すいません(><)
「・・・。」
「・・・。」
応接間の中に重い雰囲気が充満する。応接間にいるのは3人。
1人はイェーガー、もう1人はリムアリーシャだ。あとの1人は初老の男で、温和な顔付きをしているが今はその目からただならぬ気配を放ちイェーガー達を警戒しているのがよくわかった。
ああ・・・俺こういう空気って本当に苦手だ・・・。
イェーガーはそう思った。イェーガーも何度か逃げ出そうとしたがこの空気と2人のたたずまいがそれを許さなかった。
「あ、あの・・・。」
イェーガーが遠慮がちに口を開くと二人はギロりとイェーガーを睨んだ。
「なんじゃ?」
「・・・とりあえずマスハス様、世間話でもどうですか?俺はこの辺の事何も知らないから・・・。」
そう言うイェーガーの声は二人の放つ無言の圧力により小さくなっていく。
「全く・・・イェーガー殿、このような状況でよくもそのようなことが・・・。」
「だってさ、リーちゃん。俺、この圧力に耐えられねえよ。」
「なっ!?だれがリーちゃんですか!?」
リムアリーシャが顔を赤くしイェーガーにそう言う。イェーガーは肩を小さくすくめた。
「・・・良かろう。聞けば、イェーガー殿あなたは旅人じゃったな?あなたの話をしてみればどうじゃ?」
男性―マスハスが少し雰囲気を和らげてそう言う。イェーガーはホッと息をついた。
「俺の旅ですか?」
「そうじゃ、話してみよ。」
・・・うかつに話して大丈夫か?
イェーガーはそう考えたが、ほかに切り抜ける道を思いつかず自分の旅を話し始めた。
ティグル・・・頼むから早く帰ってきてくれ。
「・・・にわかに信じられぬな。」
「ですよね?」
イェーガーがうんうんと頷く。その様子をリムアリーシャが冷たい目で見つめる。
「その召喚術というのが本物ならば実践してくれぬか?」
マスハスが尋ねる。イェーガーは静かにたった。
「なんじゃ?」
「ここは呼び出すのに狭いので屋敷の裏に回りましょう。」
「では、行きますよ。」
イェーガーがそう言う。
イェーガーの言葉を聞き入れマスハスとリムアリーシャは屋敷の裏にある空き地に出た。
『遍く炎よ、我が願いに答えよ。悠久の時を生きし英雄を今ここに顕現せよ。』
少し小さめの召喚陣が空に広がる。力の奔流を二人は感じた。
『来い!ヴァルガス!』
イェーガーがそう叫ぶと赤い光がイェーガーの前に落ち煙をあげる。
「結局、いつか俺の言った通りになったな。」
「・・・忘れたな。」
煙の中からイェーガーと別の男の声がする。
煙が晴れると黒い鎧を着たヴァルガスがそこにいた。
「・・・!!」
突然の出現にマスハスが絶句する。ヴァルガスは二人に向き合いこういった。
「俺はヴァルガス。訳あってイェーガーに協力している剣士だ。」
「・・・初めて見たときと少し様子が異なりますね。」
リムアリーシャの呟きにイェーガーがこういう。
「当たり前だ。あんな戦闘準備万端のヴァルガスを呼べるか。つーか、そもそも体力がもたない。」
そこで、ようやく我に帰ったマスハスがイェーガーを見てこういった。
「貴君の言葉を疑って済まない。」
「別に気にしてませんよ。普通は信じられないでしょ?」
イェーガーがそう言った時表でティグルの呼ぶ声がした。