枯れた樹海と殺し屋たち   作:リンゴ丸12

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帝具戦の始まりだ

「はぁ……緊張するな………」

 

弱気になるボルスさん。この人、根が優しすぎるからな……本当は戦いなんてしたくなんだろう。

 

「私なんかが勝てるのかな……。あの有名なナイトレイドに」

 

「大丈夫ですよ。ボルスさんのルビカンテは多人数相手に向いてますし、自信持ってください!」

 

「う、うん」

 

「とか調子いいこと言って、ウェイブが一番にやられそう」

 

「んだと!?俺だってグランシャリオを身につければ……」

 

「みなさん、ここはもう相手のテリトリーでもおかしくない場所です。私語は慎んでください」

 

「お、おぉ…悪りぃ……」

 

元ナイトレイドのラバック(改)。洗脳されているとはいえ元仲間と戦うなんて……哀れだな……。

しかもこいつは新しい帝具も与えられている。セリューの動きを止めたあの力もあるし……このメンツじゃ一番強いかもしれないな。

隊長の話の後、俺たちは2チームに分かれた。北東チームが俺、ボルスさん、クロメ、ラバック(改)。南東チームが隊長、セリュー、ラン、コイとなる。コイを守るとか言った手前、別チームになってしまった。恥ずい。まぁ当のコイはチームのメンバー全員を尊敬してるので気にも留めてないようだったが。

こちらのチームとは誰が当たるかな?グランシャリオはアカメの村雨にとって天敵だからな。是非とも奴と戦いたいものだが。

 

「!みなさん!」

 

「おぉ?」

 

なんだ?急に止まって。まさか……敵襲!?

……向こうになにか立ってるな……。………案山子か?

 

「いかにも罠って感じだな………」

 

「とりあえず降りてみてみようか」

 

みんなが馬から降りて武器を構える。……ラバック(改)は何も出さないな……小さめの帝具なのか?

 

「……これは………」

 

うーん………案山子……だよな?池面って書いてあるけど……。特にこれといって他に特徴は………。

 

ドン

 

……ん?なにか音が……?

 

「!!ッ!」

 

瞬間、クロメがおよそ人間の反応を超えた反射で後ろにのけぞる。と、ほぼ同時に今の今まで立っていた地面が抉れる。これは……!狙撃!?じゃあさっきのは……嘘だろ!?どんな視力だよ!コイ並みだ!

 

「クロメ!」

 

「平気!それより警戒して!もう戦いは始まってる!」

 

クロメが叫んだと思ったら今度は案山子が破裂。中から人間が出てきた。これにはみんな虚を突かれたようで全員が一瞬固まった。と、その男はまっすぐクロメに特攻。マズイ!

 

「クロメ!」

 

「終わりだ!」

 

「やば………!」

 

ガキン!

 

「ッ!」

 

間一髪、グランシャリオの鍵でクロメを守る。けどこれは……。

 

「う………おおぉぉ!」

 

「ウェイブ君!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クソ!クロメを仕留め損なったか!スサノオの動きについてこれるなんて、あの男相当やるな…。

だが戦力を一つ吹っ飛ばせたのは良しとしよう。このまま一気に!

 

「待ってたぞ!」

 

「お前は……ナジェンダ!」

 

「てことは………南東チームはフェイク!?」

 

「まんまと引っかかったな。ボルス!クロメ!お前たちはここで始末する!」

 

「……………ナイトレイドのボス、ナジェンダ……」

 

………ラバック…………。

 

「おい、ラバ!何してんだよ!洗脳だかなんだか知らないけど、早く戻ってこいよ!」

 

「……ライオネルの使い手、レオーネですね?そうはいきません。私は皇帝のため、ひいては帝国のための兵士ですから」

 

「……そうかい、だったらボコボコにして目ぇ覚まさせてやる!覗きの時の比じゃないからな…。覚悟しろよ?」

 

レオーネ……なんだかんだ言って助ける気満々じゃないか……ふふ。

 

「そうだな、ラバック!ボコボコにした後アジトの家事はお前にやってもらうからな。覚悟しろ」

 

「………………排除します」

 

 

 

「………………クロメ」

 

「お姉ちゃん……!やっと会えたぁ!会いたかったんだよ?会って………私のコレクションに加えてあげたかったんだぁ!」

 

「………………そうはいかない……。お前は私が葬る!」

 

「そう上手くいくかなぁ?」

 

クロメが八房を抜き、天に掲げる。と、同時に地響きが。これは……!

 

「私も強くなったんだ。昔は人間の死体しか操れなかったけどさ。今や斬り殺した奴なら危険種ですら操れるんだ」

 

おいおい冗談だろ……?

 

「それが例え、超級危険種のデスタグールでもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、ミソギ君。向こうのチーム、本当にカルマちゃんとムカエちゃんだけでよかったのか?」

 

『まぁ多分ね。カルマちゃんは強いし向こうにはクロメちゃんもウェイブ君もいる。無駄に僕が出張って負けの確率を上げる訳にはいかないさ』

 

「ならいいけど」

 

嫌な胸騒ぎがするな……何もなきゃいいんだけど……。

 

『それにラバック君(改)もいるんだから平気平気!』

 

「セリューさんを止めたあの技はなんなんだ?帝具ではないって言ってたけど……あれは何か?重力を操ってるのか?」

 

『重力を操るとなると流石に帝具無しでは無理じゃないかなぁ。ラバック君(改)は電流によって洗脳されたんだろ?だったら』

 

「?」

 

『ーーーーーーーーーーーー』

 

「……君はどうしてそんなことまで見抜けるのに勝てないんだろうね」

 

『そんなの僕が聞きたいよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、帝具戦の始まりだ!何人死ぬかなぁ?」

 

デスタグール……予想外だったな……これは三人以上でないと……それに他の死体(にんぎょう)もある。エスデスがいないから今回は貰ったと思ったがなるほどな。クロメがいれば人数差などどうにでもなるって訳か。……って!アカメ!?

