枯れた樹海と殺し屋たち   作:リンゴ丸12

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しばらくは投稿ペースが乱れそうです。ご了承くださいm(_ _)m


バランスをとってるのさ

「……はい。ちゃ……保護しま…た。……ぇ?面………わか……た。…ーい」

 

………ここは……どこだ……?俺は……確かウェイブとコイと交戦して……

 

「おや?目が覚めましたか?」

 

「……ん?きみは……?」

 

「む。ついさっきまで会ってた。アルティメットウルトラ超絶ビューティフルロリ少女イートちゃんを忘れるなんて失礼な人ですね」

 

「………イ、イートちゃん!?」

 

な、なんでこんなとこに!?てかここどこ!?

 

「ここは、私の家ですよ。びっくりしましたよ。森を歩いてたらイエヤスさんが倒れてるんですもん」

 

おぉ……インクルシオの変身解けててよかった……インクルシオはナイトレイドのシンボルだからな。バレたら殺されてたかも…。

 

「そっか……ありがとう。助かった」

 

「いえいえ、奢ってもらったお礼ですよ。それにしても何があったんです?ずいぶんボロボロでしたけど」

 

「あぁっと……野盗に襲われてな。なんとか逃げてきたんだ」

 

「ほぉーん。そうですかそうですか。そりゃあ災難でしたね。まぁしばらく寝てて下さい。骨もやってるみたいですし」

 

「それはダメだ。早く仲間にーーいッ!」

 

「動けないのに文句言わない!一週間はとりあえず安静です。その後ならまぁ止めませんよ。お仲間の元にでもどこでもお戻りください。また野盗に襲われても命の保証はできませんが」

 

くっ……仕方ない、不本意ながら少し厄介になるか…せめて連絡の手段があればいいんだが…

 

「そうだな。とりあえず一週間はいるよ」

 

その後はインクルシオをつけて無理やりにでも帰……る…あれ?

 

「ねぇ、イートちゃん。俺のそばに剣が落ちてなかった?」

 

「………あぁ。それなら…」

 

イートちゃんが指差した先には……

 

「!!嘘………だろ……」

 

兄貴から受け継いだナイトレイドのシンボルとも言えるインクルシオ。その鍵である剣が。ポッキリ折れてしまっている。マジかよ……いくらダメージを負ったとはいえ、簡単に折れるはずが……

 

「そんなに大事な剣なんですか?まぁ確かに凄そうな剣ではありますが…」

 

「………………」

 

あまりの自体に言葉が出ない。これがなきゃ、革命がさらに難しくなる……どうする……どうする……どうしようがある?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タツミ……いないな…」

 

「匂いもしない……クソ!遅かったか?」

 

マインをアジトに連れて帰り、アカメを連れて戻ったはいいもののさっきまで闘っていた所には誰もいなかった。木々を何本も折った跡は見られるため、戦闘に入ったことは間違いないんだが……

 

「タツミは相当強くなっている。そう簡単にやられるとは思えない。死んではいないはずだ」

 

「……そうだな………!アカメ!隠れろ!」

 

アカメを草藪の中に押し込む。この匂いは……。

 

 

 

「ブラートの奴……どこ行った?」

 

「逃げられるとは思えないんですけどね……。ウェイブ殿の蹴りが入ったんですから、肋骨が何本かいってるはずです」

 

「それともインクルシオはグランシャリオより防御力が高いのか?いや、プロトタイプのインクルシオに限ってそれはないか……」

 

「もう少し探してみましょうか」

 

「あぁ」

 

 

 

 

「……今の、イェーガーズか?」

 

「あぁ、ウェイブとコイって奴だ。コイはスタイリッシュの後釜らしい」

 

「今の発言からするとタツミは殺されてはないようだな」

 

「あぁ」

 

インクルシオの透明化で隠れているのか?にしては匂いがしない……。もっと奥に行ったっぽいな。

 

「アカメ、タツミはもっと奥に行ったのかもしれない。少し捜索範囲を広げるぞ」

 

「分かった」

 

 

 

《いやいや、それには及ばないよん》

 

!!

 

「「!誰だ!!」」

 

《そう身構えるなよ。何もしないって。ただ君達に有益な情報をあげに来たんだ》

 

どこだ?どこにいる?声が聞こえるのに匂いはしない……?そんなことが……?

 

《ん?匂いで探ろうとしてる?無駄だよ。僕の身体はここにはないもん》

 

「何者だ」

 

《怖いよ、アカメちゃん。僕が何者かなんて今はどうでもいいだろ?今はタツミ君のことが先決だ。違うかい?》

 

「……何か知ってるのか?」

 

《うん。君達、僕が教えないといつまでも探してイェーガーズのみんなと鉢合わせしそうなんだもん。そんなんじゃいつまでたってもお話が進まないじゃないか》

 

「………?」

 

こいつ……何言って?お話?

