すいません(><)
「なんとかなるとは・・・。もし帰れなくなったらどうなさるおつもりですか?」
楽観的なイェーガーにリムアリーシャが尋ねる。
「ん~?まあ、戦うのには困らないから旅でもするかな。」
「・・・随分と短絡的ですね。」
リムアリーシャがこれ以上ないくらいの冷ややかな声音で言うがイェーガーは意に介さずこういった。
「だって分かりもしないことをうだうだ考えるよりかはさ、どっしりと構えていた方が楽だぜ?」
「・・・。」
そのイェーガーに対しリムアリーシャは無言の圧力で答えた。
あらら・・・やばい感じだなこりゃ。
「リムアリーシャさんはさ、めんどくさくないのか?先のことばかり考えてばっかなの。」
「面倒と思ったことはございません。それが私のやるべきことですから。」
「やるべきこと、か・・・。」
イェーガーはつぶやき昔、グラデンスに言われた言葉を思い出していた。
それはイェーガーが初めてヴァルガスを呼び出す事に成功した時だった。
『よいか、イェーガー。力を持ち行使するは容易い。じゃが、何のために行使しそれが己のなすべき物なのかどうか・・・それをよく考えて使うのじゃよ。』
老召喚師はそう言ったが、当時のイェーガーは少なからず反感を抱いていた。
自分の力は見せかけじゃない!本物なんだ!
だがその思いもイェーガーが戦い、学ぶ事によりいつしか消えていったのだ。
「どうかなさいましたか?」
リムアリーシャが遠い目をしているイェーガーに尋ねる。
「・・・いや、なんでもない。」
「そうですか。」
「ところでさ、リムアリーシャさんの事をさ、リーちゃんって呼んでもいい?」
突然の提案にリムアリーシャはしばし呆然となったがすぐに我に返り氷のように冷たい視線を無言でイェーガーにぶつけた。
「・・・。」
「何も言わないってことは良いってことだよな?」
イェーガーは視線にある種の恐怖を感じたが意に介さずにこやかにそう言った。
「・・・いけません。そもそも、何故呼び方を変えるのですか?」
「だって、リムアリーシャって呼ぶのも長いし、かと言ってリムって言うのは仲間でいるし。」
「ダメです。」
リムアリーシャが少し強めに言うとイェーガーはリーちゃんってのはいいと思うんだけどな・・・。っと残念そうにつぶやいていた。
全く・・・この人には危機感と言う物がないのでしょうか。
リムアリーシャはそう思いながらイェーガーに当てられた客室をあとにし、資料室へと向かった。
その頃・・・
―モルザイム平原戦場跡
すっかり兵士たちの死体が取り除かれた平原だが一箇所だけ真っ黒になっていた。
そこはイェーガー達が戦っていた所だ。
その場所に黒い鎧を身にまとい頭に角をはやした謎の物がいた。
それはイェーガーの戦ったあとの様子を眺めにやりと笑った。
「これはこれは・・・。召喚院の者が現れたかと思いったら予想以上の大物が現れたようだ。」
男はそう呟くと自分の部下を呼びこう命じた。
「イェーガー君を見張ってろ。そして、チャンスがあれば殺せ。ただし、周りに感づかれるな。」
「・・・御意。」
黒いフードをかぶった部下はそう言うとその場からさりまもなくそれも去っていった。