、やっぱり黒崎君と!」

 

教室で男子と女子が騒いでいる。抜け出すなら今しかない。

 

「小野寺、行くぞ!」

 

「へっ、うわっ!!」

 

俺は教室を出て走り出した。

 

「おい、黒崎が小野寺を連れて逃げ出したぞ!」

 

「何!?追いかけるぞ!」

 

男子たちも教室を出て俺たちを追いかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、最悪だ。これ間に合うのか?」

 

そして現在に至る。追いかけてきた男子たちをなんとか振り切って今は物陰に2人で座り込んでいる。

 

「間に合わないかも。今なら誰もこないよね?お母さんに連絡しとくね」

 

「あぁ。頼むよ」

 

廊下に誰もいないことを確認して、小野寺は携帯を取り出し小野寺さんに電話を。俺は男子たちが来た時にすぐ言えるように見張りをする事にした。

 

「あ、もしもしお母さん。ごめん、ちょっとしたようで今日の仕事遅れそう。…………うん、私も黒崎君も。…………ち、違うよ!2人でそんな事してないから!本当だからね!」

 

何があったのかわからないけど小野寺は電話を乱暴に切った。…………よく考えたら、このまま小野寺だけ帰らせてもいいんじゃないのか?

 

「お母さんに連絡したから。これで大丈夫だよ」

 

「ありがとう。でも、小野寺は先帰っても良かったんだぞ?これは俺の問題でもあるし」

 

「ダメだよ。もしあの時私が黒崎君を急かすような事がなければこんな事にはならなかったんだし、ちょっとは私のせいでもあるわけだから」

 

「けど、俺らが2人ともいないのはやばいだろ?」

 

「大丈夫だよ。あれでもお母さんはしっかりしてるし。だから、私もこっちにいることにする」

 

そう言って小野寺は俺の横に座り込む。小野寺は優しいな。こんなことを起こした元凶の翔太は明日とっちめてやる。

 

「…………ねぇ、黒崎君。こんな状況だけど一ついいかな?」

 

「ん?何?」

 

「えっと、その、ちょっと自分で言うの恥ずかしいんだけどね」

 

物陰に隠れてるだけだからあまり大きい声を出さないようにして話す。恥ずかしい事とはなんなんだろ?

 

「その、私の事を、名前で呼んで欲しいの」

 

「えっ?」

 

一瞬何を言ったのかわからなかった。いきなりすぎたから。この状況で名前を呼んで欲しいって。

 

「だって、なんかズルいよ。お姉ちゃんや風ちゃん、倉橋君も名前で呼んでるのに……私だけ仲間外れにされてるみたいで」

 

「いや、別にそんなつもりはないんだぞ。その、俺も小野寺の事は名前で呼びたかったし」

 

「本当!?」

 

(私の事を名前で呼びたいって一体どういうことなのかな?)

 

小野寺と小野寺のお母さんを呼び分けるためには小野寺の事を名前で呼んだ方が色々といいんだよな。

 

「でも、なんかおかしいよね。私たち名前で呼びたかったのに呼んでないなんて」

 

「まぁ、普通に名前で呼んで欲しいなんてわざわざ言う奴なんていないだろうからな」

 

それを考えたら小野寺は珍しい方の部類に入るのか。

 

「あははっ、それもそうだよね……えっと、凪君?」

 

「何で疑問系なんだよ」

 

「だって、最初だからなんだか恥ずかしくて」

 

「ったく、しっかりしろよな、春」

 

「あっ!」

 

(凪君に名前で呼んでもらえた。男子に初めて名前で呼んでもらえた。すごく嬉しい)

 

「春、今すっごい顔にやけてるぞ」

 

「えっ?嘘!?」

 

「ホントホント。なんか金儲けしようとしてる時みたいな顔だ」

 

「酷い!凪君、酷いよそれ」

 

「ははっ、ごめんごめん」

 

物陰に隠れている事を忘れて俺たちは笑いあった。でも、俺と春がもっと仲良くなれた気がしてすごく嬉しかった。

 

「さてと、もうここから出ても大丈夫だろ。なるべく早く行かないと小野寺さんにも悪いし。行こうぜ」

 

俺たちは立ち上がりコッソリと廊下を見る。誰もいない事が確認できたので俺たちは昇降口へと向かい、そのまま外に出て『おのでら』へと走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春side

 

「やっと名前で呼んでもらえた。というか、呼び合えるように慣れた」

 

仕事の手伝いが終わり、私は自分の部屋のベットへと飛び込んだ。私の顔はきっと今赤くなってると思う。

前から凪君に名前で呼んでもらいたかった。お姉ちゃんと凪君が名前で呼び合ってるのを見て私の胸が苦しくなった。その感情が嫉妬なのか、仲よさそうにしてる2人が羨ましかったのかわからない。だけど、ほっておくと何だか凪君が遠くへ行ってしまう気がしてそれがとても嫌だった。

 

「でも、もう大丈夫だよね。私も名前で呼ぶようになったんだし、これでお姉ちゃんにも追いつけた」

 

一緒にいる年数が違っても、私は凪君と同じクラス。これでお姉ちゃんに凪君は取られない。

 

「………………ってあれ?なんで私凪君を所有物みたいに」

 

それにお姉ちゃんは一条先輩が好きだから凪君がお姉ちゃんも付き合う事なんてないはず。

 

「なのに、どうして私はお姉ちゃんが凪君を取っちゃうみたいな言い方を」

 

こんな気持ち初めて。この気持ちは一体なんなんだろう?




どうでしたか?

高校を無事卒業する事が出来て時間が作れそうです。
なので、『ご注文はうさぎですか?』の話も投稿し始めました。
よろしければどうぞ。

感想と訂正があればお待ちしております。

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