「ナジェンダ……さん」
「ラバック…?」
「ありが……とうございます」
「ラバック!」
も、戻ったのか。殴り続けて死んでしまったらどうしようって思っていたが、案外よかったのか?
「無茶をして……馬鹿者が」
「へへ、もう大丈夫です」
「全く……おい!スサノオ!ラバックが戻った。マインと共に一旦引くぞ!ここにいたらクロメの人形に狙われる!」
「!!ナジェンダ!まだだ!」
え?
ドス
「あ……れ……」
「やっと隙を見せてくれましたね」
ラバ……ック?お……前……。
「あなたには恋をしてました。その志にも感銘を受けていました。でもそれはあくまで過去の話。私はもう
「グハッ!」
ナイフ……ここに来て原始的なものを……。傷は浅いが……しかし……。
「あなたがいると任務に支障をきたします。申し訳ありませんがこの鬱陶しい涙を止めるにはこれしか方法がなさそうなので」
「く……はっ」
首が…締め………息が…………。
「ナジェンダ!!……ッ!」
「あなたに対してはエラーメッセージプレートでの攻撃は有効のようですね。ロクゴウ将軍!スサノオの相手を!」
「
「くっ!邪魔を……」
「さて。死んでください。ナジェンダさん」
「…………が…………!」
この女がいる限り私は完璧にはなれない。今後の任務に支障をきたさないためにも早めに始末しなければ。
………………………………。
「…………ところでナジェンダさん。あなた、私になんて言って仲間に引き入れたか覚えてますか?」
「は……?覚えてない……そんな昔のことは」
「で……しょうね」
ほら、記憶なんてこんなものだ。この涙も一瞬の気の迷いだ。こいつを殺してしまえばいつか風化していくだろう。
「でもそうだな……」
ーーーお前の力が必要だ。助けてくれ。とでも言ったのかね?
「!!ナジェンダ……あなた覚えて……」
「覚えてない。ただお前には、どんな時にもそう感じているだけだ。お前の力が必要じゃない時なんて今まで一回もない」
「………ぐぅ!!」
【ラバックお前の力が必要だ。助けてくれ】
【ラバック、初任務ご苦労さま】
【また、お前は……暗殺者のくせに気配が丸出しだ。覗きをするならもっと上手くやれ!】
【お、このご飯は上手いなラバック!】
【お前も懲りないな……そろそろレオーネに殺されるぞ?】
【ナイトレイド結成1周年だ!ラバック!酒だ酒!】
【全く無茶をして……心配をかけるな!………馬鹿者が……】
【お前、最近スサノオにつっかかりすぎじゃないか?】
【ラバック、結界は貼り終わったか?】
【私に何かあったらお前が作戦を考えるんだぞ、ラバ】
【いつもありがとな、ラバック】
【ラバ、私は死んでもお前を仲間だと思い続ける。お前は私の一番の理解者だから。仮にどちらが死んでも、来世でまた酒でも飲もう。どんなことがあっても私たちの絆は切やしない。お前もそう思ってくれるか?】
「う、うぁぁぁぁ!!」
「?なんだ?」
急に首絞めを離して……?
!!これは!!
「あぁぁあぁぁあぁあぁぁあぁぁあぁあぁぁあぁぁあぁ!!!」
「……スパーク?」
「………まさか!ナジェンダ!やめさせろ!あいつ、自分自身で無理矢理洗脳し直そうとしている!!頭が空っぽになるぞ!!」
!ラバック!!
「あぁぁあぁぁあぁ!!」
どうする、どうするどうする!
ギュッ
「ラバ」
……無力だな。ナイトレイドのボスともあろう者がハグしかできないなんて。
「な、じぇ」
「……そんな事してどうする。記憶を消し飛ばす気か?無駄だぞ?いくら記憶を消しても、私が、私たちがお前を覚えてる。今までの思い出はなかったことになんか出来ない」
「…………」
「帰ってこい、ラバック。またみんなで馬鹿騒ぎしよう」
「……………………」
「ラバック?」
「へ……」
「?」
「へへ!ナジェンダさんが俺にハグしてくれてる!いやぁ、やったぜ!スーさん見たか!ナジェンダさんに相応しいのはこの俺だぁ!」
「……………………」
「……………………」
「………あれ?」
バキッ!ドカッ!ズガッ!
「あべしっ!ひでぶっ!」
「……………………」
「……………………」
「ちょ!ちょま!せ、せめてなんか喋ろ!?無言だと怖いって!ウゴ!…む、無言だとマジっぽいから!」
「……………………」
「……………………」
「無言だと本気でキレてるみたいだからぁ!!」
「「キレてんだよ!!」」
全く………こいつは………。さっきまでのシリアスを返せ!
「ご、ごめんなさい……も、もう戻りました……戻ったことを証明したかっただけなんです……」
……殴りすぎたかな?顔が……原型を留めてない。
「スサノオ、どう思う」
「……ま、ロクゴウ将軍も動いてないしな。本当だろう」
「はぁ……、まぁいい。残りはクロメの人形三体にクロメ本体。さらにボルスだ。ラバック、働いてもらうからな!」
「はい!」
「………心配かけさせて………バカが……」
「え?なんて?」
「なんでもない!」
「ラバック………何か忘れてないかしら?」
ま、マイン…!
