枯れた樹海と殺し屋たち   作:リンゴ丸12

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タイトル変えました。あらすじでも書いてありますがケイの異名ですね。
発表する機会がなさそうなので、タイトルに。



平等性に欠けるよ

「みんな、新しい依頼だよ」

ナイアーラトテップが発足して大体一ヶ月がたとうとしていた。その間、毎日ではないにしろ、官僚やそのボディガードを多数暗殺してきた。チームの団結力も強まってきたのではないだろうか。

ムカエちゃんも実戦が多かったおかげか、みるみる戦えるようになっていった。固有武器は包丁で、彼女の包丁さばきはもう暗殺者のそれと比べてなんら遜色がない。(ちなみに彼女は包丁の刃の部分を持つ。帝具のおかげでダメージはないが、見てるこっちが痛くなってくる)

カルマちゃんは基礎は出来上がっていたので僕が戦闘訓練をつけると、あっという間にプロの暗殺者となった。帝具の力も相まって相当な強さに仕上がり、彼女と本気で殺しあってただで済む者はいないだろう。僕も然り。

ミソギくんは相変わらず最弱。でもまぁ彼は強い相手になるほど多大なダメージを与える傾向にある。(主に精神面で)

まぁ、それでも勝てないんだが。

最後の一人は結局現れなかった。大臣曰く「カルマさんとあの場に連れてこられただけでも奇跡みたいな人ですからねぇ。自己紹介の前にいなくなるとは予想外でしたが。まぁそのうちひょっこり現れるでしょう」だそうだ。もう一ヶ月立ちますけど?

 

そんな具合に今日も大臣からの依頼を受け、みんなに報告しているわけだ。

 

「おー、今回は誰を殺すんだ?」

 

ポッキーを食べながらカルマちゃんが訪ねる。チームになって分かったことなんだが、彼女は大食らいだ。いつも何か食べてる。そのくせ太らない。ムカエちゃんが羨ましがっていた。

 

「いや、今回は殺しの依頼じゃない。危険種の捕獲依頼だ」

 

「捕獲…ですか?随分平和的といいますか…私達が出るまでもないような任務ですね」

 

まぁ確かに。僕もなんとなく裏があるような気がするが……まぁ拒否はできないし。

 

「最近、人の形を模した危険種が彷徨いているそうなんだが、その危険種がついに民家に押し入ったそうだ。これ以上民間人の被害を食い止める為にも迅速に捉えてくれ、だそうだよ」

 

『捕獲?討伐でなく?』

 

「そう書いてある。多分研究材料に使うんでしょ」

 

Dr.がいない今、無駄だと思うが。僕の治療はいつになったら再開されるのだろうか…

 

「ホント変な任務だな。逆に難しいよな?殺すな、って」

 

『まぁ、楽なのに越したことはないじゃない。じゃあ早速行こうか』

 

ミソギ君の掛け声でみんなが外に出る。変な事が起こらなきゃいいけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いた、あれだね』

 

捜索から2時間。そいつらは見つかった。なるほど、確かに人間的特徴は所々に見られるな。動物の肉だろうか?とにかく何かの肉を3匹で貪っている。

 

「どうやって捕獲しますか?」

 

『まず、僕の螺子であいつらの動きを封じてそのあとにケイ君が殺さない程度に致命傷を与えてよ。サンプルは一匹だけでいいよね?あとの二匹はムカエちゃんとカルマちゃんに任せる』

 

「わかった」

「うーす」

「了解です」

 

『じゃあ早速……えい!』

 

ズガガガガ!!と巨大な螺子が人型危険種の動きを封じる。何が起こったのかわからない様子の危険種達。僕はすぐさま、そのうちの一匹に斬りかかる。どこをどうやれば気絶するかなど、殺人の異常(アブノーマル)を持つ僕には一瞬でわかる。すぐに動かなくなる危険種。もちろん死んではいない、仮死状態ってやつだ。

 

「じゃあ残りは!」

「私達が!」

 

その後すぐに、ムカエちゃんとカルマちゃんが残りを殺しにかかる。一体は一瞬で腐敗し、もう一体は一瞬で傷だらけに。任務完了。みんなチームプレイに慣れてきたな。いいことだ。

 

『はい、おしまーい。簡単だったね』

 

「あぁ、でもどうやって持ち帰ろう…」

 

「トエテシュレーガに入らねぇんすか?」

 

「トエテシュレーガに入るのは武器だけだ。そんな四次元ポケットみたいなものじゃないんだよ」

 

『似たようなものじゃん』

 

……否定はしないが。

 

「持つしかないですかね……」

 

確かに。二人いればなんとか運べるか?まぁ他に仕事もないし仲良く四人で持ってもいいけど。

 

 

 

と、その時、殺気を感じた。……2人か。狙撃手と…もう一人は……よくわからないな…

 

「ケイの旦那?なにやってんすか、早く手伝ってくださいよ」

 

「カルマちゃん!」

 

僕はカルマちゃんを押し倒す。

 

「だ、旦那!急に何を…」

 

バキュン!とさっきまでカルマちゃんが立っていたところが狙撃される。

 

「敵襲!?」

『だね、この狙撃は…もしかして…』

 

 

「久しぶりね、変態マイナス野郎!」

 

木の陰から姿を現したのはピンクのツインテールの女の子マインちゃん。僕が斬った髪はどうやら元に戻ったらしい。ツインテールって邪魔じゃないのかなぁ。…もう一人は……まだ隠れてるみたいだな…。

 

『久しぶりだねぇ、マインちゃん。元気だった?あは!元気だよねー君はあの時怪我をしてなかったしねー。ラバ君に全て押し付けてさ!』

 