 

「クロメ!」

 

「……お姉ちゃん」

 

(本体であるクロメを止めればこいつらはただの死体に戻る!)

 

ガキン!

 

「……お前は…………ナタラ!」

 

「…………………」

 

「懐かしいでしょう?良かったね。久しぶりの再会じゃない」

 

「ッ!もう土に還してやれ!一緒に戦った仲間だろ!」

 

「だからいつまでも一緒にいたいんじゃない。安心してお姉ちゃん。お姉ちゃんもすぐにコレクションに入れてあげるから。そうしたら……」

 

(…!しまった!足場が!)

 

「また一緒にいられるよ!」

 

アカメ!ヤバい!斬られ……!

 

ガシッ!

 

「アカメ!らしくないぞ。単独行動は控えろ!みんなで攻めるんだ!」

 

「タツ……あぁ、そうだな。悪かった」

 

「……ちぇ。斬り損ねたか」

 

タツミ……!良かった。二人とも無事だな。とりあえず状況確認。敵はボルス、クロメ、クロメの人形7体、そしてラバックか。よし!

 

「お前たち!作戦変更だ!ブラートは人形を三体以上相手にしろ!アカメはボルス!レオーネはスサノオと一緒にデスタグールを狙い、スキあらばクロメを狙え!」

 

マインは残りの人形。チェルシーはスキあらば裏から消していってくれ。声には出せないがあいつらなら判断できるだろう。そして私は………。

 

「行くぞ!」

 

「「「「おお!」」」」

 

「そんなこと言ってる場合?デスタグール!やって!」

 

「ガァァァァァァ!!」

 

これは………まさか!破壊光せ………!

 

「マズイ!みんな伏せろ!」

 

ズガァァァン!

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて何人死んだかな♪」

 

「………いえ、全員生きてますね」

 

「うそ!てかなんで分かるの?」

 

「電磁波が減っていないからです」

 

「でん……なに?」

 

「そんなことよりクロメさんは離れにいてください。あなたが死ぬと数が逆転してしまいますから」

 

「………分かった」

 

「あぁ、それと。人形を一体借りてもよろしいでしょうか?」

 

「?いいけど……私の命令しか聞かないよ?」

 

「いえ、大丈夫です。私の帝具さえあれば」

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ!みんな無事か!?」

 

「な、なんとか……」

 

くっ!思ったより厄介だな。デスタグール。やはり奴にはもう少し人数を割くしか……。

 

「ナジェンダ」

 

「ん?」

 

「デスタグールは俺に任せて、みんなには他の相手をさせてくれ。レオーネもクロメだけを狙っていけ」

 

「いや、しかし……」

 

「俺はお前の帝具だ。あの程度の危険種、一人で相手出来なくてどうする」

 

……全く……言ってくれる。

 

「分かった!ではスサノオ!命令だ!奥の手を使用し、デスタグールを一人で駆逐しろ!」

 

「了解」

 

「レオーネはクロメを狙ってくれ」

 

「了解ぃ!スーさんより先に仕留めてみんなの負担を軽くしてやるさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《マインちゃん、急いで!》

 

「分かってるわよ!」

 

くっ……まさかデスタグールがいるなんて…。みんな無事でしょうね…。とにかく私も近づかないと。今ので地形が変わっちゃったから、もう遠距離狙撃ができない……。あんなに綿密に場所とか計算したのに!

また新しいポイントを……。

 

「マインさん」

 

「ッ!誰……だ…!ラバック!?」

 

いや、こいつは今……!

 

「今は敵なのよね。レオーネが元に戻すとか息巻いてたけど、取り逃がしてんのね。全く……」

 

「デスタグールの光線による爆発がありましたから。そう責めないであげてください。どちらにせよ、あの世で会えるのですから」

 

「言ってくれるわね(パンプキン。威力を弱めて、当てても気絶する程度に威力を弱めることは出来る?)」

 

《簡単だよん》

 

(よし、それで)

 

「しばらく気絶して貰うわよ!」

 

私は精神を落ち着かせながら、引き金を引く。これなら死にはしないはず。

 

「………!?」

 

な、あれ?指が……動かない……?

 

「………ヒザマズケ」

 

「う!」

 

なに!?あいつの言葉に逆らえ……な……。

 

《これは……駆動中枢が支配されている…?》

 

「『言葉の重み』あなたは私の言葉に逆らえない」

 

しまった!チェルシーの言っていた例の!くっ!ここまでとは……!

クソ!せっかくまた戦力になれたのに!こんな所で……!

言葉の重み?何?重量でも操ってるっていうの!?

 

「安心して下さい。まだ殺しませんよ。まだね」

 

そう言うと、ラバックは懐から一枚のカードのようなものを取り出した。これは………?

 

「………エラーメッセージプレート」

 

そう呟くとラバックは私の額にそのカードを突き刺した。突き刺シた、突きまいた、ツきたいタ、ウき……。

 

…………………………………………………。

 

《マインちゃん!おい!マインちゃん!これはまさか!『操作令状・エラーメッセージプレート』か!?》

 

「…さぁ、私に従ってもらいます。マインさん」

 

「りょく解ちまいた。ラバッツ」

 




はい、咲ちゃんの過負荷(マイナス)登場。
エラーメッセージプレートって………なんて長い名前の帝具~_~;

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