 

「なら、さっさとタツミの居場所を教えろ」

 

《うんうん、素直でよろしい。タツミ君はイェーガーズとの闘いで結構重症を負ってしまってね。命に別状はないんだけどしばらく動けないんだ。だから彼の友達に今治療してもらってるよ》

 

友達……?帝都に友達なんていたのか?アイツ。

 

「それはどこだ。私達も行く」

 

《ダメだよ。それは教えられない。指名手配のアカメちゃんがそんなところに来て、その子に危険が及んだらどうするんだい?》

 

「くっ………」

 

《ま、一週間もすればふらっと戻ってくるさ。気長に待つことだね。そんなことより今はマインちゃんの心配をしてあげなよ。彼女の方がヤバいぜ?》

 

マイン?見た所怪我もなかったが……

 

「どういう意味だ?怪我はしてなかったが」

 

《それは帰ったらわかるさ。あんまり僕に頼りすぎるなよ。僕だってあんまり介入したくないんだ》

 

「……レオーネ、帰ろう」

 

「お、おい!こいつの言葉を信じるのかよ!」

 

「……今は手がかりもない。マインが心配なのも事実だ」

まぁ……そりゃそうだが……

 

「本当にタツミは無事なんだな?」

 

《もちろんさ。あんまりにも帰ってこないようならまたここにおいで。ちゃんと説明してあげるから》

 

「…分かった。信じる」

 

「……嘘ついてたら噛み殺すからな!」

 

《はいはい》

 

……そうと決まれば急いで帰ろう。ウェイブたちに見つかってもめんどくさい。と、思っていたらアカメが口を開く。

 

「最後にいいか?」

 

《ん?なんだい?》

 

「繰り返すようだがお前は何者だ?帝国側の人間ではないのか?」

 

《………僕は帝国側の人間ではないよ。革命軍側の人間でもないけど》

 

「ならお前は……」

 

《僕はどっちの味方もしない。ただバランスをとってるのさ。平等になるようにね》

 

「名前は……なんという」

 

《………ま、それはもう少ししてから教えてあげるよ。勿体振るようでゴメンね。でも僕としてもメンバーが勢ぞろいしたところで自己紹介したいからさ。だから……》

 

「だから?」

 

《今は、平等なだけの人外『悪平等(ノットイコール)』、とでも呼んでくれ》

 

「ノット……イコール……」

 

《それじゃあね〜。ばいばいき〜ん》

 

「あ!ちょっ!おい!」

 

返事がない…消えたか……

 

「何だったんだ…いったい……」

 

「わからない。とりあえず今は帰ろう。マインも心配だし、このままではイェーガーズに見つかってしまう」

 

「そうだな……」

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「レオーネ!アカメ!タツミは!?」

 

チェルシーが心配そうに聞いてくる。やっぱこいつタツミに惚れてるな?目が赤くなってる。泣いてたのか…。

 

「無事……なのかな……?なぁアカメ」

 

「……わからない」

 

「わ、わからないってなによ!タツミはどこなのよ!まさか……イェーガーズに……!」

 

「死んではない……イェーガーズにも捕まってない。けど…今はいない」

 

「わけわかんないんだけど!」

 

「落ち着けよ、チェルシー。ボスもいる中で説明したいからさ。マインの様子はどうだ?」

 

「………まだ目を覚まさないわ。昏睡状態ってやつね」

 

…ノットイコールって奴が言ってたのはこういう事なのか?しばらく昏睡状態が続いて戦闘に参加できない、っていう……。

 

「とりあえず中に入って。今、ボスとスーさんを呼んでくるから」

 

 

 

 

 

 

「なるほどな……」

 

私とアカメは事の顛末をみんなに伝えた。マインの様子も気になるのでマインの寝室で。少しデリカシーに欠けるかもしれないが男はスーさんだけだし、大目に見てもらうとしよう。

 

「タツミとラバが行方不明か……そのノットイコールとやらの言葉を信じるならタツミ心配ないんだな?」

 

「ええ。一週間もすれば帰ってくるそうです」

 

「タツミ………」

 

「にわかには信じがたいが、どうすることもできんからな……ここはタツミの運にかけるしかないか…」

 

「そうなると問題はラバですね」

 

「あぁ、あいつは帝国に捕まってしまったのだろう?このままでは情報を聴き出された後、殺されてしまう……」

 

「すぐに助けに行こう!」

 

アカメが口を挟む。しかし……

 

「マインとタツミが欠けた状態では危険すぎる。せめてマインだけでも目を覚ましてくれればな…」

 

ダメージはゼロに近いのにな……まさか、このまま植物状態なんてことはないよな……

 

「……ん………」

 

「!!おい、みんな!マインが気づいたぞ!」

 

「本当か!スサノオ!」

 

よかった!これであの時何があったのかも聞ける!なんだ、あのノットイコールとか言う奴。ビビらせやがって!