なぜ必要以上に挑発するんだ。彼女の帝具は感情の高ぶりで攻撃力が上がるんだぞ。君は死なないからいいかもしれないけど僕たちの事も考えてくれ。

 

「……友達、増えたみたいね」

 

『まぁね』

 

「旦那、助かった…サンキューな」

 

カルマちゃんがお礼を言ってくる。あぁ、なんだこうしてみると結構可愛いじゃないか。やめてくれ、上目遣いなんてされると殺意が止まらないよ…

 

「礼は後で、今は敵に集中して」

 

そう言って誤魔化す僕。しかし、めんどくさいことになったな…人数的には有利だが、ミソギ君がいるからなぁ…勝ち目があるかどうか……

 

「マインちゃん、もう一人もご登場願えるかな?」

 

「もういるわよ」

 

瞬間、ミソギ君の首が飛ぶ。糸…とゆうことは…

 

「キャアアア!!ミソギさん!」

 

「くっ、テメェ!」

 

緑眼緑髪の糸使い、ラバ君が気配を殺してミソギ君の首をはねた。…あれ?君の眼ってオレンジ色だったっけ?

 

「ラバ君…生きてたんだね」

 

「おかげさまでな」

 

まさか生きてたとは…まぁ彼自身が作った毒だったからな。アジトに行けば解毒剤があったのかもしれない、だからそこには驚かないが…

 

「目、見えてるのかい?」

 

「あぁ、くっきりとな」

 

なんだ?オールフィクションが誤作動でも起こしたのか?

 

「ケイの旦那!さっさとやっちまおう!こいつら!ミソギの旦那を!!」

 

「ミソギさん……グスッ、うぅ……うぅミゾギざん……」

 

ガチ泣きのムカエちゃん。大丈夫だよ、もうそろそろ…

 

 

 

『……………ふぅ』

 

「ミソギさん!!」

「旦那!なんで!首は確かに…!」

 

何度見てもチートだなぁ。これがある限り負けはありえないはずなのになぁ。なんで君はそうも負けられるんだ。

 

「驚いた…遠目に見たときは目を疑ったが…お前の帝具は自分の死もなかったことにできるみたいだ…な…………ッ!」

 

ッ!……ミソギ…君…?

彼は確かに生き返った。だがいつもの彼とは少し違っていた。彼はいつもヘラヘラ笑っていて、感情がよく掴めない奴だった。……が今の彼の顔は…

 

歯をくいしばり、目は鋭くなっていて、激怒?憤怒?とにかく怒りの表情を浮かべていた。彼はあそこまで感情を露わにすることがあったのか…

 

『…生きていたことには驚かない。死んだら生き返らせることを条件にマインちゃんの心を折るつもりだったし。

でも、僕がなかったことにした視力が元に戻ってるだと……?そんなこと僕にも出来ないのに……それにその眼の色……』

 

……なんだ?眼?

 

「…知ってんのか?」

 

『……そうかまた彼女か……帝具の他にこんな物まで……平等性に欠けるよ……全く彼女らしくもない…』

 

「彼女?」

 

『何でもないよ』

 

そこまで言うとミソギ君はいつものヘラヘラした顔に戻り、軽口を叩き始める。

 

『生きてたんだね!よかった心配してたんだよ?』

 

「………ありがとよ。で?お前はどうやったら死ぬんだ?」

 

『……そんな風に僕を気持ち悪がってる内はどうやったって殺せないよ。ラバ君。僕を殺すには愛が必要なんだぜ?』

 

……まぁ概ねあっている。オールフィクションの能力は強い想いのこもった事象には対応できないらしいからな。つまり彼の弱点は『愛情を持った殺意』ということになるのかな?

 

『ムカエちゃん、ケイ君、君たちはさっきの危険種を持って大臣の元へ。ナイトレイドとの交戦していることを伝えて。そうすればきっとイェーガーズのメンバーが駆けつけてくれる』

 

「構わないけど……二人で大丈夫かい?なんなら僕が……」

 

『大丈夫だよ。その為にカルマちゃんに残ってもらうんだし。それに確かめたいことがあるんだ』

 

「……行こうか。ムカエちゃん」

 

「だ、大丈夫なんですか?二人だけで!?」

 

心配そうなムカエちゃん。さっきの首はねが印象に残ってるのかな?

 

「大丈夫だよ、ミソギ君はともかくカルマちゃんは僕の次に強い。心配いらないさ。それに危険種も早くしないと目を覚ましてしまう」

 

「……わかりました」

 

「逃すと思ってんの?」

 

銃をかまえるマインちゃん。

 

『その為にケイ君がいるんだよ。てゆーか君たち、二人だけで僕達四人の相手をするつもりなのかい?』

 

「……マインちゃん、確かにこいつの言うとおりだ。流石にケイを含む四人を相手取るのには少しキツイ。ここはあいつらが居ないうちにミソギ、は無理にしてももう一人のやつは倒してしまおう」

 

ラバ君は冷静だな。ナジェンダさんとアカメちゃんがナイトレイドを仕切っているようだが、影から支えているのはきっと彼なのだろう。

 

「……ちっ、分かったわよ」

 

 

「じゃあ、行こうか。ムカエちゃん」

 

「はい……」

 

そうして、僕とムカエちゃんはその場を去ることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『じゃあ、始めようか?』

 

ミソギがそう言うと、螺子が地面から飛び出してきて一対一になるようにフィールドを分断されてしまった。つまり……

 

「あんたとは初めて会うわね」

 

「あぁ、よろしくな、チビ」

 

 

 

 

 

『さぁ因縁の第二ラウンドといこうか、ラバ君』

 

「今度は前みたいにはいかねぇよ」

 

 

 

 

 

 




次回とその次はバトル回です、たぶん。

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