「!!ま、マインちゃん。あ、ご、ゴメンね!洗脳されてたから……その〜悪気はなかったんだ!ね!」
回復早いな……。パンプキンのおかげか?
「許して……くれる…?…くれますか?」
「……………今はいいわ。とりあえずおかえり。帰ったらこの前タツミにやった事と同じことをしてあげるから」
「え?」
「……………ラバック」
「はい?」
「お前のことは忘れない」
「せめて骨は拾ってやる」
「肉体の存在が危ぶまれるレベル!?」
「ロクゴウもやられた………どうしよう……とりあえず、ドーヤは戻したけど……三人じゃ……流石に……」
「お困りのようだな」
「!」
誰?新手!?………あ。
「カルマさん!ムカエさん!」
「いやー出なくても勝てそうなら引っ込んでようと思ってたんだけど……少しヤバそうだから助太刀するぜ?」
「一緒に頑張ろうね!あとさん付けじゃなくていいよ」
「ありがとう……カルマちゃん、ムカエちゃん」
本当に助かった。5人いればとりあえず勝率を五分程度まで戻せる。むしろカルマちゃんとムカエちゃんは体力を使ってないから有利なくらいだ。……一気に畳み掛ける!
「カルマちゃんとムカエはここから9時の方向に向かって!ロクゴウがやられたってことはラバック(改)も殺されてる、ないし戻されてる可能性が高い。まとめて殺して欲しい。やれる?」
「カルマちゃんがいれば余裕だよね」
「もちろん」
「じゃあお願いね?」
ボルスさんとウォールはお姉ちゃんと戦ってる。こっちに来た敵を私とドーヤ、ナタラで瞬殺して私もそっちに行かなきゃ。早くしないとボルスさんにお姉ちゃんが燃やされちゃう。
「待っててね、お姉ちゃん。もうすぐだよ?」
「いた。クロメだ」
「……あー……遠すぎて見にくいな……おぉ!?」
《視力をあげたわ。これで見えるはず》
「サンキュー…インクルシオ」
本当に便利になったな。さっきも敵が現れた瞬間、その敵に合った対応をしてくれたし……便利になりすぎて怖いぜ……。
《戦いが終わったら、多分一歩も動けなくなるけどね》
「あー……早く体力つけねぇとなぁ」
「しっ!タツミ!……他には……死体人形が2体か。どっちも戦闘力が高そうだ……。チェルシー、お前は一旦下がれ。隙ができるとは思えない。アカメのフォローに行ってくれ」
「了解。タツミ、レオーネ、気をつけてね」
「あぁ」
「おぉ」
「ピンチには助けに来てね?タツミ?」
「?おぉ…?」
《本当、この世って不公平よねぇ》
「?」
「ラバック、お前まだ、帝具は使えるか?」
「はい……でもあの帝具が強かったのは電気が使えたからなんすよ。今となってはあんまり便利とは……」
「エラーメッセージプレートは本来、スパイ用の帝具だ。戦闘の用途で使うものではない」
「そう、なんだ」
「だらしないわね。まぁいいわ!ボスも負傷してるし私が守ってあげる!」
《どの口が言ってんだか》
「何、パンプキン。文句あるの?」
《いえ?別にぃ?でも早めに目覚めることができたのは俺っちのおかげだということをお忘れなく〜》
「ちっ!恩着せがましいわね…」
「!みんな!来たぞ!」
ドォォン!
誰だ?クロメか?ボルスか?それとも人形か?
「ゲホッゲホッ!カルマちゃん!飛び降りる必要あったの!?」
「そっちの方がかっこいいだろ?」
「私が地面腐らせることが出来るからって危ない橋を……」
新手?いや、まさか!
「よぉ!ナイトレイドの諸君!帝都特殊暗殺部隊、ナイアーラトテップだ!殺しに来たぜ」
ケイのいる部隊か……幸い奴はいないようだが……。ラバと私は満足に戦えないし……スサノオは私の警護に手一杯だろう……。と、なると……。
「ボス、私が一人を引きつけて場所を離れる。残りは三人で叩いて」
「……一人で大丈夫か」
「えぇ、個人的に恨みもあるしね」
「んん〜?……ッ!テメェ………なんでここにいる。なんで戦線復帰出来てる……!」
「あんたの攻撃なんかじゃ私の心は折れないわ」
そうか……こいつが………。
「パンプキン!」
キィィン!
「くっ!まずい!ムカエ!」
「きゃ!」
ドン!
「ぐ!っうおお!」
「カルマちゃん!」
な!人数的に有利でパンプキンの威力はそれほどでもないはずなのに……これが対話の力か……。
「あんたはスーさんに相手してもらいなさい!私とカルマは個人的に決着をつける!」
「くっ……」
……くそ……結構吹っ飛ばされたな……早く戻らないと……。ムカエが……。
「行かせないわよ」
……ちっ!
「リベンジマッチか?」
「えぇ、天国でパパとママによろしく言っといてね」
シリアスブレイカーラバック。まぁ、彼らしい……かな?