「というわけでイェーガーズの補欠、そして私の恋の相手となるタツミだ」
………どういう訳で?
あのカルビって人を倒した後エスデス自らリングに降りてきた。賞金が貰えるのかと思いきやまさかの告白(というか取り方によっては奴隷契約?) そのあと反論する間も無く、気絶させられた。そして目を覚ましたら、椅子に縛られてイェーガーズの前で自己紹介(強制)中だ。
なんだこれ?急展開すぎてついてけないんだけど。
しかし、やっぱりケイの言ってたことは本当だったな……メンバーの顔と正確が見事に一致している。
「まずいんじゃないですか?市民をそのまま連れてくるのは……」
「なに、心配いらん。タツミには何不自由させないさ」
「話を聞いてくださいよ!」
ついつい声が出てしまう。
「まぁまぁ、突然のことで混乱しているだけでは?タツミ君?覚えてますか?スラムで道案内してあげたことを。その時のおねぇさんですよ?」
セリュー・ユビキタス……覚えているさ。シェーレの仇だからな……
「おねぇさんって……セリュー、お前タツミと年あんま変わんねぇだろ」
男が答える。あいつは……ウェイブって奴か?俺のインクルシオの改良版、グランシャリオの使い手の。
「何言ってんですか、わたしはもう二十歳ですよ?」
「えぇ!マジで!!」
「どういう意味ですか!?それ!?」
いや、俺も同い年くらいだと思った。童顔すぎる……
「いや、あたしも最初は驚いたわよ。あたしは手術した時に知ったんだけどね」
「ど、Dr.まで……」
「まぁいいじゃない、セリューちゃん。若く見られてるってことは後々武器になるよ」
「ボルスさん……ありがとうございます…」
ボルス、ルビカンテの使い手か。使ってる帝具といい、ルックスといいどんなに恐ろしい奴かと思えば、イェーガーズ一番の常識人っぽい。
「ところでお前たち、お前たちの中で恋人がいたり結婚しているものは?」
手が上がった。ってええ!
「ボルスさん、そうなんですか!?」
「うん、結婚6年目!わたしには勿体無いくらい良く出来た人で……」
しかも勝ち組かよ……本当になんで軍にいるんですか?
って、和んでる場合じゃない!早く逃げなきゃ!
「あの〜エスデスさんのお眼鏡にかなったのは光栄なんですけど、僕……宮仕えする気は、全然……」
「ふっ、言いなりにならないところも染めがいがある」
「だから話を聞いてくださいよ!」
ダメだ、会話にならない……と、そこに乱入者が。
「ご報告します!ギョガン湖周辺での調査が終わりました!やはり黒です!」
宮殿の警備兵か何かか?手には報告書みたいのをもってる。
「そうか、ご苦労。では諸君!ミッションだ!最近、ギョガン湖周辺での賊の話は知っているか?今日はその討伐だ」
「悪の駆け込み寺……苦々しく思ってました…」
「今日はお前たちの技量を確かめるためにも全員でいく。一人3、40人は倒してもらうぞ」
ふぅん、ナイトレイド狩りだけでなく普通の正義の味方のようなこともするんだな。
「敵が降伏してきた場合どうしますか?」
「降伏は弱者の行為。この世は弱肉強食。そんな奴らは滅ぼされて当然だ」
……さっきまでの空気が一変した。やっぱり強いなこいつら。
「あは、あはは!有無を言わせず悪を滅することができるなんて、私、この部隊に入ってよかったです!」
「心ゆくまで蹂躙すると良い」
「はい!!」
………スゲぇ会話だ。
「では行くぞ、お前たち!タツミもついてこい!」
「えぇ!俺も?」
「先輩たちの戦いを目に焼き付けておけ」
……ダメだ、今日は逃げられそうにない…………
イェーガーズの殲滅力は凄まじかった。ウェイブとクロメの帝具の能力は見れなかったが、それでも賊は30分ともたなかった。