 

 

「……ここ……は……?」

 

「マイン!大丈夫か?どこか痛むか?」

 

アカメがすぐに近づいて話しかける。なんだかんだ心配してたんだな。

 

「痛……く…ない…よ………………ッ!!イヤァァァァ!!!」

 

!!なんだ!?

 

「ど、どうした!マイン!私だ!アカメだ!」

 

「は、刃物!!イヤ!来ないで!痛いのはもう嫌!!何でもするから!!もう斬りつけないで!!」

 

な、なんだ?変な夢でも見て寝ぼけてるのか?

 

「どうしたの!マイン!」

 

「おい、マイン!しっかりしろ!」

 

「マイン!?」

 

「どうしたんだ、マイン!」

 

みんなが次々とマインのベッドを取り囲むように話しかける。

 

「あ……い、嫌……!!来ないで!もう取り囲まないで!殴らないで!ゴメンなさい………やめて!」

 

??ど、どうしたんだよ?なんか様子が!

 

「……まさか……!!」

 

「どうした!スサノオ!」

 

「……おい、マイン。俺たちが誰だか分かるか?」

 

ッ!おい……まさか……!

 

「あ、あなた達なんて知らない!どっかいって!……あ……ご、ごめんなさい。ち、違うの……逆らったわけじゃ…ないの……な……殴らないで…ゴメンなさい……!」

 

「……!記憶……」

 

「喪失……?」

 

「敵に何かされているな……しかも精神年齢も幼くなっている……」

 

「しかも……マインが昔迫害されていたころに戻ってる…」

 

人生で一番キツかったと語っていたあの頃に……クソッ!アイツの言ってたことはこれかよ!

 

「ま、マイン?落ち着け?な?とりあえず飯でも食べろ。な?スーさんのご飯だぞ?」

 

私はスーさんがマインが目覚めた時にすぐに食べられるようにしてあったスープを一口分スプーンにすくって食べさせようとする。

 

「ひっ!……いや……もうそんなもの食べられない……」

 

「な、何言ってんだよ。スーさんの飯だぞ?昨日もおいしいおいしいって食べてたろ?」

 

「いや!もう、そんな苦いの飲めない!ひ、一人にしてっ!……ください!おねが……うぶっ……ええぇぇ!!!う…ぼぅ…ぇ!」

 

!もどしてしまった!!

 

「マイン!!」

 

「ごぼっ………ぇえ!………ごべ……んなざい……ずぐに……そうじ……しまず…から…!なぐら……ないで……」

 

そう言ってマインは……ッ!…自分の吐瀉物を手ですくって食べようとしている!これは……相当ヤバいんじゃ……!

 

「す、スサノオ!やめさせろ!」

 

「分かっている!」

 

スーさんがマインの手を掴み、行動を抑える。

 

「!!やだ!!離じて!!ゴメンなざいぃ!!許して!!斬らないで!焼がないで!ママぁ!パパぁ!‼︎ダスげでぇぇ!!」

 

「チェルシー!その薬品箱から鎮静剤と麻酔!あと注射器を!」

 

「わ、分かった!」

 

そう言われるとチェルシーは手際よく鎮静剤と麻酔を用意する。

 

「な、何するの…………ッ!ひっ!針!!やだやだやだ!!刺さないで!!!いやぁぁあ!!!」

 

涙でぐしゃぐしゃになりながらマインが叫ぶ。………マイン……!!

 

「………よし!」

 

「ゔゔぅ!!ぅ!!……う………ん………」

 

 

 

 

「………お、落ち着いた?」

 

「あぁ……」

 

「…………」

 

「…………」

 

「………ッ!クソが!!」

 

私は我慢できずにそばにあった花瓶を叩き割ってしまう。もちろん手からは血が止めどなく流れ出る。

 

「れ、レオーネ!落ち着いて!」

 

「落ち着けるか!マインがこんな風に!これじゃ……死ぬよりも……」

 

「………マイン…」

 

「スサノオ……マインは……復帰できそうか?」

 

「なんとも言えないな……こういうのは本人が克服する必要がある。それに時間もかかるものだからな……」

 

「そうか……つまり……状況は最悪ってことか」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

こうしてナイトレイド史上最悪の日は夜を迎え、そのまま何も出来ずに日が昇ってきたのだった。




この前たまたま、ガンガンjokerを立ち読みしたんですけど……いやー……たまらんです。早く12巻出ないかなぁ

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