魔弾の王と召喚師   作:先導光

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水と油

「ここがロドニークか・・・。なーんか、火山の近くみたいな臭いがするな。」

「ここロドニークには温泉があるのでその香りでは無いでしょうか?」

 

イェーガーがそうたずねるとルーリックがそう答える。

あれからイェーガーとルーリックは馬を駆りエレン達が先に向かったと言われるロドニークに着いた。

道中特に襲撃も無く進んでいた。

・・・一つの問題はあったが。

 

「ケッ、こんな所に別荘なんて作るのか?戦姫って奴はよー。」

 

不機嫌な顔のルジーナがそう言う。後ろには疲弊顏のパリスもいた。

森でイェーガーに宣戦布告をして先に進もうとしたものの彼らはリュドミラと合流する必要があり、そしてそのリュドミラはエレンやティグル、リムアリーシャと共にロドニークに来ている。さらにルジーナ達はロドニークまでの道を知らないわけで結局イェーガー達と再び行動することになるというなんとも締まらない結果となったのだ。

その間ルジーナは常に不機嫌顔で悪態をついてはルーリックと言い争いその仲裁をパリスが行うと言う事を繰り返していたのだ。

 

「で、エレンさん達はどこにいるんだ?ルーリック。」

 

イェーガーがそうたずねる。

だが、ルーリックからの返答が無いのを訝しみルーリックの方を向く。そこには怒りに顔を赤く染めた鬼神の如き表情をしたルーリックがいた。

 

「おーい?ルーリックさーん?」

 

イェーガーが繰り返し呼びかけるとルーリックはハッとしてイェーガーに向き直る。

 

「はい!なんでしょうイェーガー殿!?」

「いや、エレンさん達の居場所を聞いたんだけど・・・大丈夫?」

「HAHAHA!このルーリック、決して怒ってなどおりませぬゆえに大丈夫です!」

 

ルーリックが笑いながらそう言う。

目が笑ってねえ・・・!こりゃあやべえな。

イェーガーは内心で冷や汗をかきながらそ、そうか。と返事した。

 

「それよりもエレオノーラ様達の居場所でしたね!それならこちらです!」

 

ルーリックがそう言って案内を始める。

ふう、とイェーガーがため息を吐くのと同タイミングでパリスもため息を吐く。イェーガーがパリスを見つめるとパリスも疲弊した顔で見返してくる。

お互い大変だな・・・。

・・・そうね。

二人はその意思をアイコンタクトで交わしたのだった。

 

 

こちらにエレオノーラ様達はいらっしゃると思います。

そう言われて案内されたのは浴場らしき所だった。

 

「ここに?」

「ええ、間違いありません。エレオノーラ様はここにおいでになられた時は必ずと言うほどにここにいらっしゃるので。」

 

ルーリックがそういう。

へぇ。エレンさんは結構温泉好きなのかな?それかこの地に何かあるか、か。

イェーガーはそう思った時ルーリックが踵を返した。

 

「ルーリック?」

 

イェーガーがそう尋ねるとルーリックは背を向けたまま答える。

 

「私の任務は皆様をここにお連れすることなので、これで失礼致します。」

「だが、ここまで殆ど休み無く来たじゃないか?少し休む訳にはいかないのか?」

「ははは!イェーガー殿の苦労と比べればこの程度何て事はありませんよ!それではまたお会い致しましょう!」

 

ルーリックはそう言うと急ぎ足で去っていった。だが、イェーガーは見逃さなかった。

去り際のルーリックの目が笑ってない事に。そして、猛烈なまでの殺意がルジーナに向かっている事に。

・・・ルジーナ、挑発しすぎだ。


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