「はあ・・・。暇だ。」
リムアリーシャと話した翌日。イェーガーはそう呟いていた。
実際にはやることとして調査があるが戦いに巻き込まれた所為で自由に大陸を歩くことは難しいしアルサス周辺は既に調査済みであった。
・・・召喚院からは相変わらず何も来ない。
イェーガーからもコンタクトをとっているのだが召喚院からの応答がなかった。
実際にはゲートが閉まってるからだがイェーガーはそれを知らなかった。
「・・・暇だ。」
《そのセリフいい加減聞き飽きたぜ・・・》
ぼそりと呟くイェーガーにヴァルガスがそう言う。
ちなみにヴァルガスがカウントしているだけでイェーガーのその台詞を聞くのは十一回目だ。
「だって暇なものは仕方ないだろ?」
《そんなに暇なら連絡手段くらい探せよ?》
「自由に動けないのにか?」
《・・・。》
その一言にヴァルガスは黙り込む。
正確に言えば、自由に動けないわけではない。ただ、この状況で動けば敵対しているテナルディエ派の人間に会う可能性も高く、さらに言えば魔神もしくはそれに相当する力を持ちイェーガーに敵対する召喚師に遭遇する可能性があるからだ。
《そういえば・・・イェーガー、気づいたことを言っていいか?》
「なんだ?」
ヴァルガスの声音がいつになく真剣なものだったのでイェーガーも思わず姿勢を正す。
《あいつエレオノーラだっけな?が使っていた剣だが・・・俺はあれを見たことがある気がする。》
「なんだって?おいおい・・・。」
イェーガーが驚きの声を発する。
もしそれが本当なら、ここはグランガイア、もしくはエルガイアのようにグランガイアの人間が逃げてきた場所ってことじゃないか。
《確か・・・あれは大戦初期の頃だっけな・・・。》
ヴァルガスが語りだす。
《神々の侵攻が始まったグランガイアで、俺は始めから最前線に立ち神々に剣を降り神の軍を幾度となく打ち倒していた。その時に神々の側についていた女の騎士と刃を交えたことがあった。
その女騎士はかなりの使い手で俺と互角以上に戦っていたが最後は俺に敗れ姿を消した。で、その女騎士が持っていた剣があれにそっくりなんだよな。》
「・・・それはそれは。」
イェーガーはそう呟いた。
ヴァルガスの言うとおりだとすれば、あの剣は神々のグランガイア侵攻において神の作り出した剣と言う事になる。でだ、もしそうならばここはグランガイアの一部って事になる。
「・・・う~む。」
イェーガーは唸った。
情報が足りん。どうやってもまだまだ調査を進めなきゃわからんことばかりだ。
「とりあえず。」
《とりあえず?》
ヴァルガスがそう尋ねるとイェーガーは布団に入りこういった。
「寝る。」
《・・・さいですかさいですか。》
ヴァルガスが呆れたようにいった時には既に寝息を立てていた・・・。