特にセリューはDr.スタイリッシュの作った新兵器で身体が強化されているのですごい厄介になってる。
中にはケイが持っていた武器と同じ物もあった。ケイの武器の一部はDr.スタイリッシュにつくってもらっているようだな。
………勝てるのか?こいつらに……
「タツミ、心配するな。私が鍛えてやるんだ。すぐにこいつらと同じように強くなれる」
「はぁ……ありがとうございます…」
「そんな訳でだ、今日はもう疲れたろう?私の部屋で一緒に寝よう」
「どういう訳で!?」
「よし、お前たち帰還するぞ!」
そんな訳であっという間に賊狩りが終わり、俺は年も近そうなウェイブと雑談しながら、クロメはコロと戯れながら、セリューはそんなクロメにおたおたしながら、Dr.スタイリッシュはランをナンパしながら俺たちは帰途についていた。ちなみにエスデスはボルスから恋愛の極意を伝授してもらってる。メモまでとって……絶対思い通りになんかならねぇ。
サァァァァァァァ……シャワーの音が鳴り響く。エスデスの自室。
…………いきなりの展開すぎるよ。俺彼女もいたことないのに。
「待たせたな、何か飲むか?」
「い、いえ、その、お、おかふぁいなく!」
エスデスさんエッロ!下着とシャツだけって……理性が飛びそうだよ!そうだ、こういう時は円周率を!
3.14159265358979323846264338327950288 …
「そう、硬くなるな。私もこういう作法には詳しくないんだが、まぁ、求めるままにすればなんとかなるんじゃないか?」
「は、はい」
ダメだった。全然気が紛れない。
「あ、あの聞きたいことが……エスデスさんは俺のこと好きなんですよね?」
と、言うと。
チュッ
キスで返された。ファーストキスがこんな簡単に。
「好きでなければこういうことはしないな」
……予想外の展開に少しびびったが、よしこれなら色々情報を聞きだせるかも!
「あの?俺、田舎者なんでよくわからないんですけど、帝具ってそんなにすごい武器なんですか?」
「唐突だな?緊張して話を逸らそうとしているのか?可愛い奴め///まぁ付き合ってやろう。そうだな中には一騎当千の力を持つものもある。」
「エスデスさんのは?」
「私のか?私のは形がない。魔神顕現『デモンズエキス』、氷を操る危険種の生き血の帝具だな」
「すごいっすね」
「あぁ、割と強い帝具だと自負している。まぁ最強とは呼べないがな」
「エスデスさんのより強い帝具が?」
そんなのがあるのか?あぁ、村雨とかかな?
「まぁ、相性にもよるが……ブドーのも強いな。雷神憤怒『アドラメレク』雷を操る帝具だ」
大将軍ブドーか。そんな強い帝具を……
「後は詳しくは知らんが、王家の一族に伝わる至高の帝具というのもあるそうだぞ?帝国側の切り札だ」
「へぇ、凄いですね。そんなんじゃ革命軍もひとたまりもないですね。」
「あぁ、だが、現在帝国側にはない伝説の帝具なるものもあるそうだぞ?まぁ革命軍側にあるかどうかも知らないがな」
「伝説の?どういうことです?」
「なんでも帝国ができてから1000年間適合者がいない帝具らしい。その性能ゆえ、全知全能の二つ名を持つそうだ」
「そんな帝具が……」
それじゃあ、革命軍側にあってもあんまり意味はないな……
「能力はなんなんですか?」
「さぁ、そこまでは知らん。もはやお伽話のレベルの伝説だしな。さぁもういいだろう?タツミ。前座は終わりだ、たっぷりいちゃつこうじゃないか!」
「え、ちょっ、待っ!いやぁぁぁぁ!!」
こうして天国のような地獄のような夜は更けていったのだった。
ケイとミソギが出てこなかった代わりと言っちゃなんですが、活動報告に二人の帝具の情報を載せときました。よろしかったら、ぜひ。