魔弾の王と召喚師   作:先導光

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あけましておめでとうございます(*^^*)
なるべく去年中に投稿したかったのですが諸事情によりできませんでした>_<
ちょっとネタを考えるのにも時間がかかってしまいました>_<
こんな作品ですが今年もよろしくお願い致しますm(_ _)m


ティグルの場合

「やれやれ、悲鳴が上がったから何事かと来てみれば・・・。」

 

リムアリーシャに殴り飛ばされ倒れ伏すイェーガーをエレオノーラはいたずらっ子のような目で眺める。

 

「イェーガー、お前も何の考えもなしに突撃する様な奴だったのか?」

「い、いや・・・中から凄い力を感じたから何事かと思って・・・。」

 

イェーガーが倒れ付したままそう言う。

すると、ティグルがバツの悪そうな顔をした。

 

「ああ・・・それって多分・・・。」

 

 

話はイェーガー達が浴場へと着いたころに遡る。

 

ティグルはエレンから教えられた風呂場への道を考え事をしながら歩いていた。

テナルディエ・・・魔神・・・。二つとも俺からすると強大すぎる敵だ。テナルディエはともかく魔神なんてものは初めて聞いたときはにわかに信じられなかったが・・・。

ティグルはそこまで考えてユニット達を思い出す。

普通の人の様な姿をしながら人を圧倒的に凌駕する力をもった者たち。そして、それを使役する者ーー『召喚師(イェーガー)』。

彼らの力を実際に目の当たりにすると如何に自分の相手が強大であるかを思い知らされる。それに、エレン。戦姫(ヴァナディース)である彼女は竜具(ヴィラルト)から力を得ている。自分とは明らかに一線を画す強さだ。

俺は二人の足手まといになってないだろうか。

ティグルはそこで自分の黒弓のことを思い出す。

ティグルの家の家宝として奉られていたあの黒弓はかなりの力を秘めていた。エレンの竜具やイェーガーの召喚術並みの力を。だが、得体が知れない力でもあった。

せめてあの力をもう少し理解できればきっと二人の様に強くなれるのだろうな。

ティグルはそう考えたが次の瞬間、ふと笑みをこぼした。

俺は何を焦っている?俺がこんなでは助けてくれているエレンやイェーガーに申し訳がたたないじゃないか。二人は二人で俺は俺。なら俺にしかできないことをやるだけだ。

ティグルがそう納得した時、ティグルは風呂場に着いた。

風呂場に着いた時、そこには先客がいたのだ。

青い髪の強気そうな少女ーーリュドミラだ。

しかも、場所が場所であるから当然服も何も身に纏ってない訳で・・・。

次の瞬間、リュドミラは床に置いておいた竜具ーーラヴィアスを拾うと氷の刃を顕現してティグルの喉元に突きつけた。

 

「浴場は武器を持ち込む場所では無いと思うが・・・。」

 

ティグルはやっとの思いでそう言ったがそれは何の効果もなさなかった。ティグルは目を閉じて静かに続ける。

 

「その・・・身体を隠してくれ。恥ずかしく無いのか?」

「犬や猫に身体を見られて恥ずかしいと思うの?」

 

リュドミラは静かな怒気を帯びた声でそう言う。

沈黙が二人の間を漂う。ティグルが次の言葉を発そうとした時リュドミラが続けた。

 

「その様子だと私を辱めに来たわけではなさそうね。」

「偶然だよ。誰かが入ってると考えなかったのはこちらの落ち度だな。」

「言葉遣い。」

「申し訳ございません。」

 

直後、空気がうねりティグルは頭に衝撃を感じて倒れた。

リュドミラが立ち去っていく気配がする。

ティグルは殴られた頭をさすりながら起き上がる。

犬や猫に身体を見られて恥ずかしいと思うか・・・。

ティグルは自分の格好に目をやる。自分もまた一糸まとわぬ姿だ。リュドミラの言ったことがわからず少しの間困惑していた。

 

 

 

「という事があったんだ。」

 

ティグルから説明を聞きイェーガーは納得する。

なるほど、確かにあの不思議な武器ーー竜具の力ならそれくらいの気配は出せそうだ。イェーガーはリムアリーシャに静かに向き直ると頭を下げた。

 

「ごめん!りーちゃん!俺の早とちりの所為だったみたいだ!」

 

すると、リムアリーシャは少しバツの悪そうな顔をしてこう言った。

 

「いえ、こちらも少し動転しておりましたので気になさらないでください。・・・ただ、イェーガー殿は本当にわからない方です」

 

最後の一言は聞こえないくらい小さく言ったため誰にも聞き取れなかったない。

 

「ケッ、だから考えもなしに突っ込むなって言っただろう?バカ!」

 

ルジーナが不機嫌そうにそう言い放つ。パリスも少し疲れた表情で続けた。

 

「残念だけど、イェーガー。今回ばかりはルジーナが正しいわ。仲間の事が心配だったのはわかるけど何の考えもなしに突っ込のは間違ってるわ。」

「う・・・。」

 

パリスにまで言われてイェーガーはうなだれた。


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