魔弾の王と召喚師   作:先導光

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第二章ヴォージュ山脈山賊掃討戦
魔神の脅威


「うう・・・。」

 

割れるような頭の痛みでイェーガーは目を覚ました。

一体何だと思い自分の状況を確認すると自分が眠っていたのはティグルの屋敷の客室のベッドで今の時間は大体朝の8時頃であることがわかった。ベッドの右側に荷物とダンデルガがありイェーガーは左側に横たわっていた。

・・・頭が痛いのはベッドから落ちたからか。

 

《おう。起きたか?》

 

ヴァルガスの声がする。

 

「うう・・・目覚めは最悪だ。」

《ははは!見事な落ちっぷりだったぜ!》

 

ヴァルガスがさもおかしそうにそう言う。

 

「俺は何日程眠っていた?」

 

イェーガーにはこれまでの経験で自分が眠っていたのが1日ではないことを悟っていた。

 

《まる二日だな。》

「そうか、意外にも早かったんだな」

 

などと会話をしていた時、扉が開きティッタが入ってきた。

 

「あ!イェーガーさん、お目覚めになったのですね?」

「ああ、まあな。」

「皆さんが一階の応接間でお待ちですよ!」

 

はあ、説明しなきゃダメなんだよな・・・。

イェーガーは頭を悩ませながら応接間に向かった。

 

 

「おお!来たか!」

 

応接間に行くとイェーガーはエレオノーラの歓声を聞いた。

それはまるで面白いおもちゃを見つけた子供の反応のそれだった。

応接間にはエレオノーラ、イェーガー、ティグル、リムアリーシャの四人がいた。

 

「早速で悪いが、お前の話を聞こう。」

「おい、エレン。イェーガーは今目覚めたんだ。少し落ち着いたらどうだ?」

 

ティグルがそう言うとイェーガーは首を振りこういった。

 

「いや、面倒事先に済まさせてもらう。・・・だが、気遣いには感謝する。ありがとう。」

 

イェーガーはそう言うとエレオノーラの方を向いた。

 

「今更だが、俺は礼儀作法ってやつに疎い。無礼を承知でいうがこの口調のまま説明させてもらうぜ。」

 

イェーガーはそう前置きをするとすべてを語った。

自分が異世界人であること、この世界には安全かどうかの調査に来たこと、そしてヴァルガスを呼び出しダリマオンと戦い勝利した事。すべてを順序よく話した。

 

「にわかには信じられんな。」

 

エレオノーラがまずそう言った。イェーガーは顔をしかめてこういった。

 

「信じてくれとしか言えん。・・・ま、普通は信じられんだろうがな。」

「だがあの時あの場で火を吐く竜がいたのも事実だ。おそらく嘘じゃないんだろう。ただ、ひとつ聞かせて欲しい。」

 

ティグルがそう言う。

 

「何だ?」

「どうして話してくれなかったんだ?」

「・・・話したところであんたたちは信じたか?」

 

イェーガーは鋭くティグルたちを睨みながらそう言った。

 

「そ、それは・・・。」

「そういうことだ。」

 

イェーガーはそう言った時リムアリーシャが口を開いた。

 

「イェーガー殿、あなたはこれからどうなさるのです?」

「どう、とは?」

「この地の調査を続けるのか我らと共に戦うのか。」

「私としてはこのままともに戦って欲しいだが、それはお前が決めることだ。」

 

エレオノーラがそう言う。

イェーガーはためらう素振りもなくこういった。

 

「このままあんたたちと戦おう。」

「・・・理由を聞かせてもらってもいいかな?」

 

ティグルが尋ねるとイェーガーは深刻な表情となった。

 

「どうなさいました?」

 

リムアリーシャが尋ねるとイェーガーは意を決したようにこういった。

 

「この地にはどうやら召喚術を使えるかなり強力な魔神、もしくはそれにそうとうする何かがいると思うんだ。」

「魔神?なぜそう思った?」

 

エレオノーラが尋ねるとイェーガーは自分の推測を語った。

 

「まず、先の戦いで呼び出されたダリマオンだ。あれで召喚術を行使した術者がいるってことがわかる。そして次にダリマオンの強さだ。明らかに普通のダリマオンより異なっていた。」

「何?あんな物ではないのか?」

「いや。普通はあそこまで強くない。なにせ炎を吸収したんだからな。これらの点を総合すると・・・。」

「強力な何かがいる、と言うことですね?」

「ご名答。」

 

イェーガーの説明が終わるとティグルは空を仰いだ。

 

「テナルディエだけじゃなくてそんな奴までいるなんて・・・。」

「大丈夫だ!ティグル!私がいるではないか!」

 

エレオノーラがそう言う。イェーガーは続けてこういった。

 

「ああ。それに魔神の相手は俺がする。任せてくれ。」

「イェーガー・・・エレン・・・そうだな、俺が弱気になっちゃダメだよな。」

 

ティグルは二人を見てこういった。

 

「みんな、力を貸してくれ。」

「ああ!」

「もちろんだ。」

「非才なる身の全力をもって。」

 

三人は快諾した。


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